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園芸家
Shabomaniac!幼少期から40年以上、世界中のサボテンと多肉植物を栽培している園芸家。栽培が難しい種の播種や育成、新種の輸入にも早くから取り組む。実体験に基づく栽培方法や、自身が所有・栽培する植物の写真、自生地巡りの紀行をブログとInstagramで発信。長年の栽培経験に基づく豊富な知識で愛好家たちからの信頼も厚い。 Blog:http://shabomaniac.blog13.fc2.com Instagram:@shabomaniac 著書:『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』(日本文芸社)、『多肉植物サボテン語辞典』(主婦の友社)…続きを読む
葉や茎に水分をため込む性質をもつ多肉植物。通常の観葉植物ほど多くの水分を必要とせず、水をやり過ぎるとかえって根腐れを起こすことがあります。この記事では、多肉植物やサボテンの水やり方法を栽培歴が豊富なベテラン園芸家のShabomaniac!さんが解説。水やりのタイミングをどう見極めればいいのかなどもご紹介します。
多肉植物と観葉植物の水やりは何が違う?
多肉植物やサボテンは、日本に比べて雨の少ない乾燥した地域に自生しているので、一度の灌水でしっかり水を吸収し、植物体そのものが幹や葉を膨らませて水分を蓄える力をもっています。また、自生地の多くは年間の降水量が300〜500mm程度と日本の3分の1以下なので、そもそも生育にたくさんの水を必要としません。そのため、普通の観葉植物に比べると水やりが少なくて済み、むしろ水のやり過ぎによる根腐れに注意が必要です。サボテンやコーデックスの場合、生長が旺盛で株がパンパンに膨らんでいるときに水やりをすると、球体が破裂してしまったり、幹が割れてしまったりするので気を付けましょう。
多肉植物・サボテンの水やりは生育型に合わせることが基本
多肉植物・サボテンの水やりは、その植物の生育型に合わせてペースを調整することが原則です。生育型とは、熱帯地域や乾燥地帯に自生している多肉植物・サボテンを日本の環境下で育てる際の考え方で、春から秋によく生長するものを「春秋型」、「春秋型」の中で特に真夏の暑い時期に旺盛に生長するものを「夏型」、秋から春によく生長するものを「秋冬型」などと呼んで区別しています。
※一般的には「冬型」と称される種であっても、真冬にしか動かない純粋な冬型はほとんど存在しないため、ここでは冬を中心に秋から春にかけて生長するという意味で「秋春型」としています。
春秋型
サボテン科の大半の種、アロエ、ガステリア、アガベ、ディッキア、エケベリア、カランコエなど
3月下旬〜4月ごろから水やりを開始し、梅雨入りから夏の間は水やりの頻度を減らします。涼しくなる9月ごろからは、徐々に通常の水やりに戻します。ただし秋は日照時間が短く土の乾きが遅いので、春よりは間隔をあけます。11月ごろからは断水気味にして管理しましょう。

夏型
パキポディウム(マダガスカル産)、ドルステニア、アデニアなど
3〜4月ごろから水やりを始め、真夏でも活動しているので、梅雨明け以降の暑い時期もたっぷりと水をやります。10月ごろからは休眠に入るので水を切ります。
秋春型
チレコドン、パキポディウム(光堂)、メセン類、フウロソウ科のコーデックス(ペラルゴニウム、サルコカウロンなど)など
9〜10月ごろ、植物が生長の兆候を見せ始めたタイミングで水やりを開始します。冬場も水やりを続けますが、凍りそうなほど気温が下がる厳寒期は水やりのペースを落とします。3月ごろから通常の水やりに戻し、4月いっぱいまでは水やりを続け、5月くらいの初夏の時期には休眠に入るので、水を切るか、ごく少な目に与えるようにしましょう。
南アフリカ原産の多肉植物は大半が秋春型ですが、パキポディウムの「光堂(ナマクアナム)」はほかの秋春型の植物とは性質が異なるので、水やりの方法も変則的です。この種の場合、初夏の6〜7月に新芽を出すので、この期間は1週間に1回くらいのペースで水やりし、暑さの厳しい8月は節水します。9 月になったら水やりを再開し、冬の間も1週間に1回程度は水を与えます。花が咲き始める2月ごろからは水やりのペースを落とし、3〜4月ごろからは休眠に入るので水を切りましょう。

多肉植物・サボテンに水をやる頻度とタイミング
土が乾いたら
多肉植物・サボテンの水やりは、土が乾いてから行うのが基本です。水やり直後の土は黒っぽく湿っていますが、乾くにつれて白っぽくなります。
植物が水を欲しそうにしているとき

例えば、アロエの場合は葉の厚みが変わりますし、(あまり強く押し過ぎると傷んでしまいますが)弾力性も変わってきます。ただし、株がしぼんでいるからといって必ずしも水をじゃんじゃんかければいい、というわけでもありません。地上部の元気がないときにはおそらく根の状態も悪いので、いくら水をあげても吸収してくれません。
休眠期でないにもかかわらず株がしぼんでいるのであれば、一度株を鉢から上げて根の状態を確認し、不調の原因を検証する必要があります。
水の与え方は3種類
鉢の上から注ぐ
鉢の上からじょうろや水差しで水を注ぐのが、一般的な水やりの方法です。書籍などではよく「たっぷり水やりをする」という表現で書かれていますが、この「たっぷり」というのは、じゃぶじゃぶとたくさんの水をかけるという意味ではありません。たとえ水の量が少なくても、鉢内に水が行き渡り、鉢底から水が流れ出てくればOKです。

葉水(はみず)
葉水とは、霧吹きなどを使い、葉がぬれる程度に軽く水やりする方法のことです。吸水させるというよりも、夏の暑い時期に気化熱で葉の温度を下げるために行います。葉から水分を吸収する多肉植物はそこまで多くありませんが、例えばエアプランツとして親しまれているチランジア(根が発達していないため、朝夕の霧などから葉を通して水分を吸収する性質をもつ)は葉水が不可欠です。
腰水(こしみず)
腰水とは、トレーや受け皿などの容器に水を張ってそこに鉢を浸し、底面から水を吸わせる灌水方法のことです。腰水を行うシーンは大きく分けて2通りあります。1つは絶対に水を切らしたくない場合です。沼地に自生しているような植物は非常に水切れに弱く、鉢の中を常に湿らせておく必要があるため腰水が有効です。また、種まきの際にも、種子を乾燥させると発芽率が悪くなったり、上から水をかけると小さな種子が流れてしまったりするので、基本的には腰水で管理します。2つめは、植物本体をぬらしたくない場合です。サボテンのロフォフォラなどは上から水をかけると毛が汚れてしまうため、鑑賞上の理由から腰水を利用することがあります。

夏場・冬場の水やりで気を付けること
多肉植物に限ったことではありませんが、夏場の暑い時間帯に水やりすると、鉢の中で水が煮えてしまい、根が傷んで枯れることがあります。できるだけ朝方や夕方の涼しい時間帯に水やりを行い、鉢内が蒸れないよう注意しましょう。一方の冬場は、気温が低いときに水やりすると鉢内で水が凍ってしまうため、晴れの日の午前中など、暖かいときを見計って水やりしてください。
多肉植物の水やりに使う道具
じょうろ
排水口が細いタイプの水差しだと、水の勢いが強過ぎて鉢内の土が流れ出てしまうことがあるため、ハス口の付いたじょうろの方がおすすめです。

霧吹き
葉水を与える際には霧吹きを使いましょう。殺虫剤や殺菌剤を散布するときにも霧吹きがあると便利です。
水のやり過ぎが原因で起こるトラブル
根腐れ
根腐れとは、水のやり過ぎなどが原因で根が腐ってしまった状態のことです。根腐れを見極めるには、鉢から株を抜き出して根の状態を確認してみることが一番です。根の腐りが地上部にまで進行している場合、その植物はまず助かりません。1〜2日もすればそのまま潰れてしまうでしょう。同じ種の植物をいくつか育てている中で、ほかは元気なのに新芽が出なかったり花が咲かなかったりする株があれば、大抵は根腐れもしくはカイガラムシが付いているなど、根に何か問題があるはずです。
葉が枯れる
葉が枯れるのも結局は根腐れが原因であることがほとんどです。水をやり過ぎたせいで根が腐り、水を吸収できなくなれば葉が枯れます。
多肉植物・サボテンの水やりQ&A
植え替え前に水やりを控えるのはなぜ?

植え替え後に水やりを控えるのはなぜ?

多肉植物の植え替えはこちらで詳しく解説!
葉に水をかける?かけない?

葉にシワが寄っているのは水不足だから?

屋内管理と屋外管理とで水やりの方法は変わる?

長期で不在にする場合の管理方法は?

多肉植物・サボテンの水やりは植物のコンディションをよく観察して
多肉植物・サボテンの水やりは、ネットや書籍に書いてある方法をそのまま実践するのではなく、自分の栽培環境で植物がどのように生育するのかに合わせて調整することが大切です。普段から植物の状態をよく観察し、適切な水やりのタイミングを見極められるようになりましょう!

























