このような状況の下、法務省は受け入れ企業で実習継続が困難になった外国人技能実習生が国内で雇用継続できる特例措置を設け、人手不足の業種とのマッチングを図ることとしました。
現在の入国規制(2020年4月28日現在)
4月27日に日本政府は「水際対策強化に係る新たな措置」を決定しました。これにより、入国拒否対象地域が14カ国・地域追加され、全体で87か国・地域となりました。その中には、農業分野の外国人技能実習生の送り出し国である中国、ベトナム、タイなどが含まれており、2020年春から雇用予定だった技能実習生が1,900人程度来日できなくなっているとの報道もあります。アジア地域における入国拒否対象地域 | インドネシア、シンガポール、タイ、韓国、台湾 中国(香港およびマカオを含む) フィリピン、ブルネイ、 ベトナム、マレーシア |
新型コロナの影響を受けた実習生への雇用維持支援
新型コロナウイルス感染症の影響は個別の企業活動のみならず、経済全体に大きな影響を与え始めています。そこで、同省出入国在留管理庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇されるなど、実習の継続が困難となった技能実習生、特定技能外国人の雇用を維持するため、再就職の支援を行うとともに、一定の要件を満たす場合に在留資格「特定活動」を付与することにしました。この在留資格では、日本政府が指定する農業を含む14種類の特定産業分野において就労が可能です。通常技能実習生は、別の職種への転職ができませんが、特例として異業種への転職が認められます。解雇された実習生が日本での就労継続を希望する場合、在留資格を「特定活動」に変更することで最大1年間の就労が可能になります。例えば宿泊業など、同じ職種で実習の継続が困難な技能実習生が国内での就労を継続できます。
実習が継続困難となった実習生の情報は出入国在留管理庁に集められます。そのうち農業分野を希望する実習生の情報は農林水産省に提供されて、マッチングが行われます。
支援の内容や要件は?
技能実習生などに対する雇用維持支援の内容や要件は以下のとおりです。対象
新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され、実習が継続困難となった技能実習生、特定技能外国人等付与される在留資格・期間
特定活動(就労可)・最大1年実習生などが行える活動
受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける活動が対象です。在留資格「特定技能」の対象となるのは、人材を確保することが困難で、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)。農業など14分野が指定されています。
農業における具体的な業務としては、耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)が指定されています。
参考:在留資格「特定技能」とは(公益財団法人国際人材協力機構ウェブサイト)
主な要件
1. 報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること2. 申請人が受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付けることを希望していること
3. 受入れ機関が申請人の雇用を希望するものであること
4. 受入れ機関が申請人を適正に受け入れることが見込まれること(在留外国人を雇用した実績、出入国・労働関係法令の遵守等)
5. 受入れ機関が必要な技能等を身に付けることなどについて指導、助言等を行うことのほか、在留中の日常生活等に係る支援を行う担当者を確保して適切に行うことが見込まれること
6. 受入れ機関が申請人を受け入れることが困難となった場合には地方出入国在留管理局に速やかに報告することとしていること
参考:「新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援について」(令和2年4月17日出入国在 留管理庁)
支援を受けるための必要書類
1. 在留資格変更許可申請書(顔写真が必要)2. 受入れ機関が作成した説明書(解雇等により、実習が継続困難となった方を受け入れることについての説明書)
・参考様式(特定技能1号移行準備・技能実習生用) 【Word】【記載例】
3. 雇用契約に関する書面(雇用契約書及び雇用条件書等)の写し
4. 受入れ機関が作成した賃金の支払に関する書面(解雇等により、実習が継続困難となった方を受け入れることについての賃金の支払に関する書面)
・参考様式(賃金の支払に関する書面) 【Word】
詳しくは法務省ウェブサイトを確認してください。