食卓に自分の野菜が並ぶ未来を想像して…
福祉施設の活動で農作業を経験
石谷征彦さんは、大学で幼児教育や福祉を学びました。在学中に幼稚園教諭と保育士の免許を取得しましたが、卒業後は千葉県の福祉施設に就職。施設では、就労継続支援の一環として畑づくりやお墓の清掃などの作業にも取り組んでおり、石谷さんも4〜5年にわたり、農作業に携わってきました。この時の経験が、就農を目指す大きなきっかけとなっています。

自分で考えて動きたいという気持ち
福祉関係の仕事自体は好きだったのですが、自分で考えて動ける仕事がしたいという意欲がわくようになってきたのだといいます。
個人事業主として働こうと決めて、当初は古着店のオープンを目指していました。でも、準備していても楽しい気持ちや将来性がなく、これは自分のやりたいことではないと気づきました。

農家への弟子入りも考えた
就農への道を模索
自分の本当にやりたいことは「農業」。そう気づいてから、就農の方法を探しました。生まれ育った小金井市や東京近郊の農家に弟子入りして、いずれ就農することも考えました。でも、それは現実的ではないと説明会の際指導員の方からも言われました。

家族にも背中を押された
農業の知識を得る方法を探す中で、東京農業アカデミーにたどり着きました。古着店をやろうとしていたときには、定職を離れることに難色を示していた家族も、東京農業アカデミーへの入講には大賛成でした。

体で覚える、現場重視の農業研修
春から夏は、思ったよりほ場での作業が多い
入講前は、「学校だからもっと座学が多いのだろう」と思っていました。でも実際は、朝8時50分の朝礼終了後から夕方4時20分の終礼まで、ほ場に出ての作業と作業場での調整作業がほとんど。特に今年は暑さが厳しく、体力は消耗しますが、体で覚えることの大切さも実感しています。

農機具も、いい加減な扱いをすると大きなケガにつながることがあります。こういうことも体験してわかることです。そして、就農前にしっかり体力もつけておかなければなりません。
作業は同期で助け合って
その日の作業は、朝礼で指導員から指示されます。ただ言われたことをするだけではありません。全員で同じ野菜を管理しているのですが、全作物の手入れはできないので、一人2~3品目担当を分けて、各自作物の状態を見ながら自ら動くよう心掛けています。

作業が終わったら、お互いに担当作物の状態や何をしたかを共有します。自分が担当したものだけ知っていればいいというものではありませんので。
同期は20代前半から40代後半と年齢や経歴はバラバラですが、上下関係などはなく、和気あいあいと助け合っています。「畑の見学、一緒に行く?」と誘い合ったり、また、危険なことなどがあったらお互いに注意もし合ったり、わずかな期間でなんでも言える関係性が築けました。
わからないことはその日のうちに解決
指導員は明るく楽しい雰囲気づくりを
農場長や指導員はきめ細かく指導してくれます。作業自体はきついことが多いのですが、それを苦痛に感じないように楽しくできるような雰囲気づくりをしてくれています。

時には居残りも
わからないことがあれば、その都度指導員に質問し、その場で答えてもらいます。それでも理解しきれないことが出てきたときは、「作業終了後に農場長や指導員に質問して解決しています」と石谷さん。
また、使用した農機具などはその日のうちにきれいに洗って片づけるようになりました。

座学ではマナー講座も
ほ場での作業が多い春から夏は、まだ講義は少ないのですが、ポップ作成や獣害対策、マナー講座などを受講しました。

直売所でも学びがたくさん
アカデミーのほ場で採れた作物を構内の直売所で販売するときには、研修生も接客を行います。お客様に直接感想を聞ける機会は、いい勉強になります。

農業を福祉につなげたい
就農後のことはまだ具体的に固まっていませんが、いずれは農業を福祉に役立てたいと考えています。まずは、葉物を主軸に、サツマイモ、スイートコーンなどを育てて、都内の人たちに食べてもらうことはもちろん、福祉施設や教育機関への卸しも検討しています。

夢に向かって進むために、まずは生計を立てられる基盤を整えることが必要です。そのためにも、しっかり体力をつけて、細かいことももらさず身につけ、苦手なことは克服していく。そんな姿勢が石谷さんには見られました。
きっといい農家になって、子どもたちや施設の人たちにもおいしい野菜を届けられる日がくることでしょう。





















