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ボタニカルショップ「NEO GREEN 渋谷」オーナー
白田 仁「趣味の園芸」テキストで、園芸ダイアリーの観葉植物を担当し、執筆・監修を2年間務める。そのほか、インテリアグリーンに関する本の監修も多数。店舗で扱う植物は、全て自身の目で厳選し、鉢合わせしたもの。植物とかわいらしいネコ達との暮らしが垣間見れるインスタグラムは必見! HP:http://www.neogreen.co.jp/ Instagram:https://www.instagram.com/neo_green/…続きを読む
- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
そこで今回は、観葉植物のプロにリトープスの育て方を詳しく教えてもらいました。人気の品種やおしゃれな寄せ植え方法も紹介します!
リトープスの基本情報
基本情報
学名 | Lithops |
英語名 | Lithops |
科名 | ハマミズナ科 |
属名 | リトープス属 |
原産地
特徴
草丈
5cm程度耐寒性
普通耐暑性
強いリトープスとは|植物なのに脱皮!?育てるのは難しい?
リトープスの生態
まるで、土に埋まった小石のような姿が特徴のリトープス。この独特の形は、動物の食害から身を守るための擬態といわれています。自生地のリトープスは、透明な天窓がある頭の部分だけを地表に露出し、そこから光を取り入れて光合成を行っています。この頭の部分には、網目状などの模様が入っているものが多く、よりカモフラージュ効果を高めています。リトープスの脱皮
リトープスは植物でありながら、「脱皮」するという非常にユニークな性質を持っています。脱皮の時期になると、中心部分の割れ目が広がり、中から新しい葉(子株)が出現し、株を更新するのです。また、脱皮の際に分頭することで、株を増やしていきます。この脱皮という性質は、リトープスの上位分類である「メセン」に属する多肉植物特有のものです。メセン類には、リトープスのほかに「コノフィツム」という種類も知られています。
リトープスの脱皮時期
リトープスが脱皮する時期は、3~5月。脱皮すると中から子株が現れて株が更新されるため、1年サイクルの世代交代となります。また、脱皮で誕生する子株が2つに分頭(ぶんとう)することがありますが、これは2年に1回の割合です。リトープスはこの分頭、もしくは種により株を増やします。
脱皮中の管理
リトープスの栽培にまだ慣れていない人は、脱皮している期間は断水したほうが安全です。リトープスの子株は、親株の水分を吸収しながら生長するため、基本的には水やりをしなくても枯れることはありません。また、脱皮中に水をやり過ぎると「二重脱皮」を起こしてしまい、生まれてくる子株が小さく弱いものになってしまう危険性があります。脱皮後の皮の処理
脱皮後は、外側についたままになっている古い皮(親株の皮)が気になると思いますが、すぐに取り除くのはやめましょう。古い皮は子株にへばりついているため、水分が残っているとじょうずに取るのは困難です。カラカラに乾燥した状態になるまで待ち、そっと取り除くようにしてください。リトープスが脱皮しない原因は?
リトープスの花|特徴・開花時期・種の取り方
リトープスの花の特徴
リトープスは、季節になると株上部の割れ目からつぼみを出し、かわいらしい花を咲かせます。花の色は白や黄色が多いですが、中には薄ピンク色の花が咲く品種も。花弁はとても細く、同じハナミズナ科の「マツバギク」の花によく似ています。3~4日後に花が咲き終わったら、花がらは摘み取るようにしましょう。枯れた花弁が胴体部分に張り付いて、シミになってしまうことがあるためです。花の中心部分は取りづらいため、花弁のみを指かピンセットでむしり取りましょう。
開花時期
品種によって多少異なりますが、9月~翌1月が開花時期になります。市販の品種の多くは10~11月に開花します。リトープスの種
リトープスは種を採取することができます。ただし、自家受粉はしないため1株だけでは結実しません。種を採るためには、複数の株を一緒に育てる必要があります。開花後3~4カ月ほど経ち、種が入っている実のような部分が完全に乾燥したら、株から取り外しましょう。種を採取するまでは、水がかからないように注意してください。実を採ったらビニール袋に入れ、冷蔵庫で保存しておきましょう。
リトープスの種まきの時期は、秋がベストです。種まきの方法については、後ほど「増やし方」の項目で説明します。
リトープスの種類と品種
ここからはおすすめのリトープスの品種を紹介していきます。それぞれの栽培難易度は、星の数(☆~☆☆☆☆☆)で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど育てやすい品種になります。ウェベリー
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
網目寿麗玉(あみめじゅれいぎょく)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
麗虹玉(れいこうぎょく)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
紫勲玉(しくんぎょく)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
緑大津絵(みどりおおつえ)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
大観玉(たいかんぎょく)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
日輪玉(にちりんぎょく)
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
トップレッド
栽培難易度 | ☆☆☆☆ |
リトープスの育て方|水やりのコツや用土の選び方は?
栽培カレンダー
適した置き場所
リトープスは、日の光が大好きな植物です。日陰に長期間置いていると、徒長して間延びした姿になってしまいます。そうなると自重で倒れてしまうことも。よく締まった元気な株に育てるためには、できるだけ直射日光が当たる場所で管理することが重要です。また、リトープスは風通しの良さも、栽培する上で欠かせない条件となります。特に高温多湿になる夏は、無風状態の場所に置いていると、とたんに腐って消えてしまうため注意しましょう。
水やり
乾燥した砂漠地帯を原産地とするリトープスは、過湿を嫌います。そのため、湿度が高くなる日本の夏は水やりには注意が必要。水を与え過ぎると根腐れを起こし、その後は株全体まで腐って、あっという間に溶けるように消えてしまいます。真夏は、水やりを30日に1回程度に控えるか、断水するようにします。断水をするとしわしわになってきますが、水やりを再開すれば元に戻ります。どうしても気になるという場合は、10日に1回を目安に霧吹きで葉水を与えると良いでしょう。ただし、鉢土は湿らせないようにしてください。
冬の水やりは、なるべく天気の良い日の朝に行うようにしましょう。気温が低い冬は、鉢土の乾きが悪くなるため、根腐れを起こすことがあるためです。
リトープスは、しわしわになる前に柔らかくなって張りがなくなります。日頃から手で触ったり、写真を撮っておいたりして、水やりをした直後のベストな株の張り具合を覚えておくと良いでしょう。
肥料について
リトープスは、肥料により根が傷んだり、枯れたりしてしまう「肥料焼け」を起こしやすいため、基本的には無肥料で育てるのが安全です。温度
リトープスの栽培に適した気温は、8~25℃。気温が35℃を超えると生育が鈍ります。また、リトープスが耐えうる最低気温は3℃が目安となります。
夏越し
屋外に置いている場合は特に心配はありませんが、室内管理は無風状態にならないように管理してください。風通しが悪いと株が腐ってしまう原因になります。また、高湿度となる梅雨時期は株が腐りやすくなるため、断水して休ませるのがおすすめです。
冬越し
比較的耐寒性があるリトープスは、凍らない程度の気温であれば屋外でも越冬可能ですが、できるだけ日当たりが良い場所に置くようにしましょう。また、雨がかかってしまうと水やりの管理が難しくなってしまうため、庇(ひさし)がある場所が適しています。用土
砂漠地帯を原産地とするリトープスは過湿を嫌うため、水はけの良い用土を好みます。サボテン用の培養土でも良いのですが、リトープスは小さいため、粒が大きくザクザクしているものはうまく植えられません。できるだけ粒子の細かいものを選ぶようにしましょう。自分で配合土を作る場合は、赤玉土(小粒)と鹿沼土、もみ殻くん炭を4:4:1の割合でブレンドするのがおすすめです。用土の乾くスピードをさらに早めたい場合は、鹿沼土の代わりに川砂を用いても良いでしょう。
日頃の手入れ・管理
リトープスはあまり手のかからない植物です。日常的な手入れは特にないのですが、美観を保つために、脱皮後は古い皮が乾き切ったら手で取り除くようにしましょう。また、開花後に花がらをそのままにしていると、花弁が張り付いて胴体部分にシミを作ることがあるため、花がらは取り除くようにしてください。リトープスの生長速度
リトープスの生長スピードはとてもゆっくり。2年に1回の頻度で、分頭しながら増えていきます。失敗しない!リトープスの植え替え方法|適した鉢は?
リトープスは生育スピードが遅いため、ほかの植物のように頻繁な植え替えは必要ありません。ただし、分頭により株が増えたり、大きく生長したりして、鉢の中が過密状態になったら植え替えを行いましょう。株でぎゅうぎゅうになって鉢土が見えなくなると、水やりのスペースがなくなり、土の乾き具合もわかりづらくなるためです。
植え替え方法
リトープスの根は、太くまっすぐな直根タイプ。ほかの植物のように細い根が張らないため、簡単に土から抜くことができます。手で株を抜き取り、そのまま新しい用土を入れた鉢に植え付けましょう。植え込む深さは、本体部分が土に1~2cmほど埋まる程度にします。自生地では、本体部分はすっぽりと地面に埋まっていますが、日本の気候は高温多湿のため、深植えすると腐りやすくなるためです。
リトープスに適した鉢の深さとサイズ
小さくかわいらしいリトープスは、浅い鉢に植えると見栄えがしますが、実は深さのない鉢は適していません。リトープスの根は株の真下にまっすぐ伸びていくため、生長した根が最も乾燥の遅くなる鉢底に届くと、根腐れしやすくなるためです。また、株に対してあまりにも大き過ぎる鉢も要注意。鉢が大きいとその分保水量が増えて、鉢土全体が乾燥するまでの時間が長くなってしまいます。その結果、過湿を嫌うリトープスが根腐れを起こす原因になるのです。
リトープスの増やし方|株分け・種まき
リトープスは、株分けと種まきで増やすことができます。株分けで増やす方法
群生している株は、秋に株分けをしても良いでしょう。株元が繋がっている箇所は、両方に根が残るようにはさみで切り分けます。株同士がはさみを入れる隙間もないような箇所は、株を傷める可能性があるので、無理せずに翌年のタイミングを待ちます。種まきで増やす方法
リトープスの種まきの時期は、9~10月。開花後に採取し、冷蔵庫で保存しておいた種をまきます。リトープスの種は通販などでも入手することができるので、親株を持っていない人も種まきからリトープスを育てることも可能です。ただし、発芽してから鉢上げするまでに1年ほど時間がかかります。リトープスの種まき方法
- 自家採取の場合は、種が入っている実のような部分を容器に入れた水に浸します。
水に浸すと硬い殻が弾け、中から200~300粒ほどの種が出てきます。リトープスの種は粉のように非常
に細かいため、水で流さないように注意してください。 - できるだけ粒子の細かい土にまきましょう。小粒の赤玉土をさらにふるいにかけて細かくしても良いで
しょう。種をまいたら、軽くかぶる程度に土をかけます。 - 発芽するまで、土が乾燥しないよう注意します。霧吹きで常に湿らせるように管理してください。
- 1年ほど経ち、子株の形がしっかりしてきたら鉢上げします。
リトープスにつきやすい病害虫とは?
サボテンネコナカイガラムシ
リトープスは、ネジラミの一種である「サボテンネコナカイガラムシ」がつくことがあります。サボテンネコナカイガラムシは、米粒のような白い小さな虫で、多肉植物の根に寄生して水分を吸い、枯らしてしまう厄介な害虫です。発生の原因は、ほかの植物からうつったり、購入した株にすでに寄生していたり、または植え替えの際に土に混入したことなどが考えられます。サボテンネコナカイガラムシの被害にあった株は土から抜いて、根に薬剤を塗付し、新しい鉢土に植え替えましょう。
ホコリダニ
リトープスの胴体部分に、色の濃い点状のものが見られたら「ホコリダニ」を疑いましょう。点状部分が集中すると水分が吸われ、陥没してしまいます。さらにリトープスの割れ目にホコリダニが入り込むと、中の子株が食害されて株自体の体力がなくなり、最悪の場合は枯れてしまうことも。ホコリダニは非常に小さく目では確認しづらいため、点状の症状が出たら早めに薬剤を散布して対処しましょう。住友化学園芸 兼商モレスタン水和剤
うどんこ病のほか、ハダニ、ホコリダニ、コナジラミなどの害虫対策にひとつあると便利な水和剤。水で薄めて散布します。
内容量 | 0.5g×10袋 |
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ナメクジ
リトープスを屋外で育てていると、ナメクジの被害に遭うことも。ナメクジは葉をかじってしまうので、見た目も悪くなってしまいます。市販のナメクジ駆除剤で、早めに対策するようにしましょう。ハイポネックス ナメトール
ナメクジが食害するすべての植物に使用可能。天然の土壌にも存在する有効成分を使っているため、ペットのいる家庭でも安心です。食べ残された粒は土壌微生物の働きで、徐々に自然に還ります。
内容量 | 120g |
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ヨトウムシ
ヨトウムシも、屋外管理の場合は注意したい害虫です。日中は土の中に隠れており、夜になると徘徊するため非常に厄介。また、食欲が旺盛で、植物につくと地上部分が全て食べられてしまうこともあります。ヨトウムシに関する詳しい情報はこちらの記事で!
リトープスの飾り方|寄せ植えや小鉢仕立てで楽しむ!
ここでは、リトープスのおしゃれな飾り方を紹介します。鉢いっぱいに寄せ植えにしたり、小さな鉢にちょこんと植えたりと、いろいろな見せ方で楽しめますよ!また、ほかの多肉植物と寄せ植えしたいという人がいるかもしれませんが、リトープスと違う属の植物を混植するのは避けたほうがベターです。属によって、水やりや置き場所などが異なるため、管理が難しくなるからです。