東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第6期生として学ぶ大柳貴嗣さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。
世の中に貢献できる仕事をしたい!
人間本来の生き方ができる農業
大柳さんは、大学卒業後20年以上IT業界に従事していました。新卒で入った会社はIT企業。そこで6~7年間働いた後は保険会社に転職し、自社の会計アプリなどの保守を担当していました。充実した仕事ではありましたが、システム系の仕事は貢献できる相手が自社や特定の企業内に限られます。もっと広く、多くの人に貢献したいという気持ちが、就農への道を進むきっかけとなりました。大柳貴嗣さん
農業は、食べるものを自分の手で育て、地域に貢献できるやりがいのある仕事だと感じていました。人間本来の生き方や働き方ができる点も、その大きな価値だと思います。
年齢的なタイミングも
就農を目指そうと思ったもう一つの理由は、庭の手入れをしたり、土いじりが好きだったということ。デスクワークと農作業ではまったく異なりますが、そのことに大きな抵抗はありませんでした。50歳まであと数年というタイミングで転身したのにも理由があります。大柳貴嗣さん
以前から50歳になったら、IT以外のことをしたいという希望をもっていました。50歳になってから動き出したのでは遅いので、40代後半の今だと思ったのです。生計が成り立つのか、といった不安はありましたが、家族の賛成も得られて踏み出すことにしました。
都市型農業が目指せる東京農業アカデミー
東京での就農なら家族にも負担をかけない
就農するうえで、懸念していたのは家族のことでした。もし地方で就農するとなると、まだ学校に通う子どもたちとはバラバラになってしまう。50歳から新しい土地でゼロから農業に携わっていくのは難しいかもしれない。そう考えて、いったんは就農の道をあきらめかけました。そんなとき、東京アカデミーのことを知ったのです。大柳貴嗣さん
都市型農業があると知り、調べる中で東京農業アカデミーに出会いました。
これなら家族のライフスタイルを変えずに挑戦できると思いました。
これなら家族のライフスタイルを変えずに挑戦できると思いました。
就農までの体制が整っているのが決め手に
漠然と就農を考えるようになってから、地方や東京近郊の学校などとも比較しました。説明会で職員の話を聞いたり、東京農業アカデミーのホームページで先輩受講生の声を読んだりして「ここで2年間しっかり学べば農家としてやっていける可能性がある」と考えました。大柳貴嗣さん
東京農業アカデミーはほかの民間施設と比べて、設備や受け入れ体制が段違いだと思いました。東京都の本気度の高さを感じます。
仕事を完全に辞めて週5日間通うことに不安もありましたが、逆にこれくらいやらないと就農後うまく回らないとも思い決断しました。
仕事を完全に辞めて週5日間通うことに不安もありましたが、逆にこれくらいやらないと就農後うまく回らないとも思い決断しました。
入講後のギャップはほとんどなかった
2年かけて農業向きの身体作り
農作業は身体に負担がかかることは覚悟していましたし、実際に東京農業アカデミーに入講してからイメージのギャップを感じたことはありません。でも、大した作業をしたつもりがなくても、意外なところに負荷がかかることがあります。大柳貴嗣さん
身体が馴れるには2年かかると思って、鍛え上げながらボディケアも考えていきます。
販売方法まで考えることが大切
農業の学校というと農作業ばかりのイメージが強いものです。就農のために学ぶべきことは、作物の育成が要となることはもちろんですが、それだけでは足りないと大柳さんは言います。大柳貴嗣さん
いい作物を育てるにはどうしたらいいのか、ということは大事です。ただ、その先の販路をどうするのか、どのように収入を得ていくのかということまで在学中に考えておかないと、都市型農業はうまくいかないのではないかと思っています。
アカデミーでは人から学ぶこともたくさん
同期や先輩とはいい関係
同期とは年齢も性別もバラバラながら、お互いに気遣いができる仲間で、仲良く毎日を過ごしています。大柳貴嗣さん
同期とは学んだことを共有し合ったり、お互いに自分の就農像を話したり、お昼休みなどにコミュニケ―ションをとっています。
先輩は現在、就農計画を策定しているところ。1年後に自分がすべき姿を見せてくれるので、そのときの自分が今の先輩と同じ地点に立つことを想定しながら見ているのだとか。
指導員のスキルの高さに驚かされる
また、指導員は現場での実践力が高い方ばかりで見ていて学ぶことばかり。大柳貴嗣さん
指導員さんは、例えば、朝ズッキーニにウリハムシが付いているとか、病原菌の兆候が出ているといったことをいち早く見つけます。その対策もご自身の引き出しのなかからさっと出されます。
就農後すぐ、それと同じことはできませんが、できるだけ近づけるようにしっかり学びます。
就農後すぐ、それと同じことはできませんが、できるだけ近づけるようにしっかり学びます。
農業を地域の活性化につなげたい
いずれは地域に貢献を
就農後のことはまだ検討中ですが、最初は5品目程度の作物を効率よく、かつ品質よく育てることを目標にしている大柳さん。収穫物を、給食に卸すのか、スーパーに卸すのか、または直売所で販売するのか、それは今後考えていく課題です。そして、中長期的な目標として、地域に貢献できる農業を目指しています。大柳貴嗣さん
イモ掘りなどの体験ができる農場にして、地域とのつながりを深められればと思います。それが、町の発展や人の活性化につながれば理想的です
IT業界で長く仕事をしてきた大柳さんは、農業もほかの仕事同様にPDCA(Plan Do Check Action)を考えて動ける方という印象です。「人間本来の生き方、働き方」を目指しながらも、計画的に着実に進んでいけそうです。