管理が簡単で実付き良し!柿の栽培方法|甘柿・渋柿の品種の違いも

昔から定番の家庭果樹として愛されてきた柿。毎年安定して収穫でき、管理も簡単です!肥料や剪定のコツ、かかりやすい病気、収穫前に果実が落ちてしまう原因など、柿の栽培方法を紹介します。知っているようで知らない甘柿、渋柿の違いについても解説。


芝生と落ち葉の上に収穫した柿を乗せる

出典:写真AC
オレンジ色の柿がなっている景色を見ると、秋らしい風情を感じますよね。柿は昔から愛されてきた定番の家庭果樹で、手軽に栽培でき、管理も簡単です。植え付けや日当たりなどのコツをおさえて、おいしい実をたくさん収穫しましょう!

柿は庭の果樹の定番

複数の柿の木にきれいなオレンジの柿が実っている
出典:写真AC
「桃栗三年柿八年」というように、柿は植え付けてから結実するまでに数年かかりますが、木が大きくなってしまえば、簡単な手入れだけで安定した栽培ができる果樹です。日本の気候によく合っており、縄文時代や弥生時代の遺跡からも柿の種が見つかっています。日本の「国果」でもあるんですよ。
耐寒性があるので、沖縄や北海道など一部の地域を除く全国で栽培でき、大ぶりの実を簡単に収穫できるため昔から人気があります。

柿を植える前に知っておきたいポイント

たくさん収穫したいなら2本以上育てよう

柿は受粉しなくても果実がなるので、1株だけでも育てられますが、受粉用の樹と一緒に植えたほうが実付きは良くなります。庭に広めのスペースがある、たくさん収穫したいという場合は2本以上、庭先で手軽に楽しみたいという場合は、1本でも問題ありません。

受粉用や種なしの品種

カットした種なしの柿
出典:PAKUTASO
受粉用の木としては、有名な「禅寺丸(ぜんじまる)」や「筆柿(ふでがき)」「西村早生(にしむらわせ)」などの品種があります。
また、「刀根早生(とねわせ)」や「平核無(ひらたねなし)」など、食べやすい種なしの品種も。ただし、種なしの柿はほとんどが渋柿なので、次の項目で紹介している甘柿と比較しながら、どちらを育てるか決めましょう。

渋柿と甘柿の違いと品種|栽培に向いている地域は?

種無しの柿をカットして、漆の器の上に盛り付けてある
出典:写真AC
柿にはそのまま食べられる「甘柿」と、タンニンという成分によって渋みを感じる「渋柿」があります。甘柿と渋柿は味だけでなく、栽培できる気温にも違いがあるので、自分の地域がどちらの柿を栽培しやすい地域なのか確認しておきましょう!

甘柿の特徴|気温に注意!

熟れた柿を柿の木から取る手
出典:写真AC
樹の上で甘くなり、渋抜きをせずに食べることができる甘柿。ただし、栽培地域の気温に注意が必要です。
柿は夏の気温が高い地域ほど、渋みがよく抜けて甘くなります。おいしい甘柿が収穫できるのは、7月の平均気温が25℃以上の地域だといわれています。これより寒い東北地方や標高の高い地域では、甘柿を植えたはずが食べたら渋い、なんて場合も。甘い柿を育てたい!と思ったら、住んでいる地域の夏の気温を確認してみましょう。
さらに、甘柿は「完全甘柿」と「不完全甘柿」に分けられます。

完全甘柿

渋みがほとんどなく、甘い柿です。
主な品種:太秋(たいしゅう)、御所(ごしょ)、富有(ふゆう)、次郎

不完全甘柿

1本の木に、甘い果実ができたり渋い果実ができたりする品種。種の数が多い果実ほど甘くなり、少ない果実ほど渋くなりやすいです。
主な品種:西村早生、筆柿、禅寺丸、栃原柿(とちはらがき)

渋柿の特徴|寒い地域におすすめ

木の家の軒下に干し柿がたくさん吊るされている
出典:写真AC
渋柿は主に寒い地域で育てられる柿で、収穫したときは渋い味ですが、渋抜きをすると甘くなります。なみに甘柿は、渋柿の突然変種。渋柿も甘柿と同じように、完全と不完全の2種類に分けられます。

完全渋柿

実全体が渋い柿です。果肉がやわらかい熟柿(じゅくし)になるまで待つと、甘くなります。
主な品種:西条(さいじょう)、愛宕(あたご)、市田(いちだ)、三社(さんじゃ)、会津身不知(あいづみしらず)

不完全渋柿

全体的に渋いですが、種のまわりだけ渋みが抜けます。
主な品種:刀根早生、平核無(ひらたねなし)、甲州百目(こうしゅうひゃくめ)

渋柿をおいしく食べる方法|アルコール脱渋や干し柿など

渋抜きの方法はいろいろ。柿のへたにお酒をつけて袋に入れ、数日待つ方法(アルコール脱渋)や、炭酸ガスの中で密閉する方法などです。実際は渋みを抜いているのではなく、渋みの原因であるタンニンをアセトアルデヒドという物質と結合させることで、食べても渋味を感じないようにしています。品種によって、より効果的な方法は異なりますが、軒先に吊り下げて干し柿にするのも有名ですね。

より早く渋が抜ける!渋抜き専用アルコール

ITEM
宝酒造 柿のしぶぬき職人
渋が抜けやすいように一般的な焼酎よりアルコール度を高めた、柿の渋抜き専用アルコール。通常1週間程度かかるところを、5日程度漬けておくだけで、渋みを感じない甘い柿を生食できると好評です!

・アルコール度:47度
・内容量:600ml

市販の焼酎に比べ、断然ぬける。市販でぬく場合、渋が少し気になる場合があるが、こちらは、問題なし。


柿を栽培する!育て方のコツ



丸々と実った柿の実が、葉と枝の間でオレンジに光っている
出典:写真AC

栽培カレンダー

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
植え付け
肥料
剪定
摘蕾
収穫

植え付け

直径、深さともに約50cmの植え穴を掘り、有機肥料、堆肥、苦土石灰を混ぜて半分ほど埋め戻します。苗の根を広げて穴の中心に配置し、残りの土も埋め戻しましょう。苗が倒れないように支柱を1本立て、最後にたっぷりと水やりします。
鉢植えの場合は、赤玉土小粒7~8:腐葉土3~2の割合で混ぜた土がおすすめです。

おすすめの苗「富有(ふゆう)」

ITEM
富有柿 苗
渋抜きの必要なし!完全甘柿の人気品種です。果実のサイズは240gほど。果汁が多くて高糖度、しかも実がたくさんなると優秀!

・内容:1年生接ぎ木苗
・苗の高さ:0.65m前後

日当たり・水やり

太陽と葉
出典:写真AC
日当たりのいい場所を好みます。鉢植えの場合、土の表面が白く乾いてきたらたっぷりと水やりしましょう。地面に直接植え付けた場合は、夏の乾燥が続くときに水やりします。

肥料

チッ素・リン酸・カリがバランスよく配合されている有機肥料を、7月上旬と9月上旬に与えます。特に注意したいのは7月の肥料です。夏の間に肥料が不足したり、逆に多過ぎたりすると、次の年に実がつかない「隔年結果」を招いてしまいます。

剪定

12~1月ごろに剪定を行いましょう。柿の実は、その年に伸びた新しい枝の先端に付きます。そのため、枝すべての先端を短く切りそろえるような剪定はNG。混み合った部分の枝や、ほかの枝をさえぎるように伸びている枝、元気がない枝を根元からカットし、木全体にまんべんなく光が行き渡るようにするのがポイントです。

剪定について基本的なことから知りたい人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。

病気

柿は落葉病や炭そ病に注意が必要です。落葉病とは、葉に黒い斑点ができて、その名の通り葉っぱが落ちてしまう病気のこと。炭そ病は、果実や枝に黒い斑点が広がる病気です。


害虫

カキノヘタムシガ(ヘタムシ)、カメムシなどの害虫が果実を食害します。食害を受けると収穫前に落果してしまうので、6月ごろに薬剤を散布しておくといいでしょう。

摘蕾

柿のつぼみ 柿は一度にたくさん実を付けると、翌年実を付けなくなる隔年結果が起きやすくなります。5月に蕾を摘み取りましょう。10cm以下の新梢に対して蕾が0個、10~20cmなら1個、20cm以上の場合は2個程度に減らします。

収穫

ザルに収穫した柿を乗せる
出典:PAKUTASO
10~11月は柿の収穫シーズン!甘柿は、果実全体がオレンジ色になったら収穫しましょう。渋柿は、渋抜きの時に果頂部が軟化しやすくなるので、ヘタのまわりに少し緑色が残っているうちから早めに収穫します。 また、収穫しないで果実をほったらかしにしていると木の養分が奪われてしまうので、実がなったら必ず収穫するようにしましょう。

収穫前に実が落ちてしまうときは?

青空の元、木の上で熟れたたくさんの柿
出典:PAKUTASO
収穫前の柿が地面に落ちてしまう、というトラブルは多く起こります。受粉がうまくいかなかった実や、数が多過ぎる実を自然に落とす「生理落果」が原因かもしれません。受粉用の木を一緒に植えると落果しにくくなりますよ。

ほかには、カキノヘタムシガなどの害虫による食害が考えられます。カラスなどの鳥に実をつつかれて落果することも多いですが、これは食べられた跡ができるため、見ればすぐにわかります。鳥害が心配なときは、少し早めに収穫し、常温で追熟するといいでしょう。

柿のある秋らしい庭に!苗の購入時は品種を確認

ザルの上二、葉と枝が付いた採れたての柿が3つ
出典:PIXTA
秋には日本らしい風景を楽しめ、たくさんの実も味わえる柿の木。同じ甘柿の中でも、完全甘柿、不完全甘柿といった違いがあるので、苗を選ぶときはよく確認してくださいね。栽培は楽ですが、カラスや害虫の被害に気をつけましょう!

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宝酒造 柿のしぶぬき職人

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MitsuyaNao
MitsuyaNao

埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。

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