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生分解性マルチフィルムとは?|おすすめのメーカーや補助金など徹底解説!


環境負荷の少ない農業資材として今注目の「生分解性マルチフィルム」。一般的なマルチフィルムとの違いや導入メリット、さらにはおすすめのメーカー、行政の補助まで徹底解説します。
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農業用マルチ

出典:PIXTA
地温の維持や土壌水分の蒸散防止、雑草や害虫の抑制などの目的で使用される農業用マルチフィルム。目的に応じて、色や幅、素材が異なるさまざまなタイプのものが販売されています。

中でも今注目なのが、バイオプラスチックを使った生分解性マルチフィルム。今回は、この生分解性マルチフィルムを使用するメリットやデメリット、従来のプラスチック製マルチフィルムとの違いなどについてご紹介します。

農業用マルチの問題点

マルチを敷いた畑
出典:写真AC
農業用マルチは、作物を育てる畝を覆う資材のことです。地温の維持や土壌水分の蒸散防止、雑草の発生抑制のほか、雨で作物に土が跳ね返るのを防いだり、病害虫の発生を防ぐなどの目的で使用され、昔は稲ワラなどが使われていました。近年ではシート状のプラスチック製マルチフィルムを使うことが一般化しています。

問題点1. 栽培終了後に剥がす必要がある

プラスチック製のマルチフィルムは、安価で設置時の作業性がいい反面、作物の栽培が終了するごとに剥がさなければならないというデメリットがあります。広い畑で、マルチフィルムを一枚ずつ土壌中に残らないように取り除く作業は、大きな労力がかかります。

問題点2. 廃棄に費用がかかる

土や水分が付着したシートは扱いにくく、ゴミとしてまとめるのに手間がかかり、かさばるため廃棄費用もかかります。また最近では、環境配慮の観点から、廃プラスチックとなるマルチフィルムの使用を控えたいと考える農家も多くいるようです。

生分解性マルチフィルムとは?

畑
出典:PIXTA
これらのプラスティック製農業用マルチの問題点を解決してくれるのが「生分解性マルチフィルム」です。生分解性マルチフィルムは、「バイオプラスチック」と呼ばれる、土壌中で水と二酸化炭素に分解される素材を使ったマルチフィルムです。

原料

生分解性マルチフィルムは、トウモロコシやサトウキビのデンプン、トウゴマのひまし油など、植物性の原料のものと、石油由来の原料を用いたものがあります。

価格

メーカーによって異なりますが、生分解性マルチフィルムは一般的なマルチフィルムに比べて3〜5倍の価格で販売されていることが多いようです。

保管方法

生分解性マルチフィルムはその特性上、基本的にどこのメーカーの製品でも時間と共に劣化します。温度・湿度依存性が高く、保管可能期間が短いことも特徴です。

どこで買える?

一般的なマルチフィルムに比べると流通量が少なく、保管期間(条件)が限られてしまうため、販売店も多くはありません。農業資材販売店オンラインショップで購入しましょう。

生分解性マルチフィルムを使用するメリット

マルチシート
出典:写真AC
生分解性マルチフィルムは、作物の栽培が終わった後、トラクターなどで土壌中にすき込むだけ畑の後処理が完了します。そのため、マルチを剥がす、ゴミとしてまとめるといった作業が発生せず、後片付けを省力化することができます。加えて、プラスチック製のマルチフィルムのように土の中に残存しないので、畑をきれいに保て、廃プラスチックを排出しないため、環境保全に貢献できるといったメリットもあります。

生分解性マルチフィルムのおすすめメーカー5選

レタス畑
出典:写真AC
現在国内で販売されている、生分解性マルチフィルムのメーカーとその製品をご紹介します。

三菱ケミカルアグリドリーム株式会社

三菱ケミカルアグリドリームは、農業用ビニルフィルム(農ビ)、ポリオレフィン系フィルム(農PO)、生分解性マルチフィルムなど、多種類の農業フィルムを提供する国内メーカーです。フィルムの配合やコーティングの技術の高さで定評があり、三菱ケミカルグループ各社と連携することで高い研究開発力を有しています。三菱ケミカルアグリドリームでは「GS Pla®」というオリジナルの生分解性プラスチックを使った、「カエルーチ™」と「カエルーチ™L」という2種類のマルチフィルムを販売しています。

カエルーチ™

三菱ケミカルアグリドリームの配合加工技術により、高い性能とコストバランスを実現したマルチフィルムです。設置後から分解が始まり、約4カ月で土壌にすき込めます。色は、透明、黒、銀ネズの3色で、それぞれ95cm、135cm、150cmの幅で商品展開があるので、用途に合わせて使用することができます。
カエルーチの詳細情報はこちらから!

カエルーチ™L

カエルーチに比べ、分解が緩やかに進行する中長期栽培向けのマルチフィルムです。ジャガイモやサトイモ、エダマメなど、栽培期間が長めの作物の栽培に適しています。色は黒のみで、幅は95cm、135cm、150cmの3パターンがあります。厚さや重さはカエルーチと同じで、ポリマルチと同じように使用することができます。
カエルーチLの詳細情報はこちらから!


サンプラック工業株式会社

コンパウンドと農業用のフィルムを扱う化学メーカー。半透明、黒、グリーン、スーパーホワイトの4色の生分解性マルチフィルムを、それぞれ95cmと135cmで幅販売しており、黒と半透明の2色はオンラインショップで購入することもできます。WEBサイトに掲載されているマルチの種類による比較テスト(「生産者の声」に掲載)は、マルチ選びの参考になります。

サンバイオ

サンプラック工業株式会社「サンバイオ」

アキレス株式会社

ゴム製品から始まり、シューズやプラスチック製品、産業資材などの製造販売をする大手化学メーカーです。農業分野でも、保湿や紫外線カットなどの機能を持つ農業用フィルムや、施設園芸資材を多く取り扱っています。生分解性マルチフィルムは、土中に埋めて1カ月で分解が始まり、3カ月で小さな断片にまで分解される「ビオフレックスマルチ」を、透明、黒、銀ネズ、白黒、ダークグリーンの5色展開で販売しています。

ビオフレックスマルチ

アキレス株式会社「ビオフレックスマルチ」

株式会社ユニック

タバコ生産に関わる農業資材を提供してきたユニックは、国内で初めて生分解性プラスチックの成膜化(※)に成功。現在は「キエ丸」という名前で、生分解性マルチフィルムとして販売しています。透明と黒の2色は通常販売を行い、乳白、白黒、グリーン、銀ネズは受注生産。受注生産の場合、希望する幅での製造や有孔加工も行なっています。
※成膜化…対象物に薄い膜をつける技術のこと

キエ丸

株式会社ユニック「キエ丸」

サンテーラ株式会社

JAグループが取り扱うマルチフィルム「きえ太郎Z」を製造する会社です。土壌中の微生物により炭酸ガスに分解される「きえ太郎Z」は0.015mmという薄さながら、マルチャーで展張ができ、普通のマルチを使用する時と同じような使い方ができると話題です。生分解性マルチの色は、透明と黒の2種類があり、さまざまな作物の栽培に使用可能です。

きえ太郎Z

サンテーラ株式会社「きえ太郎Z」

生分解性マルチフィルムに補助金は出る?

マルチを張った畑
出典:PIXTA
環境にやさしい農業の推進を目的に、生分解性マルチフィルムの購入費用の一部を補助する自治体があります。補助額は自治体によって異なりますが、購入額の1/3〜1/2程度を補助するケースが多いようです。生分解性マルチフィルムを購入する際は事前に自治体のHPなどで情報を確認するようにしましょう。

自治体から支給される補助金の例

自治体から実際に支給されている、補助金の例を紹介します。

新潟県 関川村

生分解性マルチフィルム購入費用の2分の1以内を補助(上限3万円)

詳しくはこちら

岩手県 軽米町

生分解性マルチフィルム購入費用の5分の1以内を補助(上限10万円)

詳しくはこちら

生分解性マルチフィルムの使用方法

畑
出典:PIXTA
生分解性マルチフィルムの使い方は、通常のプラスチック製マルチフィルムと変わりません。ただし、生分解性マルチフィルムの方が強度が若干弱い傾向にあります。マルチャーなど機械を使用する際は、テンションをやや弱める、速度をゆっくりにするなどして、強く張り過ぎないように気をつけましょう。風のない、あたたかい日に作業をするのがおすすめします。

生分解性マルチを使用する際の注意点

苗の植え付け
出典:PIXTA
基本的な使い方はプラスチック製マルチフィルムとほぼ同じですが、商品選びや保管、土壌へのすき込みの際にはちょっとした注意が必要です。

栽培期間にあった商品を選ぶ

生分解性マルチフィルムは、商品によって分解速度が異なります。栽培する作物の栽培期間に合った分解速度の商品を選択するようにしましょう。一般的には2~3ヵ月で分解するタイプと、4~5カ月で分解するタイプが販売されているようです。

購入後はすぐに使用する

時間が経つと強度が下がるため、購入後はすぐに使用しましょう。特に、高温・多湿な場所で保管すると、短期間で分解がすすみフィルムの強度が低下します。一時保管する際は、雨や直射日光が当たらない、風通しのいい場所に置きましょう。

土壌の水分管理に注意

一般的なプラスチック製マルチフィルムに比べると、土壌の水分保持力が低く、土が乾きやすくなります。土壌の水分管理に気をつけましょう。また、土壌消毒剤などの農薬を使用した場合には分解が早まるので注意が必要です。

すき込みはフィルムがもろくなってから

フィルムを土壌中にすき込む際は、地中に埋まるようにしっかりとすき込みましょう。地表面に残っていると分解が遅れ、周辺に飛散する可能性もあります。環境条件によっては分解の進行が遅く、すき込み時にフィルムが機械に絡み付く場合があります。フィルムがもろくなっているか確認してからすき込みましょう。

生分解性マルチフィルムの分解過程

画像提供:三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
生分解性マルチフィルムは、設置後、時間が経つにつれて徐々に土壌微生物によって水と二酸化炭素に分解されます。分解速度は商品によって異なりますが、ここでは三菱ケミカルアグリドリームの「カエルーチ™」を例に分解過程を紹介します。

展張初期

畑に設置してすぐの様子。見た目も、強度も、プラスチック製マルチとほぼ変わりません。

展張 約2カ月

地表部の変化はまだみられません。地中に埋まった部分を引き出してみると分解が進み、破れやすくなっています。

展張 約3カ月

地表部と地中部の境目がもろくなり、マルチを引っ張るとすぐに破れるように。地表部も破れが目立つようになっていきます。

展張 約4カ月

地表部、地中部ともに、力を入れなくてもすぐに破れるほど全体にもろくなります。この段階までくると、トラクターの刃に引っかかることなく、土壌にすき込むことが可能です。

生分解性マルチを使ってサスティナブルな農業を!

マルチ張り機
出典:PIXTA
生分解性マルチフィルムの使用は、作業負担や廃棄費用を軽減するだけでなく、環境面でも大きなメリットがあります。未来につながる、持続可能な農業の実現のためにも、使用を検討してみてはいかがでしょうか。

Sponsored by 三菱ケミカルアグリドリーム株式会社

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この記事の筆者:
中山 昭子

農の魅力をたくさんの人に届けたい! そんな想いで、人の居場所になるような農園づくり&情報発信に取り組んでいます。 相模原で体験農園のオープンに向けて奮闘中。調布市在住。2児の母。

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