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なぜビニールハウスは雪で倒壊する?
ビニールハウスが雪の重みで倒壊してしまうのは、ビニールハウスの上部のパイプが、雪による重みで変形してしまうためです。変形は肩部、屋根中央部、天井部の順で起こります。肩部は外方向に、屋根中央部と天井部は内方向に変形します。
いずれかのパイプが変形することで、積雪箇所が偏ってビニールハウスは倒壊してしまうのです。春までビニールハウスを使う予定がないのなら、あらかじめビニールを外しておくことをおすすめします。
まずは雪が降る前に対策
雪が降る季節が来る前に、次のような対策を行いビニールハウスの倒壊を防ぎましょう。アーチ部分の補強
雪が降る前の作業では、まずビニールハウスの補強を行います。前述のとおり、積雪の際には屋根中央部だけでなく、肩部のパイプも変形します。ビニールハウスの応急補強用の支柱や筋交いを内部に取り付ける、ハウスの両肩をワイヤーで引っ張り固定するなどの対策を行うと、ハウスの屋根に雪が積もった際の天井の広がりを防ぐことができます。
タイバーを取り付けての補強も有効です。
佐藤産業 タイバース
佐藤産業株式会社のビニールハウス強化ユニット。パイプもセットですぐに取り付け可能!32ミリ用の規格も。
規格 | 25ミリ用 |
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セット内容 | ツブシパイプ(長)L2700 1本 、ツブシパイプ(短)L350 2本 、妻用ユニバーサル 25用BTN付 2組 ※アーチに取り付けるユニバーサルは別売りです |
パイプの交換による補強
ビニールハウスのパイプは、径が太いほど強度が増します。しかし、すべてを太いパイプに取り替えるとなると大きく費用がかかってしまうものです。25ミリ径のパイプを採用しているハウスなら、数本に1本を32ミリ径に変えるだけでも強度が増します。パイプの追加
パイプ5本に1本程度の割合でアーチパイプを、側面に直管、筋交いの直管も追加します。すべて追加するのは予算的に難しい場合は、できるものから取り組んでいきましょう。ビニールのチェック・補修
防風ネットや防鳥ネットなど、ビニールの表面に雪がすべりづらくなるような被覆素材を使用している場合は撤去します。ビニールの穴、たるみも雪のすべりを阻害してハウス上の積雪のもとになるので、補修してください。ハウスバンドのねじれやゆるみも直し、ビニールの押さえを強化します。
暖房機の設置
ハウス内を暖めることで、ビニール表面の雪が解けて雪のすべりを良くすることができます。可能であれば、ジェットヒーターなどの暖房機を設置して融雪の準備をしておきましょう。静岡製機 ホットガン HG-50D
ハウス内でも使えるジェットヒーターの定番。コンパクトなのにハイパワー!熱風吹き出し口は上下各20°動かせます。
熱出力 | 17kw |
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使用燃料 | 灯油 |
電源 | 単相100V |
暖房機がない場合
暖房機がない場合は、ハウスを閉めきって気密性を高め、地熱による温度上昇を狙います。ハウス内にカーテンを設置している場合はカーテンを開放して、ハウス上部に暖かい空気がいきわたるようにしておきます。降雪中の対策
事前の対策を行っても、急な猛吹雪による大量の積雪や、湿って重みのある積雪があった場合には次の対策が有効です。まずは安全の確認を
ビニールハウスにすでに雪が積もっている場合、ハウス内での作業は倒壊に巻き込まれる恐れがあります。ビニールハウスのパイプの歪みが見られる状態で内部に侵入するのはやめましょう。軒下の除雪
ビニールハウスの軒下両側にたまった雪は、屋根の雪の滑落を妨げます。さらにビニールハウスの側面に圧を加えてしまうため、軒下が埋まってきたら除雪を行います。屋根上部の除雪
屋根上部に積もった雪も除雪しましょう。屋根上部の雪は、先端が湾曲しているビニールハウスの雪下ろし用のものを使います。浅野木工所 プラスチック ビニールハウスキーパー
浅野木工所のビニールハウス用の雪下ろし器具。先端がビニールのたわみに合うように湾曲しています。雪かき部分にはゴムがついているためビニールを傷つけません!
頭サイズ | 150ミリ×500ミリ |
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重量 | 320グラム |
専用のものを使用していても、力を入れすぎるとビニールが破れてしまうことがあるので、優しく扱うことをおすすめします。
除雪作業時の注意点
ビニールハウスの除雪中は、どうしても視点が上ばかりを向いてしまい、足元への注意がおろそかになりがちです。作業中の転倒には十分注意しましょう。滑りにくい長靴を履く、スパイクを履く、ヘルメットをかぶるなど、対策を行ってください。また、作業は必ず複数人で、時間に余裕をもって行いましょう。万一のときのために、携帯電話は必須です。
散水による融雪
ビニールハウスの側部に散水を行い、融雪する方法です。このとき、水を屋根上部にかけてしまわないように注意。上部に水をかけると、雪が水を吸って重みを増し、倒壊の危険性が高まります。どうしても間に合わないときは
除雪や融雪が間に合わなかったときには、ビニールを切断して雪をハウス内に落とすとハウスのパイプを守れます。竹竿などの先端に鎌を付けて、両側を均等に破ります。ビニールを切断した後は、雪が落ちやすいように棒などを使って雪を落としましょう。
※切断時は危険ですのでハウス内には入らないようにしてください。
ビニールを除去したパイプハウスも除雪を
ビニールを除去したパイプハウスも、除雪をせずにいると沈降圧によってパイプが変形し破損する可能性があります。豪雪地帯では、ビニールを除去するだけでなく、ハウス自体を撤去しておくと安心です。パイプを撤去しない場合の除雪
パイプが交わる点に積もった雪が、屋根部分に積雪してしまうことが。ときどき雪を落として、雪の重みでパイプが歪まないようにしておきましょう。肩部のパイプが雪に埋もれたままの状態も危険です。ハウスの側面に積もった雪を除雪して、肩部が常に露出した状態にしておきます。豪雪地帯の農家が実践する雪対策の事例と効果
雪が多い地域の農家は、毎年ビニールハウスの積雪対策を行っています。どのような対策をしているのでしょうか。ここからは、農家が行っている対策の事例を紹介します。タイバーによるハウス補強の例
ある農家では、ビニールハウス内に3メートルおきにタイバーを設置して補強しています。資材を購入して、農家自身が設置を行いました。部分的にタイバーを設置していなかったビニールハウスでは、タイバーのない部分だけ倒壊したそうです。タイバーを利用するのなら、ビニールハウス全体に設置して積雪に備えましょう。
暖房で融雪している例
冬期間もハウスで作物を栽培している農家では、積雪の予報が出たら内張りのカーテンを開放して、暖房をいつもより少し高めの温度設定で運転させています。ハウスを内側から暖めることで、ハウス表面の雪が解けて自然と下に落ちるため、屋根上部の積雪対策になります。
ただし、側面に落ちた雪をそのままにしておくとパイプが歪む可能性が高まるので、側面に雪が溜まってきたら除雪を行ってください。
雪が降る前に、暖房機器の点検、給油、動作確認が必要です。
ハウス間の距離が短く除雪できない例
連なるビニールハウス同士の幅が狭く、間にトラクターや重機が入れず除雪ができないパターンでは、ハウスサイドを肩部上部まで開放して、ハウス内に雪を逃がす方法で倒壊を防いでいます。「倒壊するほど降るかもしれない」と感じたときには、早い段階でサイドを開放して倒壊を防ぎましょう。
事前の雪対策と降雪中の対策でビニールハウスを守ろう
豪雪地帯でなくとも、積雪によってビニールハウスが倒壊する例はあります。秋の農作業がひと段落したらビニールハウスを見回り、パイプが歪んでいる場所がないか、ビニールが破れていないか・たわみがないかをチェックして、必要があれば補修します。
天気予報をチェックして、何十センチもの積雪が予想されるときには雪対策をしっかりと行いビニールハウスを守りましょう。
雪が降る前にパイプを補強する、パイプを付け足す、径の太いパイプに変えるなど、方法はさまざま。予算と相談して、まずは今できる対策から取り組むことが大切です。