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えんどう豆の追肥とつる管理|春の花芽を増やすタイミング


花を増やしたいなら、春の追肥とつる管理のタイミングをそろえるのがコツ。窒素を控え、リン酸とカリを効かせると花芽が安定し、花落ちを減らして実つきが良くなります。

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さつき

植木屋&ガーデニングライターです。1級造園施工管理技士・2級造園技能士の資格を活かし、植物と暮らしをつなぐガーデニングをお手伝いしています。「何を植えればいい?」「うまく育たない…」そんな悩みに寄り添いながら、植物がもっと元気に育つ小さな工夫やコツを丁寧にお伝えしています。「楽しそう!」「やってみたい!」と思える、実践しやすく役立つ記事を目指しています。…続きを読む

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えんどう豆の追肥とつる管理|春の花芽を増やすタイミング

春の花芽を増やすには?温度と肥料バランスの整え方

春の花芽を増やすには?温度と肥料バランスの整え方
えんどう豆の花芽は冬のあいだに準備が進み、春先の穏やかな気温の中で一気に咲きます。

ここで崩したくないのが、温度の流れと肥料のバランス

どちらかが過不足すると、つるばかり伸びて花が咲かないツルボケにつながります。

花芽が作られるのはいつ?

冬を越した株が再び動き始め、日中の気温が10〜15℃前後に落ち着く時期に、花芽が形成されます

地域差はありますが、温度帯を指標に管理するとムラを抑えやすくなります。

地域別・花芽分化の時期の目安

地域区分花芽分化の時期気温の目安
寒冷地(東北・北海道など)3月下旬〜5月上旬平均気温10〜13℃
中間地(関東・東海・九州北部など)2月下旬〜4月上旬平均気温10〜15℃
暖地(四国南部・九州南部など)2月上旬〜3月中旬平均気温12〜16℃

低温期が花芽形成のスイッチ

えんどう豆が花を増やすには、冬のあいだに「寒さをしっかり感じさせること」が大切です

花芽形成が進む環境の目安

条件内容
気温日中10〜15℃前後の冷涼な日が続く
期間数週間ほどの冷涼期を経て、気温がゆるやかに上昇する
効果花芽形成が促され、春に花が揃いやすくなる
 

寒さが足りないと、つるや葉ばかり伸びて、花芽がつきにくくなります。

そのため、暖冬の年は花数が減る傾向があります。

対策のポイント

  • 秋まきは少し早めに:寒さに十分当てて花芽の準備を整える
  • 遅まきは苗で補う:低温不足を防ぎ、花数を安定させる
  • 冬の追肥は控える:生長を止めて花芽形成を促す

窒素は控えめ、リン酸とカリで花芽を促す

春のえんどう豆管理で大切なのは、肥料のバランスです。

特に意識したいのが炭素と窒素のバランスで、これが崩れると花芽がつきにくくなります。

花芽形成に関わる3要素

成分役割与えすぎ・不足時の影響
窒素(N)葉や茎を伸ばす多すぎるとツルボケし、花芽がつかない
リン酸(P)花芽形成を促す不足すると花が少なくなる
カリウム(K)根や茎を強くし、開花・結実を支える不足すると株が弱り、サヤが育ちにくい
 

春の追肥では、窒素を控えめにしてリン酸とカリを多めに配合するのが基本です。

配合の目安としては、低窒素タイプ(例:N:P:K=3:10:10前後)が扱いやすいです

えんどう豆の追肥は2回|時期と配合のポイント

えんどう豆の追肥は2回
えんどう豆の追肥は、春の生育リズムに合わせて2回に分けて行うのが効果的です。

1回目は花芽をつくるための準備期、2回目は開花と結実を支える仕上げ期です。

それぞれの時期と配合のポイントを見ていきましょう。

第1回:3月上旬|花芽スイッチを入れる追肥

越冬後、株の生長が再び動き始めたころが最初の追肥のタイミングです。

目的は、冬のあいだに疲れた株を回復させながら、花芽形成のスイッチを入れることです。

 
項目内容
施肥のタイミング新芽が動き始めたころ(一般地3月上旬ごろ)
肥料の目的株の回復と花芽誘導
配合の目安 

低窒素・リン酸カリ多め

(例:N:P:K=3:10:10〜5:10:10)

 
使用方法表示量を守って株のまわりにまき、土に混ぜ込む
管理のポイント窒素を控えめにして徒長を防ぐ
 



 

さつまいも・まめの肥料 2kg


第2回:4月上旬〜中旬|開花を支える軽めの追肥

1番果や2番果が咲く直前が、2回目の追肥のタイミングです。

目的は、花芽を維持しながら莢(さや)の肥大させることです。

 
項目内容
施肥のタイミング開花前後(一般地で4月上旬〜中旬)
肥料の目的花芽維持と莢(さや)の肥大サポート
配合の目安過剰にならない程度のバランス型

(例:N:P:K=8:8:8前後)
使用方法表示量を守って株のまわりにまき、土に混ぜ込む
管理のポイント過剰施肥を避け、均一に行き渡るようにする
 


つる管理と摘心で花芽を集中させる

つる管理と摘心で花芽を集中させる
つるの立ち上げと摘心(てきしん)は、花芽を集中させて安定した収穫につなげる作業です。

生育の勢いを整えることで、花数や莢(さや)の付き方が変わります。

草丈20cm程度で支柱設置、風と乾燥を防ぐ

倒伏防止と花芽の安定化のためには、早めの支柱立てが効果的

支柱の高さは1.5〜2m程度を目安に、株元から10cmほど離して立てましょう。

敷きワラをしておくと、土の乾燥を防ぎ、根を冷えから守る効果があります。

 


つるが伸びたら摘心|花を集めて収穫を安定化

つるが支柱やネットの上端に届いたころが、摘心(てきしん)のタイミングです。

先端を軽く切って生長を止めることで、上への栄養の流れを抑え、下の花芽がしっかり育ちます。

摘心の効果

  • 栄養が株全体に行き渡り、花数と莢(さや)の大きさが安定する
  • 光と風が通りやすくなり、病気や花落ちを防げる

花が落ちる3つの原因と対

花が落ちる3つの原因と対策
花が落ちてしまうときは、育つ環境や肥料の与え方に問題がある場合が多いです。

考えられる主な原因は、次の3つです。
  1. 低温不足による花芽形成不良
  2. 窒素過多によるツルボケ
  3. うどんこ病などの病害

低温不足による花芽形成不良

冬のあいだに十分な寒さを経験できないと、花芽がうまく作られず、春になっても花数が少なくなります。

暖冬の年や秋まきが遅れた場合に起こりやすい症状です。

対策

  • 秋まきの時期を少し早め、株が冷涼期をしっかり経験できるようにする
  • 気温10〜15℃前後の冷涼な日が数週間続く環境を確保する
(※期間は品種や地域によって前後します)

窒素過多によるツルボケ

追肥で窒素(N)が多すぎると、つるや葉ばかりが茂り、花芽形成が抑えられます

その結果、花が咲いても栄養が不足し、途中で落ちてしまうことがあります。

対策

  • 春の追肥では窒素を控え、リン酸(P)とカリ(K)を多めに
  • 配合の目安:低窒素タイプ(例:N:P:K=3:10:10前後)
  • リン酸は花芽形成を促し、カリは根と茎を強くして花を支える

うどんこ病などの病害

湿度が高く風通しが悪い環境では、うどんこ病が発生することがあります

葉の表裏に白い粉状のカビが出ると光合成が妨げられ、株が弱って花が落ちやすくなります。

対策

  • 株間を広げて風通しを確保する
  • 発生初期は登録農薬やカリウム重炭酸塩製剤で抑える
  • 農薬を避ける場合は重曹水を薄く散布(効果は限定的)

重曹水の作り方

  • 材料:水1L+重曹(食用・医薬品グレード)小さじ1
  • 作り方:重曹を水に溶かし、スプレーボトルに入れる
  • 使い方:発生初期に葉の表裏へ軽く吹きかける
※高濃度は葉焼けの原因になるため、規定濃度を守る

花を長く保つための追肥|PK液肥

花を長く保つための追肥
花が咲いたあとのえんどう豆は、栄養の与え方次第で花の持ちや実のつき方が大きく変わります。

肥料切れや過剰施肥によるムラを防ぐには、リン酸(P)とカリ(K)中心の液肥をうまく使うのがコツです。

PK液肥の役割

成分主な働き効果
リン酸(P)花芽形成・開花促進花数が安定し、花落ちを抑える効果が期待できる
カリウム(K)根と茎の強化・水分調整茎が丈夫になり、花持ちがよくなる

PK液肥の与え方のポイント

花が咲き始めたころから追肥を始めます。

2〜3週間おきを目安に、株元への潅水または葉面散布で施します。

気温や株の勢いを見ながら、液がまんべんなく行き渡るよう丁寧に散布するのがコツです。

追肥の管理のヒント

  • 一度に多く与えず、少量を定期的に施す
  • 花期後半も株の勢いを見ながら追肥を続ける
  • 窒素成分を多く含む肥料は、花落ちや莢のムラの原因になるため注意する

おすすめPK液肥

亜リン酸入りのPK液肥「ブリスクワン」は、花落ちを防ぎ、茎と根を元気に保ちます。

葉面散布で手軽に使えるのも魅力です。

花の咲く時期が安定せず悩んでいる方にもおすすめです。

 

ブリスクワン


家庭菜園におすすめのえんどう豆3選

やわらかく育てやすい『スナックえんどう



極早生で花つきがよく、多収のスナックえんどう。

草丈は70〜80cmほどで育てやすく、莢(さや)は濃緑で肉厚、甘みがあります。

うどんこ病に強く、全国で栽培しやすい品種です。

早生で、さやが紫『パープルスナップ 藤姫



鮮やかな紫の莢(さや)が美しい早生スナップえんどう。

1花房に2莢つく双莢性で、草丈は約1m。

ゆでても紫がほんのり残り、料理の彩りにぴったりです。

病気に強く長く収穫できる『グルメ

スナップエンドウ 種 『グルメ』 AEN552 タキイ種苗



莢(さや)も実もやわらかく食べられるスナップえんどう。

莢は9〜10cmと長くツヤがあり、甘みが強いのが特徴です。

1か所から2本の莢がつく「双莢性(そうきょうせい)」なので、たくさん収穫できます。

よくあるトラブルQ&A

よくあるトラブルQ&A
 

徒長(ツルボケ)が出たときの緊急リカバリー法

つるばかり伸びて花がつかないときは、まず窒素肥料の施用をすぐに中止します。

そのうえで、リン酸とカリを中心にした液肥(PK液肥)を薄めて葉面散布します。

花芽が形成されるまでに少し時間がかかるため、窒素の追肥は控えめにして様子を見ましょう。

花芽がつかない原因と対処

花芽ができないときは、低温期が足りていないか、肥料の与えすぎが原因です。

秋まきが遅くなると寒さを感じる期間が短くなり、花芽形成が遅れます。

対処法

  • 種まきは中間地で11月上旬ごろまでに済ませる(寒冷地は10月中旬ごろが目安)
  • 冬の間は追肥を控える
  • 春にリン酸中心の液肥(PK肥料)を与える
  • まきどきが遅れた場合は、秋に苗を購入して植えるのも有効

花芽分化に最適な温度と期間

花芽分化(かがぶんか)とは、茎の中で花のもとが作られ始めることをいいます。

 
項目目安
最適温度平均気温10〜15℃前後の冷涼期
継続期間数週間程度の低温が続くころ(地域・品種で前後あり)
 

この期間をしっかり経過すると、春の気温上昇とともに花芽が一斉に形成されます。

暖冬の年はこの冷涼期が短くなりやすいため、秋まきをやや早めると安定した花つきにつながります。

まとめ

まとめ
えんどう豆の追肥とつる管理で花芽を増やすには、次の3つを意識しましょう。

 
  1. 冬の冷涼期(10〜15℃前後)に花芽の準備を進める
  2. 春の追肥は窒素を控え、リン酸とカリを中心に
  3. つるが支柱の上まで伸びたら摘心し、花に栄養を集中させる
 

この3つの流れを意識すれば、花数も実つきも安定し、長く収穫を楽しめます。

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