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園芸家
Shabomaniac!幼少期から40年以上、世界中のサボテンと多肉植物を栽培している園芸家。栽培が難しい種の播種や育成、新種の輸入にも早くから取り組む。実体験に基づく栽培方法や、自身が所有・栽培する植物の写真、自生地巡りの紀行をブログとInstagramで発信。長年の栽培経験に基づく豊富な知識で愛好家たちからの信頼も厚い。 Blog:http://shabomaniac.blog13.fc2.com Instagram:@shabomaniac 著書:『珍奇植物 ビザールプランツと生きる』(日本文芸社)、『多肉植物サボテン語辞典』(主婦の友社)…続きを読む
とても寒さに強いことで知られるセンペルビウム。どのくらい寒さに強いかというと、なんと戸外でも冬を越せるほどの耐寒性を備えているんです。本記事では、そんなセンペルビウムの育て方を栽培歴40年のベテラン園芸家・Shabomaniac!さんにお聞きしました。「バニラシフォン」や「ゴールドナゲット」など、人気種の特徴も紹介していきます!
センペルビウムの特徴
センペルビウムはヨーロッパから北アフリカ、コーカサス、中央ロシアまで広範囲の山岳地帯に生えている多肉植物です。交雑が容易なため、40〜50種の原種に加えて膨大な数の園芸品種が出回っています。色は緑やえんじ、紫が多く、サイズは小型種から大型種までさまざまです。寒くなると真っ赤に紅葉する種もあり、季節の変化も楽しめます。分類はベンケイソウ科に属し、エケベリアと似たロゼット型の葉姿は女性人気が高く、寄せ植えにもよく利用されています。葉はそこまで肉厚ではなく、群生しながらマット状に育っていくのも特徴です。
ヨーロッパでは古くから人気があり、鉢植えとしても親しまれていますが、もともとはロックガーデンに植栽する材料として使われてきました。日本では山野草としても流通しています。
センペルビウムとジョビバルバの見分け方
現在のセンペルビウム属には、もとからセンペルビウム属に分類されていたグループと、かつてはジョビバルバという別の属に分類されていたグループの2種類があります。葉姿だけではほぼ見分けがつきませんが、子株のつき方と花の色や形態で判別が可能です。センペルビウムは親株からランナーを伸ばしてその先に子株をつけるのに対し、ジョビバルバのランナーは細い糸のようであまり伸びず、分頭して親株の株元にくっつくように群生します。また、センペルビウムの花は赤やピンクで花弁が10〜20枚と多いのに対し、ジョビバルバの花はほとんどが黄色や黄緑で、花弁が少なく、花とわからないほどの地味な形態をしているのが決定的な違いです。
センペルビウムの自生地
ヨーロッパから中央ロシアまでの山岳地帯が原産で、気温が低く乾燥した岩場や砂れき地に自生しています。そのため多肉植物の中でも極めて耐寒性が高く、雪の下でも耐えるため寒冷地でも屋外での冬越しが可能です。
センペルビウムの花
センペルビウムの開花期は2〜7月ごろです。ロゼットの中心から立ち上がるようにして花芽を形成していき、花が咲き終わると株も枯れてしまうので、長く育てたければ子株や株分けで殖やしておきましょう。
センペルビウムの入手方法・価格
無数の園芸種のうち有名なものはホームセンターや園芸店で入手できます。価格は1鉢1,000円以下のものがほとんどです。
センペルビウムの基本情報
| 分類 | ベンケイソウ科センペルビウム属 |
| 原産地 | ヨーロッパ、北アフリカ、コーカサス、中央ロシア |
生育型
春秋型
耐暑性
弱い
耐寒性
とても強い
生長速度
早い
センペルビウムの人気種
ここからはセンペルビウム属の基本種を紹介していきます。それぞれの栽培難易度は、星の数(☆~☆☆☆☆☆)で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど栽培難易度が低くなります。
センペルビウムの原種
巻絹(Sempervivum arachnoideum)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
生長すると葉の先端からクモの巣のような細く白い糸を伸ばし、やがて葉全体を覆います。耐寒性だけでなく割と耐暑性もあるので、初心者でも育てやすいでしょう。
玉光(Sempervivum arenarium)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
東アルプスが原産の小型種。赤茶色に紅葉します。
栄(Sempervivum calcareum monstrosus)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
筒状の葉が放射状に広がってロゼットを形成する奇形のセンペルビウムです。葉は主に緑色で先端が赤茶っぽく染まります。
センペルビウムの園芸品種
ブルーボーイ(Sempervivum ‘Blue Boy’)
| 難易度 | ☆☆ |
青みを帯びた葉幅の細いセンペルビウムです。先端から縁にかけて紫がかり、寒くなると全体が紫っぽく紅葉します。
ブロンコ(Sempervivum ‘Bronco’)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
名前の通り冬になると美しいブロンズ色に染まるブロンコ。春が近づくにつれて少しずつ緑に変わっていき、夏は本来の濃い緑色に発色します。
ガゼル(Sempervivum ‘Gazelle’)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
全体が白い糸で覆われ、糸が綿状に絡まる姿がとても美しい園芸品種です。
ゴールドナゲット(Sempervivum ‘Gold Nugget’)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
本来の葉は黄緑色ですが、冬になると黄色からオレンジ、赤に染まる鑑賞価値の高い園芸品種で、最近になって日本でも購入できるようになりました。紅葉時の美しさに加え、生長が遅くあまり子吹きしないので、センペルビウムの中ではレアな種といえます。
百恵(Sempervivum ‘Oddity’)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
原種の栄と似て細い筒状の葉を上に向かって伸ばすユニークな姿のセンペルビウムです。水分が多いと葉が長くなり、乾燥気味に育てると短く詰まった株姿になります。
バニラシフォン(Sempervivum ‘Osasempfuji’)
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| 栽培難易度 | ☆☆ |
夏は緑の葉に黄色の斑が入り、子株が出る時期になるとピンクに染まります。子株のうちは全体が白っぽいピンク色をしていますが、徐々に緑色に変わっていきます。
センペルビウムの大型種
コンラン(Sempervivum‘Konran’)
| 栽培難易度 | ☆☆ |
全体が赤く色づき、直径15cm以上に生長する大型種。あまり群生はしませんが、単体でも見応えがあります。
センペルビウムの育て方
水やり
鉢植えの場合、生長期は土が乾き切らないタイミングで鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりします。屋外で雨ざらしにしたり、地植えにしたりするなら基本的に水やりは不要です。ただ、気温の高い時に鉢内が湿った状態になると根が蒸れて腐ることがあるので、水やりは涼しい時間帯に行いましょう。夏と真冬は活動が鈍るので、水やりは控えめにします。
日当たり・置き場所
生長期にあたる春と秋は日当たりと風通しのよい場所で管理します。冬は霜や雪に当てても枯れる心配がないので戸外に出したままでもOK。ただ高温多湿にはめっぽう弱いので、夏は雨の当たらない涼しい場所に移動させ、できれば25℃以下で管理してあげてください。冷房の効いた室内であれば暑さはしのげますが日照不足で徒長しやすく、あっという間にだらしない株姿になってしまいます。午前中や夕方の涼しい時間帯に短時間だけ日に当ててあげるなどの工夫が必要です。
用土・肥料
水はけがよければ土はあまり選びません。市販の多肉植物の土か、自分で配合する場合は水やり後にさっと乾く土を使いましょう。
センペルビウムの植え付け・植え替え
植え付け・植え替えは真夏や真冬を避け、生長期の春か秋に行います。頻度は1〜2年に1回が目安です。群生してマット状に広がっていくので直径の広い鉢に植えるのがおすすめ。また株が混み合っていると風通しが悪くなるので、植え替えと同時に株分けもしてしまうとよいでしょう。
センペルビウムの剪定・仕立て直し
どんどん子株をつけて横に広がっていくので、適宜仕立て直しが必要です。コンパクトに育てたければ子株をかいたり、株分けしたりして新しい鉢に植え付けましょう。徒長して茎が縦に伸びてしまった株は、胴切りすると切ったところから子吹きするので、子株から新たに育てていくのがおすすめです。
センペルビウムの殖やし方
センペルビウムの葉は薄くて葉挿しが難しく、成功率も低いため、子株や株分けで増やすのが一般的です。また、一度花が咲いた株はそのまま枯れてしまうので、子株がついていなければ花が咲く前に花茎を切って体力を温存させ、子吹きを促すとよいでしょう。
子株
子株が直径2cmくらいまで育ったらランナーを先端から1cmほど残してカットし、清潔な新しい土に挿して活着させます。
株分け
群生している株は、まず親株を鉢から引き抜き、根についている土を落とします。それぞれの株に根が残るようにはさみなどで切り分けたら、新しい土に植え替えましょう。
センペルビウムの病気・害虫
センペルビウムにはまれにアブラムシがつくことがあるため、発見したら殺虫剤などで駆除しましょう。植物の体内を農薬の有効成分が移っていく浸透移行性の薬剤を用土に混ぜておくと根から薬の成分が吸収されて予防になります。
センペルビウムに関するQ&A
地植えにできる?

屋内でも育てられる?

ランナーから根が出ない

葉が反り返る

センペルビウムを育ててみよう!
センペルビウムは山岳地帯に自生しているだけあって非常に強健な多肉植物です。梅雨の時期や夏場に蒸れないよう置き場所と水やりの時間帯に注意してあげれば、初心者でも枯らしてしまう心配は少ないでしょう。ランナーを伸ばして子株をつける性質があるので、繁殖も簡単です。春から初夏に咲く花や寒い時期の紅葉など、一年を通していろいろな表情が楽しめるので、ぜひ育ててみてくださいね。




































