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土壌分析で効果的な施肥設計を|自分で行うキットや分析機関への依頼方法も解説

土壌分析を行い、適正な施肥設計をして、農作物の収量アップ、品質の安定・向上、施肥コストの低減を目指しましょう。土壌分析の目的・メリット・分析項目・方法について解説。


スコップですくった土壌

出典:写真AC
農作物の収量をアップさせ、品質を安定させるためには、作物と土壌に応じた施肥設計が不可欠です。生産者の経験だけでは、土壌中の養分の過不足を正確に把握することは難しいものです。科学的に土壌の状態を診断する「土壌分析」を行うことによって、適正な施肥設計が可能となります。その結果として、収量・品質の安定・向上と施肥コストの低減が実現できます。

土壌分析とは

土壌と新芽
出典:写真AC
土壌分析とは何をするものなのか、具体的に行うこと、目的や必要性について説明します。

土壌分析とは何か

土壌分析とは、農地の土壌を調査分析して診断し、施肥等の改良方針を示すことです。具体的には、指定された方法により生産者が土壌を採取し、土壌の性質を、決められた項目別に分析測定します。土壌分析は生産者自ら行う場合と、生産者が土壌分析サービスに依頼して、分析機関が分析を行い土壌診断表を作成して生産者に渡す場合があります。

土壌分析の目的・必要性

土壌分析の目的は、その結果に基づいて、最適なバランスに整った土に改善させることです。作物が正常に生育するのに適した養分状態を土壌中に整えることができたら、作物の収量はアップします。また、品質の安定・向上も期待できます。

養分が多過ぎると施肥が無駄になるだけではなく、作物の生育に悪影響を及ぼすこともあります。また、養分が少な過ぎても、生育が阻害されてしまいます。土壌と作物に見合った適正施肥を行うためには、現在の土壌の状態を科学的データとして把握できる、土壌分析が必要なのです。

土壌分析のメリット

キャベツ畑
出典:写真AC
土壌分析を行うことによって収量や品質のアップが期待できますが、効果はそれだけではありません。

作物の収量・品質の安定・向上

土壌分析を行うと、現在の畑の土の状態が把握でき、養分の過不足がデータ化されます。その数値結果に基づいて、どの肥料をどれくらいの量投入したらいいかという、適正な施肥設計ができます。作物にとって最適な養分の状態に土を整えることによって、収量はアップし、品質も向上することが期待できます。

施肥コストの低減

これまで生産者の経験や勘に基づいて行ってきた施肥は、適正ではなかったかもしれません。土壌分析の結果に基づいて、不足している養分を足し、過剰な養分は減らすことになります。

無駄な肥料の投入を省けば、施肥コストを減らすことができるでしょう。過剰な施肥コストをかけても収量や品質の向上につながらないどころか、逆効果になっている可能性もあります。適正な施肥設計を目指しましょう。

環境保全

適正な施肥は環境保全にもつながります。農地に過剰に肥料を投入すると、土壌中に成分が残留します。特に問題となっているのが窒素です。窒素は土の中で硝酸イオンに変化し、硝酸性窒素は水に溶けて地下水や川に流出し、富栄養化現象や地下水汚染などを引き起こしてしまいます。

無駄な肥料の投入を減らすことは、農業経営内の問題にとどまらず、地球環境への負荷を減らすことになるのだという視点も重要です。

土壌分析の方法1|キットやアプリを使って自分で行う

ニンジンの発芽
出典:写真AC
簡単な土壌分析は自分で行うことができます。自分で行う利点は、すぐに結果が手に入ることです。作物の栽培過程で、追肥をどのように施したらいいのか判断したい際には、すぐに結果のわかる方法で行いたいものです。そのような場合には、自分で土壌分析を行いましょう。

キットを使った土壌分析

具体的には、試験紙を使ったキットでは、土壌に精製水を加えて振とうさせ、その中に試験紙を浸します。その結果をカラーチャートと対応させて、pHや硝酸態窒素、リン酸、カリウムなどを検出できます。

ITEM
農大式簡易土壌診断キット みどりくん スターターキット
試験紙タイプの土壌養分診断試験キットです。土壌のpHと肥料の三要素を誰でも簡単&お手軽に診断できます。

・内容物:みどりくんN、みどりくんPK、専用採土器、浸出用容器、シリンジ
・試験項目:pH(酸度)、硝酸態窒素、水溶性リン酸、水溶性カリウム
・使用期限:約2年(未開封状態)
・内容量:各試験20回分入り

アプリを使った土壌分析

カラーチャートと目視で対応させるのではなく、スマホによってカラーマッチングを行うことのできるアプリを活用すれば、より正確に判断できます。上記の農大式簡易土壌診断キット「みどりくん」による試験紙の測定結果をスキャンして、スマートフォンのアプリに転送して土壌分析を行う「スマートみどりくん」というツールなどがあります。

土壌分析の方法2|土壌分析サービスに委託する

タブレットを操作する農家
出典:PIXTA
本格的な土壌分析は、分析機関の土壌分析サービスに依頼しなければできません。土壌を送って、診断室にて分析機器を使って行われます。JAや肥料メーカーなど、さまざまな機関が土壌分析サービスを行っています。分析内容、結果の伝え方、その後の施肥設計など、それぞれ特徴を持っているので、栽培作物や要望に適したサービスを選びましょう。

改善におすすめの商品がすぐに購入できる|PsEco(ピーエスエコ)

PsEcoのオンラインショップで購入できる肥料
提供:株式会社PsEco
株式会社PsEcoでは会員向けに土壌分析サービスを行っています。

依頼も結果の確認もWeb上で

PsEcoの土壌分析フロー
提供:株式会社PsEco
土壌分析の依頼はWeb上で簡単に行えます。採取方法や送付方法がわかりやすく丁寧に解説されているので、初めての依頼でも安心です。結果が届くまでは約2週間と短期間。申し込みだけでなく、分析結果もWeb上で確認できます。

膨大な分析結果データに基づくアドバイス

分析結果は、土壌の状態と問題点がわかりやすいグラフで表示されます。施肥設計に加えて、生育の予察と予防策の提案(アドバイス)も付いています。

土壌分析サービスについて注意しなければならないのは、分析機関によって分析手法が違うため、異なる分析機関の分析値を単純に比較することはできないということです。PsEcoでは独自の分析手法と分析項目を持ち、膨大な分析結果データに基づく独自の適正範囲によるアドバイスを行います。

分析結果画面からおすすめ商品が購入できる

土壌分析結果では問題改善におすすめの肥料や資材が提案され、ボタン一つでオンラインショップから購入も可能です。
会員登録してPsEcoの土壌分析サービスを申し込む
PsEcoのお問い合わせはこちらから

土壌分析の費用|価格の例

上記で紹介した土壌分析のキット、アプリ、土壌分析サービスの費用例です。料金はサービスにより異なるため、詳細は販売先やサービス提供先に確認してください。
種類名称費用分析項目数
キットみどりくん6,800円程度4:pH、硝酸態窒素、水溶性リン酸、水溶性カリウム
アプリスマートみどりくんオープン価格(別途キットが必要)4:pH、硝酸態窒素、水溶性リン酸、水溶性カリウム
土壌分析サービスPsEco4,400円(1検体)分析項目数21(基肥・追肥の設計、アドバイス付き):
pH、EC、CEC、窒素、リンサン(2種類)、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、イオウ、亜鉛、銅、マンガン、鉄、ホウ素、塩素、塩基バランス(カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム)
※価格は2021年12月時点

土壌分析サービスの受け方

土壌分析
出典:PIXTA
申し込みから結果の送付まで、土壌分析サービスを受けるための手順を説明します。

申し込み・土壌の採取

生産者は、土壌分析サービスに申し込みをしたら、分析会社の指定する通りに畑の複数箇所から土壌を採取し、一つにまとめてビニール袋に入れ、送付します。乾燥させてから送る場合と、そのままでいい場合とがあります。

分析・結果の受領

土壌分析サービスによって測定・分析が行われ、土壌の状態がデータ化されて提供されます。分析センターへ土壌検体が届いてから、約2週間から1カ月程度の時間がかかります。分析に必要な時間はサービスによって異なります。分析診断書として紙ベースで送られるケースや、デジタルデータとして受け取れるケースがあります。デジタルの場合は、これまでの分析結果の履歴とも対応できる場合があり便利です。

サービスによっては、土壌の状態に応じた施肥設計までも行ってもらえます。さらに、適正な施肥設計に基づいた肥料の提案、購入までもワンストップで行える場合もあります。

土壌分析の主な項目

土壌酸度敬
出典:写真AC
土壌分析で測定される項目は、それぞれ作物の生育に重要なものです。分析の結果、何がどれくらい不足しているか、あるいは過剰なのかがわかります。

肥料の5大要素(窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム)

窒素は作物の生育に必要な成分、リン酸は作物の茎葉や根の生長、開花や結実を促す成分、カリウムは根の発達を促進すると共に、作物を丈夫に育てる成分、カルシウムは根の発育を促進し土壌酸度を改良する成分、マグネシウムはリン酸の吸収や光合成を助ける成分です。

硫黄・微量要素

硫黄が欠乏すると、葉の色が薄くなり生育不良となります。また、亜鉛、銅、マンガン、鉄、ホウ素など「微量要素」と呼ばれるものは、必要量はごくわずかですが、不足すると、葉が黄色や褐色になったり、変形したりするなど生育への影響が出てきます。

pH

リトマス試験紙
出典:写真AC
土壌の一般的なpHの適正値は6.5くらいですが、作物の種類によって好適なpHの範囲は異なります。例えば、ホウレンソウでは6.0〜7.5ですが、イチゴでは5.0〜6.5です。pHが高くなると多くの微量要素は溶解度が低下して、作物にとって欠乏状態となってしまうので注意が必要です。

EC(電気伝導度)

EC(電気伝導度)は、土壌中のイオン濃度の総量を表しています。イオンの量が多いと、電気が伝わりやすくなってECが高くなります。窒素などはイオン化された状態で作物に吸収されるので、ECは土壌中の養分量を示す値であるといえます。

ただし、高ければいいというものではなく、土壌中の養分濃度が高過ぎると、塩類濃度障害などを起こして、作物の生育が阻害されてしまいます。

土壌養分(塩基)バランス

土壌中の塩基(カルシウム、マグネシウム、カリウムなど)の比率が、土壌養分(塩基)バランスです。一般的には、カルシウム:マグネシウム:カリウムが当量比で5:2:1を目標にするとよいとされています。

このバランスが崩れると、それぞれの塩基が土壌中に十分にあっても、作物には吸収されにくくなってしまいます。例えば、土壌中のカリウムが多過ぎると、作物のマグネシウムの吸収が抑制されて、マグネシウム不足になってしまう場合があります。

CEC(陽イオン交換容量)

CEC(陽イオン交換容量)は、土壌が肥料を保持する力を表す数値です。高いほど、肥料を土壌にためておく力が強くなります。CEC以上に肥料を投入すると、土壌は養分を保持できずに、流出させてしまいます。つまり、CECの値を考慮しておかないと、必要だと考えて投入した養分も無駄になってしまうのです。

土壌分析結果の見方と施肥設計

提供:株式会社PsEco

土壌分析結果の見方

例えば、土壌のpHが低かった場合には石灰を施用する必要があると判断されますし、リンサン過剰や微量要素不足、塩基バランスの崩れが見られたら土壌養分のバランスを再構築していかなければなりません。また、微量要素の不足及び、pHが高いために微量要素の吸収が阻害されていることがわかったら、微量要素を補うこととpHを低くすることを考慮した施肥設計を行います。

新しく行った施肥設計によって起こるであろう、土壌の状態の変化も予想し、作物にとって新たな問題が発生しないかどうかを慎重に検討していきます。

このように、土壌分析結果の活用に際しては、単純に不足している養分を足す、あるいは過剰な養分を減らすだけではなく、全体のバランスと影響を考慮していかなければなりません。

効果的な施肥設計

畑に撒かれた肥料
出典:写真AC
土壌分析を行い結果を手に入れたら、データに基づいて、適正な施肥設計を行いましょう。基肥設計や追肥設計だけではなく、固形肥料がいいのか、液体肥料がいいのか、微生物資材も使用した方がいいのかなど、せっかく手に入れたデータを生かした最善の設計を行いましょう。自分で設計することが難しければ、土壌分析サービス会社によるサポートも受けられます。

施肥設計は1回で完了するものではありません。定期的に土壌分析を行い、その結果に応じて、施肥も変更していく必要があります。また、作物の生育時期や、季節などの気候条件によっても作物が要求する養分は変化します。時期や季節ごとの条件下で土壌分析を行い、施肥設計を変化させていくことが、収量・品質の安定・向上をもたらします

コストを削減し効果をアップする施肥の方法


土壌分析を行って収量アップと品質向上を目指そう

ブロッコリーやトマトなどの野菜
出典:Pixabay
土壌分析を行い、適正な施肥設計をして、収量・品質の安定・向上、施肥コストの低減、環境保全を進めましょう。キットやアプリを使って自分で土壌分析を行うこともできますが、より正確で詳細なデータを得たい場合や、適正な施肥設計も依頼したい場合には、土壌分析サービスに依頼するのがおすすめです。栽培作物や要望に適したサービスを選ぶことでより高い効果が見込めます。

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林 心平

札幌在住のライター。1972年東京生まれ。北海道大学大学院農業経済学専攻博士課程を経て、農業団体に勤務。2007年に独立して執筆開始。北海道の小麦で天然酵母パンを作るのが好きです。

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