カランコエの種類と育て方｜プロ監修！花を咲かせるコツや間延びの防止方法、挿し木など徹底解説

種類が非常に多く、性質や見た目もバリエーションに富む多肉植物「カランコエ」。カランコエは、種類を大まかに分類すると「花を楽しむタイプ」と「葉姿を観賞するタイプ」に分かれます。
この記事では、カランコエの育て方について、観葉植物のプロ・白田仁さんに詳しくお話しを聞きました。また、グリーンインテリアにぴったりな個性的な葉姿のものや、華やかな花が楽しめるものなど、おすすめの品種も紹介します！

カランコエについて教えてくれたのは

白田 仁さん

ボタニカルショップ「NEO GREEN 渋谷」オーナー。
NHK「趣味の園芸」テキストで、園芸ダイアリーの観葉植物を担当し、執筆・監修を2年間務める。そのほか、インテリアグリーンに関する本の監修も多数。店舗で扱う植物は、全て自身の目で厳選し、鉢合わせしたもの。植物とかわいらしいネコ達との暮らしが垣間見れるインスタグラムは必見！

HP：http://www.neogreen.co.jp/
Instagram：https://www.instagram.com/neo_green/

NEO GREEN 渋谷

あわただしい現代生活を送る都市生活者に向け、グリーンポットを提供。観葉植物をよりインテリアに取り入れやすいよう、「景色をつくる」鉢合わせを追求しています。
「NEO GREEN 渋谷」では、 ほっこりかわいらしい「どんぐりポット」から、マニアックな多肉・観葉植物まで、さまざまな植物に出合うことができます。

ADDRESS：東京都渋谷区神山町1番5号グリーンヒルズ神山 1階
OPEN：12:00-20:00
TEL／FAX：03-3467-0788
E-MAIL：[email protected]
定休日：月曜日（祝祭日にあたる場合は火曜日）

白田さん監修の記事をチェック！

カランコエの魅力とは？

観葉植物タイプのカランコエの魅力は、何と言ってもその個性的な葉の形や色、質感にあります。特に「ベハレンシス」や「トメントーサ」などの葉が毛に覆われているタイプは、まるでベルベットのような手触りで、いつまでも触っていたくなるほど！ほっこりとした見た目にも癒されます。
また、花を観賞するタイプのカランコエは、開花時期になるとぎっしりと小花を咲かせ、目を楽しませてくれます。花色もとても鮮やかで、にぎやかな印象です。

カランコエの花と花言葉

園芸店などでは、ピンクや赤、オレンジ、黄色といったカラフルな花を咲かせるカランコエをよく見かけます。これらは花を観賞するタイプのカランコエで、小花がみっしりと咲く「ミリオンスター」や八重咲きの「クイーンローズ」、釣り鐘型の花が特徴の「ウェンディ」、「テッサ」などが人気の品種です。
ちなみに、観葉植物として葉姿を楽しむタイプのカランコエも花を咲かせますが、その色や姿はとても地味なものになります。

カランコエの花言葉

「幸福を告げる」「たくさんの小さな思い出」「おおらかな心」

カランコエの基本情報

基本情報

学名	Kalanchoe
英語名	Kalanchoe
科名	ベンケイソウ科
属名	リュウキュウベンケイ属（カランコエ属）

原産地

特徴

草丈

10～50cm

耐寒性

普通

耐暑性

強い

カランコエの種類と品種

ここからはおすすめのカランコエの品種を紹介していきます。それぞれの栽培難易度は、星の数（☆～☆☆☆☆☆）で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど育てやすい品種になります。

カランコエ・ベハレンシス

波打つギザギザの葉が個性的な「ベハレンシス」。和名では「センニョノマイ（仙女の舞）」と呼ばれます。ベハレンシスの葉の波打ち方や色味にはかなり個体差がありますが、画像は深い茶色をした美しい株。この葉色は、新葉のうちは茶色が濃く、生長と共に薄くなって緑に近い色味になっていきます。

カランコエ・ベハレンシス・ファング

葉裏にボコボコとした突起があるのが特徴の「べハレンシス・ファング」。緑の葉に映える、赤茶色の縁取りもチャーミングです。葉の大きさは10cmほどと小さく、コンパクトに育てられる品種です。

カランコエ・ベハレンシス・ファンクイーン

こちらも、成葉が10cm未満のコンパクトな品種「ベハレンシス・ファンクイーン」。葉の形は最初に紹介した「ベハレンシス」と似ていますが、生えている白い毛により青白く見えます。画像は小スペースでも楽しめる3号鉢仕立てです。

カランコエ・オルギアリス

「センニンノマイ（仙人の舞）」という和名を持つ「オルギアリス」は、落ち着きのある柿渋色の葉が特徴です。これは葉に密生した茶色の毛によるもの。画像はまだ初期の子株で、盆栽のように小さな鉢に植えられています。枝分かれしにくい品種なので、シンプルな姿が楽しめるのも魅力。

カランコエ・トメントーサ

「月兎耳（つきとじ）」という和名でも親しまれる「トメントーサ」は、白い毛に覆われた細長い葉が美しい人気の品種。葉の縁に入ったこげ茶色のアクセントも、おしゃれな見た目に一役買っています。

カランコエ・プベスケンス

すっきりシンプルな葉形が、マットな質感によく合う「プベスケンス」。画像は子株の状態ですが、生長すると徐々に幹が立ち上がるように伸びていきます。

カランコエ・ウェンディ

栽培難易度

☆☆☆

「ウェンディ」も、フィフィと同じくベル型の花を咲かせる品種です。花の色は赤く、花弁先端がフリル状にめくれているのが特徴。このフリル状の部分と花弁の裏はクリーム色で、とても華やかな印象です。花付きも良いので、開花時期になるととてもにぎやかな雰囲気に！

カランコエ・サニーデイ

栽培難易度

☆☆☆

「サニーデイ」はウェンディの八重咲き種で、花色は一重のウェンディより渋めのエンジ色。花弁先端のクリーム色とのコントラストが強く、華やかです。まるでシックなシャンデリアのような、豪華な花を咲かせる品種です。

カランコエ・クイーンローズ

栽培難易度

☆☆☆

マダガスカル原産の「カランコエ・ブロスフェルディアナ種」を元に育種された「クイーンローズ」。花を観賞するカランコエの仲間としては、最も普及している代表的な種類で、日本ではこの種類の総称を「カランコエ」と呼んでいるほどです。中でもこの「クイーンローズ」は、草丈20cm前後の矮性多花の八重咲きで、葉が見えなくなるほどぎっしりと花を咲かせます。花色も赤やオレンジ、ピンク、黄色、白など明るく鮮やかで、豊富なバリエーションがあります。

カランコエ・テッサ

栽培難易度

☆☆☆

「テッサ」は、オレンジ色でベル型の花を咲かせる品種です。花のベル型の筒部分は細く、可憐で爽やかな印象。自重でしだれてくるので、吊り鉢仕立てにすると優雅な姿となります。

カランコエ・フィフィ

栽培難易度

☆☆☆

「フィフィ」は、カランコエの仲間では珍しい、匍匐（ほふく）しながら生長する品種です。下垂させ、吊り鉢仕立てで多く販売されています。開花時期になると、サーモンピンク色をしたベル型の愛らしい花をつけます。まだ生産量が少ないため、あまり流通していない品種です。

カランコエの室内での育て方

栽培カレンダー

適した置き場所

カランコエは光の弱い場所で育てると、徒長して姿が乱れてしまうため、日当たりの良い場所で管理しましょう。葉の表面に生えている白い毛は、直射日光を浴びても日焼けしないので、変色の心配はありません。

水やり

用土の表面が乾き切ったら、鉢底穴から流れ出るくらいたっぷり水を与えましょう。常に用土が湿っている状態では、根腐れを起こしてしまいます。メリハリのある水やりを心掛けましょう。

肥料

生長期である4～9月は、2カ月に一度緩効性肥料を与えます。


観葉植物の肥料についてはこちらの記事で！

温度

カランコエの生育に適した気温は、18～30℃。耐えられる最低気温は5℃が目安です。
カランコエは、暑さには強いですが、33℃以上の酷暑が続くと生育が鈍ります。夏は長時間の日照を避けられる場所に植えるか、遮光ネットなどを利用して、強い日差しを遮りるようにしましょう。

用土

多肉植物の用土には、排水性に優れたサボテン用の配合土がよく利用されますが、カランコエには水はけが少々良過ぎてしまいます。おすすめなのは、排水性と保水性を兼ね備えた、サンセベリアとアロエ用の配合土です。

日頃の手入れ・管理

観葉植物として室内で育てる場合は、風通しを意識して管理するようにしましょう。

間延びやひょろひょろになる原因は？カランコエQ&A

きちんとお世話をしていたはずのカランコエが、ひょろひょろとした寂しい姿になったり、花が咲かなかったり…。そんなお悩みやトラブルはありませんか？そこで、ここではカランコエを育てているとよくある疑問や困りごとにについて、白田さんに対処法を聞きました。

Q. カランコエが間延びした!?ひょろひょろになる原因は？

Q. 開花後のカランコエは、花茎を切ったらもう一度咲きますか？

Q. 春にはまた咲きますか？

Q. 葉っぱばっかりで花が咲かない…なぜ？

Q. 蕾（つぼみ）がついたのに開花しない！どうすれば良い？

Q. 地植えにしたカランコエの冬越し方法は？

Q. 木質化したカランコエは元に戻りますか？

Q. カランコエの葉が落ちる原因は？

カランコエの植え替え方法

カランコエの葉数が減ってきたら、根詰まりを起こしている可能性があります。鉢増しをして、根が伸びるスペースを作ってあげましょう。植え替えをした後は、定着するまで5～7日ほど水やりを控えてください。

カランコエの切り戻し・剪定のコツ

姿が乱れて仕立て直しをするときや、葉数を増やしたいときに切り戻します。切ったところから新しい葉が出てくるので、葉を増やしたい箇所のすぐ上でカットするようにしましょう。

カランコエの増やし方｜挿し木（挿し芽）・葉挿し・子株

カランコエは、挿し木（挿し芽）や葉挿し、子株により増やすことができます。

挿し木（挿し芽）

葉を数枚残し、先端部分を切り取ります。挿し木（挿し芽）の発根を促すため、風通しの良い場所に3日ほど置き、切り口を完全に乾かしましょう。切り口が乾いたら、用土に挿します。使用する用土は、市販の観葉植物用の培養土でOKです。

挿し木を水挿しする方法

カランコエの挿し木を水挿しする場合は、茎部分の腐敗を避けるため、水に浸かる部分が1cmくらいになるよう調整しましょう。容器の淵に葉を引っかけたり、輪ゴムやヒモを利用したりして、水に深く沈まないように工夫します。水は新鮮さを保つように2〜3日に1度新しい水に替えてください。発根後、1カ月前後で培養土に植え付けます。

観葉植物の挿し木（挿し芽）の詳しい方法はこちらの記事で！

葉挿し

葉挿しの方法は、葉を根元から採り外して用土の上に寝かせて置くだけと、とても簡単！しばらくすると、葉の付け根から子株と根が出てきます。子株がある程度大きくなったら鉢上げしましょう。
画像は「トメントーサ（月兎耳）」の葉挿しの様子。子株にもしっかり毛が生えており、まるでフェルト細工のような愛らしさです。

子株

株元から子株が吹いてくる「ベハレンシス」は、子株を切り離し、移植することで増やすことができます。

カランコエの病気・害虫

カイガラムシ

風通しの悪い場所で長期間管理すると、カイガラムシがつくことがあります。空気が滞りがちな部屋は、送風機などで風を送るようにすると良いでしょう。
カイガラムシがついてしまった場合は薬剤を散布して対処します。ただし、カイガラムシの成虫を駆除しても卵が残っていることが多く、完全に駆除するのはなかなか大変。カイガラムシ用の駆除剤には、植物に薬剤を吸収させ、それを吸った成虫にダメージを与えるものや、油で窒息死させるといったタイプのものがおすすめです。

ナメクジ

カランコエは屋外で育てていると、ナメクジの被害に遭うことも。ナメクジは葉をかじってしまうので、見た目も悪くなってしまいます。市販のナメクジ駆除剤で、早めに対策するようにしましょう。

カランコエのある暮らし｜インテリア実例

個性的な葉姿をオブジェのように楽しむ

葉の重みで自然に広がる「ベハレンシス」は存在感たっぷり！毛の生えたマットな質感で、モダンなインテリアにもぴったり合います。

美しい葉姿を堪能できる大鉢仕立て

成葉が30cmほどになる「ベハレンシス」は、大鉢仕立てにすると迫力満点！画像の株は、葉の表面に密集した白い毛により青白く見える「ホワイトリーフ」と呼ばれる品種です。

カランコエを育ててみよう！

観葉植物タイプの「カランコエ」は、個性的な葉姿だけでなく、ベルベットのような触り心地も楽しめるのが魅力です。ぜひお気に入りの一鉢を見つけて、育ててみてくださいね！