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園芸家
Shabomaniac!幼少期から40年以上、世界中のサボテンと多肉植物を栽培している園芸家。栽培が難しい種の播種や育成、新種の輸入にも早くから取り組む。実体験に基づく栽培方法や、自身が所有・栽培する植物の写真、自生地巡りの紀行をブログとInstagramで発信。長年の栽培経験に基づく豊富な知識で愛好家たちからの信頼も厚い。 Blog:http://shabomaniac.blog13.fc2.com Instagram:@shabomaniac 著書:『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』(日本文芸社)、『多肉植物サボテン語辞典』(主婦の友社)…続きを読む
ダドレアの特徴
ダドレアはアメリカ南西部からカリフォルニア半島、メキシコ西部にかけて分布するベンケイソウ科の多肉植物です。全部で45〜50種が知られ、その中で広く栽培されているのは5〜6種程度です。エケベリアなどと同じくロゼット状に葉を展開し、大きくなると幹が立ち上がります。葉に白いロウ質の粉をまとう大型種が多く、真っ白に見える個体もあります。この白い粉には紫外線から身を守ったり、水分の蒸発を防いだりする働きがありますが、一度剥がれてしまうと戻らないので、できるだけ触れないよう注意しましょう。ダドレアは葉挿しでの繁殖ができないため、外見的には似ていてもエケベリアと比べるとやや希少です。多肉植物の世界では古くから親しまれており、太く長い幹の先端にロゼットを展開する姿からコーデックス好きにも好まれています。自生地との気候の違いから栽培が難しく、特に夏越しのハードルが高いものの、うまく育てられれば非常に長生きする植物です。野生では100年近く生きる個体も存在します。
ダドレアの自生地
ダドレアの自生地は、寒流の影響で夏もそこまで気温が上がらず非常に乾燥しており、冬は平均気温が15℃程度と暖かく、雨が多く降る地中海性の気候です。海岸近くの岩の多い崖や峡谷に自生し、火山岩を中心とした多孔質な土壌で育ちます。ダドレアの花
ロゼットから赤い花茎を長く伸ばし、先端に密集して花を咲かせます。開花時期は晩冬から春ごろです。花は1cm程度と小ぶりであまり派手ではなく、色は赤や黄色、オレンジ、白、緑などがあります。ダドレアの入手方法・価格
多肉植物の専門店やネット通販、ネットオークションで入手できます。海外の種子業者が種子を取り扱っているので、それを個人輸入して実生で育てるのもおすすめです。価格は1,000〜2,000円程度と比較的手ごろです。大型の株は1万円以上することもあります。ダドレアの基本情報
分類 | ベンケイソウ科ダドレア属 |
原産地 | アメリカ南西部〜メキシコ西部 |
生育型
冬型(秋春型)耐暑性
弱い耐寒性
普通生長速度
早い種をまいて4〜5年で見ごろサイズになります。
ダドレアの人気種
ダドレアは種の区別が難しく学者によって分類の仕方が違う場合もありますが、ここでは園芸用に普及している人気種をピックアップして紹介します。栽培難易度は星の数(☆~☆☆☆☆☆)で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど栽培難易度が低くなります。キャンディダ(Dudleya candida)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
ブリトニー(Dudleya brittonii)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
グリーニー(Dudleya greenei)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
パキフィツム(Dudleya pachyphytum)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
プルベルレンタ(Dudleya pulverulenta)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
ヴィレンス(Dudleya virens)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
クサンチ(Dudleya xantii)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
ダドレアの育て方
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冬生育型のダドレアは9〜5月ごろが生育期にあたり、梅雨の時期から8月に休眠します。高温多湿の夏を苦手とするため、いかに夏を涼しく乗り切るかがポイントです。ここからは、ダドレアの基本的な栽培方法を解説していきます。
水やり
秋から春にかけてはたっぷり水を与えます。本来は最低温度10℃くらいの暖かな冬を好み、そうであれば冬中生長を続けますが、暖房のないハウスなどでは1〜2月の厳冬期は生長が鈍るので水やりは控えめにしましょう。根が凍るとダメージを受けます。夏は休眠するので梅雨ごろから水を切ります。水を切ると下葉からどんどん枯れていきますが、もともと乾燥地帯に生えている植物なので問題はありません。心配になって水をやりたくなるかもしれませんが、水を与えても根が給水できず腐ってしまうので注意しましょう。
日当たり・置き場所
生育期は日当たりを全開にしてたっぷりの日光に当て、昼間は外に出して風に当てます。冬は最低でも5℃を保ち、霜に当てないようにします。夏場は休眠するとはいえ完全な日陰ではなく、日の当たる場所で40〜50%程度遮光し、なるべく30℃を超えない涼しい場所で管理するのが理想的です。用土・肥料
ダドレアは多孔質の土壌に生育しているため、水はけのよい多肉植物用の用土を使用します。肥料はほとんど必要としませんが、生長期には液肥や緩効性の固形肥料を与えてもよいです。ダドレアの植え付け・植え替え
植えつけ・植え替えは生長期に入る9月ごろに行います。代謝がよく生長も早いので、植え替えはできれば毎年するのがベストです。夏になると根はほぼ枯れてしまうので、少なくとも2年に1度は植え替えて枯れた古い根を取り除いてあげる必要があります。ダドレアの剪定・切り戻し
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グリーニーなど旺盛に枝を伸ばす種は適宜剪定が必要です。ブリトニーやパキフィツムなどは剪定は不要ですが、茎が伸びて背丈が高くなるにつれて自重で倒れることがあるので、根元に近いところで切り戻し、挿し木にして形を整え直ましょう。また、枯れた下葉を残していると害虫がつきやすくなるので、まめに取り除いて風通しをよく管理するのがおすすめです。咲き終わった花茎もすぐに切り取りましょう。