- AGRI PICK 編集部
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教えてくれたのは?
お話を聞いたのは、株式会社大宮グリーンサービスの鴻谷さん。育てる植物に合わせた土の選定や調合を行うプロに、ケト土の正しい使い方を教えてもらいました。「優しい緑があふれる生活環境を作りたい」という思いのもと、園芸資材の中でも主に培養土・肥料などの製造・卸販売を行っている会社。植物、花、果実の命の糧である土を吟味し、各々の植物に合わせた調合を加えるといった土のブレンダー及び、健康診断の役割を担っています。
株式会社大宮グリーンサービス:http://www.ohmiyags.com/gaiyou.htm
ケト土の特徴
ケト土とは、マコモ、アシ、苔といった水辺の植物が枯れて水底に堆積し、長い年月をかけて炭化したものです。粘土のように粘り気があり、繊維質で保水力に優れています。腐植が進んでいるので、色が黒いのも特徴です。粘土状で形が整えやすく、乾燥すると固まる特性を生かし盆栽や苔玉の接着材代わりとして使われます。通気性はないため、園芸用土として利用されることは多くありません。年々採掘しづらくなっている貴重な土です。
ケト土と黒土の違い|代用品はある?
黒土とは
ケト土と見た目が似ている土には、黒土があります。関東地方の火山灰などが蓄積した関東ローム層から採取され、粘性のあるケト土と違って有機物を多く含んだやわらかい土です。園芸用土としては腐葉土などを混ぜて使われています。黒土について詳しくはこちらをご覧ください。
ケト土の代用には荒木田土が使われる
ケト土の代用品として使える土には「荒木田土(あらきだつち・田土)」があります。田んぼの土として知られる荒木田土は、腐植質や微生物などが含まれています。ケト土と同じく粘性があり、乾くと固く固まるので相撲の土俵などにも使われます。ケト土と違って繊維質ではありませんが、保水性や保肥性が高く、腐葉土などと混ぜ合わせると園芸用土としても活躍する土です。
ケト土の使い方
ケト土はその特性を生かし、さまざまな用途で使われています。1. 苔玉|苔はどこで採取?
苔玉とは、植物の根を土で球状に包んでその周りを苔で覆ったものです。ころっとしたフォルムがかわいらしく、若者から外国人まで広く親しまれています。苔玉で使う苔は歩道や公園、石垣の隙間など身近でも採取できるので、気軽に挑戦することができますよ。
ケト土はそのまま使うと通気性が悪く根腐れを起こしやすいという懸念があります。そのためケト土で苔玉を作る際は、通気性や排水性の高い赤玉土を混ぜるのがおすすめです。
苔玉の作り方
1. ケト土、赤玉土、水苔を2:1:1の割合で水を少しずつ加えながら耳たぶくらいのやわらかさになるまでボウルでよくこねる。
2. 植物の根を土で包んでボールのように成形する。
3. 周りに苔を貼って完成。
2. 石付け・盆栽
土鉢ではなく自然石に植物を植え付ける石付盆栽。その際、ケト土が植物と石を接着する役割を担います。ケト土には水苔のほか赤玉土などを3割ほど混ぜる場合もありますが、混ぜ過ぎると粘り気が少なくなり、接着効果が弱まるのでバランスを見て調合することがポイントです。
石付盆栽の作り方
1. ケト土と水苔を1:1の割合で混ぜてよくこねる。
2. 土台にする石と植物の根を針金や接着剤などで固定する。
3. 根と石の隙間にケト土を塗りこむ。
4. ケト土に苔を貼って完成。
3. テラリウム・アクアテラリウム|水中と陸上の競演!ダイソーアイテムでも
水槽の中に陸地や水中を作り、生物や植物を育てるテラリウムやアクアテラリウム。最近はケト土を使い苔をメインにする苔テラリウムも人気です。ダイソーなど100均でもテラリウムに利用できるおしゃれな容器や軽石、砂利などが販売されています。初心者でも低価格でチャレンジできるのが魅力です。
苔テラリウムの作り方
1. ケト土と赤玉土を7:3の割合で水を加えながら混ぜる。
2. 通気性、排水性をよくするために容器に大き目の砂利を敷いてから土を入れる。
3. 苔をピンセットで丁寧に植え込んだら完成。
4. ビオトープ|自然学習にも最適
ビオトープとは人工的に水辺の生態系を再現した空間のことです。広いスペースがなくても、ベランダなどを利用すれば身近に虫や魚などが集まる自然体系が作れます。ビオトープの作り方
1. ケト土と赤玉土を8:2の割合で混ぜた土を鉢などの容器に敷く。
2. 水辺植物やマングローブの植物などを植えつける。
ケト土を購入するなら通販やホームセンターで
ケト土は通販やホームセンターで購入することができます。価格も2Lあたり250~400円ほどとリーズナブルです。用途に応じて別の土を配合したものも販売されているので、目的に応じて選びましょう。栄養が豊富で水もちの良いケト土は苔玉、盆栽づくりの強い味方!
栄養分が多く水持ちが良いケト土は、苔玉やテラリウム、ビオトープなどに活用されています。乾燥するとしっかり固まるので石付盆栽などの根元を固定するのにも役立ちます。通販やホームセンターなどで手に入れて、便利なケト土を使ってみてくださいね。