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【GPEC施設園芸・植物工場展 in 愛知レポート】導入しやすい!お手頃価格!効果が見込めるアイテム

愛知県で開催された第6回目となる施設園芸・植物工場展2021「GPEC in 愛知」ではロボット、AI、IoTなどのスマート農業やアグリテック製品の展示がされていました。その中で、技術的にも予算的にも導入しやすい新規就農者や若手生産者にためのファーストステップとしてスマート農業技術を中心に紹介。施設園芸以外にも活用できる製品も。


GPEC愛知

撮影:紀平真理子
2021年7月14日(水)~16日(金)、6回目となる施設園芸・植物工場展(GPEC)が、愛知県の中部国際空港(セントレア)から徒歩圏内に新設されたばかりのAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)で開催されました。愛知県は、古くから施設園芸が盛んで、関連企業も数多くあります。今回は、スマートアグリジャパンと同時開催で、約100社が出展しました。

新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中での開催のため、入口には消毒用アルコール液が設置されており、マスクは着用必須で検温も実施。昼食時のフードコートや、施設内のフリースペースにもパーテーションが設置され、来訪者たちも距離を取って食事をとるなどの光景が随所に見られました。3日間で、のべ人数16,000名以上と、少しでも先端技術や先端知識にふれようと多くの人が訪れました。

テーマは「未来につなげるNIPPON農業」

GPEC2021
撮影:紀平真理子
近年は、台風や集中豪雨などの気象災害なども多発しています。そのような状況の中で、GPECのテーマは、「未来につなげるNIPPON農業」。
先端技術が活用されることの多い施設園芸においては、ロボット、AI、IoTなどのスマート農業やアグリテックが各ブースで紹介されていました。特に環境制御や養液栽培システム、栽培管理作業、収穫作業のためのロボットなどの新技術の実用化や普及によって、効率的に面積当たりの収量を上げることで省力化にもつながり、結果として環境負荷の低減にもつながるのではないかと考えられています。

スマート農業やアグリテックが黎明期(れいめいき)に入って数年経過した今回のGPECでは、技術的にも予算的にも導入しやすい、ファーストステップとしてスマート農業技術も展示されていました。この記事では、新規就農者や若手生産者にも購入しやすく、活用しやすい製品を中心に紹介します。また、最後に施設園芸生産者以外が活用できる製品も紹介します。

ファーストステップとして導入できる環境制御やモニタリング

導入しやすいスマート農業
撮影:紀平真理子
しっかりとした農業経営を行うためには、収量を増やし、経費を削減して収益を上げていくことが不可欠です。環境をコントロールしやすい施設栽培においては、環境のモニタリングにより不足している要因を発見し、不足分を適切に無駄なく補って光合成量を増やすことで収量や品質が向上します。環境要因とは、主に、光、水、二酸化炭素、温度、湿度、肥料などです。

環境制御システムの価格は、以前より低くなっていますが、それでも新規で農業をはじめた人には敷居が高い場合があります。GPECでメーカー担当者に聞いた新規就農者などのはじめの一歩におすすめの環境制御システムやモニターを紹介します。

必要な環境制御機能のみ導入できる

導入しやすい環境制御
撮影:紀平真理子
農業用ハウス向け総合環境制御装置Profarm-Controllerは、工業でのノウハウを持つ株式会社デンソーが開発し、トヨタネ株式会社が販売を手がけています。センサー情報を活用して光、養水分、CO2、温度、湿度、風などの管理を一括で行えるため、効果的な栽培が見込めます。しかし、価格は高額となるため、経営規模や状況によっては導入が難しい場合もあります。

Profarm-Controller
撮影:紀平真理子
メーカーの担当者によると、新規就農者などでも比較的導入しやすいのは、環境制御の機能が分割された「当盤シリーズ」だそうです。CO2発生機の濃度制御ができる「CO2当盤」、細かい温度設定により温度をなめらかに変化させる「だんぼう当盤」、ミスト装置に接続し、相対湿度を最適に管理する「しつど当盤」、日射量をもとに灌水などを制御する「ひかり当盤」、給排液管理や記録を行う「はいえき当盤」と、環境制御の機能が5つに分かれています。

環境制御のファーストステップに適している理由は?
・目的や所有している設備に応じて、一つのみ導入しても、組み合わせて使用することもできる。
・それぞれ10〜15万円程度。比較的低価格で購入できる。
・特に「だんぼう当盤」、「はいえき当盤」は、タッチパネルで操作も簡単。


ハウス内の環境をモニタリングすることから始める

ハウス環境モニタリング
撮影:紀平真理子
ハウス内の環境状況をモニタリングし、データを記録していくことで、収量や品質の向上、病害虫対策などに必要な対策が見えてきます。スマート農業への第一歩として、ハウス内のモニタリングを実施することは大きな意味があります。

株式会社farmoのハウス環境モニタリングシステムハウスファーモは、温度、湿度、照度、CO2、地中温、土壌水分、生長点付近の温度をセンサーでモニタリングし、飽差(1立方メートル当たりの空気中に残り何gの水蒸気を含むことができるかを示す値)も表示されます。担当者によると、はじめてモニタリングシステムを導入する人にも適しているそうです。

モニタリングのファーストステップに適している理由は?
・太陽光発電パネルが搭載されており、24時間稼働。
・配線不要でハウス内のどこでも設置でき、いつでも動かすことができる。
・クラウドを活用しているため、5分間隔でデータが更新されるハウス内の状況をスマートフォンで確認できる。
・すべてのセンサーが搭載された製品でも、税込107,800円と通信機税込53,900円で利用できる。自宅やハウスの近くにネット環境がある場合、月々の利用料は無料。近くにネット環境がない場合には、年間あたり税込11,000円の利用料金が別途必要。


省力化や効率化が環境負荷の低減につながる

施設園芸環境負荷の軽減
撮影:紀平真理子
GPECでは、2050年までにカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量実質ゼロ)の実現に向けて、施設園芸における二酸化炭素の効果的な活用方法や、環境負荷を低減するための取り組みについて提案する展示ブースも数多く見られました。

管理がシンプルで施用分がロスなく使われる二酸化炭素発生システム

真呼吸
撮影:紀平真理子
株式会社 誠和の低温CO2局所施用システム「真呼吸」は、使用方法が簡単で、あまり栽培やハウス内の管理に慣れていない生産者でも使いこなせるCO2の施用システムです。一般的には、CO2を施用すると同時に温度も上昇することが多く、それにともない湿度も変動するため、温室内の管理が複雑になります。その理由で、うまく栽培管理ができないケースもあるそうです。

二酸化炭素を植物に与えたいときに、熱はいらないと考えています。CO2と温度を分けて考えると、ぐっと栽培管理がしやすくなります。(株式会社 Delphy Japanの栽培コンサルタント)

また、低温でCO2を発生させるため、5月から盛夏の直前や、定植直後の8月中旬ころなど外気温が高い時期でも使用でき、収量アップが見込めます。

二酸化炭素施用

撮影:紀平真理子
「真呼吸」は、灯油燃焼方式のため、ランニングコストが低く抑えられます。さらに、株の間に細い子ダクトを入れ、植物の中を通って局所施用するため、投入したCO2が確実に植物にあたり、ロスが減ります。施設栽培の場合、栽培コスト削減のためにロス率が少ない機材や設備を導入すると、結果として環境負荷の低減につながる場合もあります。

コンテナリースでコストも環境負荷も低減

レンタルコンテナ
撮影:紀平真理子
日建リース工業株式会社のレンタルのメッシュコンテナも、段ボールの使用を削減できるなどの環境負荷の低減につながっていると、ブースの担当者が説明します。1カ月に何度でもコンテナを利用できる月割システムと、レンタル料がその都度発生する回数割りシステムから生産者は使用頻度に応じて選択できます。
全国に拠点が144箇所(2020年6月時点)があり、選択するシステムによっては納品後のコンテナの回収なども請け負ってもらえるそうです。

また、1,100mm×1,100mmのパレットにメッシュコンテナを載せることで、手積み手おろしからフォークリフトなどが活用できるようになり、省力化・効率化を図れます。特に重量野菜には適しています。また、パレットにはコンテナを5個載せることが一般的ですが、同社はメッシュコンテナを6個載せるシステムを構築したことで、より効率化が実現されています。

品種や肥料など施設園芸以外でも活用可能!

GPEC2021
撮影:紀平真理子
GPECでは、スマート農業やアグリテック技術だけでなく、品種による新しいマーケットの創出についての提案や、今までの栽培のスタンダードを超えた多角的なアプローチで変化する環境に対応するための資材の展示なども見られました。

パプリカとミニカラフル野菜

パプリカ品種
撮影:紀平真理子
高田種苗株式会社のブースには、オランダのライク・ズワーン社の品種が展示されていました。担当者によると、最もおすすめはスイートパレルモというクサビ型カラーピーマンのシリーズです。細長く甘いスイートペッパーで、糖度は8〜9度(パプリカ類の平均糖度は6度程度)、生でも食べられます。また、種が根元にしかないため調理も簡単です。赤、黄、オレンジ、チョコレート色の品種が展示されていました。

ミニトマト品種
撮影:紀平真理子
さらに、ライク・ズワーン社は、Snack(おやつ)とNibble(かじる)の造語の「SN!BS(スニブス)」という野菜ブランドを発表し、ミニサイズにしてスナック感覚で食べられるミニトマト、ミニキュウリ、ミニパプリカを提唱し、新たなマーケットの創出に一役買っています。

ミニキュウリ
撮影:紀平真理子

多角的なアプローチで秀品率を上げる

バイオスティミュラント
撮影:紀平真理子
栽培環境が変化する中では、多角的なアプローチで収量や秀品率の増加を効果的に目指していく必要があります。東海物産株式会社のブースに展示されていたエフエムシー・ケミカルズ株式会社の「秀品サポート肥料のストラクチャー」(東海物産株式会社は地域限定で販売)は、高活性腐植酸AOA(actagro organic acids)を7.0%配合する液状複合肥料です。高活性腐植酸をナノ化テクノロジーのより極小分子化することで、同量でも高い活性を実現し、根毛の発育を促進し、初期生育を向上させます。収量の増加や長期採りを目指す人にも適しているそうです。

新しい情報や製品を求めて訪れる生産者

GPEC愛知
撮影:紀平真理子
新型コロナウイルス感染症が収束しない状況において、移動や開催の制限があるため、過去のGPECと比べて規模は減少しているようでした。作目や販売方法によっては、経営に影響が出ている生産者も多く、投資控えも起こりうる昨今の状況であっても、少しでも有益で新しい情報を提供しようとする出展者と、情報を探す生産者がマスクごしに距離を取りながら積極的に会話や商談をする様子が見られました。

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紀平 真理子

オランダ大学院にて、開発学(農村部におけるイノベーション・コミュニケーション専攻)修士卒業。農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートやイベントコーディネートなどを行うmaru communicate代表。 食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。 農業専門誌など、他メディアでも執筆中。

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