沖縄の農業の特徴って?
沖縄県の主要生産物
沖縄県では、肉用牛、さとうきび、野菜、花き、果樹、もずくなど、多くの農産物が生産されています。特に亜熱帯海洋性気候という特性を活かして、ほかの県では栽培されにくい農産物は希少価値があり、全国シェアが高い状況です。沖縄県が全国シェア1位の農産物には、さとうきび、ゴーヤー、マンゴー、パインアップル、シークヮーサー、もずくなどがあります。沖縄県が全国シェア1位の品目
農産物 | 特徴 |
さとうきび | 県内の7割以上の農家が栽培する沖縄の基幹作物 |
ゴーヤー | 温暖な気候を活かして、冬春期には全国に供給される |
マンゴー | 近年増加傾向。生産量は全国の半分を占める |
パインアップル | 主に本島北部や八重山地方で栽培され、全国のほぼ100%を占める |
シークヮーサー | 主に本島北部で栽培される沖縄県特産の果樹で、100%近くを占める |
もずく | 養殖がさかん。年間を通じて全国需要の99%をまかなう |
小ぎく | 冬春期に全国へ供給する。全国の4割以上を占める |
立地条件から見る沖縄県
沖縄県は、大小約160もの島からなっています。位置的に日本国内と中国・東南アジア地域の流通拠点としての強みがあります。年平均気温が23度で、年間を通して気温の高低差の少ない温暖な気候です。一方、台風の常襲地帯であり、農作物や農業施設への被害が毎年発生しているほか、耕土が海や貯水池に流出する事態が起きることもあります。
特徴的な4つの土壌
沖縄県の土壌は、一般的には有機物が乏しく、粘土質に富む風化土あるいは風化岩の堆積土です。そのため、良好な耕土とは言い難く、改良を必要とする土壌といえます。主に4つの土壌があります。土壌 | 特徴 | 分布 | 主要作物 |
国頭マージ | 酸性の粘性土 土色は赤色~黄色 傾斜地に分布し浸食を受けやすい 下層土は緻密で透水性、通気性が悪い | 55.1% 沖縄県本島中北部・石垣島・久米島などに広く分布 | さとうきび パインアップル 果樹 |
島尻マージ | 弱アルカリ性の石灰岩土壌 土色は黄褐色~暗褐色 平坦地に分布し土壌の浸食は少ない 保湿力が弱く、干ばつの被害を受けやすい | 27.4% 沖縄県本島中南部・本部半島・宮古諸島・八重山諸島などに広く分布 | さとうきび 野菜 |
沖積土壌 | 酸性~アルカリ性 土色は褐色~青灰色 海成沖積層土壌と、河口沖積土壌に大別される 一般に地下水位が高い | 9.5% 沖縄県本島中南部の海岸地帯に分布 | 水稲 |
ジャーガル | 弱アルカリ性の重粘性土壌 土色はオリーブ(黄緑)褐色~灰色 緩傾斜~平坦地に分布し、緩傾斜地では地すべり、崩壊を受けやすい 保水力が高く、干ばつの被害は少ない | 8.0% 沖縄県本島中南部一帯及び宮古島の一部に分布 | さとうきび 野菜 |
沖縄の農業は儲かる?
農業は盛んだが、所得は全国平均の64%
沖縄県では、県内総生産や就業者数における農業の割合が全国平均よりも高い傾向にあります。特に離島の市町村では、第1次産業就業者比率が高く、地域経済の中で重要な役割を果たしています。2012年以降は、新規就農者が毎年300人程度いるほか、企業的な経営に取り組む農業法人は、10年前と比較すると約1.8倍と大幅に増加しています。
参考:沖縄の農林水産業の現状と課題(内閣府沖縄総合事務局農林水産部)
一方で、農業経営体(個別経営)1経営体当たりの総所得(農業所得+農外所得+その他)は、317万円で全国平均の64%にとどまっています。
参考:「平成28年度 沖縄農林水産業の情勢報告」(内閣府沖縄総合事務局農林水産部農政課)
6次産業化で収益アップ!
収入拡大の方法の一つに、6次産業化があげられます。沖縄県内では、多様な地域資源を活かした6次産業化の取組が生まれています。例えば、浦添市にあるネクストステージ沖縄合同会社では、パパイヤ、落花生、よもぎなどを原材料にした加工品の販売を始めることにより、2012年に200万円だった売上高が2017年には1,100万円になり、雇用者数や生産面積も拡大したそうです。
加工品の生産・販売は年間を通してできるため、収入の安定化につながります。また、規格外で出荷できない作物を無駄にしないため、食品ロスを減らせるというメリットがあります。
輸出を視野に入れておこう
東アジア地域に隣接しており、流通拠点としての強みを活かせるので、沖縄からの農林水産物、食品の輸出額は2012年以降、年々増加しています。最も大きな輸出先は香港で、台湾、シンガポール、ベトナムと続きます。多く輸出されているものは、ビールやウコンなどの加工食品、牛肉や豚肉などの畜産品です。輸出を視野に入れておくことも経営拡大における重要なポイントとなることでしょう。沖縄県で新規就農するには
新規就農へのステップには、いろいろな選択肢があります。必要なものを選び、就農への準備を進めましょう。農業大学校|沖縄での農業をイチから学ぶ
亜熱帯気候や沖縄地域の特性を踏まえた農業を学ぶことができる沖縄県立農業大学校。全寮制(社会経験豊富な場合は通学可)で、2年間の本科と1年間の短期養成科があります。園芸課程(野菜・花き・果樹)と畜産課程があり、専攻に合わせて学ぶことができます。沖縄県立農業大学校
新規就農相談センター|相談してみよう!補助金などの情報も得られる
沖縄県農業振興公社と沖縄県農業会議が共同で開設している新規就農相談センター。沖縄県で農業を始めたいと考えている方への相談窓口として、相談会やセミナーの開催、研修先の紹介、農地や補助金に関する情報提供などを行っています。公益財団法人沖縄県農業振興公社
県や地域が主催する研修も
沖縄県や地域の任意団体が、新しい農業の担い手向けの講座や研修を行っています。沖縄県のホームページで最新情報を確認してみましょう。県では新規就農相談は随時受付しているそう。相談の際は事前に電話で予約が必要です。新規就農者の育成・確保(沖縄県庁ウェブサイト)
就職やアルバイトなら求人情報をチェック!住み込みOKの求人も
農業専門の求人サイトで沖縄県の情報を検索すると、正社員や短期アルバイト募集の情報が。葉タバコやマンゴーの収穫、花きの仕分け、肉用牛の世話など職種は多様です。住み込みができる寮や一軒家を用意している求人も多くあります。まずは体験してみたい
移住を伴う転職は大きな決断です。まずは短期のアルバイトや自治体の主催する農業体験に参加してみるのもいいでしょう。九州沖縄農業研究センターの情報もチェック
九州沖縄農業研究センターは、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)の組織の一つで、九州沖縄地域における農業試験の中核機関です。地域の気候に基づくさまざまな研究を実施し、その成果がウェブサイトで公開されています。また、セミナーやイベントも開催されているので、情報をチェックしておくとよいでしょう。九州沖縄農業研究センター
海と空が美しい南国で農業に挑戦!
沖縄は台風や干ばつなど、農業生産に不利な気象状況に悩まされてきましたが、地下ダムなどのかんがい排水施設やほ場の整備などが進んできています。また、近年はスマート農業も進展し、糸満市で照度や温度のセンサーを活用して電照ぎくやマンゴーの栽培が行われたり、南大東村でコンテナ型の植物工場が導入されている事例があります。青い海と空。ゆったりとした空気の流れる美しい沖縄!南国で農業にチャレンジしてみませんか?