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生産者の情報発信やブランディングのお手伝いをする「いまここランド合同会社」代表社員。大手出版社での20年にわたる編集経験と、全国各地の農家漁師とのネットワーク、自ら実践する農業の知識を活かし、難解な用語が並ぶ専門家取材から農家さんインタビューまでわかりやすく伝えます。…続きを読む
最近、目にする機会が増えてきたアミノ酸資材。そもそもアミノ酸ってどんなもの?アミノ酸資材にはどんな効果があるの?といった疑問に応えるべく、植物への有機態窒素(アミノ酸)の吸収に関する研究を続ける専門家・二瓶直登 准教授にお話を伺いました。2月に開催予定の二瓶先生によるオンラインセミナーの申し込みも合わせてどうぞ。
有機農業を科学する!
【無料オンライン】アミノ酸肥料で米も野菜も収量アップ! ~アミノ酸セミナー
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2021年2月13日(土) 19:30~21:00
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1. 二瓶氏による講演 19:30~20:45
2. チャット機能による公開質疑応答 20:45~21:00
(最大延長21:30まで)
※内容は予告なく変更する場合がございます。
〇参加費:無料
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アミノ酸の専門家・二瓶先生にインタビュー
二瓶 直登(にへい なおと)植物栄養学、放射線環境工学
東北大学大学院農学研究科資源生物科学専攻修士課程修了、東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻修了。博士(農学)。福島県庁を経て、2013年より東京大学大学院農学生命科学研究科准教授、2020年より福島大学食農学類准教授。
従来、植物栄養学の世界では無機栄養説が主流であり、無機態窒素である硝酸やアンモニアを与えれば植物が生長すると考えられ、長らく化学肥料が使われてきました。しかし自然界の窒素には有機態窒素であるアミノ酸やタンパク質もあります。では、それらは植物に効くのか効かないのか、個々のアミノ酸を利用することでどういった効果が得られるのか、といった疑問を起点に研究を続けられています。
また、直近では無菌の実験室の中だけでなく、実際の圃場において有機態窒素が植物に効果があることを初めて科学的に証明した論文を発表されています。
そもそもアミノ酸資材とは?
アミノ酸資材とは、ひと言でいうとアミノ酸が含まれた資材のこと。言葉の定義や詳細な規格がないことから、食品などの精製工程で抽出されたアミノ酸を原料とするものから、資材に有機物を加えることでアミノ酸資材を謳ったものまで、結果としてその幅は広くなっています。アミノ酸資材を理解する早道として、まずアミノ酸についてご説明しましょう。1806年に発見されたアミノ酸は、動植物の「命の源」であるといわれています。アミノ酸は自然界に約400種類ありますが、
<植物のたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸>
バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リシン(リジン)、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、トレオニン(スレオニン)、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グリシン、セリン
光合成でグルタミン酸をつくる際にはエネルギーが必要になりますが、たとえば植物に直接グルタミン酸を与えることができれば、最初にグルタミン酸をつくる工程を「ショートカット」することができます。不要な時間とエネルギーを使わないことで、植物の生長にとって有利な状態になる。ようはそのぶん生育がよくなるはず、と考えられます。
アミノ酸にはどんな効果があるの?
二瓶先生の試験結果によると、アミノ酸の特長として、地上部分の生育もよくなるが特に根の生長に大きな効果が見られるとのこと。気になる効果のあれこれについて、先生に聞いてみました。※アミノ酸の効果については全てのアミノ酸が下記のような効果を示すものではありません。アミノ酸の持つ可能性についてお話いただきました。
根の成長がよくなるということですが
「確実に言えることは、根張りがよくなる、ということですね。主根だけでなく細い根も増えることで、養分の吸収がされやすくなります。その結果、全体として生育が促進されるというわけです」
根張りがよくなることで、他にどんなメリットが考えられますか?
「根の生育が深く広くなること、そして茎の強度があがることによって、倒伏しづらくなる可能性はあります。逆に無機態窒素である硝酸やアンモニアは植物にとって吸収しやすい窒素であるため、あればあるだけ取り込んでしまう。その結果、徒長して倒れるケースもありますね。
また、根がしっかり張ることで、地上部に寒さや他のストレスがかかっても耐えられる可能性が大きくなります。根が土を砕くことで団粒構造になり、土壌の物理性もよくなるでしょう」
根菜類の場合は収量も上がりますか?
「大根やカブやニンジンなどの場合、主根が直接的に太くなることで、収量や秀品率があがることは考えられると思います」
病害抑制に対する効果はいかがでしょう?
「一部の病気に対する抑制効果がある、と書かれている論文もありますが、私自身が確認していないので『論文情報としては存在する』としかいえないですね」
収量もアップするといえるでしょうか?
「収量アップの可能性は大いにあると思います。実験室では無菌状態を保つ容器のサイズから、28日前後までしか育てることができず収穫まで至れないのですが、一般的に植物の生育とそこから得られる収量は比例しますので」
長雨などで天候不順の時にも効果はありますか?
「先にお伝えしたように、植物は光合成で二酸化炭素を取り込み、無機態窒素と合わさることでアミノ酸をつくります。その合成は、日射量が多い時は活発に行えますが、曇天や低温など天候不順なときには、そうではなくなります。しかしアミノ酸資材はもともと炭素と窒素が結合した窒素資材であるため、アミノ酸資材を使用していれば、生育の低下が見られにくくなる可能性はあります」
先生の研究室で行なわれた試験でも、それを裏付ける結果が出ているそうですね。「日射量を落とした状態で、無機態窒素で栽培した稲とアミノ酸で栽培した稲の生育を見ると、後者の方が低下量が低いため光合成を補う効果があるのではないか。これはアミノ酸をはじめとする有機質資材でのみ得られる、化成肥料では得られない効果だと考えています。急な天候不順への予防策として、アミノ酸資材は常時使用しておくのがよい使い方だといえる可能性があります」
毎年天候が不順で、読めなくなって来ている昨今、光合成が得られにくくても植物を生育させられれば、農家さんにとっては心強いですね。「化成肥料を使っている農家に比べて、アミノ酸資材を含めた有機質資材を使っている農家は天候不順による収量のブレが少なく、安定した収量が得られる、という仮説は立てられると思います。これについては収量増減に関する農家さんの声をもっと聞きたいですし、私も研究としてさらに前に進めなくてはと考えています」
作物別の効果事例は?
既存のアミノ酸資材における、使用・不使用による比較例をいくつかご紹介します。収量増加、生育回復など、さまざまな効果が見られます。馬鈴薯 <収量増加>
規格品のいも数、重量が増加しました。アスパラガス<生育回復・収量増加>
褐斑病により黄変していたアスパラガスにアミノ酸資材を10日ごとに3回散布したところ、葉色が劇的に回復。収量もほぼ毎月増加しました。イチゴ<生育回復>
アミノ酸の効果は植物や環境によって差がある
二瓶先生によると、各種アミノ酸による効果は植物や環境によって差があるとのこと。たとえば一定の試験条件(小さい生育時期、寒天で無菌栽培)では、イネやチンゲンサイはアミノ酸の種類で差が見られた(生育をよくするアミノ酸、阻害するアミノ酸がある)のに対し、大豆はアミノ酸の種類により生育差というのはあまりみられなかった(どのアミノ酸も同じような生育をする)とのこと。理由として考えられるのは、大豆は根粒菌と共生していて、根粒菌は空気中の窒素を溜め込んで大豆に送り込み、大豆から光合成で得た炭素をもらって生きている。根粒菌から大豆に窒素を送り込むとき、有機態の形で運ばれている=そもそも有機態窒素をつくることに他の植物より長けているため、効果が出づらかったのではないかという仮説が立てられています。
植物の育つ時期や環境によって、違ってくるわけですね。一方、味の素㈱アミノ酸の作物別事例や詳しい効果については、セミナーで詳しくお話しいただきます!ぜひご参加ください。
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①二瓶氏による講演 19:30~20:45
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農業に不可欠な窒素とアミノ酸の関係
アミノ酸資材の概要や効果について見てきましたが、ここで改めて、窒素とアミノ酸の関係について整理しておきましょう。植物が生育するには17の元素が必要です。なかでも窒素・リン酸・カリは三大栄養元素といわれており、多くの農家さんでは化成肥料としてまとめて施しています。一番大事なのは窒素で、植物の体の生育や収量に大きく影響するため、窒素が重要視されています。窒素には無機態窒素と有機態窒素があります。無機態窒素には硝酸とアンモニアの2種類しかありません。無機態窒素にはアミノ酸と、アミノ酸が数珠繋ぎになることでできるタンパク質があります。タンパク質を構成するアミノ酸は、この記事の序盤で述べたように20種類のみです。
従来は、1840年にリービッヒによって唱えられた無機栄養説をもとに、硝酸やアンモニアを与える農法が一般的でしたが、近年はアミノ酸を効率よく取り入れ、農業に活かそうと開発されたアミノ酸資材が増えつつあります。
一つ補足しておくと、落ち葉堆肥などの有機物は大きすぎてそのままでは植物が吸収できません。微生物が落ち葉などを構成するタンパク質を小さく分解し、アミノ酸に戻してくれることで植物体内に取り込める状態になります。
農家さんのよくある質問と回答
二瓶先生に、アミノ酸資材に対する農家さんからの質問にも答えていただきました。アミノ酸資材の導入を検討するにあたって、参考にしてみてください。アミノ酸を保持するのに適した資材は?
「いわゆる『肥料持ちがいい資材』(保肥力の高い資材)が適しています。科学的にはアミノ酸と土壌のイオンの荷電によって説明がつくのですが、具体的な資材としてバーミキュライトや牛ふんなどを使用すれば、アミノ酸を保持しやすいでしょう」
野菜の食味を上げる効果はある?
「残念ながら現時点では、アミノ酸資材を使えば野菜がおいしくなるという、明確なデータはありません。しかし根張りがよくなることで、微量元素などを含めたさまざまな養分を吸うことでき、味に複雑さや深みが増すことはあり得ると思います」
液肥の形で使えば、即効性は見込めるものですか?
「味の素との共同研究で葉面散布の検証をしたところ、一般的な葉面散布に使われる尿素より、アミノ酸のほうが吸収が速いという結果が出ました。さらに、与えた葉より上部の生育に効果があることも確認しています。一方、土壌に対して無機態窒素(アンモニア)とアミノ酸(グルタミン)を使用し吸収速度を比較したこともあるのですが、これは圧倒的に無機態窒素のほうが速かった。よって即効性を期待する場合は葉面散布がよいことになります」
野菜苗の根張りをよくするにはどうすればよい?
「無機態窒素を多く与えると、それらは簡単に吸収できてしまうため、苗がしっかりした根を張らなくなります。無機成分でなく、有機成分でじわじわ育てた方が根張りはよくなります。アミノ酸でいえば、グルタミン・グルタミン酸・アスパラギン・アスパラギン酸。それらが入っている資材を選ぶのが一つのポイントと思います」
新しい資材区分「バイオスティミュラント」とは
バイオスティミュラントとは、高温や低温、物理的な被害など植物に対するストレスを和らげることで、健全な植物を生育する新しい技術のこと。少し添加するだけで生育が促進される、人間でいうサプリメントのようなものです。アミノ酸資材も、このバイオスティミラントに含まれるわけですが、この新しい資材区分について、二瓶先生はどうお考えでしょうか。「農薬や肥料とは異なる新たな資材として注目されはじめていますが、まだ過渡期にあるため、農家の皆さんの側でも効果を見極めながら使っていただければと思います」
アミノ酸という言葉自体が身体や健康に良さそうなイメージをもつため、どれも良さそうに思えますが、使う農家さんの側でも科学的に正しい理解や効果的な使い方を見出すための検証が必要と言うわけですね。「アミノ酸資材であればどれでもよいと考えるのではなく、アミノ酸の種類によってその効果は異なりますし、作物の種類や与え方によっても効果は異なります。その掛け算で考えていただきたいですね」
アミノ酸についてもっと詳しく!セミナーの開催が決定
アミノ酸についてもっと詳しく知りたい方へ向けて、今回お話を伺った、二瓶先生のセミナーの開催が決定しました!アミノ酸資材を科学的に活用・応用するために押さえておきたい基礎知識が学べるほか、この記事ではお伝えしきれなかった「どのアミノ酸が、なぜ効くのか」「どんなアミノ酸資材をどう使えば良いのか」や、さらには先生の最新研究事例までお話いただきます。その場で質問にお答えする時間もありますので、ご興味のある方は、こちらからぜひご応募ください。
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〇主催:味の素ヘルシーサプライ(株)
〇参加費:無料
〇対象者:農業経営者。アミノ酸肥料を使って収量を上げたい、自分の作物にアミノ酸肥料をどう使ったら良いかを知りたい農家の方。
お申し込みはこちらから(事前質問も受付中!!)
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