球根で増える多年草なので、管理のポイントを押さえれば、長い間育てることができます。また、スノードロップの球根は植えっぱなしでも比較的丈夫に育つので、ガーデニングを始めたばかりの方にもおすすめです。
スノードロップについて
名前の由来はラテン語のglan(ミルク)とanthus(花)の2語から成り立っており、スノードロップの花の白さを物語っています。雪の下からでも花を咲かせるほど強い耐寒性があります。
夏の高温期には地上部の葉が枯れて球根の状態で休眠に入ります。
植物名 | スノードロップ |
和名 | マツユキソウ(待雪草) |
学名 | Galanthus |
英名 | Snowdrop |
科名 | ヒガンバナ科 |
属名 | ガランサス属 |
原産地 | ヨーロッパ、西アジア |
スノードロップの品種
主なスノードロップの品種について紹介します。ガランサス・エルウェシー
別名「オオマツユキソウ」、英名を「ジャイアント・スノードロップ」といいます。花は内花被(ないかひ)の基部と、先端部分に緑の斑が入っています。
ほかの品種に比べて、球根の状態でも比較的乾燥に強いので、市場で扱いやすいことから多く流通しています。
ガランサス・二バリス
別名「マツユキソウ」と呼ばれています。ヨーロッパでは、ほぼ全土で自生している品種です。ガランサス・エルウェシーよりも花弁が小さく、小型のスノードロップです。内花被の先端だけに緑の斑が入っています。
スノードロップとスノーフレーク
見た目も名前も似ているスノードロップとスノーフレーク。両者の判別のポイントを紹介します。スノードロップ
スノードロップの開花期:2〜3月
草丈:5〜20cm程度
3枚の外花被(がいかひ)と3枚の内花被で構成されていて、内花被の先端と基部、または内花被の先端のみに緑色の模様があります。
スノーフレーク
スノーフレークの開花期:4〜5月
草丈:30〜40cmほど
6枚の花弁が小さな鈴のような形をしていて、花びらの先端に緑の斑が入っています。
スノードロップにまつわる話
まだ雪も積もるような寒い2月ごろから花を咲かせるため「春を告げる花」として親しまれてきたスノードロップには、さまざまな言い伝えや風習があります。聖母マリアのお清めの花
イエスキリストの生誕40日目、イエスを主に捧げるため聖母マリアが神殿を訪れた2月2日を記念日として聖燭祭(キャンドルマス)というロウソクで祝福する式が行われます。この日は聖母マリアのお清めの祝日とされていて、このころ咲くスノードロップをキャンドルマス・ベルズと呼び、お清めの花として扱われる地域があります。
ロシアの童話劇「森は生きている」にも登場
まだ春も遠い冬の季節に、ある国の女王が、春の象徴であるスノードロップを差し出すことができれば、ほうびに黄金を渡すというおふれを出します。主人公の少女は、継母にスノードロップを摘んでくるように言われ、家から閉め出されてしまいます。
森の中をさまよう少女のいつも心優しい姿を気にかけていた「12の月を司る」精霊が、魔法で辺り一面を春に変えてスノードロップを咲かせ、少女を助けるという童話があります。
エデンの園を追放されたアダムとイブの悲しみを慰める花
雪の降りしきる冬。絶望して悲しみに暮れるアダムとイブを慰めるため、天使が雪をスノードロップに変えて希望を与えたことから、スノードロップの花言葉には「希望」と「慰め」の意味が込められています。スノードロップを育てる前に
スノードロップを育てる環境
基本的に水はけが良く、日当たりの良い場所を好みます。地植えの場合は、暑い季節に葉を茂らせ、寒い季節に葉を落とす落葉樹の下などがおすすめです。
植え付け時期
暑さの落ち着いてくる9〜11月の間に球根を植え付けます。スノードロップの植え付け
スノードロップは、種から育てるととても時間がかかるため、球根から育てます。スノードロップの鉢植え栽培
鉢の底に鉢底石を敷いて、水はけの良い環境を作りましょう。市販の球根用培養土もありますので、ガーデニング初心者の方におすすめです。
球根の植え付けの手順
土の表面から深さ3cmほどになるように、隣の球根との間隔は5cmほどあくようにして植え付け、水をたっぷりと与えます。スノードロップの地植え栽培
群生するように植え付けるとスノードロップの可憐な美しさが際立ちます。植え付けの深さ、隣の球根との間隔に気を配って植え付けましょう。
球根の植え付けの手順
土の表面からの深さ3cm位になるように、隣の球根との間隔は5cm以上あけて植え、水をたっぷりと与えます。スノードロップの日頃の管理
秋から春は日当たりが良く、夏の間は直射日光を避けた場所で管理します。水やりと花がら摘みに気を配りスノードロップを元気に育てましょう。
スノードロップの水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、花が終わる3月下旬ごろから徐々に水やりの頻度を下げて休眠期に備えます。鉢植えの水やり
鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷり与えることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物も時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷり与えることで、土中の水分とともに空気を入れ替え、土中の状態を良く保ちましょう。
地植えの水やり
基本的には雨水で十分補えます。スノードロップの肥料
スノードロップの肥料は鉢植え、地植え共に、植え付け時の元肥と花が終わるころのお礼肥として緩効性肥料を施します。液肥の場合は地上部の葉が枯れ始めるまで、2週間に一度の頻度で与えますが、休眠期の肥料は不要です。
スノードロップの病害虫
比較的病害虫の被害が少ない丈夫な植物です。病気
多湿な時期、特に梅雨の時期などに、灰色かび病にかかることがあります。あらかじめ病気を防ぐためにも、風通しの良い環境で育てましょう。花がら摘み
花が枯れたら根元から適宜摘み取ることで蒸れを防ぎ、灰色かび病などの病気の予防を心がけます。また、枯れた花をそのままにしておくと、種を作ろうとして株自体が消耗するので、花がらは摘み取りましょう。
球根の充実期
花がらを全て摘み取った後の葉だけの状態は、球根を充実させる時期です。
自然に葉が黄色くなって枯れるころまで、葉を育てる気持ちで管理しましょう。
スノードロップの夏越し
暑い季節を迎える6月ごろから葉を枯れはじめ、徐々に地上部の葉が枯れて休眠期に入ります。スノードロップの夏越しの方法
基本的には球根を植えたままの状態で夏を越すことができます。鉢植えの夏越しのポイント
夏の間土の中にあるとはいえ、高温になると球根が傷んでしまうので、鉢ごと日陰に移します。地植えの夏越しのポイント
耐暑性に弱いスノードロップでも、落葉樹の下などに植え付けると夏越しすることができます。落葉樹の下に植え付けられないときは、ワラなどでマルチングをして直射日光から球根を守りましょう。
夏越しの水やり
夏はスノードロップの休眠期なので、水を多く与えても生長することはありません。地植えのスノードロップは雨水で水分を補えますが、鉢植えで育てているスノードロップは、球根が乾燥し過ぎない程度の水やりを心がけましょう。気温の高い日中は水温が上がって球根を傷める原因となってしまうので、朝の涼しい時間帯に与えるようにしましょう。
スノードロップの花の楽しみ方
可憐な花を咲かせるスノードロップを長く楽しむ方法を紹介します。冬から春の寄せ植え
主張し過ぎないスノードロップの花は、数種の花を育てる寄せ植えにもぴったり。同じように適度な水分量を好む植物と組み合わせて寄せ植えを楽しみましょう。おすすめはパンジーやビオラ、クリスマスローズなどの耐寒性のある花と一緒に育てると、冬から春にかけてお庭を美しく彩ってくれます。
鉢植え栽培でスノードロップの株を増やす
親球から分球する子球を分けて植え付けることで、株の数を増やすことができます。地植え栽培でも3〜4年ほどで株が密集してくるので、休眠期に球根を掘り起こして植え替えてあげると良いでしょう。
準備するもの
球根が大きくなるまで小さめの鉢(3〜5号)で育てます。分球の時期
分球はスノードロップの休眠期に行います。スノードロップを植え付けてから3年ほどして株が密集してきたころが適期です。
スノードロップの分球での増やし方
休眠している球根を丸ごと掘り上げます。しっかりとした親球のそばに小さな子球がついていたら、それを親球から外して乾燥しないうちにすぐに用意しておいた鉢に植え付け、水をたっぷりと与えます。芽が出るまでは日陰で育てて、発芽してから3月ごろまでは日当たりの良い場所に移し、夏の間は日陰で管理します。
植え付けてから2年ほどで花を咲かせる大きさに生長します。
スノードロップを育てよう
寒い冬にも耐えられる丈夫なスノードロップは、球根を植えっぱなしでも翌冬に再び花を咲かせてくれます。年々株が大きくなって、分球して花の数が増えていくのも楽しみになります。春を告げる純白のスノードロップを皆さんもガーデニングで育ててみませんか。