目次
花色があせにくく、形も崩れにくいためドライフラワーにも最適です!
センニチコウ(千日紅)について
センニチコウはヒユ科センニチコウ属の植物です。同じ科目の中にはケイトウやコキアが含まれます。花のよう見えるに箇所は苞(ほう)といって、花を支える小さな葉の集まりです。この苞は通常の花弁よりも硬いので、触ってみるとチクチクするような感触があります。本当の花弁は、その苞の中からひっそりと顔を出しているように咲いています。
植物名 | センニチコウ |
和名・別名 | センニチコウ |
学名 (千日紅) | Gomphrena globosa |
学名 (黄花千日紅) | Gomphrena haageana Klotzsch |
英名 | Globe amaranth |
科名 | ヒユ科 |
属名 | センニチコウ属 |
原産地 | 南アジア、熱帯アメリカ |
センニチコウの品種
主に園芸品種として栽培されているのは、センニチコウと、キバナセンニチコウの2種ですが、センニチコウの新品種としてファイヤーワークスも人気です。センニチコウ(千日紅)
高さ50cmほどの高性品種と、横に広がり高さ15cm前後の矮性品種があります。苞の色が赤、ピンク、白の3種があり、冬になると枯れてしまう1年草です。
キバナセンニチコウ(黄花千日紅)
草丈が80cm位になる品種で、センニチコウよりも葉が細く、花色は黄色や橙色が中心です。キバナセンニチコウは冬になると地上部が枯れます。越冬できれば翌年も花を咲かせる多年草ですが、一般的には春まきの一年草として種子などが販売されています。
ファイヤーワークス
ファイヤーワークスはスパイシーな香りのするセンニチコウで、草丈は大きいもので約120cmにもなります。花色は濃いピンク色をしていて、咲き方は花火のように苞から花弁が弾けるように広がっています。キバナコスモスと同様に、越冬できれば翌年も花を咲かせる多年草ですが、一般的には春まきの一年草として扱われています。
また、ファイヤーワークスは種をまいて増やす以外に、挿し木でも増やせる品種です。
準備
挿し木をするための挿し床と、給水するためのカップを用意します。
ファイヤーワークスの挿し木の増やし方
1. 若くて元気の良いファイヤーワークスの茎を選び、草丈のてっぺんから10cmほどを切り取り、下から5cm位に付いている葉は取り除きます。
2. 切り口は斜めに切り、水を入れたカップに30分以上浸して水を吸わせます。
3. 用意した挿し床に割り箸などで穴を開け、そこへ先ほど水に浸した茎を差し込み、茎と土の間に隙間ができないように圧着したら挿し木の完成です。
その後の管理は、根が出るまで水切れしないように注意します。
発根して新しい芽が出てきたら挿し木は成功です!
▼挿し木のことならこちらの記事をご覧ください。
センニチコウ(千日紅)を育てる前に
センニチコウを育てる環境、種や苗について説明します。センニチコウを育てる環境
日当たりや排水性の良い環境を好みます。多湿が苦手な性質なので、比較的乾燥した場所が適しています。センニチコウの種
種からでも比較的簡単に育てることができます。種まきの時期
種まきは4~5月の間に行います。
発芽の適温は20~25℃。15℃以下、または30℃を越してしまうと発芽率が悪くなる傾向があります。
センニチコウの苗の選び方
葉の色が濃く、花芽が多いものは元気な証拠です。葉の密度が高いので、内側の葉が蒸れて病気になっていないか確認しましょう。
苗の植え付け時期
苗の植え付けは5~7月の間に行いましょう。
▼センニチコウの品種についてはこちらをご覧ください。
センニチコウ(千日紅)の鉢植え栽培
センニチコウは鉢植えでも地植えでもよく育ちます。鉢植えでの育て方から紹介します。種まき
日当たりと風通しの良い環境で育てていきましょう。センニチコウは葉がたくさん茂るので、ひとつの鉢で多くの株を育て過ぎることのないように注意します。
準備するもの
多湿が苦手なので、土質は水はけが良いものを用意します。市販の培養土を用いるか、赤玉土、腐葉土など配合して使用しましょう。
種まきの手順
一箇所に2~3粒の種をまき、5mm程度の軽い覆土をして十分に水やりを。芽が出るまでは水切れしないように注意しましょう。同じ鉢のなかで複数株育てる場合、株間は少なくとも10cmはあけましょう。苗が大きくなったときに距離が近いと、風通しが悪くなって蒸れたり、栄養を奪い合うことになります。
育苗ポットでの種まき
種まき用プラグトレイに1粒ずつ種をまき、軽く覆土します。本葉が本葉2~4枚になったら育苗ポットに移植して、本葉6枚になるころまで育て、鉢植えに植え付けます。
苗の植え付け
センニチコウの苗から育てる栽培方法を紹介します。種まきと同様に同じ鉢に複数の苗を育てる際は、少なくとも10cm以上距離はあけます。
苗の植え付けの手順
苗を植え付ける際には、根鉢を崩さずにそのまま植え付けます。根が定着するまでは水切れしないように気を付けましょう。
センニチコウ(千日紅)の地植え栽培
センニチコウは地植えで育てると鉢植えで育てる以上に株が大きくなりますので、株間をしっかり取ってあげることが大切です。種まき
鉢植えのときと同じように一箇所に2~3粒の種をまき、5mm程度軽く覆土してたっぷりと水を与えます。何箇所か植えたい場合には、鉢植えよりも間隔をあけましょう。
苗の植え付け
センニチコウの苗を植え付けるときは、根鉢を崩さずにそのまま植え付けます。何株か植えるときは、20cmは間隔をあけます。
センニチコウ苗の植え付け手順
上図のように、株元が地表と同じ高さ、もしくは少しだけ浅く植え付けます。苗と土の間に隙間ができないように、なおかつ締め固め過ぎないように、苗の周りを押さえて、苗が倒れないようにします。
植え付けたら水をたっぷりと与え、根が張るまでは水切れしないように気を付けましょう。
センニチコウ(千日紅)の日頃の管理
発芽したセンニチコウの苗が本葉6枚ほどになったころ、植え付けた苗の根が土に活着したあとのお手入れ方法を紹介します。センニチコウの水やり
乾燥気味な状態を好むので、多湿には気をつけます。鉢植えの水やり
土が乾いたら、鉢底から水が流れてくるくらいたっぷりと水をあげます。夏場の水やりは涼しい時間帯の朝か夕方に行いますが、夕方とはいえ昼間の熱気が残っている場合は根傷みに注意します。
鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷり与えることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物も時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷり与えることで、土中の水分とともに空気を入れ替え、土中の状態を良く保ちましょう。
地植えの水やり
土壌は比較的乾燥状態を好むので、雨に任せた水やりでも十分生育できます。しかし、真夏の高温時期に雨が降らず乾燥が続く天候の際は水やりが必要になります。夏場の水やりは涼しい時間帯の朝か夕方に行いましょう。
センニチコウの肥料
センニチコウは、窒素よりもリン酸とカリを要求する性質があり、窒素が多過ぎると葉や茎ばかり茂ります。鉢植えの肥料
植え付けのときに元肥として緩効性の肥料を施します。その後は固形肥料を1カ月、もしくは2カ月に一度のペースで。あまり与え過ぎるとかえって花付きが悪くなるので注意しましょう。
液体肥料の場合は、ラベルの表記に従って施してください。
地植えの肥料
地植えも鉢植え同様、肥料の与え過ぎに注意します。元肥を施した後は、草勢が落ちているようなら追肥をするぐらいでもOK。
センニチコウの病害虫
日当たりや風通しが悪い多湿な環境で病害虫が発生しやすくなります。病気
センニチコウは病気になりにくい比較的丈夫な植物です。しかし、多湿環境下ではさび病などの病気にかかりやすくなります。株が大きく育つとぐらついて株元が傷み、そこから立枯病になってしまうこともあるので、剪定をして一回り株を小さくするか、支柱を立てて苗が倒れないように支えてあげましょう。
▼センニチコウがかかりやすい病気のことならこちらをご覧ください。
害虫
高温乾燥期が続くと、葉の裏にハダニがつきやすくなります。水やりのときに、葉の裏にも散水をしてあげるとハダニの防除に効果的です。梅雨時期にはナメクジが葉を食べてしまうこともあるので、見つけたら割り箸などで取り除きましょう。
▼センニチコウにつきやすい害虫のことならこちらをご覧ください。
花がら摘み
センニチコウの花はとても長い間開花が持続しますが、茶色く変色して間延びするように形が崩れてきたら枯れてきた証拠です。枯れてきた花は、新芽が出ている花の付け根から切り取りましょう。
そのままにしてしまうと種をつくるために力を使い、株全体の力が弱まってしまうことに。枯れた花を摘み取ることは、病気を防ぐことにも繋がります。
支柱たて
草丈が大きく生長してぐらつくようになると、株が傷んで病気の原因になってしまいます。図のように支柱を立てて8の字に麻ひもなどで結ぶと安定し、株の傷みを防ぐことができ、株全体の容姿も整えます。センニチコウ(千日紅)の剪定
生育が旺盛になってきたら、適度に剪定管理をしましょう。剪定の注意事項
センニチコウの剪定は、必ず新芽を残すことがポイントです。
1. 草姿を整える切り戻し
生育が旺盛になってきたら切り戻しを行いましょう。必ず新芽を残して、その先に伸びている茎を切ります。開花期が長いので、切り戻しをすることによって乱れがちな草姿を整えましょう。
2. 病害虫を防ぐ剪定
わき芽が生長し、葉や茎が混み合って蒸れが気になるような場合は、内側の茎を少し減らすように剪定します。あまり大胆にたくさんの茎を切り詰めてしまうと枯れてしまうことがあるので、剪定に自信のない方は切り過ぎないように少しずつ剪定してみましょう。
センニチコウ(千日紅)の花の楽しみ方
センニチコウの特徴は花が色あせにくいこと!この特徴を活かしたセンニチコウの楽しみ方を紹介します。切り花
わき芽を次々と伸ばし花を付けるので、花を摘み取り切り花として楽しみましょう。▼切り花を長く楽しむことならこちらをご覧ください。
寄せ植え
草丈の高くなるセンニチコウのほかに、矮性で草丈の低い品種もあるので、高低をきかせた寄せ植えもおすすめです。センニチコウと似た性質の乾燥気味の土壌を好む植物と合わせるとお手入れが簡単です。
ドライフラワー
センニチコウの花はドライフラワーに最適!花色が長く持つので、ドライフラワーにした後も赤やピンクの色が持続します。切り戻したときの花をまとめてスワッグも作れちゃいます。
しっかり乾燥させれば、ハーバリウムにも使えます。
▼お部屋でドライフラワーを楽しむならこちらをご覧ください。
▼ハーバリウムのことならこちらをご覧ください。
次の年もセンニチコウを楽しむ
枯れてきた花をそのままにしておくと種をつくりますので、採種して翌年も種まきすることができます。ただ、植物は種を作るときに力を使うので、花が終わりかけのころに種を実らせるのがおすすめです。
種の管理方法
採種した種はしっかり乾燥させます。保管する容器は紙または木箱などに入れ、温度変化の少ない冷暗所(冷蔵庫など)で保管しましょう。種の処理
市販の種はあらかじめ毛が除かれているクリーンシードがほとんどですが、自分で採種したセンニチコウの種には毛がついています。採種した種のまき方
発芽しやすいように、水に湿らせた清潔な川砂でセンニチコウの種を軽くもんでから、川砂ごと種をまきます。
センニチコウ(千日紅)を育てよう
比較的病気や虫に強く、真夏の高温期にも元気に生育するセンニチコウは、たくさん花芽を付けるので切り花や花束の材料にも大活躍してくれます。ドライフラワーにしても色があせにくく、しっかり乾燥させてハーバリウムの材料としても使用できます。
ガーデニング初心者にもセンニチコウはおすすめ。多彩な楽しみ方があるセンニチコウを皆さんもぜひ育ててみてください!