農業近代化資金とは|金利や審査の流れ、利子補給についても解説

農業経営において、設備投資などまとまった資金が必要になることがあります。資金調達の方法の一つとして融資が考えられますが、種類は多岐に渡ります。
ここでは農業近代化資金の対象事業や金利、審査の流れのほか、融通法にもとづく利子補給(利子助成)についても解説します。


農業近代化資金

出典:写真AC
農業近代化資金は、機械や施設の整備資金から長期運転資金まで幅広い用途に活用でき、返済期限も長期で低利の資金です。貸付限度額も、個人の場合は1,800万円、償還期限は15年で、条件によっては利子補給も適用できます。認定農業者でなくても活用できる農業近代化資金の金利や融通法にもとづく利子補給、審査の流れなど幅広く説明します。

農業近代化資金とは

農業近代化資金
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農業近代化資金とは、農業を営んでいれば認定農業者でなくても、農業経営の改善を図るために必要な資金を長期にわたり低利で借入できる資金です。

利用できる人

農業近代化資金を利用できる人は以下の通りです。
・認定農業者
・認定新規農業者
・主業農業者(農家所得の50%以上が農業所得で、年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家)
・集落営農組織
・農業を営む任意団体など
・JAや農協連合会

農業近代化資金を受けられる用途は?

農業近代化資金の主な対象事業は以下の通りです。
使いみち 具体例
施設、農機 畜舎・果樹棚・農機具など生産・流通・加工に必要な施設の改良・造成・復旧・取得
果樹、永年作物 植栽・育成
※認定農業者以外は、果樹、オリーブ、茶、多年生草本、桑または花木の植栽・育成に限定
畜産 購入・育成
農地 事業費1,800万円を超えない規模の改良・造成・復旧
農業経営 規模拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、農業従事の改善など
出典:農業近代化資金融通措置要綱(農林水産省)
(https://www.maff.go.jp/j/keiei/kinyu/kindaika/attach/pdf/index-15.pdf)

返済期限

返済期限は、資金使途に応じて7〜20年以内です。

認定農業者の場合

借入期間は15年以内で、そのうち「元金返済が猶予され、利息だけを払い込む期間」である据置期間は7年以内です。

認定農業者以外の農業者の場合

借入期間は15年以内で、そのうち据置期間は3年以内です。

認定新規就農者が認定青年等就農計画に従って就農する場合

借入期間は17年以内で、そのうち据置期間は5年以内です。

借入限度額

借入限度額は、農業を営む個人の場合は1,800万円、法人・団体の場合は2億円です。

借入金利(年)

令和元年12月時点の金利は0.20% です。ただし、認定農業者に対する特例(借入期間に応じて0.16〜0.18%)もあります。

融資率の上限

融資率は、認定農業者の場合は総事業費の100%です。ただし、補助金が交付される場合は、総事業費から当該補助金の額を差引いた額の借入ができます。認定農業者以外の担い手の場合は、総事業費の80%で、補助金が交付される場合は、総事業費から当該補助金の額を差引いた額の80%が融資されます。

条件が合えば、利子補給も適用

農業近代化資金
出典:Pixabay
農業近代化資金は、条件によっては国が利子補給を行う措置が適用されます。


融通法にもとづく利子補給とは

利子補給とは、農業近代化資金融通法にもとづき、農業資金の融資を受ける農業者などに対して借入負担の軽減策を図ることです。農業近代化資金の場合は、補給対象期間内にJAから対象資金の借入を行い、条件を満たした場合に適用されます。

適用される人

利子補給の対象者は以下の通りです。
1. 認定農業者
2. 認定就農者(経営開始後5年以内であり、かつ就農計画の認定後10年以内)
3. その他
a. 農業所得が総所得の半分以上(法人は、当該法人の農業に係る売上高が総売上高の過半)を占めていること、または農業粗収益が200万円以上(法人にあっては1,000万円以上)であること。
b. 主として農業経営に従事すると認められる青壮年の家族農業従事者がいること。法人は、常時従事者である構成員がいること。
c. 60歳以上の個人の場合、後継者が農業に従事しており、将来においても主として農業に従事すると見込まれること。
d. 簿記記帳を行っていること。

その他、農業参入法人や集落営農についても対象となる可能性があります。

補給対象の期間

補給対象期間は、借入日から最長5年間です。

参考:農業近代化資金に関する法律・通知等|農林水産省
(https://www.maff.go.jp/j/keiei/kinyu/kindaika/)

農業近代化資金の審査と借入の流れ

農業近代化資金
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農業近代化資金の一般的な借入の流れです。借入までに1カ月半〜2カ月程度かかるので、余裕をもって申請しましょう。

1. 問い合わせと書類提出

借入申込希望書と経営改善資金計画書を窓口機関であるJA、銀行などに提出します。また、書類作成について普及指導センターや市町村などに相談することも可能です。

2. 審査

これまでの経営状況や、経営改善のための計画は適切さ、実行可能性、経営改善のための計画が実行された場合の融資の返済可能性などが審査されます。

3. 融資可否の連絡

審査結果の連絡を原則として1カ月半以内に受けますが、審査の結果、経営改善資金計画の達成や融資返済の可能性に疑問があるとされた場合は、再度判断するなど対応されます。

出典:創意工夫で経営を発展させたい方へ-農業経営改善関係資金のご案内-(農林水産省)(https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_kasituke/syunou_shikin/pdf/annai_160407.pdf)

さらなる発展のために、農業経営者であれば借入可能!

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農業近代化資金は、認定農業者でなくても借入ができ、幅広い用途で活用できる資金です。また、借入金利も低利ですが、条件が合えば利子補給を受けることができます。さらに、新型コロナウイルス感染症の対応策として、実質無担保、5年間は実質無利子で債務保証料も免除になります(2020年11月現在)。農業経営において資金が必要な際は検討してみてはいかがでしょうか。

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紀平 真理子
紀平 真理子

オランダ大学院にて、開発学(農村部におけるイノベーション・コミュニケーション専攻)修士卒業。農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートやイベントコーディネートなどを行うmaru communicate代表。 食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。 農業専門誌など、他メディアでも執筆中。

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