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リモコン式草刈機とは?
リモコン式草刈機とは、リモコンで機体を遠隔操作する草刈機のことで、人間が実際に作業しなくても草刈りが行えます。ラジコン草刈機とも呼ばれています。両手で持って使用する刈払機や車体に乗り込んで運転・操作する乗用草刈機に比べて肉体的な疲労がなく、キックバックや機体の転倒による事故を回避できるため安全性に優れているのが特徴です。機種にもよりますが、太陽光発電用のソーラーパネルの下や果樹の間など人が入りにくい場所や、軟弱な土地・高所・斜面など危険を伴う場所での作業が多いのであれば、刈払機や乗用草刈機よりもリモコン式の草刈機がおすすめです。
草刈機のタイプについてはこちらの記事で詳しく解説しています
国内におけるリモコン式草刈機の普及状況
農業従事者の高齢化や、山間地での耕作放棄により、増加傾向にある草刈り作業の負担。除草剤の価格高騰により、除草剤の散布だけに頼っていてはコストがかかり過ぎてしまいます。そうした状況を打破するスマート農機として、近年はリモコン式草刈機への注目度が高まっています。人件費の高い欧州では広く普及しているリモコン式の草刈機ですが、日本国内での普及はまだそれほど進んでいません。とはいえ、これまで各自治体で海外製品を使った実証実験が行われてきたほか、令和元年度に国の主導で始まった「スマート農業実証プロジェクト」では、中山間地域や果樹園を中心にリモコン式の草刈機が導入されるなど、少しずつ認知されるようになってきました。
開発ではゼノアをはじめとする海外メーカーが先行しているものの、近年はクボタやIHIアグリテック、アテックス、オーレックなど国内メーカーからも販売されており、各社は性能や安全性の向上に向け改良を進めている段階です。
リモコン式草刈機の価格相場と補助金
リモコン式の草刈機には、大きく分けて平地向けのものと、法面(のりめん)や斜面に強いものの2タイプがあります。金額は小型の機種であれば40万円台から、走破性や馬力に優れた高性能な機種になると100万円を超えるものまでさまざまです。新品での購入はハードルが高いという場合は、中古で探すかレンタルも選択肢として検討してみてください。また、リモコン式草刈機はスマート農機として補助金の対象になる場合も多いです。少しでも購入費用を抑えるために、各自治体の補助金制度をチェックしましょう。
リモコン式草刈機のメリット
ここからは、刈払機や乗用草刈機と比較したリモコン式草刈機のメリットを紹介していきます。草刈り作業を省力化
農作業において草刈りにかかる時間が占める割合は少なくありません。気温の上昇とともに作物だけでなく雑草も旺盛に伸び出し、刈ってもすぐに生えてくるため、何度も草刈りをしなければならない場合もあります。リモコン式の草刈機を使えば、遠隔操作だけで草刈りが行えるので省力化が期待できます。人手が足りない農家にとっては労働力を補う有効なツールとなるでしょう。身体への負担を軽減
刈払機を使用するにしろ乗用草刈機を使用するにしろ、草刈り作業は少なからず身体的な負担を伴うもの。手に持って使用する刈払機は、機械そのものの重さと振動によって手や腕に疲れがたまりますし、低い位置の草を刈るには中腰姿勢になるため、長時間の作業では大きな疲労感を伴います。それに比べると乗用草刈機は座ったまま作業するため疲れにくい一方、エンジンの振動の影響を受けるので多少の疲れは止むを得ません。また、どのタイプの草刈機でも、夏場の炎天下の中で作業していると熱中症になる危険性があります。
その点、リモコン式草刈機であれば長時間の作業でも疲れず、炎天下でも日陰から機体を操作することで、草刈りに伴う体への負担を回避できます。高齢者にもおすすめです。
転倒・事故を回避、危険な場所の草刈りが可能に
傾斜が急で、人が作業するには怪我のリスクが高い場所で作業できるのもリモコン式ならではのメリットです。乗用草刈機は傾斜地での車体保持が難しく、斜面を滑落して運転者が怪我をするリスクがあります。それに対し、リモコン式では40〜50度の傾斜角度に対応できるものが販売されています。また、全高が低く設計された機種であれば、人が入りにくい狭い場所や低い位置の除草もできるので、乗用草刈機では処理し切れない場所の草刈りも行えるのがメリットです。
一般的に雨の日や台風後の作業は滑って転倒する危険が高まるため避けた方がよいとされていますが、リモコン式草刈機の中には雨天時でも使用できるものがあります。天候に関係なく草刈りができるようになれば、作業のスケジュールも立てやすいでしょう。
リモコン式草刈機のデメリット
草刈り作業の効率化や省力化、安全性の確保などメリットの多いリモコン式草刈機ですが、まだ開発の途上段階にあり、万能というわけではありません。ここでは、リモコン式草刈機の購入前に知っておくべき注意点やデメリットについて解説します。使用できない場所もある
リモコン式の草刈機はどのような場所にも使用できるわけではありません。傾斜角度や斜面の凸凹などによっては面積の一部にしか対応できない場合もあるほか、急傾斜では走行部が滑って法面が崩れるケースも。初めから傾斜地での利用を想定しているのであれば、対応可能な傾斜角度を確認し、斜面に強い機種を選ぶことが大切です。リモコン式草刈機を選ぶ際の注意点
使用場所の条件によって選ぶべき機種は異なります。平地と傾斜地どちらでの作業が多いのか、広い刈幅で効率的に刈りたいのか、小回りが効いて細かい場所もきれいに刈れるものがいいのかなど、ご自身のニーズに照らし合わせて機種を選びましょう。また、屋外で使用するものなので、防水性の有無も確認しておくと安心です。草刈機の選び方はこちらの記事で詳しく紹介しています
おすすめのリモコン式草刈機3選
ここからは、リモコン式の草刈機でおすすめの機種3選を紹介します。各機種のスペックをまとめているので、製品選びの参考にしてください。平地での作業が中心なら
ササキコーポレーション smamo RS400-2
全高わずか400mmと小型で、低地や狭い場所での除草作業を軽減してくれる電動リモコン式の草刈機です。長時間つらい姿勢を維持する必要がなく、疲労を大幅に軽減します。コンパクトなので小回りが効き、右と左どちらでも旋回が可能。エンジン式ではなく電動式で、電源を入れるだけで簡単に始動し、家庭用の100Vコンセントで充電できて便利です。アタッチメントが豊富に用意されており、草刈用のほかに水田の畦上面や法面などの草刈りに対応した畦草刈用のアタッチや、障害物周りの草刈りが可能な際刈アタッチ、トレーラーアタッチ、運搬アタッチなど必要に応じて付け替えることで、さまざまな用途で活用できます。
エンジン馬力 | |
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機体のサイズ(全長×全幅×全高) | 970×400×655mm |
刈幅 | 716mm(草刈アタッチ装着時) |
作業速度 | 前進:3.2km/h 後進:2.8km/h |
作業可能傾斜角 | 35度(草刈アタッチ装着時) |
通信可能距離 | 160m |
連続作業可能時間 | 約1時間(バッテリー1個時) |
斜面での作業が多いなら
SUNGA JAPAN カルゾー LM750
ヤマハのエンジンを搭載しており、7.5馬力のハイパワーが自慢。キャタピラーを採用することで最大50度の急斜面にも対応します。バッテリーでは最大8時間まで走行可能。リモコンは趣味用のラジコン感覚で操作でき、見通しのよい場所なら約500mの距離まで操作できます。排土板を標準装備しており、長い草も押し倒しながら進めるので草のボリュームが大きい場所でも作業能力を落とさずに効率的に草が刈れるのもポイント。排土板の高さまでであれば除雪作業にも使えます。
エンジン馬力 | 7.5PS |
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機体のサイズ(全長×全幅×全高) | 930×860×580mm |
刈幅 | 550mm |
作業速度 | 4km/h |
作業可能傾斜角 | 50度 |
通信可能距離 | 500m |
連続作業可能時間 | 約1時間 |
LM550i
ヤマハ製のエンジンを搭載した7.5馬力のハイパワーで、果樹園や堤防、太陽光発電など多地点での除草に適したリモコン草刈機。摩擦に強く、切断効果の高い550mmの超幅広の刈刃を使用しており、1時間当たり1,500平米の草刈りが可能です。グリップ力の強いゴムクローラーを採用することで最大傾斜45度まで対応。自動停止ブレーキが搭載されているので安心して作業できます。機器内部のデバイスを保護する衝突防止鉄骨フレームや防水性能を強化した電子制御ボックスなど、安全性を重視した設計もポイント。リモコンは感触がよく操作が鋭敏で、ストレスがありません。
エンジン馬力 | 7.5PS |
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機体のサイズ(全長×全幅×全高) | 900×880×550mm |
刈幅 | 550mm |
作業速度 | 4km/h |
作業可能傾斜角 | 45度 |
通信可能距離 | 500m |
連続作業可能時間 |