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移住への不安を人に会うことで和らげる!「真庭暮らし体験ツアー」をレポート|岡山県真庭市

多彩な移住支援をしている岡山県真庭市。その中の1つ「真庭暮らし体験ツアー」は、真庭をより深く知れるツアーとして多くの移住希望者が参加しています。どんなツアーなのか、移住の窓口である真庭市交流定住センターのセンター長にインタビューし、実際の内容を紹介します。


真庭市役所本庁舎

写真撮影:藤本一志
岡山県の北部に位置する真庭市。南北に広く面積の8割が森林に覆われたこの地域には、移住者が増えています。移住の窓口を担うのは、真庭市交流定住センター一人ひとりに寄り添う移住支援に取り組んでおり、中でも注目なのが「真庭暮らし体験ツアー」です。どんなツアーなのか、実際の様子をレポートします。

真庭市の移住支援についてはこちら!

真庭市の移住の窓口「真庭市交流定住センター」の概要

真庭市交流定住センター外観
写真提供:真庭市交流定住センター
真庭市交流定住センターは、真庭市に移住したい人をサポートする施設です。
真庭市の移住のワンストップ窓口として、真庭の暮らしに関する情報発信や移住相談をしています。

また、真庭市の中でも移住者が集まる場所でもあります。
スタッフは、7名中6名がIターン経験者、1名が一度真庭市から出て再び真庭市に帰ってきたUターン経験者です。地域おこし協力隊の活動拠点でもあるため「真庭市出身の人を探す方が難しい」場所です。

真庭市交流定住センターの代表者を紹介

真庭市交流定住センターの池田さん
写真提供:石原佑美
真庭暮らし体験ツアーについて、池田恭子センター長に話を聞きました。

池田恭子 プロフィール
真庭市出身。進学を機に真庭市から離れるも、その後真庭市へUターン。現在は真庭市交流定住センターのセンター長として、移住支援や情報発信に取り組んでいる。


「真庭暮らし体験ツアー」とは

真庭暮らし体験ツアー
写真提供:真庭市交流定住センター
真庭暮らし体験ツアーは、真庭市交流定住センターのスタッフが、移住希望者に真庭市内を案内するツアーです。
観光ではなく「暮らし」の視点で案内するのがポイント。季節ごとの気候、スーパーや銀行、郵便局といった生活に必要な施設の案内など、移住後の暮らしをイメージできるように案内します。
池田恭子センター長
池田恭子センター長
このツアーは2016年の秋に始めて、今ではたくさんのお問い合わせをいただいています。

Zoomやメールで希望を聞き、オーダーメイドのツアーを作成

真庭暮らし体験ツアーは、一人ひとりの希望に合わせたオーダーメイドのツアーです。事前にZoomや電話で希望を聞き、それに沿ってプランを組みます。移住してかなえたい夢、暮らしたい地域、周囲の環境、利便性など、ツアーの開催にあたって細かく質問します。それから担当スタッフが日程を組み、移住希望者に提案。メールでやり取りを重ねながら、内容を詰めていきます。
池田恭子センター長
池田恭子センター長
たくさんの人に会い、町の風景一つひとつをじっくり見てもらって、移住後の暮らしをイメージしやすいようにプランを組んでいます。

ツアーの特徴は「真庭の人を紹介してもらえること」

真庭暮らし体験ツアー最大の魅力は、“真庭の人を紹介してもらえる“ことです。一般的に、移住前に地域を見に行っても、そこに住む人とつながることはほとんどありません。まったく知らない土地で、知らない人だらけの中で新生活をスタートさせるのは、誰しも不安を感じるのではないでしょうか。

このツアーでは真庭市交流定住センターのスタッフが間に立って、先輩移住者や地域の人を紹介します。移住前から地域の人とつながることで、移住に対する不安をできるだけ減らすことが狙いです。先輩移住者とつながっていれば移住で困ったことも聞きやすく、移住後も相談しやすくなります。知っている人が1人いるだけで、状況はまったく違ってくるのです。
池田恭子センター長
池田恭子センター長
一番孤独を感じるのは移住した直後です。移住前から頼れる人がいると、その不安も和らぎます。

コロナ禍での真庭移住体験ツアー開催の対応は?

トランシーバー
写真撮影:藤本一志▲真庭暮らし体験ツアーで使っているトランシーバー
真庭暮らし体験ツアーは、移住希望者に現地に来てもらうのが前提です。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦労していることもあります。そのため、現在は2つの対策を立てています。


ツアー2週間前からは毎日の体調管理を徹底するようお願い

ツアーに参加するのは、都市部の人がほとんどです。ツアーの2週間前からは特に体調管理を徹底していただき、毎日の体温計測のほか、直前の検査もなるべくお願いしています。移住希望者、スタッフ、地域の人が安心してツアーを実施できるよう、まずは事前の対策を徹底しています。

移動は別車両でトランシーバーを使用

通常のツアーでは、スタッフの車に同乗して市内を巡ります。現在は感染のリスクがあるので、別車両(スタッフの車とツアー参加者の自家用車など)での移動をしています。

そこで連絡用に使用しているのがトランシーバー。これなら別車両移動でもコミュニケーションをとりながら案内できます。移住希望者にとっては慣れない道の運転となりますが、真庭市内の道は都市部ほど複雑ではないので、迷うこともほとんどないでしょう。

「真庭暮らし体験ツアー」の流れを紹介

物件周辺の町並み
写真撮影:藤本一志▲今回のツアーは勝山地域からスタート
真庭移住体験ツアーはどんな内容なのか、実際に案内したときの様子を紹介します。今回は2021年5月ごろから連絡をとっている人をご案内。当初は2日間の予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1日に短縮。「ここは外せない」というスポットを中心にツアーをセッティングしました。

午前:物件の内覧と周辺散策

物件の近くの直売所
写真撮影:藤本一志
移住希望者と待ち合わせして、まずは希望する地域の物件の内覧へ。農村部より市街地を希望されていたので、駅から近い場所にある古民家に行きました。中に入って居住環境について説明。気温や湿度、日当たり、虫など、暮らしに関する具体的な内容をお伝えしました。また、インターネット環境の整備方法やおおまかな生活費、灯油の使い方も説明しました。

物件めぐりの重要なチェックポイント

中でも力を入れて話したのが、水回りについてです。古民家の場合水回りが古いことが多く、多くの場合改修が必要です。改修には多くの費用がかかるので、水回りは家選びの1つのポイントでしょう。「簡易水洗なら大丈夫」「いくらまでなら改修費を出せる」と基準を決めておくことが重要です。

物件を見た後は、周辺の散策です。歩きながら郵便局や銀行、スーパー、コンビニなど、生活に必要な施設の場所を案内し、地元の新鮮な農産物が販売されている直売所にも立ち寄りました。都市部に比べると価格が安く種類も豊富なことは、地方生活の魅力のひとつです。

昼食:希望のカフェでランチ

TABIBITO SHOKUDO外観
写真撮影:藤本一志
物件見学の次は、真庭市南部の北房地域にあるカフェ「TABIBITO SHOKUDO」へ。「ここだけは外せない」という希望があったので、日程に入れました。TABIBITO SHOKUDOは、元々保育園だった建物をリノベーションしたカフェで、真庭市へ移住した人が経営しています。

“先輩移住者”ということもあり、食事の前に店主の移住について質問する時間をとりました。移住希望者が質問したのは、引越しの様子や移住後の暮らしなどのリアルな声。移住体験は一人ひとり違うので、先輩移住者に会えるときは積極的に質問しましょう。

昼食後:予定変更で物件見学

その後は真庭市内のほかの店舗を案内する予定でしたが、別の物件を見たいということで予定変更。移住希望者自ら不動産屋に問い合わせ、急きょ見学する展開に。偶然にもほかの予約がなかったため、アパート2件を内覧しました。

アパートは古民家と違い、水周りも含め新しいものでした。田舎暮らしと聞くと「古民家で家庭菜園を楽しみながら農的暮らし」をイメージしがちです。しかし、アパートを借りて自然が近い環境を楽しむ暮らしも選択肢のひとつです。田んぼも近く、田植えシーズンにはカエルの大合唱が聞こえそうな場所でした。

午後:真庭市交流定住センタースタッフと顔合わせ

交流定住センタースタッフと地域おこし協力隊
写真撮影:藤本一志▲真庭市交流定住センターのスタッフと地域おこし協力隊
続いて真庭市交流定住センターに移動して、スタッフと顔合わせをしました。前述の通り、真庭市交流定住センターのスタッフは移住経験者ばかりです。そのためツアーの中で必ず案内して、いつでも相談できるようにしておきます。移住相談はもちろん、移住後も「センターに行けば何か教えてくれる」となれば、より心強いですね。移住者のコミュニティなので、ここは外せません。

今回は2名のスタッフを紹介しました。運が良ければ地域おこし協力隊をはじめ、ほかの先輩移住者とも出会えます。「移住前なのに、まるで真庭に移住したかのような感覚」になれるかもしれません。

夕方:リノベーションの現場へ

作りかけの土間
写真撮影:藤本一志▲土間になる予定のスペース。今後モルタルを流し込む予定
最後に古民家リノベーションの現場に向かいました。この古民家は、2021年7月24日に開催した真庭市のオンライン移住セミナーの配信場所です。リノベーションの様子を配信しながら、古民家のリノベーションと古民家暮らしについてゲストが話すという内容でした。実は今回の移住希望者はそのセミナーにも参加しており、時間があれば行ってみたいと話していました。

配信で見るのとは迫力が違い、中を解体している様子や作りかけの土間を見て、移住希望者はとても驚いていました。リノベーションをしている人ともつながり、古民家や仕事のことなどいろいろ質問でき、偶然居合わせた真庭市地域おこし協力隊の隊員や移住経験者の市の職員とも交流しました。

出会った9人のうち8人が移住者

今回移住希望者と出会った「真庭の人」は9人で、そのうち8人が移住者でした。コロナ禍でなければ、1泊2日でもっと多くの人を紹介する予定でした。それでも、移住希望者にとっては密度の濃い時間となったでしょう。

移住希望者も「真庭の人や空気を肌で感じられて心地よかった」との感想をいただけました。

移住前から“仲間”が増えることは、大きな安心にもつながります。真庭暮らし体験ツアーで紹介される人たちは、お互いを認め合い、受け入れ、尊重しあう雰囲気を持つ人ばかりでした。このようにして地域に受け入れてもらうことは、移住希望者にとってこの上なく心強いのではないでしょうか。

ツアー後はメールや電話でフォロー

移住のステップ
画像提供:真庭市交流定住センター
ツアーが終わってからは、いよいよ移住に向けて住まいと仕事を決めるステップです。
真庭市交流定住センターでは、ツアー後もメールや電話でフォローしています。実際に動くのは移住希望者ですが、有益な情報があればその都度共有しています。

また、必要であれば2回目のツアーを組むこともあります。1回目のツアーで気になった場所や、ほかの地域も追加で見てみたいという声に応える形です。ここでも、一人ひとりに合わせた移住支援を意識しています。
池田恭子センター長
池田恭子センター長
ツアーの後も、移住後も、気軽に連絡がとれるような関係性を築けるように心がけています。

移住への不安解消とともに、移住してやりたいこともできるかも

真庭市交流定住センタースタッフ
写真提供:真庭市交流定住センター
真庭暮らし体験ツアーは、真庭市に暮らす人を通して移住後の暮らしをイメージできるツアーです。地域の人に会って話を聞くことで、移住への不安が解消されるとともに、移住してやりたいこともできるのではないでしょうか。移住という大きな一歩をより良いものにするための、心強い支えとなるでしょう。

真庭暮らし体験ツアーを希望する人は、まずは真庭市交流定住センターのオンライン移住相談に申し込んでください。そこで移住の目的や希望を聞いてから、ツアーの内容を詰めていきます。
問い合わせは、真庭市交流定住センターまで。

<真庭市交流定住センター>
〒719-3201 岡山県真庭市久世2374-3
TEL:0867-44-1031
Email:info@cocomaniwa.com
Webサイト:COCO真庭
開館日:水~日(10:00〜17:00)

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藤本一志

1994年岡山県岡山市生まれ。岡山大学環境生命科学研究科修了後、岡山市の企業に1年勤務した後、2020年3月に真庭市に移住。真庭市交流定住センターで移住支援員として情報発信に取り組みつつ、米農家、Webライターとしても活動中。ライター活動の一環で、移住に関するブログ「赤トンボの田舎暮らし」を運営。活動のミッションは「今ある風景を次世代につなぐ」。

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