前職はJAの職員
田中圭介さんは文系の大学卒業後、17年間JA(農業協同組合)に勤めていました。就職活動をしていたころは特に農業に興味があったわけではなく、「たまたまご縁があって」という流れだったと言います。JAでは営農支援業務に携わっていました。田中圭介さん
営農支援業務では、主に委託管理や生産部会の購買、販売業務等に従事していました。
農家に接してきて就農を目指そうと決意
親戚に野菜農家と花き農家がいるというのも、いつか就農してみたいと考えた理由のひとつ。でも、本格的に就農を考え始めたのは、コロナ禍がきっかけでした。田中圭介さん
コロナ禍で世界が変化するなか、この先の人生を考えるようになりました。ずっと農業の近くにはいましたが、自分も生産者になれないか、と思ったんです。
40歳を過ぎても挑戦できると思った
職業柄、東京農業アカデミーが設立したことも知っていました。でも、年齢的に厳しいのではないだろうかと思いつつも、アカデミーのホームページを見たところ、同じくらいの年齢の人たちも頑張っていることがわかりました。田中圭介さん
農業という大きなくくりでは、JAも農家も似た系統にはなりますが、やることが全然違います。
それでも、この年齢で新しいことに挑戦しようと思えたのは、アカデミーで研修し、就農した先輩たちの姿があったからです。
それでも、この年齢で新しいことに挑戦しようと思えたのは、アカデミーで研修し、就農した先輩たちの姿があったからです。
生まれ育った東京での就農を目指す
田中さんは、東京都三鷹市で生まれ育ちました。東京を離れたことがなかったので、就農しようと決めたときも東京でという思いが強かったのです。田中圭介さん
他県での就農はあまり考えていませんでした。一応調べたのですが、やはり東京で就農したいと思いました。
JA出身のアドバンテージはあまり感じない
同期生に話を聞くと「田中圭介さんは農業の知識が豊富」とのことでしたが、田中さん自身は「JA勤務と生産者とではやることが全然違うから、ほかの同期生と同じラインからのスタート」と感じています。田中圭介さん
農産物の種類については、ほかの同期より知っています。でも、JAにいたことのメリットはそれくらいです。
農作業は豊かな気持ちになれる
JA勤務時は1日中PCに向かってのデスクワーク。電話がかかってくることも多く、常に着信を気にして時間に追われていたことに、当時の職場を離れてから気づきました。田中圭介さん
1日中、外にいるようになって、精神的に楽になったところもあります。
デスクワークでは負担がかかっていた肩の痛みに悩まされることがなくなりました。その代わり、なれない作業に身体のあちこちに負荷がかかることもあります。
田中圭介さん
天候に作業が左右されるというのも、デスクワークにはなかった悩みです。
知識だけでは農業はできない
JAにいたため、アカデミーに入講する前から病害虫についても知識はありました。でも、机上で学んだこととほ場での体験は全然違うと実感する毎日。4月に種をまいた野菜が2カ月でこれだけ育つんだと、実際に作物を見ていて気付くことは多いと言います。田中圭介さん
露地栽培のトマトがこんなに割れやすいんだとか、鳥による被害が多いといったことも、ほ場で学んでいます。
指導員にはなんでも相談
指導員の教えはとてもきめ細やか。わからないことがあったらその場でなんでも答えてくれます。田中圭介さん
就農後にどのようにやっていくかは、まだ考えているところなのですが、指導員との会話を通して少しずつ自分の就農像が固まりつつあります。
同期や先輩からも学ぶことが多い
同期の中では最年長の田中さんですが、「先陣を切るタイプではない」と自らを評しています。田中圭介さん
それぞれに個性があって考え方も違いますが、同じ目標があるのでお互いに助け合って進んでいます。
どんな農家になりたいかという話もよくしています。
どんな農家になりたいかという話もよくしています。
先輩は1年先を進んでいるので見習いたいことがたくさんあります。ほ場で一緒に作業することはありませんが、出荷調整所で作業をするときにはよく話もします。
田中圭介さん
先輩は、就農後のプランを立てて作業を進めていますので、この時期はこういうことをするんだ、ということを見ています。自分も1年後にはこうなれるようにと思っています。
できれば生まれ育った土地での就農を
田中さんが育ったのは三鷹市。可能なら、その付近での就農を希望しています。田中圭介さん
果菜類を中心に、と計画していますが、まだいろいろ検討しているところです。
農場長にも相談に乗ってもらいながら、今後就農計画を固めていくつもりです。
農場長にも相談に乗ってもらいながら、今後就農計画を固めていくつもりです。
販路は、かつての同僚にも相談し、今のところはJA中心に考えているそう。
田中圭介さん
できれば庭先販売も行っていければと思っています。
比較的都心にも近い土地での就農ということで、難しいことも生じるかもしれません。それでも、2年後には希望する場所で農業を営んでいることを願っています。
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