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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
雨量計の活用方法
雨量計の多くは防災気象情報を得るために活用されますが、使い道は多岐にわたります。1. 防災ツールに
河川の増水や土砂災害への警戒に。2. 農業に
散布した農薬の効力がどれくらい残っているかは降雨量で決まるため、雨が少なければ効力はもつし、雨が多ければ効力は切れます。雨量計があれば散布後の降雨量が分かるので、防除の予測が付けられます。3. 家庭菜園に
畑や庭の降雨量を把握することで、水やりの量を調整するなどして、根くずれや根腐れの防止に。家庭菜園や農業に役立つ計測器!
雨量計とは?原理や仕組みを種類別に解説
雨量計には「貯水型雨量計」と「転倒ます型雨量計」の2種類があります。貯水型雨量計
貯水型雨量計の原理・仕組みはとてもシンプルです。貯水型の場合、降った雨は受水器で受け取られ、「雨量ます」とよばれるメスシリンダーのような容器に集められます。雨量の読み取り方は2通りあり、雨量ますに貯まった水量を目視で計測する「指示タイプ」と、水量によってゼンマイの動力を働かせて自動的にペンで記録する「自記タイプ」に分かれます。メリット
- 電気系統がないので、停電や断線などを気にする必要がない。
- 貯水タンクの水量を直接測るので精度が高い。
デメリット
- 遠隔観測やコンピュータへの自動入力には変換装置の追加が必要。
- 水量が雨量ますを超えると計測不能になる。
- 長期にわたる観測では雨量ますに入った雨水が蒸発する。
転倒ます型雨量計
転倒ます型雨量計では、雨量計の中に2個のます(=容器)がシーソーのように取り付けられています。この2個のますが鹿威し(ししおどし)のように動いて雨量を計測するのが転倒ます型雨量計の特徴です。ますには片方ずつ水が貯まるようになっており、片方のますに流れ込んだ雨量が0.5mmになると、重みでますが転倒して水が排出されます。このとき、水を貯めるますが入れ替わるとともに、ますに取り付けられた磁石の働きによってスイッチが作動し、パルス信号を出力します。パルス信号の出力数はますの転倒数に一致し、1回の出力は1回の転倒なので0.5mmの降水量、2回の出力なら1mmの降水量、というように、計測されたパルス信号数を降水量に換算する仕組みです。1mmごとに計測するタイプもあります。メリット
- 電気信号を記録するため、遠隔観測やコンピュータへの自動入力が容易。
- 装置が比較的小型かつ単純で扱いやすい。
デメリット
- 0.5mm(または1mm)ごとに計測されるので、微小な変化が記録できない。
- 電気系統があるので、停電や断線などに注意する必要がある。
- 転倒ますが正確に(0.5mmあるいは1mmごとに)動かないと精度が落ちる。
- 計測器や警報機など、別途機器の追加が必要。
雨量計の価格
雨量計の価格は、一般家庭で使えるような簡易型であれば10,000円以下のものが多いですが、行政機関や研究所などで使う検定つきの雨量計であれば、10万~20万円程度(本体価格)かかります。セットの計数機を追加すると考えると、プラスで10万~20万円程見込んだ方が良いでしょう。おすすめの雨量計8選
雨量計の原理や仕組み、種類などについて解説してきました。実際に購入しようと思うと、たくさんの雨量計があるためどれを選べばいいのか迷う方も多いかもしれません。雨量計選びのご参考に、おすすめの雨量計8選をご紹介します。1. 低価格で高い実用性の簡易雨量計
内マスと外マスの二重構造で、短期と長期2種類の雨量測定が可能です。設置場所を選ばないコンパクトサイズながら、400mmまでの雨量に対応します。1~3カ月といった長期スパンの観測もできるので、夏休みの自由研究にもおすすめ。別売の取り付けアームを使えば、場所を選ばずにどこにでも簡単に取り付け・取り外しができます。リーズナブルな価格も魅力です。2. バケツとしても使える簡易雨量計
バケツとして普段使いもできる一石二鳥の簡易雨量計です。内側に貼ってある目盛りと付属の浮きを使って、簡易的に雨量を測定することができます。置いておくだけなので設置も簡単です。風で飛ばされないようにバケツの底にはコンクリートが付いていますが、猛烈な風の際はブロックなどで囲っておくことをおすすめします。3. シンプルな簡易雨量計 学習用にも
降雨量を見たまま観測できる簡易雨量計です。簡易的なものではありますが、10mmから180mmまで1mm間隔で雨量の測定が可能です。シンプルな設計で直感的に雨量の感覚が身につきやすく、理科の学習用にも適しています。測定開始日時分、経過時間、雨量は鉛筆を使って本体に直接書き込むことができます。4. スマホ連携でデータをワイヤレス送信
フランスの気象観測機器メーカー、ネタトモ(Neatatmo)の雨量計です。ネタトモが販売するウェザーステーションの追加モジュールとして販売されており、単体では使用できませんのでご注意ください。雨量を継続的に測定し、データをワイヤレスでスマートフォンなどに送信することが可能です。電源不要、小型軽量で場所を選ばず設置できます。5. 老舗メーカーの転倒ます型雨量計
雨量計メーカーの老舗、佐藤計量器の転倒ます型雨量計です。別売の雨量警報器、または自記電接計数器と接続して雨量を測定します。単体では使用できないので注意してください。設置工事が必要で、個人というよりは業務用に適しています。気象測器検定を行っている一般財団法人気象業務支援センターの検定付きです。6. 配線設置済みですぐに使える 雨量計とデータロガーのセット
転倒ます型の雨量計とデータロガーのセットです。配線設置済みなので、簡単な設定を行えばすぐに使用することができます。データロガーは防水仕様、電池駆動で場所を選ばず、多様な環境下で計測することが可能です。記録したデータはパソコンに転送してグラフ表示など解析、分析を行うことができます。7. ヒーター付きの雨量計 無線式データロガーセット
転倒ます型の雨量計と無線式データロガーのセット。雨量計にはヒーターが取り付けられており、寒冷地での使用にも適しています。データロガーは無線式で、信号を記録する子機と記録データを無線で収集する親機で構成されています。付属のソフトを使って、記録データの収集や転送、モニタリング等を行うことが可能です。8. 軽量コンパクトタイプ 個人使用にも
受水口径を大型雨量計の半分にし、小型軽量化したます型雨量計と無線式データロガーのセットです。小型軽量化していますが、精度は大型の雨量計と変わりません。コンパクトなので容易に設置でき、工事現場やホームセンターなどで活躍しています。付属のソフトを使って、記録データの収集や転送、モニタリング等を行います。ペットボトルで自作!雨量計の作り方
雨量計は空のペットボトルか牛乳パックを使って簡単に自作できるって、皆さん知っていましたか?材料があればほんの数時間で手作りができるので、お子さんの自由研究の題材としてもおすすめ!ペットボトルで作る雨量計
用意するもの
- 1.5Lの空ペットボトル
- 500mlの空ペットボトル
- カッターナイフ
- 接着剤
- 1.5Lのペットボトルが乗るくらいの大きさの板
- 雨量測定用の目盛り(※目盛りは、下記・神戸地方気象台ホームページでダウンロードできます)
作り方
- 1.5Lのペットボトルを上(注ぎ口)から20cmくらいの位置で切る。
- 1のペットボトルを、今度は底から2~3cmの位置で切る。
- 上下を切り離し、筒状になった1.5Lのペットボトルを接着剤で板に固定する。
- 500mlのペットボトルを上(注ぎ口)から15cmくらいの位置で切り離し、本体と注ぎ口の2つのパーツに分ける。
- Step4のペットボトル(500ml)に、目盛りを貼り付ける。
- 板に固定したペットボトル(1.5L)の中に、Step5のペットボトル(500ml)を入れる。注ぎ口は逆さまにしてペットボトル(500ml)の上に乗せ、接着剤で固定。
- 以上で完成!雨量計を固定した板は、風で飛ばされないようにレンガなど重しを乗せておきましょう。
1Lの牛乳パック2箱で自作できる雨量計
まずは、1Lの牛乳パックを2個用意。指定のサイズに切ったら、定規を使って油性のボールペンでメモリを入れます。雨の日に外に置き、雨量の計測をしてみましょう。雨量計の作り方も!自由研究の題材をもっと知りたい方は本がおすすめ
雨量計の設置場所は?
雨量計を設置する場所もとても大切です。適切な場所に設置しなければ、正しく降水量を測定することができません。雨量計はどのような場所に設置すればいいのでしょうか。雨量計を設置する際に避けるべき場所や気を付けておくことなどをまとめました。雨量計の設置には、以下のポイントを抑えておくと良いでしょう。- 浸水しそうな場所、水しぶきがかかる場所は避ける。(道路からの水はねや、海からの波がかかる場所など)
- 風が吹き上げる所や、吹きだまる場所は避ける。
- 森や樹木からはできるだけ離して設置する。
- 高い建物の屋上では中心部に設置する。
- 設置場所がコンクリート等で舗装してある場合、設置面から跳ね返った雨が入らないように、約1m四方位に人工芝などを敷くと良い。
降水量の計算方法
降水量(mm)は、雨以外にもひょうやあられ、雪などもすべて含めたものの体積を水換算して、単位面積で割った値です。日常における降水量は1時間あたりの数字で表されます。計算式は、
降水量(mm)=貯まった雨の体積(ミリ立方メートル)÷容器の表面積(ミリ立方メートル)
となります。例えば、降水量1mmはどれくらいの雨量かというと、1m×1mの箱に1時間に深さ1.0~1.9mmの水が貯まる量をいいます。気象庁の「雨量計検定」とは?
天気予報や災害対策のために使われる雨量計は、間違った値が利用されると災害予防に遅れや過ちが生じ、社会的混乱を引起こす可能性も。公共または行政機関などは、検定に合格した雨量計の使用が義務付けられています。検定内容
気象測器の種類に応じて、材料・部品およびその組み合わせなどが適切であるかを調べる「構造検査」と、個別の精度を調べる「器差検査」の2種類があります。※型式証明を取得した気象測器は「構造の検査」を省略できます。型式証明とは、その構造が気象測器として必要な要件を満たしているものとして、気象庁長官が証明した気象測器の型式をいいます。
詳しくは実施機関の「気象庁・気象測器検定試験センター」に問い合わせを!
・住所:茨城県つくば市長峰1-2
・電話番号:029-851-4121
・メールアドレス:http://www.jmbsc.or.jp/jp/verification/verification.html
検定方法
検定は(一財)気象業務支援センターが行っています。検定を受ける方法は以下の2つです。・検定機関に雨量計を提出する。
・型式証明を受けている雨量計は、気象庁長官が認めた測定者(認定測定者)が自らの検査設備で測定を行い、測定結果報告書を検定機関に提出する(書類審査)。
有効期限
屋外使用での耐久性などを考慮し、有効期限は5年に定められています。費用
気象測器の検定料(1個あたり:円)検定(型式証明を受けていないもの) | 検定(型式証明を受けているもの) | 測定結果の報告による検定 | |
貯水型雨量計 | 5,750 | 4,100 | 1,800 |
貯水型雨量計(デジタル型のもの) | 5,150 | 3,800 | 1,800 |
転倒ます型雨量計 | 5,850 | 4,350 | 1,800 |
転倒ます型雨量計(感部) | 5,150 | 3,800 | 1,800 |