アーティチョーク生産の第一人者タケイファームとは?

【連載】タケイファームから学ぶ時短と収益UPを目指すヒント|第1回はアーティチョーク生産の第一人者タケイファームとは?
一人で年間140種類以上の野菜を育て、1日たった6時間の作業でしっかり収益を上げているタケイファームを紹介します。


タケイファーム、武井さん

写真提供:タケイファーム
AGRI PICKでは、新規就農者をはじめ農業に関わる全ての方がしっかり収益を上げることができる農業を目指すヒントとなる情報を公開中!
一人で年間140種類以上の野菜を育て、1日たった6時間の作業でしっかり収益を上げているタケイファーム代表 武井敏信さんを紹介します。

タケイファーム代表 武井さんのプロフィール

■名前:武井 敏信(たけい としのぶ)
■職業:タケイファーム代表
■出身:千葉県松戸市
■農業経営歴:18年
■農業形態:露地栽培
■年間栽培品目:140種類以上

農業の奥深さに惚れこみ、独自の農業スタイルを貫いているタケイファーム代表 武井敏信さん。
10年以上の会社勤めを経験後、実家の農業を継ぐことになった武井さんがタケイファームを始めて今年で18年目。これまで350種類を超える野菜を育て、年間栽培する野菜は140種類以上。

「実は子どもの頃、農業という職業に就きたくなかったんですよね。」
そんな本音を話してくれた武井さんのモチベーションは、農業の地位を上げること。日本における農業全体の向上を願って活動している武井さんです。

1日の作業時間は6時間!残りの時間は食のマーケティングに活用

武井さんが家を出る時間は朝の8時。作業は14時ごろには終わります。武井さんの作業時間はとても短い!
何せ収穫に始まって出荷作業まで費やす時間が、1日たったの6時間ですから驚愕の時短です。

時間をかけようと思えばいつまでもできる奥の深い農業ですが、「職業」として捉えたときに「労働時間」と「収益」のバランスが取れていなければ、一経営者として成功したとはいえません。
作物の育て方や収穫、梱包作業にいたるまで効率を上げることがいかに大切か、武井さんの作業時間から納得させられます。

残りの時間はレストランで食のマーケット研究に当てたり、仕事の打ち合わせに使ったりして新たな農業のアイディアや企画を考えることに費やしています。
どうしてそんなに時短が可能になるのか?気になる時短のヒントについては、また別の記事にて紹介します。

出荷の95%がレストラン!スペシャリテを持つ強み

アーティチョーク
写真提供:タケイファーム
スペシャリテとはレストランを代表する看板メニューのことで、シェフの自慢の一品ですが、ここでいうスペシャリテとはファームを代表する作物のことです。
レストラン卸95%を実現することにもつながった、タケイファームのスペシャリテ第1号は「アーティチョーク」でした。

スペシャリテ第1号「アーティチョーク」

アーティチョーク
写真提供:タケイファーム
タケイファームの代名詞ともいえるアーティチョーク栽培は、日本最大級の株数を誇ります。
こんなに多くのアーティチョークを見たことがありません!
野性味あふれる葉が魅力的なアーティチョークが、畑一面に広がっていました。
先ほども触れた通り、一番就きたくなかった農業という仕事を始めた武井さんでしたが、農業のいずれかの分野でナンバーワンを取りたいという思いを抱いていました。
その最初のナンバーワンがアーティチョークだったのです。

シェフが欲しがる品目になると確信

武井さんにとってアーティチョークは当初、栽培する100を超える品目のうちの1つでしかありませんでした。
イタリア産のアーティチョークの種を購入し、まず100株の苗を作り、その中からランダムに20株育ててみた武井さんは、同じ種のなかから7種類のアーティチョークが育つという経験をしました。同じ種でも性質の異なる種類が出てきたことにとてもびっくりしたそうですが、これなら国産アーティチョークの仕入れに悩むフレンチやイタリアンのシェフの要望にこたえることができ、タケイファームのスペシャリテにもなると確信したそうです。

数種類のアーティチョークの品種を安定供給

もくろみが当たり、今ではレストランが売り上げの95%を占めるまでに。
タケイファームではアーティチョークの品質、味はもちろんのこと、それぞれのシェフが求めるアーティチョークに対応するため数種類の品種を栽培しています。

一流レストランに対応したアーティチョークの品質

レストラン卸で何よりも大切なことは品質です。野菜の味はもちろんのこと、大きさや形が統一されていなければなりません。
タケイファームでは野菜の大きさや形を揃える徹底した収穫基準を設けています。

季節ごとのスペシャリテを持つ強み

タケイファームのスペシャリテはアーティチョークだけではありません。
さまざまな品種を育てたなかで実感した最高においしいナスや、スパイスの専門家が認める品質のサフランなど、長年シェフから信頼される季節ごとのスペシャリテを多く持っていることから、取引を続けたいと思わせる生産者としてシェフと対等な間柄を続けています。

作業時間の短縮と収益UPを実現したレストランへの出荷

アーティチョーク、出荷
出典:写真AC
タケイファームの特徴は、何といっても出荷先です。武井さんが育てた野菜は都内のレストラン(40店舗)を中心に出荷されています。

レストランには高く売れる

レストラン
出典:Pixabay
一般的には流通していないオリジナリティーのある種類や品種(スペシャリテ)、レストランに合った独特のサイズ感など、レストランの付加価値を上げる野菜には良い値段が付きます。

売り上げ効率が3倍に!

販売先をレストランに決めたことで作業が明確になり、1時間の作業で1万円分稼いでいたのが、今は1時間で3倍の3万円を稼げるようになりました。新たに機械などを導入することなく、作業時間が短縮できる結果につながりました。

レストラン卸は新規就農者でもできるはず

具体的にどんな方法でレストラン卸の道を開拓すればいいのでしょうか?
シェフとのお付き合いって、なんだか難しそうですね。
「レストラン卸のハードルは思っているほど高くない」
そう武井さんは話します。新規就農者の方でも開拓できるハードルの高さであると断言しています。

でも、営業はしない!?

驚くべきことに、武井さんは営業を全くしていません。今まで取引のあったレストランは、シェフとの対等な付き合いの中で収益を上げてきた結果です。
なぜ営業せずにレストラン卸が可能になったのか、なぜレストランのシェフにタケイファームの野菜が選ばれ続けるのかについても別の記事で詳しく紹介します。
▼レストラン卸についてはこちらをご覧ください。

ベジタブルエバンジェリストとして情報発信も

タケイファーム、武井さん
撮影:AGRI PICK編集部
武井さんの活動は農業だけにとどまりません。イベントやワークショップなど多くのメディアで、ベジタブルエバンジェリストとして野菜の魅力を発信しています。
これも農業の地位を上げるために欠かせない活動の一環として、日々活動しています。
※エバンジェリスト(evangelist)は、もともとキリスト教の伝道者という意味。近年ITベンダーで自社の技術を正しく伝道する専門職として使用されている。

ベジ会

2カ月に1度タケイファームが野菜を届けているレストランで、シェフが作る少し特別な料理をいただく異業種懇親会「ベジ会」を開催して、野菜の新たな魅力に気付く機会を設けています。
会費は1万円前後と高めですが、一度ベジ会が行われたレストランでは二度と行わず、しかもその日だけの限定メニューが食べられるとあって毎回大盛況だそうです。

講師としての活動

農家の方や子どもたち、農業経営の観点から異業種の方へも講師として、全国のさまざまな場所で活動を行っています。
子どもたちへの講義では、「農業」という職業の魅力を知ってもらうことで、そのなかから農家やシェフになりたいと思ってくれる子が出てくるかもしれない、そんな明日の農業に託す想いをもって講師の活動をしています。

イベント

農業のイベントといえば、昔からおなじみの1,000円前後で体験できる「いも掘り」がすぐ頭に浮かびますが、武井さんの行うイベントは価格設定が違います。
どんなイベントなのかというと…
▼1年に限定2日間タケイファームのスペシャリテ「アーティチョーク収穫イベント」
会費は8,500円!募集人数は60人!!
▼マルシェのメンバーと開催した収穫体験イベント(現在開催されていません)
会費は1万円!集めた人数は90人!!
お値段は高めですが、応募の枠はすぐ埋まってしまう人気ぶり。
魅力的な儲かる農業のイベントを行う企画力については別の記事にて紹介します。

貝印株式会社とのコラボ商品も!

野菜を通じてさまざまな活動を行なってきた武井さんは、刃物メーカーとして100年の歴史を持つ貝印株式会社と共同で収穫バサミを開発しました。
なんとこの開発のきっかけはベジ会がもたらしたご縁なんだとか。
野菜のおいしさを最大限に引き出したいと考える武井さんとメーカーの商品開発への想いがコラボした収穫バサミです。素晴らしい商品には物語が詰まっているものなんですね。
ITEM
貝印(KAI)収穫ハサミ 野菜用
アーティチョークや、ハーブ類、トマト、収穫後の仕上げの作業、人参の菜切り、ネギの根切り等の細かい作業に。
刃は交換式ですので、いつまでも新品の切れ味で作業ができます。

・材質:(刃)ステンレス刃物鋼、(ハンドル)ポリプロピレン
・製品サイズ:225×22×53mm(長さ×高さ×幅)
・製品重量:104g

某農業雑誌で目に入り気になったので購入。まず評価すべきは使い勝手の良さです。今まではホームセンターで買った1000円程度のものを使っていましたが、このハサミはとても軽く、女性や力の弱い方でも楽に使えると思います。


タケイファームから学ぶもの

タケイファーム
写真提供:タケイファーム
出荷する野菜の95%をレストランに卸し、シェフに信頼され続けるタケイファームも最初から全てが順風満帆だったわけではありません。
昼は農業、夜はアルバイトとダブルワークを5年間経験した武井さんが、現在のような農業のスタイルになった経緯は、また別の記事で紹介します。
今後も武井さんの築いた農業のカタチから、栽培方法や出荷のヒントになるような情報をお届けします。ぜひお楽しみに!
「タケイファームから学ぶ時短と収益UPを目指すヒント」続きはこちらから。
 

イベント「都市型農業の成功者に聞く!営業しないレストラン取引の極意」のご案内
来月の連載終了を記念して、武井さんからリアルに時短と収益UPを目指すヒント、そしてレストラン卸の極意を学べる催しを開催します。
11月22日(金)、会場は青山のフレンチレストラン。武井さんのトークと食事会がセットになったイベントです。シェフからも、レストランが求める野菜や付き合い続けたい農家の姿を語っていただきます。
食事会では、ご自身が作った農産物を一流シェフが料理にし、提供するという試みも。レストランとの新たな取引が始まるチャンス!
詳細はこちら:https://www.facebook.com/events/876706069389719/
お申し込みはこちらから:https://takeifarm-agripick.peatix.com

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sana

農業研究センターで6年間、大豆と稲の研究作物の栽培及び実験助手業務に従事。その後、屋上ガーデン・屋上菜園などの管理業務、エディブルフラワー事務局を経て、植物ライターに。植物・園芸サイトやフリーペーパーなどで活動。AGRI PICKでは新規就農者のための野菜の栽培方法や農業経営者の取材を執筆中。