養豚業とは?
豚肉を生産するために、豚を飼育する仕事を養豚といいます。豚は発育が早く、約1.5kgで生まれ、約180日で110kgまで大きくなり、出荷されます。黒豚は生後約240日で出荷され、ほかの豚よりも肥育期間が長いです。また豚は一度に10~12匹の子豚を産みます。多いときには15匹以上生まれることもあります。飼養戸数や飼養頭数は?
畜産統計調査によると、2018年の全国の豚の飼養戸数は4,470戸で、廃業等により前年に比べ200戸(4.3%)減少しました。また、飼養頭数は918万9,000頭で、前年に比べ15万7,000頭(1.7%)減少しています。なお、1戸当たり飼養頭数はや約2,056頭で、前年に比べ約54頭増加。大規模化が進んでいることがわかります。参考:畜産統計調査(農林水産省)
伸びている消費量、下がる自給率
2018年の国内の豚肉の消費量は183万tで増加傾向にあります。一方生産量は90万tで大きな伸びは見られません。その結果、豚肉の自給率は減少傾向にあり、48%にとどまっています。現在、日本はアメリカ、カナダ、スペインなどから年間92万tの豚肉を輸入していますが、近年、アジア地域では豚肉の需要が増加しており、国内の養豚業がより発展することが期待されています。参考:畜産・酪農をめぐる情勢(農林水産省)
養豚家って儲かる?気になる所得は
2017年の養豚経営(全国平均)の1経営体当たり農業粗収益は7,676万円で、前年に比べ15.3%増加しました。一方、農業経営費は5,747万円で、前年に比べ 4.6%増加しました。この結果、農業所得は1,929万円となり前年に比べ65.7%増加しました。参考:営農類型別経営統計(個別統計)
主な豚の品種
日本の代表的な豚の品種は以下の6種です。ただし、肉用の豚は交配が進んでいます。肉の売り場で見かける「三元豚」という表示。これは、3種類の純粋種を掛け合わせた雑種豚という意味です。交配によって、繁殖性や肉質などのバランスがとられます。このような交配や地域独自の生産方法でブランド化された銘柄豚が各地に生まれています。現在全国で約250以上の銘柄豚があります。大ヨークシャー
白色の大型。英国原産で赤肉率が高く、加工品の原料として高い評価を得ています。中ヨークシャー
白色の中型。肉質が優れていて、古くから飼育されていますが、発育が遅いため飼育頭数は減少しています。バークシャー
黒色の中型。英国原産。きめ細やかさや柔らかさなどが特徴で、「黒豚」と呼ばれています。鹿児島県が主産県です。ランドレース
白色の大型。デンマーク原産で、発育が早く加工用にも適しています。飼育頭数が増えています。ハンプシャー
黒色で肩から胸や前肢にかけて帯状に白い毛が入っています。赤身肉が多い品種です。デュロック
褐色の大型。アメリカ原産で成長が早いです。暑さに強く、きれいなサシ(霜降り)が入っています。飼育頭数も多いです。現役養豚家に聞く仕事内容
教えてくれた人:青森県八戸市で種付け(人工授精)、分娩、子豚を肥育し出荷までしている養豚家。約3,800頭の豚を飼育している。
養豚家の1日のタイムスケジュールは?
8:00~10:00 | 豚舎内給餌や子豚の世話、種付けなど |
10:00~10:30 | 午前の休憩 |
10:30~12:00 | 豚舎内の見回り、掃除、豚舎内の洗浄など |
12:00~13:00 | 昼休憩 |
13:00~15:30 | 出荷、掃除、豚舎内の洗浄など |
15:30~16:00 | 午後の休憩 |
16:00~17:30 | 豚舎内給餌や子豚の世話、種付けなど |
やりがいはどんなところにありますか?
種付けして約114日で子豚が生まれるなど、目に見えて頑張った成果が出るところです。注意することやきついことは?
豚は暑さに弱く夏場に体調を崩すことが多いです。呼吸器系などの病気にかかることもあるので、注意深く様子を見る必要があります。また、猪のような牙を持つ雄は発情期に興奮していることがあり、それに気付かずに近くにいて牙で刺されると大きいケガにつながります。GW・お盆・正月と2連休は取れますが、3日以上の休みはとりづらいです。どんな人が向いていますか?
細かいことに気が付けて、マメに作業ができる人が向いています。重要な疾病対策
疾病対策は重要な課題です。ニュースで豚コレラがの発生が報じられていますが、いつ感染症が発生するかは予測ができず、ひとたび発生すれば経営に大きなダメージを与えます。疾病を生じさせないよう適切な環境を整え、飼養管理を行うことが重要になります。夏は涼しく、冬は暖かく、豚舎はもちろん、餌や水も常に清潔にすることが基本です。出荷後に豚舎を大規模に清掃・消毒するため、一つの豚舎丸ごと新規に豚を入れて、出荷を同時に行うオールイン・オールアウトと呼ばれる方式がとられることもあります。宮城県の銘柄豚「JAPAN X」ではオールイン・オールアウト方式の豚舎を採用。
養豚場で働くには?
まずは農業を専門とする求人サイトで養豚の仕事を探してみましょう。給与の相場や仕事の内容がわかります。養豚場に就職した場合の給与を見てみると、社員であれば概ね月給18~28万円程度のところが多く、アルバイト・パートでは時給1,000円程度のところが多いようです。未経験でも可としているところもあります。就職イベントなどに参加し、実際に話を聞いてみるのもおすすめです。
また、就職した後に技術を身に着けて独り立ちすることも可能です。独立を検討している場合には、各都道府県の新規就農相談センターに相談してみましょう。一般社団法人日本養豚大学校では、養豚業に就業半年以上の人を対象とした「日本養豚大学校」を開講しています。