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生産性が高いオランダ。農家の効率的な休憩時間の過ごし方は「コーヒー2杯」?|おしゃれじゃないサステナブル日記No.36

【連載】農業・食コミュニケーターとして活動する 紀平真理子さんの「農業と環境」をテーマにしたコラム「おしゃれじゃないサステナブル日記」。 第36回は「生産性が高いオランダ。農家の効率的な休憩時間の過ごし方は『コーヒー2杯』?」生産性や効率化を重んじるオランダ人のコーヒーブレイクで、2杯のコーヒーが意味するものとは?!


オランダのコーヒー

写真提供:maru communicate 紀平真理子
前回の「多品目でなく単品で直売所!?ジャガイモのポップアップストア(No.35)」では、オランダのジャガイモポップアップストアについて取り上げました。



今回もオランダネタです。オランダは、就業者一人あたりの労働生産性が高く、農業分野でも「生産性」や「効率化」がキーワードになっています。友人たちからは、「休憩時間に10分のnap(うたた寝)をすると、その後効率的に働けるので、napしろ!」と何回か勧められたこともあります。そんなオランダ生産者の効率的な休憩時間の過ごし方(!?)にせまります!オランダに農業視察へ行くときにも参考になるかも?

取材で訪れると「Koffie of thee?」

オランダ視察
写真提供:maru communicate 紀平真理子
AGRI PICKのおしゃれじゃないサステナブル日記や、農業経営者のオランダ通信の中に、実は何度もこっそりと「オランダの休憩ではコーヒーは2杯」の話を忍び込ませています。これに気づいていた人はどれくらいいたのか定かではないですが、帰国後5年経過した今だからこそ、ついに「コーヒー2杯」の真実に真正面から迫ることができそうです。

取材で生産者を訪問するや否や「Koffie of thee?(コーヒー?紅茶?)」と聞かれ、同時に農作業の休憩時間に入ります。視察や取材に慣れていない人の場合は、そう言いながらコーヒーマシーンに手がかかっているので、日本人の私は「koffie, alstublieft(コーヒーをお願いします)」と下手なオランダ語で答えるのです。

コーヒーと一緒に出てくるシェアおやつ

少し待つと、コーヒーのいいにおいがしてきます。コーヒーと同時に、おやつを一つ(クッキー1枚とか)が一緒に手渡されます。大きなカンに入っているところから、直接一つだけ取ってと言われることも。「一個しかだめ!」とたしなめられたことはないですが、一つだけという雰囲気です。空気を読む私は、やはり日本人気質です。

絶妙なおかわりのタイミング

取材をしながらコーヒーを愉(たの)しんで、ちょうどなくなったころに2杯目のオファーが入ります。こうなるともう言われるがまま、2杯目に突入です。この取材スタイルに慣れてからは、コーヒーを飲まずに取材先を訪れて、1日のコーヒー摂取量を調整するスキルを身につけました。

コーヒーの終わりが取材の終わり

2杯目のコーヒーがなくなると、取材終了の空気が漂います。3杯目のオファーもありません。蛍の光のメロディが耳元で流れる、そんな雰囲気です。聞きたいことがある場合は、コーヒー2杯を飲みきる前に聞きましょう。答えてはくれますが、蛍の光が流れながらの回答です。

一度、取材相手に「休憩時間にはコーヒーを2杯飲むの?」と聞いたことがあります。その答えは、「休憩は午前と午後の2回で、それぞれコーヒー2杯とおやつだから」でした。習慣なのでしょう。

オランダ生産者に休憩について聞いてみた

オランダのコーヒー
写真提供:maru communicate 紀平真理子(オランダ生産者にいただいたコーヒーカップ。農業関連企業のノベルティーはコーヒーカップが多い)
実際に、休憩時間に何を食べて、何を飲むの?と改めてオランダの生産者に数名ですが聞いてみました。

「9時にコーヒー2杯とパン1枚で、15時にコーヒー2杯とクッキー1枚!」

「休憩中にはコーヒー2杯。おやつは食べない。」

「普段はおやつは食べず、週末にはいつもポテトチップスを食べるよ。」

特筆すべきは、飲みものや食べものが年間通して同じ!無駄がない!お客さんが来ても特別なものを用意せず、同じ!オランダでは、「コーヒーの人、紅茶の人、カプチーノの人」と分類されることもよくあります。気分で変えることは許されるのでしょうか。そして、やはり…コーヒー2杯は決まっているのでしょう(笑)。

【番外編】日本の農家にも休憩中の飲食について聞いてみた

農家の休憩
出典:写真AC
日本の生産者にも、おやつと飲み物について聞いてみました。コーヒーの人もいれば、麦茶、緑茶、水、炭酸水などさまざま。同じ人でも冬はコーヒー、夏はお茶など季節によって変えているという声や、その日の気分で変えるという声もありました。おやつは食べないという声が圧倒的に多いですね!畑からつまみ食い、夕食までもたずにチキン、ちょっと菓子パンなどで小腹を満たすという話も。日本は食が豊かな国なんだと心底思いました。

決まった曜日や時間に決まったものを摂取し、効率的に休憩時間を過ごすオランダと、季節や気分に応じて食べものや飲みものを変えて、食を楽しむ日本の対比がいいですね。「麦茶」や「トウモロコシ」などの言葉から、高温多湿な日本の夏を想起させます。どちらが優れているというわけではないですが、「効率」と「豊かさ」の共存は課題かもしれません。

追伸:「世界または日本の農家の休憩」というテーマで、誰か写真集を一緒に作りませんか。

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紀平真理子(きひらまりこ)プロフィール
1985年生まれ。大学ではスペイン・ラテンアメリカ哲学を専攻し、卒業後はコンタクトレンズメーカーにて国内、海外営業に携わる。2011年にオランダ アムステルダムに移住したことをきっかけに、農業界に足を踏み入れる。2013年より雑誌『農業経営者』、ジャガイモ専門誌『ポテカル』にて執筆を開始。『AGRI FACT』編集。取材活動と並行してオランダの大学院にて農村開発(農村部におけるコミュニケーション・イノベーション)を専攻し、修士号取得。2016年に帰国したのち、静岡県浜松市を拠点にmaru communicateを立ち上げ、農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートなどを行う。食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格。著書『FOOD&BABY世界の赤ちゃんとたべもの』
趣味は大相撲観戦と音楽。行ってみたい国はアルゼンチン、ブータン、ルワンダ、南アフリカ。
ウェブサイト:maru communicate

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紀平 真理子

オランダ大学院にて、開発学(農村部におけるイノベーション・コミュニケーション専攻)修士卒業。農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートやイベントコーディネートなどを行うmaru communicate代表。 食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。 農業専門誌など、他メディアでも執筆中。

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