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- AGRI PICK 編集部
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接ぎ木とは?接ぎ木の目的やメリットは??
接ぎ木とは
接ぎ木とは、2つ以上の異なる植物同士をつないで、一つの植物として育てる手法のことです。例えば、綺麗な花を付けるバラをある程度の大きさでカットし、土台となるノイバラのような病害に強いバラに切れ込みを入れて、差し込みテープでつなぎます。相性の良い組み合わせだと融合して一つの植物のように育ち、病害に強い、綺麗な花を咲かせるバラになります!このとき、育てたい花側を「穂木(ほぎ)」といい、土台になる植物を「台木」と言います。この方法だと、本来穂木が持つ花の形質や果実の性質などを維持しつつ、台木からは、病害虫の耐性や花の付き具合などの性質を受け継ぐことができます。
接ぎ木のメリット・デメリット
接ぎ木のメリットをもっと詳しく挙げていくと、1. 病害虫耐性の強い植物を作ることができる
2. 花の数の増加や品質向上
3. 若い台木で穂木の若返り
4. 台木ができあがっているため生育スピードも早い
などがあり、良いことづくめのようですが、一方で、相性によっては双方が枯れてしまったり、穂木が台木に吸収されたり、また、挿し木と比べて台木を育てる分の手間がかかるなどのデメリットもあります。
柑橘類の台木にデコポンを接ぎ木した例
(左は接ぎ木後に新たな葉が生長、右上は接ぎ木に失敗し枝が枯れる)
接ぎ木のコツはテープ!おすすめは「ニューメデール」
接ぎ木にはさまざまな手法がありますが、成功率アップの一番の決め手となるのが「接ぎ木テープ」。穂木と台木を結びつけるテープには大きく分けて、塩ビテープ(塩化ビニール粘着テープ)と、専用の接ぎ木テープの2つがあります。その、テープに求められる性質として重要なのが、1. 伸縮性があること
巻き付けのときに、でこぼこした木の表面に隙間なくしっかり合わせるため
2. 保湿性が高いこと
テープでぐるぐる巻きにされた内部が乾燥してしまわないようにするため
3. 生長を阻害しないこと
テープが食い込んで台木や穂木の生長を阻害しないため
の3つです。
塩ビテープでの代用は?
家庭菜園では塩ビテープで接ぎ木テープの代用をする人もいるようです。接ぎ木テープ程ではなくても、伸縮性のある塩ビテープもホームセンターには売っています。しっかりと隙間なく貼れば、乾燥は防げるかもしれません。ただし、塩ビテープだと穂木や台木が生長するにつれて台木に食い込んだり、穂木をつぶしたりしてしまうので、生育度合いを見ながら巻き直したり、活着後には取り外したりと手間が多く非常に大変です。そこで、一番おすすめの接ぎ木テープ「ニューメデール」をご紹介します。
接ぎ木専用テープ「ニューメデール」のすごさ!
「ニューメデール」の特徴は何といっても「芽が出る」こと。芽が出ようと押し広げる力で十分破ける、薄い特殊フィルムでできているので、切り開いたり、巻き直したりせずとも自然とテープを突き破って芽が出るのです。さらに自然劣化するので、その後の植物の生長を妨げず、取り外しの必要もなく手間なしで本当に楽です。とても柔らかい素材で伸縮性が通常の塩ビテープの6倍!木に隙間なく貼り付き、保湿性も高いので、木を乾燥や病気からしっかりと守ってくれます。
接木テープ ニューメデール
プロ農家も愛用する接ぎ木専用テープです。
口コミ・レビュー
栗の接ぎ木に使いました。今までの接ぎ木テープと違って接ぎ穂を固定するのに大変使い勝手が良かったです。 また、切り口の保護に木工用ボンドやカルスメイトの保護剤が要らなかった。このテープだけで良かった。 結果はまだ出ていませんが今回の接ぎ木はほぼ大丈夫と思います。100本から接ぎ木をしました。
出典:Yahoo!
サイズ | 25mm幅 30m巻き |
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接ぎ木苗とは?
接ぎ木苗とは、すでに台木に接いだ状態の苗のことです。普通の苗より病気に強く、草勢も良く、収穫高も良いことから、自根の苗よりも2~3倍の値にもかかわらずとても人気です。接ぎ木苗がよく利用されるのが、キュウリ、スイカ、メロンなどのウリ類と、ナス、トマト、ピーマンなどのナス科の植物です。おすすめ接ぎ木道具!ハサミ・クリップ・ナイフ
接ぎ木クリップ
メロンやきゅうりなどの接ぎ木には「接ぎ木クリップ」がおすすめ!接木クリップの利点として、
1. 接木操作が簡単
2. 活着抜群
3. 接木労力を大幅に省力
4. 何回でも使用できる
などがあります。
接ぎ木用ハサミ
接ぎ木が一気に楽になる!プロ農家にもおすすめの接ぎ木用ハサミです。切り接ぎ職人DX
誰でも簡単にプロのような接ぎ木ができる!接ぎ木専用ハサミ!園芸を始めたばかりの方でもプロ顔負けの枝接ぎカットができるハサミです。台木と接ぎ穂をカットするだけで綺麗にはまる凸凹ができます。
接ぎ木用ナイフ・小刀
接木には欠かせない!接ぎ木ナイフ・小刀の紹介です!接ぎ木の仕方(方法)と時期!
接ぎ木の時期
接ぎ木は、台木の傷付いた部分を治そうと、カルス(癒傷組織)を形成することによって2つの植物がくっつきます。なのでカルスを作りやすい、木が活発に水分を吸い上げている時期ならいつでも大丈夫です。育てる果樹にもよりますが、一般的には4~6月が接ぎ木に向いています。もしくは、少しくっつき具合は悪くなりますが、9~10月でも可能です。
接ぎ木の仕方
枝接ぎ、芽接ぎ、根接ぎ、呼び接ぎ、高接ぎ、刺し接ぎなど方法はいろいろありますが、主流は枝接ぎと芽接ぎ。その2つの手法とポイントについて紹介します。枝接ぎ
枝接ぎは、ウメ、ツバキ、サクラ、ミカン、リンゴ、ブドウなどでよく行われ、幅広い種類に適したオーソドックスな方法です。芽を持った枝を穂木にして切り取り、台木に傷を付け穂木を挿入、テープでしっかり巻き付けます。このときのポイントは1. 穂木・台木はまっすぐ綺麗に切断すること
2. 穂木と台木は隙間なくしっかりと巻き付けること
いずれも穂木と台木の間に隙間を作らず、密着させることが目的。隙間ができてしまうとうまくくっつきません!切断面は「綺麗にしっかり密着」が成功率アップのポイントです。