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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
農業を志す人が知っておきたい、就農後の現実やサクセスストーリー。実際に農家に転身した人へのインタビューから、就農後のリアルを鮮やかにお伝えします。
今回は千葉県流山市で2017年に就農し、ナス、キュウリ、オクラなど、年間約80品目の野菜を栽培している森田昌さんにお話を伺いました。
森田昌さんプロフィール
千葉県流山市の農家。森田農園園主。年間約80品目ほどの野菜を生産。マルシェに出店して対面販売を積極的に行う。
| 農園名/所在地 | 森田農園/千葉県流山市 |
| 栽培面積 | 1.2ha |
| 栽培品目 | ナス、キュウリ、オクラなど年間80品目の野菜 |
| 販路 | 卸業者、マルシェ、スーパーマーケット、直接販売 |
| 家族構成 | 祖父母、父母、弟(祖父母と母が農業に従事) |
| 従業員数 | 7人 |
| 就農時の年齢 | 25歳 |
高校卒業後から経営者を目指していた
飲食業から農業の世界へ
森田さんは28歳。高校を卒業したころから経営者になりたいという想いを持っていました。大学を卒業して、和食ダイニングバルに就職。バーテンダーの資格を持ってお酒を提供したり、接客をしたりするなど全ての業務を行っていました。
ゆくゆくは飲食店で独立したいと考えていたころ、農業を営む祖父母の高齢化で作業量が減り、耕作できない畑が増えてきました。子どものころから見ていた畑が縮小してしまうことに寂しさを覚えて、森田さんは農業の世界に飛び込むことを決意。経営者になりたいという想いを農業で果たすことを思い描くようになりました。
就農に家族は反対した
農業をすると言った森田さんに、当初家族は反対しました。祖父母は農業の大変さが身に染みていたうえ、森田さんの父が別の事業を営んでいたため、自分たちの代で終わらせるつもりでいたのだそうです。それでも、森田さんの決意はゆるぎませんでした。
JAのアルバイトと農業とのダブルワーク
森田さんは地域の農業を知る近道になればと、JAにアルバイトに行くようになりました。それも、畑仕事とのダブルワーク。朝、自分の畑で農作業をしてから、JAに出勤するハードな生活を2年間続けました。JAのアルバイトでは、農家や野菜の販売店の人と知り合いになったり、肥料のことを学んだり、農業に役立つことばかりでした。

研修はなし!祖父母や先輩農家に教えてもらう
森田さんは、運転資金として100万円程度を貯金していた以外には、特に初期費用を用意しませんでした。実家が農家なので、既に家にあるものを利用できました。また、農業研修などには行かず、栽培技術については、祖父母やほかの農家から学びました。

大切なのは出口戦略!複数の販路を持つ
JAでのアルバイト時代から販路を確保
農業を営むうえで、森田さんは「出口から探す」ことを大切にしています。つまり、まず販路を確保すること。実際に森田さんは、JAでアルバイトをしていたときに、いろいろな人と交流して販路を作っておきました。

販路ごとに異なるメリット
販路は、卸業者が5割、マルシェが3割、2割がスーパーマーケット。それぞれにメリットがあるといいます。

BtoB(Business to Business)とは企業間取引、BtoC(Business to Consumer)とは企業と個人の取引。森田さんはその両方の販路を開拓しました。
販路を複数持っていることでいろいろなメリットを享受できるほか、不測の事態にも対応が可能になることがわかります。
就農1年目から人を雇う
農業は一人ではできない
森田さんは就農1年目からアルバイトを雇っています。最初は求人サイト、次に地域無料広告掲載サイトを利用して、求人を行いました。特に地域無料広告掲載サイトでは多くの応募があったといいます。
雇用すれば給与を支払わないといけないし、リスクもあるのでは…?

人を雇うと悩みも増える
人を雇ったからこそ生じる悩みもあります。

現在、雇用しているのは7人。週に2、3回程度勤務する人も含めてバランスよく働いてもらい、社会保険の加入義務が生じない時間に収まっています。森田さんが不在のときでも一通りの作業ができるよう、アルバイトのスタッフには機械を扱う作業も含めて何でもやってもらっています。
個人事業主が使える補助金を利用する
就農から1年を過ぎたころから、森田さんは利用できる補助金を探し始めました。まず利用したのが、たまたまSNSで知った日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金。農業に限定された補助金ではなく、個人事業主が広く申請できるものでした。
小規模事業者持続化補助金を利用

森田さんは情報収集などの面で商工会議所に助けられているといいます。小規模事業者持続化補助金の申請のとき、受付窓口になっている商工会議所をたずねたところ、農家の人が訪れることが珍しいためか、その後もとてもていねいに対応してくれているのだそうです。
補助金の使い道
補助金は、芋掘り機や栽培用機械の購入、従業員の休憩スペースを作ることに使いました。そのほかに投資したものは焼き芋機。2020年から焼き芋事業を始め、マルシェとインターネットで販売することを考えています。

家族経営の難しさと喜び
考え方の違いを超えて
祖父母の畑を継いだ森田さんですが、家族との考え方の違いには苦労してきました。

それでも、80代に達している祖父母は、森田農園の代表者として前に立っている孫を支え、現在も農作業を手伝っています。森田さんは家族経営の難しさを感じながらも、祖父母に農作業の細かいことを教えてもらいながら一緒に作業をしているのだそうです。
自分なりの経営スタイルを探して
品種を選び抜く
就農1年目、森田さんは多くの品種を作ろうとしていました。しかしそこには意外な落とし穴がありました。

販路に合わせて売れ筋のものを見極め、選び抜いて品種を定めるようにしました。例えば、小松菜やほうれん草で、評判になっている品種を食べてみるとやはりおいしいということがわかってきたといいます。
栽培の省力化をすすめる
祖父母の時代には、種まきも手で行っていたという森田農園ですが、それを非効率と考えた森田さんは少しずつ機械化に取り組むようになりました。

つながりを広げて栽培や農業経営の情報を得る
栽培技術や農業経営の情報をどのように得るのか伺うと、「ほかの魅力的な農家から」との答えが返ってきました。魅力的だと感じた農家に手伝いに行ったりすることもあるそうです。

また、地元の消防団にも積極的に参加しています。消防団には農家の人が多いので、そこでできた関係に助けられることが多いといいます。
森田さんは、ウェブとリアルのそれぞれの空間を自由に活用しながらつながりを広げて、自分の知識を深めています。
農業が持つ無限の可能性に賭ける
森田さんが考える農業の魅力は、「好きなこと、やりたいことが、自分でできること」。就農してから今まで、後悔することは何もなく、思い描いたとおりに進んできているといいます。
現在28歳の森田さんは、35歳で売り上げ1億円達成を目指しています。作物の生産はもちろん、現在すでに運営している貸農園を広げたり、バーベキュー場のような施設を作ったりすることも検討中です。

祖父母の畑を継いで就農した森田さんは、売り上げを年々大幅に伸ばしています。常にアンテナを張って多くの人と出会い、学び続けていることがその原動力なのではないでしょうか。また、視野を広く持ち、農業に関連がないと思えるような助成金を活用するなど、柔軟な発想を持っていることも成長を後押ししているように思います。
ふと口にした「野菜は結構面倒みないといけませんが、愛情をかければかけるほどいいものができますよ」という言葉に、野菜に向き合う真摯な姿勢を垣間見ることができました。
























