これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
お客さんが来ない静かな夏
我が家の夏は毎年、家族だけでご飯を食べることがほとんどないぐらい、次から次へとお客さんが来ます。田舎暮らしといっても南阿蘇は国立公園の中で、「九州の北海道」ともいわれる避暑地。夏は特に国内外からいろいろな方が遊びに来てくれますが、もちろん今年はそういったことはありません。お盆も例年は40人前後の親戚が集まるのですが、それもなし。
寂しいかなと思いきや、実は「超~ラク♪」というのが本音です(笑)。
家族だけでも6人もいて十分にぎやかだし、自分が思っている以上に来客に気を遣っていたことに気付きました。もちろん、コロナが収まってまたにぎやかな夏になるのもうれしいのですが、今年は比較的静かな夏を楽しみたいと思っています。
男子の夏
3人の息子は中学3年生と小学校6年生になり、それぞれ最終学年を迎えました。そんな今年の短い夏休みを彼らは「遊ぶ!」と決めたそうで、甲子園を観たり、野球の自主練をやったり、スマホの野球ゲームをしたりと、1日の大半を大好きな野球に関する行動をしています。その合間に、暑くなったらプライベートビーチならぬプライベートリバーのような川や水源に行き、冷たい水にドボンと飛び込み、静かになったなぁと思って見ると、マンガを読んでいる…。
勉強している姿はまったく見ませんが、ペンキ塗りは頼まないでも手伝ってくれたし、私がキレる前に家事も手伝ってくれる(笑)。息子たちらしい男子の夏を過ごしています。
女子の夏
一方、性差ってこんなにあるんだ、と生まれたときから私に教えてくれている末っ子の長女の夏はというと…。「今日は私が朝ごはんを作るね」とか、「日焼けするからお家で遊ぶわ」とか、男子の口からは決して出ないセリフを吐き、かわいい洋服を着て、お化粧をして、誕生日におばあちゃんからもらったキラキラシールで、ネイルアートまでする毎日。そして、その格好で田んぼの見回りについてきたかと思うと、キラキラの爪のままカエルを捕まえて「かわいい~♪」とウットリ。
5歳にして母親である私より何倍も、いや何十倍も女子力が高く、私や夫や兄貴たちを振り回しています。
そんなわけで、お客さんは来ませんが、4人の子どもたちに存分に楽しませてもらっている2020年の夏。
平常時でもコロナ禍でも、人にほとんど会わずに、家族みんなが遠慮なく屋外で過ごせるのは田舎暮らしの醍醐味だと、いつにも増して実感したような気がします。
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
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