- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
風速計とは
風速計とは、その名の通り風量を計測する装置です。工事現場での環境測定や、空調・ダクト関連の換気風量測定などに使われます。もちろん趣味のラジコンやドローン撮影、ご家庭での気象観測に使ってもOKです。一般に思い浮かべやすいプロペラの付いたタイプや、細かで正確な測定ができる熱線式、防水カップ式などがあります。どのようなときに測定する?測定位置は??
風速計というと「風の強さを測る」もののように思いがちですが、お仕事の現場で使われる風速計は「空気の流れを確認する」ための役割を担っていることが多いです。例えば、分煙設備の効果を確認したり、換気装置の機能を確認したり、排気装置の風量を確認したり…。測定位置は喫煙場所との境界や、換気装置からできるだけ離れた場所など、風の効果が発揮される場所で測るのがポイントです。風速計の種類
風速計は、風速を測定する仕組みなどの違いによっていくつかのタイプに分けられます。代表的なタイプである「熱線式」、「ベーン式」、「風杯式」、「風向式」、「超音波式」の5つについて、それぞれの測定方法や特徴などをご紹介します。熱線式(ホットワイヤ式)
熱線式の風速計にはセンサーが付いています。このセンサーを電気で加熱し、風によって奪われた熱を元に風速を測る仕組みです。微風の測定も可能。自然の風というより、空調機器の風速測定に使われることが多いタイプです。ベーン式(プロペラ式)
もっとも仕組みを想像しやすいのが、このプロペラ式。プロペラの羽が回転する速さで風速を計算するタイプです。屋外に設置され、気象観測に用いられます。プロペラが回転しないような微風には使えませんが、リーズナブルなので家庭用におすすめです。風杯式(防水カップ式)
出典:PIXTA
防水カップ式は、簡単で使いやすいタイプの風速計です。軸に水平なカップ付きアームが3~4本ついており、このカップが一定時間内に何度回転したかによって風速の平均を測定します。雨の日も測定OK。気象風速の測定、給排気ダクト、クーラー吸排気の測定に使われるタイプです。
風向式
風向と風速の両方を測定できるタイプの風速計です。本体は流線型で、垂直尾翼とプロペラが取り付けられています。風を受けると垂直尾翼が風下側になるように本体が回転して風向を測定するとともに、プロペラの回転によって風速を測定します。超音波式
超音波が伝番する時間によって測定するタイプです。向かい合うように取り付けられた超音波送受信器の間を超音波が伝番するのに要する時間から風速を求めています。一般的な超音波式の風速計には超音波送受信器が6つ取り付けられており、3次元方向の風速を測定できるのが特徴。微風観測にも優れます。風速計の代表メーカー
風速計の開発、製造、販売を行っているメーカーは数多くあり、さまざまなタイプの風速計が展開されています。ここでは、風速計を取り扱っている代表的なメーカー5社をご紹介します。サンワサプライ
1951年設立、岡山県に本社をおくサンワサプライはコンピューターサプライ商品で有名ですが、風速計や距離計、温度計、PM2.5測定器などの測定機器も手がけています。タイプはベーン式と風杯式のもので、小型で携帯性に優れたモデルが販売されています。サンワサプライ株式会社
カノマックス
カノマックスは、1934年に加野研究所として創業した老舗の精密計測機器メーカーです。日本で最初の風速計を開発したメーカーであり、着実に技術と信頼を積み重ねてきました。同社の熱線式風速計「アネモマスター」、「クリモマスター」は国内トップのシェアを誇ります。日本カノマックス株式会社
エムケー・サイエンティフィック
2001年に神奈川県で設立され、測定機器の輸入販売およびコンピューターソフトウェアの開発販売行っています。世界15カ国33社より輸入される測定機器は多種多様。風速計についても、熱線式、ベーン式、風杯式、ピトー管式のタイプなど、幅広く展開しています。株式会社 エムケー・サイエンティフィック
マザーツール
1988年に創業したマザーツールは、長野県を拠点に風速、水質、温度、照度、騒音などさまざまな測定機器の開発から製造、販売までを行っています。マザーツールで取り扱っている風速計のタイプは熱線式、ベーン式、風杯式で、リーズナブルなモデルもあります。株式会社マザーツール
ノースワン
1987年、北海道札幌市に誕生したフィールド計測の専門メーカーです。北海道の過酷な自然環境下でも作動する測定機器の開発、製造、販売を手がけます。厳しい環境に対応し、気象庁検定も取得できる風向風速計および各種記録装置を取り扱っています。ノースワン株式会社
風速計の選び方
さまざまなモデルが販売されている風速計。風速計はどのように選んだらよいのでしょうか。風速計を選ぶには、使用する場所や用途などに合わせて、風速を測定する仕組みや機能に注目するのがおすすめです。風速計の選び方をご紹介します。使用するのは屋内?屋外??
風速計は、使用するタイプによって使える場所が異なります。屋内で風速計を使用する場合、熱線式、ベーン式、超音波式タイプのものが一般的。屋外で使用する場合には、ベーン式、風杯式、風向式、超音波式のタイプです。このように、使えるタイプに違いがありますので、まずは屋内・屋外どちらで使用するのかを考えてみましょう。使用する用途を確認
次に、使用する用途を確認しましょう。屋内・屋外でのそれぞれにおいて風速計の用途はさまざまで、風速計のタイプによって向き不向きがあります。クリーンルームや空調の検査には熱線式、換気扇や室内の空気の流れを測定するにはベーン式、気象観測には風杯式、風向式、超音波式など、用途に応じて適切なタイプを選びましょう。アプリとの連携可能なモデルも
風速計の中には、ダウンロードした専用アプリと連携してデータの表示や記録が可能なモデルも登場しています。Bluetoothを使ってスマートフォンやタブレットにデータを送信するタイプのほか、イヤホンジャックなどに風速計を直接接続して使用するタイプもあります。その他機能性にこだわっても◎
風速計の中には、風速のほかに温度などの計測が可能なモデルや三脚が使える取り付け穴を備えたモデルなどもあります。また、アプリとの連携だけでなくパソコンに接続してデータ管理できるものなどもあり、用途に合わせ機能性にこだわってみるのもよいでしょう。種類と用途を比較!
仕組みによって熱線式、ベーン式など大きく5つのタイプに分けられる風速計。それぞれのタイプごとに使用する用途に違いがあります。風速計の種類と用途を表で比較しましたので、ぜひ参考にしてみてください。風速計のタイプ | 屋内 | 屋外 |
熱線式 (ホットワイヤ式) | ・エアコンなど空調機器 ・クリーンルーム | ― |
ベーン式 (プロペラ式) | ・換気扇 ・バルブなどのガス流速 ・室内の空気循環 | ・エアコンの室外機 ・気象観測 |
風杯式 (カップ式) | ― | ・気象観測 |
風向式 | ― | ・気象観測 |
超音波式 | ・クリーンルーム ・気流の観測 | ・気象観測 ・気流の観測 |
種類別!おすすめの風速計15選
これまでみてきたように、風速計は風速を測定する仕組みによって用途が異なります。ここでは、種類別におすすめの風速計を15選でご紹介します。風速計選びにぜひお役立てください。1. 熱線式|コンパクトで高性能 国内トップメーカーの風速計
風速計の国内トップメーカー、カノマックスの熱線式風速計です。表示の切り替えやデータホールド、電源などすべての操作をワンボタンで行えます。高い信頼性はそのままに、コンパクトで操作もシンプルなモデルです。プローブは互換性があり、予備のプローブに交換することもできます。2. 熱線式|Bluetoothでスマホ連携 風速・風量も測定
ドイツの計測機器メーカー、テスト―(testo)の風速計です。Bluetoothでスマートフォンやタブレットと連携して使用します。風速のほか風温、風量も測定することができます。アプリは測定結果の表示、記録に加え、測定値をグラフや表形式で表示することも可能です。3. 熱線式|センサーと本体一体型のコンパクトモデル
日本の電子計測機器メーカー、カスタムのデジタル風速計です。測定値のホールド機能や最大値・最小値のメモリ機能、10分間のアベレージ表示機能をもち、風速のほか周囲温度と体感温度の測定、風力階級の表示も可能です。本体上部のセンサカバーをスライドして測定を行います。4. 熱線式|SDカードにデータを記録 PCで管理・編集できる
本体にSDカードを入れておくことでデータの記録ができ、パソコン上で管理・編集ができます。プローブは280~940mmまでの伸縮式で、高所など離れた場所の測定が無理なく行えるのも魅力。風速のほか、風量、温度、湿度、露点の計測も可能な多機能モデルです。5. ベーン式|操作も簡単なシンプルモデル
重さは84g、小型軽量で携帯性に優れ、操作もシンプルなベーン式風速計です。価格もリーズナブルで、初めて風速計を使う方が手を出しやすいのもうれしいポイントです。風速の測定だけでなく最大値・最小値の記録や気温の測定もできます。6. ベーン式|高性能なポケットタイプ 気体温度、湿度の測定も可能
テストーのベーン式風速計、温湿度センサー付きのモデルです。平均機能、最大値・最小値の表示、ホールド機能を備えます。風速のほか、気体温度と湿度の測定も可能で、露点温度、湿球温度、体感温度、ビューフォート風力階級などの演算値を表示することができます。7. ベーン式|Bluetooth通信でスマホ連携が可能
Bluetoothを使用し、スマートフォンやタブレットとの連携が可能なベーン式風速計です。小型で持ち運びの邪魔になりません。測定値はBluetoothでスマートフォンなどに表示でき、専用アプリの演算機能、表示機能により、専門的な分析結果を簡単に得ることができます。8. ベーン式|ワイヤレスの多機能モデル
Weatherflowは気象観測機器を手がけるアメリカのベンチャー企業です。こちらのモデルはアプリをダウンロードし、Bluetoothでスマートフォンに接続して使用するタイプ。アプリとの連携により、風速のほか風向、気温、気圧、湿度、露点、大気密度などさまざまな項目を計測できる多機能なモデルです。9. ベーン式|セパレートタイプのベーン式風速計
プロペラ部分がセパレートになっているベーン式風速計です。ディスプレイは風速と周囲温度のデュアル表示で、ダクト面積を入力することで風量が自動演算されて表示されます。データホールド、最大値・最小値のメモリ機能、10データまでのデータ記録機能をもちます。10. ベーン式|小型デザインの折りたたみタイプ
折りたたみタイプのコンパクトなベーン式風速計。風速とともに周囲温度も計測することができ、ディスプレイにデュアル表示されます。体感温度、風力階級を測定する機能ももち、ホールド機能、アベレージ表示機能も備えます。11. 風杯式|コンパクトでリーズナブルな風杯式風速計
小型のカップを搭載した、コンパクトで携帯性に優れた風杯式風速計です。風速計の測定に加えて、気温測定、最大値・最小値の記録機能をもちます。リーズナブルな価格でありながら防塵・防滴IP54を取得しており、水の飛沫などがかかっても安心です。12. 風杯式|IP65準拠の防水型
IP65準拠の高い防塵・防水性能が魅力の風速計です。あらゆる粉塵の侵入を防ぎ、また強い勢いの水流を直接あてても影響がないので、過酷な環境での使用にも耐えられます。最大値・最小値のメモリ機能、最大100件の簡易記録機能も備えています。13. 風杯式|PCに接続してデータ解析 風速データロガー
データロガータイプの風速計です。指定したロギング間隔で測定を行い、測定日時と風速を記録します。メモリは32,000件まで、ロギング間隔は2秒~24時間で指定が可能です。測定したデータはUSB接続でパソコンに送り、ソフトを用いて解析を行うことができます。14. 風向式|アメリカ ヤング社製の風向風速計
小型・軽量の風向風速計で、センサーやプロペラにも樹脂パーツが使用されており耐腐食性に優れます。本体は外形34mmのポールにバンドクランプで固定して使用しますが、小型・軽量で扱いやすく、取り付けや取り外し、メンテナンスなども容易です。15. 超音波式|小型高性能でメンテナンスフリー
超音波式の特性を活かし、微風の測定にも優れる小型で高性能の風速計です。プロペラやカップなどの可動部がないためメンテナンスも不要。最大値・最小値、平均値の測定も可能です。測定には信号を受信する受信器やデータロガーが別途必要となりますのでご注意ください。風速計の使い方
風速計にはさまざまなタイプがあり、タイプごとに使い方も異なります。適切な使い方をしなければ、正しく風速を測定することができません。ここでは、一般的な熱線式、ベーン式、風杯式の風速計の使い方をご紹介します。熱線式
熱線式タイプの風速計の場合、測定したい場所にプローブを近づけて使います。とくに注意が必要となる点はありませんが、周囲の乱流などの影響を受けやすいので留意しておきましょう。また、他のタイプの風速計についてもいえることですが、測定機器や測定器を扱う人が風の流れを妨げないようにしましょう。ベーン式
プロペラが特徴的なベーン式の風速計ですが、プロペラ部分が風の吹く方向に対して垂直になるようにして測定を行いましょう。斜め方向などにずれてしまうと、プロペラは風をきちんと受けることができず、測定結果も小さく表示されてしまいます。ディスプレイの数値を観ながら微調整しましょう。風速の表示が最も大きくなる方向が風に対して垂直の方向です。風杯式
風杯式のタイプに関してもベーン式と同様です。カップの回転する方向と風の吹く方向が同じになるようにすることが大切です。風の吹く方向に対し、カップの回転軸が垂直になるようにしましょう。ディスプレイの風速表示を見ながら風速が最も大きく表示されるように調整してください。方向がずれていると実際よりも風速は小さく測定されてしまいます。自由研究に!風速計の自作方法
簡単な風速計は自作することもできます。身近な材料で作ることができ、難易度も高くありません。自由研究にもおすすめです。風速計の自作方法をご紹介しますので、ぜひ挑戦してみてください。用意するもの
- 紙
- のり
- セロテープ
- はさみ
- カッター
- 1cm程度の厚みがある発泡スチロール
- 竹串2本
- ストロー2本
作り方
- こちらのサイトから用紙を印刷して、設計図の部品(A~D)をはさみかカッターで切り離し、厚紙に貼ります。
- 部品のA~Dをさらにはさみかカッターで切り取ります。部品CとDはのりなどで接着しておきます。
- ストローをT字になるようにセロテープでくっつけます。T字の横棒に、部品B(コの字形に切った紙)を垂らすようにセロテープで付けたら、部品が接触していない部分をはさみで切り離し捨てます。
- 縦のストローと部品C・Dをセロテープで接着します。部品B~Dのストロー部分に竹串を通します。
- 部品A(発泡スチロールの台)に方角の紙を貼り、中心に竹串を突き刺します。その上から作っておいたストローのT字パーツを差し込んで完成です。