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定着率7割!市役所担当者と現役隊員に聞く、岡山県の真庭市地域おこし協力隊の特徴に迫る


移住後の仕事として人気のある地域おこし協力隊。岡山県真庭市は任期終了後の定着率が7割と、全国平均の6割を上回ります。なぜ、高い定着率を誇るのでしょうか?そこには、活動環境を重視した真庭市独自の仕組みがありました。
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真庭市地域おこし協力隊のメンバー

写真撮影:藤本一志 ▲真庭市地域おこし協力隊のメンバー
地方移住に向けて仕事を探す中で、地域おこし協力隊の募集を見かけた人も多いのではないでしょうか。3年間地域のために活動しながら、自分のやりたいことを形にしていく。魅力的に思える一方で、運用体制や活動環境を不安に感じる人も多いでしょう。

このような不安に対して、岡山県真庭市では独自の仕組みで隊員たちをサポートしています。そして、任期終了後の定着率は7割と、全国平均の6割を上回ります。そんな真庭市地域おこし協力隊の特徴を探るべく、真庭市役所の担当職員と現役隊員にお話を伺いました。

真庭市の紹介はこちら

地域おこし協力隊とは

真庭市地域おこし協力隊のピンバッジ
写真提供:真庭市地域おこし協力隊
地域おこし協力隊は、2009年に開始された総務省の制度です。制度の目的は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住し、農林漁業や特産品開発、住民支援などの地域活動を行いながら、その地域への定住を図ることです。隊員は都市部から地方に移住し、自治体からの委託を受けて活動に取り組みます。任期は1~3年で、自身の経験やスキルを生かして地域の課題解決や発展のために活動します。

具体的な活動内容や条件、待遇は自治体によってさまざまです。任期を終えた人を含めると、令和2年度で約5,500人が日本全国で活動しています。
(参考)総務省「地域おこし協力隊」

地域おこし協力隊になるステップ

真庭市の移住パンフレット
写真提供:真庭市交流定住センター
地域おこし協力隊になるには、募集している自治体に応募して選考を受ける必要があります。そのステップを解説します。


STEP1. 情報を集める

まずは情報を集めましょう。自治体によって活動内容や条件、待遇は異なります。農業や観光PRなど、具体的な活動内容が決まっている地域があれば、「あなたのスキルや経験を生かして地域を盛り上げてください」と、フリーミッション型の地域もあります。いずれの場合も、その地域が自分に合うか、円滑に活動できそうか意識して情報を集めましょう。移住相談会に行って話を聞いたり、実際に現地に行ったりするのがおすすめです。

移住の情報収集方法についてはこちら!

STEP2. 応募して選考を受ける

移住したい自治体が決まったら、その自治体に申し込みましょう。その後は書類選考と面接があります。面接の詳しい内容は自治体によって異なるので、その地域の先輩隊員に聞くなどして情報を集めておきましょう。

STEP3. 採用されたら住民票を移す

無事に採用が決まって自治体から委嘱を受けた後は、活動する自治体に住民票を移します。そして、地域おこし協力隊として活動を始めます。ここで注意すべきは、住民票を移すタイミング。必ず委嘱が決まってから住民票を移すようにしましょう。「その自治体に住民票がある人には地域おこし協力隊の任命ができない」ことがルールで決まっています。焦らずに、委嘱を受けるまで落ち着いて待ちましょう。

真庭市地域おこし協力隊の特徴|公務員としての採用も

真庭市役所交流定住推進課の小谷さん
写真提供:真庭市交流定住センター▲左から3人目が、真庭市交流定住推進課の小谷さん
地域おこし協力隊が円滑に活動し、任期終了後も活動を続けられるためにも、周囲のサポートは欠かせません。真庭市では、協力隊担当の真庭市役所交流定住推進課を中心に、サポート体制が充実しています。その特徴について、真庭市役所交流定住推進課の小谷佳嗣さんにお話を伺いました。

特徴1.“公務員”として採用

真庭市では、市役所の会計年度任用職員として地域おこし協力隊を採用します。このメリットは、公務員として採用されるため、福利厚生が充実していることです。
小谷佳嗣さん
小谷佳嗣さん
公務員として採用することで、まずは真庭市での暮らしを安定させて、安心して活動に取り組めるようにしています。

特徴2.採用までの面談が丁寧

地域おこし協力隊の採用で起こりやすいのが、隊員と自治体のミスマッチ。実際に活動してみて「こんなはずじゃなかった」という事例も存在します。真庭市ではミスマッチを防ぐために、採用の段階でかなり丁寧に話し合いを進めます。
小谷佳嗣さん
小谷佳嗣さん
面談を進める中で、隊員希望者のやりたいこと・地域の課題・真庭市の方向性をすり合わせながら、活動の方向を探っていきます。私だけでなく、現役隊員や協力隊OB、OGにも同席してもらうこともあります。また実際に地域も案内し、スムーズに活動を始められるようにサポートしています。

特徴3.活動拠点がある

真庭市交流定住センター外観
写真提供:真庭市交流定住センター
真庭市では、真庭市交流定住センターが地域おこし協力隊の活動拠点となっています。

活動拠点があるメリット
・着任初期で何をすべきかわからないときでも、センターに行けば何らかの情報を集められる
・市役所は異動があるが、センタースタッフは異動がなくメンバーが変わらないため、ノウハウが蓄積される
・活動の悩みを他の隊員や協力隊OB、OGに相談できる

地域おこし協力隊として活動していると、ふとしたときに“孤独”を感じることがあります。拠点があり、「センターに行けば仲間がいる」という状態なので、隊員が安心して活動できる環境となっています。

特徴4.月に2回の協力隊会議で“横のつながり“を強化

真庭市地域おこし協力隊会議
写真撮影:藤本一志
真庭市では月に2回、協力隊全員が集まる「協力隊会議」を行っています。会議の内容は、活動の進捗共有や課題の相談などがメインです。この会議の目的は、隊員同士の横のつながりを作ること。隊員同士で協力して活動したり、悩みや不安を相談できたりする関係性を築きます。また、会議には市役所職員や協力隊OBOG、交流定住センタースタッフも参加します。
小谷佳嗣さん
小谷佳嗣さん
隊員だけでなくみんなで共有することで、同じ方向を目指すチームとしての一体感を作ります。

このように、真庭市地域おこし協力隊は採用段階でミスマッチを防ぎ、採用後は活動しやすい環境が整っています。その結果、スムーズに活動に取り組むことができ、高い定着率につながっています。

明確な目的を持った人が集まる真庭市地域おこし協力隊

真庭市地域おこし協力隊の活動例
写真提供:真庭市地域おこし協力隊 ▲防災をテーマに活動する隊員が、地元ケーブルテレビで生放送に出演
では、真庭市の地域おこし協力隊を希望するのはどんな人が多いのでしょうか。


やりたいことが具体的な人からのお問い合わせが多い

小谷佳嗣さん
小谷佳嗣さん
真庭市へのお問い合わせは、やりたいことが明確な人が多いです。その中でも「やりたいことにマッチする地域を探している人」と、「真庭で何かやりたい人」の2パターンが多いですね。問い合わせをいただいたらまずはオンライン、またはリアルでお会いして、私や協力隊OB、OG、現役隊員などを交えてじっくりお話するようにしています。

小谷さんは「協力隊としてやりたいことが明確な人が集まる背景には、協力隊が積極的に情報発信していることが理由ではないか」と言います。真庭市地域おこし協力隊は、Facebookホームページでそれぞれの活動を発信しています。ホームページには、OBOGの情報も掲載されています。情報が整理されているため、見る人に「活動の基盤が整っていそう」「自分も仲間に入りたい」という印象を与えるのでしょう。

現役隊員の声|協力隊活動だけでなく、家族へのアフターケアも手厚い

真庭市地域おこし協力隊の池田さん
写真撮影:藤本一志▲真庭市地域おこし協力隊の池田さん
では、現役隊員は活動環境や真庭市についてどう思っているのでしょうか。
真庭市地域おこし協力隊5代目リーダーの池田将(いけだしょう)さんにお話を伺いました。

池田将さんプロフィール
真庭市地域おこし協力隊になって1年3カ月(2021年11月時点)。前職で動画制作・映画製作に取り組んでいたことを生かし、真庭市をPRする動画コンテンツの制作などに取り組んでいる。


地域おこし協力隊になったのは、ネットワークを広げられそうだから

東京で暮らしていた池田さんは、子育て環境を求めて移住先を探していました。移住相談会で真庭市ブースを訪れたときに、先輩移住者が“まるで自分の故郷かのように”真庭のことを語る姿に魅力を感じ、真庭市に興味を持ちました。その後移住を進める中で、地域おこし協力隊を紹介されます。
池田将さん
池田将さん
真庭市にネットワークがない中で個人事業主として仕事をするより、地域に関わることで真庭市内のいろいろなところに行ける協力隊という制度に魅力を感じました。「協力隊」として活動することで、さまざまな人たちとつながれて、結果的にそれが仕事につながります。また、地域に根を張りながら、私の活動であるプロモーション事業を展開してくのにも心強いと思いました。

地域と密接に関わりながら活動できるのが魅力

池田さんの活動の様子
写真提供:真庭市地域おこし協力隊▲池田さんの活動の様子
池田さんの活動の1つに映像制作がありますが、実際は”映像制作ではなくふるさとづくりをしている感覚”と語ります。
池田将さん
池田将さん
東京にいたころも、地方創生の映像制作はしていました。でも地域をじっくり見る機会や、その動画でどれだけの人が喜んでくれたかの実感はあまりありませんでした。でも地域おこし協力隊として活動すると、地域の人たちと深く関われる分、リアルな反応を感じられます。そして、その後のコミュニケーションが円滑になったり、つながりが強くなったりします。地域課題に伴走している感覚を得られたりすることにやりがいを感じますね。

家族のことも気にかけてくれる

地域おこし協力隊として移住する課題の1つに、一緒に移住したパートナーが孤独を感じやすいということがあります。隊員は活動を通して地域のネットワークを広げられますが、パートナーは地域コミュニティへの入り方に苦労することが多いのです。しかし池田さんは、真庭市では周りの人たちが家族のことも気にかけてくれると言います。
池田将さん
池田将さん
移住前に、真庭市で楽しそうに暮らしている女性にも多く会えたので、妻にとっての安心材料になりました。移住してからも「奥さんは元気にしてる?」「いつでも交流定住センターに来ていいよ」と声をかけてもらえて、アフターケアが手厚いと感じます。

真庭はユニークに生きられる場所

最後に、池田さんに真庭市地域おこし協力隊の印象について伺いました。
池田将さん
池田将さん
真庭市はユニークに生きたい人、人生の冒険の時期として今を生きたい人に向いていると思います。個性的な人たちがたくさんいる地域なので、その土壌は整っています。私も、今の状況をおもしろく感じています。

真庭市地域おこし協力隊の活動はFacebookや活動通信をチェック

真庭市地域おこし協力隊のカバー画像
画像提供:真庭市地域おこし協力隊▲現在のFacebookのカバー画像
真庭市では、行政などのサポート体制や協力隊会議などの仕組みが整っているため、地域おこし協力隊が活動しやすい環境となっています。また、隊員の家族も気にかけるなど、暮らしの面もケアしています。隊員とその家族を、大切な仲間としてサポートする。そんな体制が、高い定住率につながっているのでしょう。

真庭市地域おこし協力隊はFacebookやホームページ、そして「協力隊通信Pione(ピオネ)」で活動を発信しています。詳しい内容が知りたい人は、ぜひチェックしてみてくださいね。

真庭市地域おこし協力隊通信「Pione」
創刊号
第2号
第3号

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この記事の筆者:
藤本一志

1994年岡山県岡山市生まれ。岡山大学環境生命科学研究科修了後、岡山市の企業に1年勤務した後、2020年3月に真庭市に移住。真庭市交流定住センターで移住支援員として情報発信に取り組みつつ、米農家、Webライターとしても活動中。ライター活動の一環で、移住に関するブログ「赤トンボの田舎暮らし」を運営。活動のミッションは「今ある風景を次世代につなぐ」。

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