目次
参考:じゃらん宿泊旅行調査 2019(株式会社リクルートライフスタイル)
高知県の農業の特徴は?
高知県ではどのような農業が盛んなのか、生産物とその背景を見ていきましょう。高知県の主要生産物
高知県では温暖な気候を活かした施設園芸(ビニールハウスやガラス室を利用した栽培)が盛んで、多くの作物が栽培されています。特に、文旦、みょうが、ゆず、ショウガ、にら、ナスは全国シェア第1位を誇っています。ほかにもユリなどの花きや早場米なども生産されています。以前は1年に2回作付け収穫する米の「二期作」が有名でしたが、生産調整などでしだいに姿を消し、現在ではほとんどみられなくなりました。
【主な全国1位品目】
品目名 | 出荷量の全国シェア |
文旦 | 94.1%(2015年) |
みょうが | 91.1%(2016年) |
ゆず | 52.8%(2015年) |
ショウガ | 43.6%(2017年) |
にら | 27.6%(2017年) |
ナス | 16.4%(2017年) |
立地条件から見る高知県
高知県は四国地方の南部に位置し、北は四国山地の山間部で、南は太平洋に面しています。四国山地が高知県の気候に与える影響は大きく、冬は北西の季節風が四国山地に吹き付けるため、山間部や豊後水道に面した地域は雪が多くなっています。一方、海岸地域は季節風が四国山地に遮られるのに加え、黒潮の影響も受けて温暖な気候となっています。夏は降水量が多く、冬は日照時間が長いという特徴があります。
太平洋に突き出した室戸岬や足摺岬では、年間を通して強風に見舞われる地域もあります。
高知県の農家の収入は?
2016年の高知県の販売農家(経営耕地面積が30アール以上または農産物販売金額が50万円以上)1戸当たりの総所得は約520万円で、全国平均とほぼ同額です。特筆すべきは、耕地面積当たりの農業算出額が高く、全国トップの生産性を誇っていること。高知県では、この生産性の高さをさらに伸ばしていくために、「次世代型こうち新施設園芸システム」の普及に取り組んでいます。
「次世代型こうち新施設園芸システム」とは
生産性向上のために高知県が着目したのは、かねてより交流があったオランダの高い農業技術。オランダの面積は九州とほぼ同じですが、その農業は収量が多く、農産物輸出額は米国に次いで世界第2位(2018年)となっています。オランダの環境制御技術を高知県の気候や作物に適した技術として改良したのが「次世代型こうち新施設園芸システム」です。「次世代型こうち新施設園芸システム」では、ハウス内の温度、湿度、二酸化炭素量を把握し、作物の状態や日射量、風向きに合わせて総合的にコントロールします。勘や経験が大きな頼りだった農業に新たな手法が加わったことで、高知県の農業算出額は大きな伸びを見せているほか、手ごたえを感じる農家のモチベーションアップにも寄与しています。システムの普及も加速し、2014年には7%だった普及率が2018年には約50%に達しました。
高知県農業技術センターでは、このシステムをさらに進化させ、AIなどを導入して栽培管理や収量予測および省力化に活用する「Next次世代こうち新施設園芸農業」の研究開発も行われています。
高知県で新規就農するには?情報をチェック!
まずは「こうち農に就く.net」をチェック
高知県では、農業を始める人を積極的に募集し支援をしています。新規就農者のための情報を掲載しているのが「こうち農に就く.net」というウェブサイト。就農する前に知っておきたいことが網羅されているほか、補助金などの支援情報、先輩就農者のインタビューも充実。非農家からの就農、Uターン、Iターンなど、さまざまな経歴の人の体験談があるので自分の状況にあてはまるものがあるかもしれません。こうち農に就く.net
「産地提案書」で就農する地域や品目を検討
高知県では、各産地・地域が「産地提案書」を作成して、その土地に適した品目の担い手を募集しています。産地提案書は、地域の品目ごとに就農までの流れや求める人材、支援制度、経営モデルなどが記載されているので、就農後の具体的なイメージを描くことができます。産地提案書も「こうち農に就く.net」で読むことができます。産地提案書(こうち農に就く.net)
動画「高知で農業やらんかえ」
高知県の農業、食、文化やアクティビティなどの魅力について、短時間で理解を深められます。生き生きとした野菜や美しい景色が印象的です。就農コンシェルジュに相談
高知県新規就農相談センターでは、就農コンシェルジュが新規就農に関する相談に応じています。疑問や不安などに対応してくれるほか、情報提供や各関係機関への紹介もしてくれる心強い存在です。研修生や新規就農者などの交流会や農業体験ツアーを開催することもあるそう。就農コンシェルジュの活動状況はウェブサイトで確認できるので、チェックしてみましょう。高知県新規就農相談センター
農業の知識を習得!農業大学校への入学、研修の受講
高知県立農業大学校|農業をイチから学ぶ
高知県立農業大学校は、高知県中部の吾川郡いの町にあり、園芸学科と畜産学科を有しています。園芸学科は、野菜・花き・果樹の専攻があり、それぞれ高知県の基幹作物の栽培について学ぶことができます。カリキュラムはいずれも2年間で、全寮制です。また、一部の科目を受講することができる聴講制度があります。この制度は、他産業から農業を目指す新規参入者やUターンで就農を目指す人を対象に一部の科目を開放して、農業の基礎的知識を習得する場を提供しているもの。受講料も14時間以下なら200円(2019年度の場合)と、とても経済的です。
高知県立農業大学校
高知県立農業担い手育成センター|最新のハウスで研修受講
農業担い手育成センターでは、U・Iターンなどの就農希望者や親元就農した後継者を対象に、就農に必要な知識・技術の習得を目的とした講座や栽培実習及び農業機械の操作などの実践的な研修を行っています。環境モニタリングシステム等の機器が整備されたハウスがあり、農家の所得向上を目指して高知県が取り組んでいる環境制御技術などの研修を受講できます。6カ月、12カ月、24カ月の長期研修のほか、東京と大阪で行われる「こうちアグリスクール」があります。これは、3日間の日程で、支援制度の概要から、体験者の生の声まで聞くことができる入門講座です。また、金曜日から日曜日までの2泊3日で行われる体験型体験合宿もあり、まずは高知県での農業を体験してみたいという人にとって、参加しやすいものとなっています。
高知県立農業担い手育成センター