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東京農業アカデミー第3期生インタビュー|「消費者にとって身近な農家を目指す」雨宮弘直さん


東京農業の担い手を育てるために、東京都が設立した「東京農業アカデミー」第3期生にインタビュー。精密機械のエンジニアとして忙しく働いてきた雨宮弘直さん。子どもたちと一緒にいられる限られた時間をもっと大切にしたいと就農の道を選びました。地域の人たちと直接顔を合わせて販売することが理想です。
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雨宮弘直さん

撮影:上溝 恭香
東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第3期生として学ぶ雨宮弘直さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。

コロナ禍がきっかけに

第3期生_雨宮さん
撮影:上溝 恭香

20年、30年先を見据えて

工学系の大学を卒業後、20年ほど精密機械のエンジニアを務めてきた雨宮さん。エンジニアとして多忙を極めてきましたが、いったん立ち止まるきっかけになったのがコロナ禍でした。
コロナ禍で家族と過ごす時間が増え、この先、20年後、30年後を考えたときに、中学生と小学生の子どもたちとともにいる貴重な時間を大切にしようと思ったんです。

もともと農作業には親しみも

雨宮さんの親戚に兼業農家がいて、高校生のころから田植えや収穫などを手伝っていました。農作業を通して得られる楽しさをずっと体感していたこともあり、就農をめざすように。
就農を考え始めてから、まずは「新規就農するには」というキーワードでネットを検索。各都道府県の農業大学校を調べたり、学校には通わずに直接就農する道を探ってみたりもしました。親戚の兼業農家に話を聞き、農業会議所に電話をして農地を借りられないかを尋ね、市役所の担当部署を訪問して最近の農業の状況を聞きました。

大事なのはあくまでも家族

情報を集めた結果、学校に通わず直接就農するのはさまざまな側面から難しいと判断。また、農業を職業にするのはハードルが高く、「畑違い」の職業からの就農は現実的ではないと感じ始めていたときに、生まれ故郷である東京にこの東京農業アカデミーがあることを知りました。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
スクールに通うことを決め、いくつかの候補からしぼりました。ほ場があって、経営面の講義まであり、かつ週5日間みっちり学べるところはここだけでした。週末のみのスクールなどもありますが、そういうところに通うとなると、平日は仕事、週末はスクールでますます家族との時間がなくなってしまいます。それでは本末転倒なので、ここに決めました。

野菜の表情を感じる

雨宮弘直さん
撮影:上溝 恭香

毎日野菜と向き合って

実際に研修を受けるようになって、事前に抱いていたイメージと大きな違いはなかったと言います。ただ、毎日野菜と向き合っていると、肥料や水、虫、鳥、獣などを今まで以上に意識するようになり、手間をかけないとおいしい野菜はできない、と実感しているのだとか。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
夏野菜のキュウリやトマト、ナスが採れ始めています。自分で手間暇かけて育てた野菜は、これまでに食べていた野菜とは全然違いますね。

毎朝の観察から感じ取る

毎朝、ほ場に出て野菜の表情を見ると、野菜の状態がわかると雨宮さん。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
元気なときは葉先までまっすぐのびて勢いを感じます。害虫などにやられているときは元気がありません。そんなときは、適切な対応をして元気を取り戻させます。野菜は畑を選べませんし、自分で移動もできません。我々が生育しやすい環境で作ってあげないといけないんです。

対応に悩むときは指導員がフォロー

指導員は常にそばにいる頼れる存在。野菜の元気がないときなど、困っていればすぐに対応方法を教えてくれます。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
指導員は、野菜のことを教えてくれるだけでなく、就農について不安を抱えているときも常に前向きな意見と具体的な行動を提示してくれます。

同じ目標に向かう同期と先輩

雨宮弘直さん
撮影:上溝 恭香

同期はなんでも話せる同志

3期生の5人は年齢もバックグラウンドも性格も異なりますが、いつでも和気あいあいと付き合える仲間です。お互いに尊重しあい、どんなことでも率直に意見交換できます。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
新規就農という同じ志を持っているので、それに伴う悩みごとも共有できています。就農を希望する場所や置かれた状況は異なりますが、共感できることも多いんです。新規就農を目指す上で、同期が身近にいることはとても心強いですね。

先輩は1年後に自分があるべき姿

先輩たちも1年前は、今の自分たちと同じ立場にいて、悩みながらも仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)しながら学んできています。毎朝その日の予定、研修終了時にはその日あったことや明日の予定を共有するので、そこから1年後の自分たちのすべきことをシミュレーションできます。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
2年生になると一人ひとり畑を与えられます。先輩たちの手が足りないときや、研修で留守にするときなどは、我々が畑に入って手伝いをしています。

就農地域に根ざした農家になりたい

雨宮弘直さん
撮影:上溝 恭香
家族との暮らしを大切にしたい雨宮さんは、生活基盤のある八王子近辺での就農を目指しています。そして、理想とするのは就農地域に根ざした農家。
雨宮弘直さん
雨宮弘直さん
子どものころ、野菜を地元の農家から直接買うことがよくありました。今は、直販といってもスーパーなどの1コーナーに置かれているだけというのがほとんどです。顔が見える形式での販売が理想ですね。消費者に身近な農家でありたいんです。

地域の人たちが作物の成長を目にできるような環境を作り、農業の楽しさや、厳しさも含めて伝えたいという雨宮さん。理想を描きながらも、まずはおいしい野菜を作って生計を立てていくこともしっかり考えている姿が印象的です。きっと、雨宮さんの子どもも地域の子どもたちも、雨宮さんの作る野菜を食べ、農作業する姿を見て、農業というものを学んでいくことでしょう。

東京農業アカデミー八王子研修農場
概要:就農希望者を都市農業の担い手として育成することを目的として東京都が開設した研修農場
対象:18歳以上で都内で就農を目指す人(毎年5名程度を受入れ)
研修農場 : 八王子市大谷町(約20,000m2
研修期間 : 2年間(年間約220日)
問い合わせ:東京農業アカデミー八王子研修農場 042-649-3444、東京都産業労働局農林水産部農業振興課 03-5320-6221(直通)

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この記事の筆者:
小林 由弥

フリーの編集・ライター。 カントリースタイルの暮らしを楽しむ、という主旨のムックで主にガーデニングやDIYの記事を担当していました。 現在は集合住宅住まいで土のない生活を送っているため、花や紅葉を追っての小旅行が楽しみです。

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