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- YasuhiroOgawa
植物園に勤務していた経験を活かして、正確でわかりやすい記事を書いていきたいです。好きな花はハイビスカス。現在は、トロピカルフルーツの新しい栽培に取り組んでます!…続きを読む
パンジー・ビオラの概要とその違い
バンジーとビオラは、ヨーロッパ産の数種類の原種を交配して作られた園芸植物です。原種は現地では常緑多年草ですが、高温多湿に弱いため、一般的には1年草として扱われます。花の大きいタイプをパンジー、小さい花を付けるタイプをビオラと区別して呼んでいますが、明確な差はありません。近年はパンジーとビオラの交配種も登場し、あいまいな分け方になっています。ヨーロッパで19世紀から盛んに品種改良されるようになり、現在は日本でも多くの素晴らしい品種が生み出されています。パンジーは大輪の品種が以前は好まれましたが、最近は中~小輪の花付きの良い品種に人気があります。
基本情報
学名:Viola科名:スミレ科
属名:スミレ属
形態:1年草
生育適温:5~20℃
開花期間
10月から翌年5月までの半年ほど、花を長期間楽しむことができます。最も良い状態で花が咲くのは、おおよその目安として11月頃と3月中旬から4月初旬くらいまでです。花の色や形は?
花色は他の植物にあるような色はほぼ全てあり、複色の品種も多いです。また花の中央にブロッチと呼ばれる黒い目が入るものから単色のもの、花色が変化するものなど実に多様です。近年は、豪華な印象の八重咲や花びらの縁にフリルが入るもの、うさぎのような形の花、芳香が楽しめる花など、さまざまな品種が登場しています。
花言葉
「もの思い」「私を思って」パンジー・ビオラの置き場所は?
日当たりの良い場所が適します。日光が不足すると、株が間延びして立ち枯れなどの失敗が多くなり、花数も少なくなります。寒さに強いといっても、冷たい北風や西風が強く吹き付ける場所は避けてください。建物の南側のすぐ近く周辺は、北風が当たらず条件のいい場所です。1~2月の真冬に寒さで花が咲かなくなった時は、鉢植えやプランターは暖かい場所に移動するのが一番良いでしょう。
室内は日照、通風不足になりやすい反面、温度が高いので株が間延びしやすくなります。また花も少なくなりがちです。
パンジー・ビオラの育て方!水やりや肥料、手入れは?
水やり
水やりは鉢土の表面が乾いてから与えます。常に用土が湿った状態だと、根腐れを起こすので注意してください。また過湿気味だと根が発達せず、生育不良の原因になります。株が大きくなって花をたくさん咲かせているときは、用土がよく乾きます。水切れさせると深刻な被害になりやすく、復活しても根腐れを起こしやすくなります。
肥料
肥料はリン酸が多めの緩効性化成肥料を、秋の植え付け時と3月下旬から4月頃の2回与えてください。その間はカリ分の多い液体肥料を週に1回ほど与えます。暖地や条件の良い場所で真冬でも花をよく咲かせている場合は、1月頃にも1回緩効性化成肥料を置き肥してもいいでしょう。ただし寒さが厳しく花がほとんど咲いていない時は、肥料を与えないでください。生育が衰えているのに肥料を与えると、根が傷みます。初心者に多い失敗なので、注意してください。
ハイポネックス 微粉ハイポネックス
粉を水で薄めて使うタイプの液体肥料です。植物を丈夫にするカリ成分を多く含みます。
パンジー、ビオラの冬の時期に与える肥料として最適です。
・容量:200g
(N-P-K=6.5-6-19 )
パンジー、ビオラの冬の時期に与える肥料として最適です。
・容量:200g
(N-P-K=6.5-6-19 )
花がら摘み
種がよく出来て栄養が取られるので、花がら摘みを行ってください。花茎のつけ根付近から切るようにします。手間が掛かりますが、花を咲かせるには大切な作業です。こまめに花がら摘みをすれば、その分良い花を咲かせることでしょう。切り戻し
伸びすぎた枝は、3月中旬くらいまでに切り戻すようにしてください。春に切り戻すと、回復するまでにシーズンが終わってしまいます。枝が伸びにくいパンジーの中~大輪種は、咲かなくなってしまうので、切り戻しは行いません。葉が紫色に変色した場合
冬の厳しい寒さで、リン酸が吸収されにくくなることで起こります。根の働きが弱っているので、肥料は控えた方が安心です。化成肥料を置き肥するのは、特に避けてください。また病気ではないので、葉を取らないようにしてください。春になって温度が上昇すると、自然に回復します。パンジー・ビオラの株の入手と植え付け
長く楽しむには、始めが肝心です。良くない苗を選んでしまったり植え付けを失敗すると、その後花が少なくなり、楽しめる期間も短くなります。良い株の選び方
葉が少なく、株元がグラグラするような徒長した株は避けましょう。また秋早くから苗が出回るため、徒長気味の株も多く見られます。一見背が高くてよく見えますが、コンパクトに引き締まった株を選ぶようにしてください。入手した株はプランターや花壇に早く植え付け、冬までに根をよく張らせるようにしてください。パンジーに適した土は?
水はけと通性が良く、適度に水持ちがあり、弱酸性の用土を好みます。市販の草花用培養土には生育に適さない商品もあります。パンジー専用の培養土があるので、手軽に安心して使うことができます。自分で用土を配合する場合は、赤玉土5、ピートモス3、鹿沼土2などの例があります。花壇への植え付け
10月下旬から11月が、植え付けのおおよその適期です。寒くなるまでに根をしっかりと張らせることが重要です。特にパンジーの中~大輪種は、早め植え付けを済ませるようにしてください。植え込みが遅れると根の発達が不十分なまま冬を迎え、花数が少なくなります。また立ち枯れなどのトラブルも多くなります。腐葉土や堆肥などをよくすき込み、株元が少し埋まるくらいの深さに植え付けます。根付けば水やりはほとんど必要ないでしょう。
鉢・プランターへの植え付け
入手後、すぐにひと回り大きな鉢かプランターに植え付けてください。水やりの手間が掛かりますが、寒い時期は条件の良い場所に移動することができます。12月以降に苗を入手した場合や、大切な品種にはおすすめです。徒長した苗は?
11月頃から徒長気味のポット苗が安く販売されていることがあります。地植えにすると失敗が多いですが、鉢植えなら管理次第で十分育てられます。まず株元付近からでる新芽を残すよう、徒長した枝を切り戻してください。その後にひと回り大きな鉢に植え替えます。徒長して株元がグラグラする株は、深植えにします。本来は深植えにすると立ち枯れや徒長のリスクが高くなりますが、そのままの方が失敗する可能性が高いです。また立ち枯れのリスクを減らすには、腐葉土や堆肥などの有機物が少ない清潔な用土を使うといいでしょう。植替え後、土に埋められた部分から新たに根が出てきます。
パンジー・ビオラの寄せ植え!一緒に植える植物は?
パンジー・ビオラと同様に開花期間の長い植物と合わせるといいでしょう。例としてはプリムラ、アリッサム、ノースポール、デージー、ガーデンシクラメンなどがあります。カラーリーフの植物もお勧めです。アイビーは前面に植えて枝を垂らすようにすると、動きがでます。銀葉のシロタエギクやシルバーレースとの組み合わせもバツグンで、おしゃれな雰囲気を演出できます。
ゴールドクレストなどのコニファーやエレモフィラ、踊り葉ボタンなどの背丈のある植物と合わせると、立体感が増します。
寄せ植えにおすすめの花はこちらの記事をチェック!
パンジー・ビオラの病害虫
戸外で良く日光に当てて育てていれば、病害虫の被害は少ないです。日照不足になったり、密植して風通しが悪いと病害虫が発生しやすくなるので注意してください。ナメクジ、アブラムシ
温度が上昇してくる4月以降に発生することがあります。ナメクジは鉢の裏などにも潜んでいることがあります。見つけ次第、早めに駆除してください。コガネムシ
腐葉土などの有機物が多いと、よく発生します。根が食害されてまともに育たないので、被害は深刻です。植え付ける時に粒剤を散布すると効果的です。灰色カビ病
風通しが悪い環境で濡れた状態が続くと、カビが発生して腐ります。冬は乾きにくいので水やりは午前中に行い、株元にそっと与えるようにします。また弱った葉や花がらは、早めに除去してください。鉢植えやプランターは、雨の当たらない場所がいいでしょう。パンジー・ビオラの増やし方
種まき
種から育てることができます。小袋の種は、ホームセンターや種苗店、ネット通販などで容易に入手できます。冬までに開花させるには、8月下旬~9月中旬までに種を蒔きます。ただし風通しの良い涼しい日陰で行う必要があり、地域にもよりますが上級者向けです。発芽後は日なたで管理しますが、暑さが厳しい場合は午前中だけ日光が当たる半日陰に置いてください。本葉が4~5枚付いたら、2.5~3号ポットに鉢上げします。順調に育てば、寒くなる前に地植えして楽しむこともできます。
秋に種まきをした方が失敗は少ないですが、本格的に開花するのは翌春からです。冬の間は主に鉢植えで管理し、北風が当たらない場所に置くといいでしょう。
挿し木
徒長した枝など、長く伸びた枝は切って挿し木することができます。花が付いた枝は水に挿して切り花として楽しむことができますが、できるだけ毎日水替えして管理すれば、2~3週間ほどで根が出てきます。発根したら、2.5~3号ポットに鉢上げして下さい。年内に挿し木を行えば、来春には花を楽しむことができます。春に挿し木した場合は、やや難易度が高いですが、秋から花を楽しむことができます。バーミキュライトなどの清潔な用土に植え付け、日陰の風通しの良い涼しい場所で夏を越させるようにしてください。
【多種多様!】用途にあった品種を選ぼう!!
パンジーとビオラには、非常に多くの品種があります。生育の特徴や耐寒性、花色や花形が、品種によって様々です。今回はおすすめの品種を6つ紹介します!真冬でも花付きがいい!
花壇などでは、真冬でも花が咲くような品種ではないと、寂しい印象になってしまいます。寒さに負けずに咲き続ける品種を選ぶといいでしょう。パンジーよりはビオラの方が、一般には寒さに強く連続開花性に優れます。またパンジーでもビオラと交配した小~中輪咲きの品種は、従来のパンジーより花の多さ、株張り、連続開花性に優れます。最近は寒さに強いパンジーが各社から販売され人気があります。
主なシリーズ:ナチュレ(タキイ種苗)、わらく(ムラカミシード)
よく咲くスミレ ブルーハワイ
サカタのタネ作出のパンジーである「よく咲くスミレシリーズ」。ビオラの性質を受け継ぎ、小中輪の花が冬でもよく開花する多花性の品種です。
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×4株セット
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×4株セット
1株でも枝が横に伸びて大きく広がるもの
枝が横方向によく伸び、1株でボリューム感が出る品種があります。元来枝が伸びやすいビオラに多いですが、パンジーにも大きく広がる品種があります。スタンド鉢やハンギングに最適。地植えでは株間を大きくとるか、3月中旬から3月下旬頃に、間隔を空けて植え直すといいでしょう。主なシリーズ:ビオラ・あい(ムラカミシード)
大輪で目立つ花
大きく鮮やかな花を育てタイという方は、パンジーがおすすめ!以前は冬の定番の花として、最も広く楽しまれていた品種です。花が咲けば存在感があるので、根強い人気があります。花がら摘みが比較的楽なのも魅力です。
主なシリーズ:ピカソ(タキイ種苗)、テラノ(サカタのタネ)、きらり(ムラカミシード)
パンジー パシオ クリアイエロー
サカタのタネの大輪パンジー、パシオシリーズの使いやすい目無し黄色品種のポット苗です。パシオシリーズは大輪咲きの中でも連続開花性に優れ、高温時に徒長しにくい性質があります。
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×2鉢セット
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×2鉢セット
シックでおしゃれな印象の花を咲かせる品種
濃い紫やレンガ色、それらの複色などの落ち着いた色調の品種は、エイジング加工されたものなどおしゃれな容器に植えると引き立ちます。また花びらにフリルが入ったパンジーの品種や、原種のような素朴な趣きのあるビオラの品種などもいいでしょう。主なシリーズ:絵になるスミレ(サカタのタネ)
パンジー フリズルシズル バーガンディー
フリルの入った赤紫色の花が特徴のパンジーです。花は中輪サイズで、株によって色幅があります。
cm
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×2鉢セット
cm
・内容:3.5号ポット(10.5cm)×2鉢セット
個性的な花、美しい花が魅力のプレミアム品種
価格は普及品種より高いですが、人目を引く魅力的な品種が多いです。日本でもオリジナル品種を作る育種家や生産者により、様々な希少品種が登場しています。フリル咲きや株張りの品種にも、希少品種がよくあります。鉢植えにして目立つ場所に置けば、存在感抜群です。主なシリーズ:パンジー・ドラキュラ(ボール状の花)、虹色スミレ(サカタのタネ)
見元園芸オリジナルビオラ ときめきリリアン
ユニークな品種を作り出している見元園芸の小輪咲きビオラです。うさぎを連想させる花形に濃いピンク色の花びらが人目を引きます。発色は幅があり、低温期に色が薄くなる傾向があります。
・内容:3号ポット(9cm)
・内容:3号ポット(9cm)