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- 株式会社クリアー 代表取締役
東 直斗(ひがし なおと)西研究所公認MGインストラクター。 和歌山県田辺市出身。ソフト開発会社でエンジニアとして勤務の後、(株)藤原農機(現:GROWLAND)にて、農機具の仕入販売に加えて修理やEC・物流運営・宅配レンタル事業の開発など経営幹部として経験し、グループ企業として株式会社クリアーを設立。 「経営者の家庭教師」として、会計や経営の知識に加えて地方ビジネスの知見、DXやデータ分析の知恵、豊富な実務経験を活かして各地で個別企業支援を行う。…続きを読む
組織がうまくいかない時、すぐルールを作るのは危険?
株式会社クリアーの東直斗です。
僕はコンサルタントというより「経営の家庭教師」というスタンスで、一社一社の社長さんや幹部の方と一緒に、数字・仕組み・経営の考え方を整理していく仕事をしています。
僕自身も一人の経営者であり、「今年は無事に年末を越せるだろうか」と悩むこともあります。だからこそ、「なんとかして組織を良くしたい」と焦ってルールを作りたくなる社長の気持ちは痛いほどよく分かります。
でも実は、組織がうまくいかない時に、すぐ「ルール」の議論に持っていくのは少し危険なんです。
なぜなら、人はルールだけでは動かないからです。
ルールの前に、言葉の定義を揃える
社長と社員で違う「報連相」のイメージ
ある農園の社長さんから、こんな相談を受けたことがありました。
「東さん、うちの社員たちがもっときちんと『報連相』できるようにしてほしいんです」
よくあるお悩みですよね。そこで僕は、社長だけでなく社員さんたちも交えてミーティングを開きました。
すると、面白いこと……というか、根本的な問題が浮き彫りになったんです。
社長が思っている「報連相」と、社員さんが思う「報連相」。そもそも、この言葉が指す行動のイメージが、全員バラバラだったんですね。
農園にとってあるべき姿を導き出す
そこで僕は皆さんに聞いてみました。
「じゃあ、御社にとってどんな状態が理想ですか?」と。そして、出た意見を手当たり次第にホワイトボードに書き出そうとしたんです。
でも、皆さんから「良いイメージ」ってなかなか出てこないんですよね。
そこで僕はやり方を変えました。「じゃあ逆に、こんな状態は絶対にイヤだ!というネガティブなことを全部出してください」とお願いしたんです。
すると、現場のリアルな不満も含めてポンポン意見が出てくる。
その上で、「じゃあ、その反対の状態(理想)を目指すためにはどうすればいい?」と問いかけていきました。
そうやって話し合っていくうちに、「要するに、コミュニケーションが取れている状態だよね」という意見が出ました。
さらに「じゃあ、そのコミュニケーションってどういう意味?」
と深掘りしていくと、最終的に「お互いに聞きたいことが、いつでも聞ける状態」という定義にたどり着いたんです。
ルールを変えるより、働き方(文化)を変える
現場で起きていた「置いてきぼり」問題
この「いつでも聞ける状態」という共通の基準ができたことで、農園の動き方はガラッと変わりました。
実はそれまで、この農園の果樹園の剪定作業などで問題が起きていました。
最初はみんな同じ場所からスタートするんですが、経験年数の差によって、作業スピードが遅い若手スタッフがどんどん置いてきぼりになっていたんです。
作業が詰まって「ここ、どう切ればいいか分からない」となっても、先輩はずっと先のほうにいるからすぐには聞けない。
「まあ、後で聞こう」と思った結果、そのまま忘れてしまう……なんてことが頻発していました。
作業効率を劇的に上げた小さな工夫
そこで、「『いつでも聞ける状態』を作るなら、個々に離れ離れにならず、みんなで一箇所に集まって作業した方が効率がいいんじゃないか?」という話になったんです。
結果的に、仕事が早いベテランが、遅い若手のサポートにすぐ入れるようになり、チーム全体の作業スピードがグッと上がるという素晴らしい変化が起きました。
このエピソードからお伝えしたいのは、「うまくいっていない原因は、ルールの不在ではないことが多い」ということです。
経営の意思決定を支える「文化づくり」
ルールを見直す時に一番大切なこと
ルールは作って終わりではありません。運用しながら現場に合わせて変えていくものです。
そして、ルールを見直す時に一番大切なのは、「なぜそのルールが必要なのか?」「うちの農園にとって、どういう状態が理想なのか?」という基準(価値観)を全員で共有することです。
僕はシステムエンジニアとして「物事を分解して再現できる形に整える」訓練を積み、農機具屋に10年勤める中で農業現場特有の感覚を肌で学んできました。
その経験から言えるのは、仕組みやデータ(数字)を活かすのは結局「現場の人」だということです。
社長の意思決定をスムーズにする「文化」
時間をかけてでも「お互いの価値観」や「農園としての価値観」を共有し、浸透させていく。そういう「文化づくり」こそが、結果的に組織運営を円滑にする一番の近道になります。
経営者の最大の仕事は「意思決定」です。ルールで縛るのではなく、皆が同じ方向を向いて動ける文化があれば、社長の意思決定はもっとスムーズに現場へ浸透していきます。
明日からできること
まずは農園だけの「言葉の定義」を揃えよう
もし今、皆さんの農園で「ルール通りにスタッフが動かない」「チームの連携がうまくいっていない」と悩んでいるなら。
まずは新しいルールを作る手を止めて、スタッフの皆さんと話し合ってみてください。
「うちの農園にとって、『絶対にイヤな状態』って何だろう?じゃあ、その反対の『良い仕事』って何だろう?」
難しい言葉を使う必要はありません。皆さんの農園だけの「言葉の定義」を揃えること。社長さんだけでなく、社員さんやご家族も楽しく過ごせる農園づくりは、そこから始まります。
\ 経営のモヤモヤ、一緒に整理しませんか? /
株式会社クリアー 代表・東直斗が、あなたの農園の数字と向き合います。
まずはお気軽にご相談ください。






















