露地野菜の仕事|初期投資が少なく始めやすい

キャベツ、ダイコン、ハクサイ、食卓でよく見かける露地野菜の栽培の仕事についてご紹介します。儲かるのか?反収は?といった気になる点、特徴的な栽培方法や栽培スケジュール、課題や可能性まで詳しくお伝えします。


キャベツ畑

出典:写真AC
キャベツ、ダイコン、ハクサイなどは食卓でよく見かける野菜でもあり、家庭菜園で育てている方も多いのではないでしょうか。これらの屋外にある畑で栽培される野菜を露地野菜といいます。ここでは新規就農者が最も多い露地野菜栽培の仕事について、お伝えします。

露地野菜とは

ダイコン
出典:写真AC
露地野菜とは、ハウス・温室や温床などの特別な設備を使わず、屋根などの覆いのない場所で栽培された野菜のことを意味します。代表的なものに、ダイコン、キャベツ、ハクサイなどがあげられます。

ハウスなどを使った施設栽培についてはこちら。

露地野菜栽培の歴史

フキ
出典:写真AC
野菜は自然の中に生えていた中から、人が食べられるものを選んで畑で栽培するようになったものです。もともと日本の野生にあった野菜(日本原産野菜)にはフキ、ウド、ミツバなどがあげられます。縄文時代の遺跡からゴボウ、カブ、シソなどの種子が出土しており、これらの野菜は海外から入ってきて栽培されていたことがわかります。古墳時代になると、ナス、キュウリ、ネギなどが、室町時代以降にホウレンソウ、日本カボチャなどが伝来しました。
明治時代に入ると、タマネギやトマト、キャベツなどの西洋野菜が多く流入し、日本の野菜の種類は豊富になっていきました。

露地野菜の農家数や気になる所得は?

採れたて野菜
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露地野菜の栽培経営体数は約33万戸(平成27年)で、減少傾向にあります。また従事者の高齢化が進行しています。一方、新規就農者のうち、主として野菜に取り組む戸数は66%(うち露地野菜が37%、施設野菜が29%、平成28年度)と高くなっており、新たに農業に参入する人が取り組みやすい業種であるといえます。
参考:農林業センサス「販売目的の野菜類の作付面積規模別経営体数」
全国新規就農相談センター「新規就農者(新規参入者)の就農実態に関する調査結果(平成28年度)」

露地野菜作経営(全国平均)の1経営体当たりの農業粗収益は602万円(平成29年)となっています。他の業種と比べると、稲作の277万円よりは高く、畑作の954万円よりは低い状況です。露地野菜作経営のうち、作作付延べ面積規模5.0ha以上階層をみると、農業粗収益は4,038万円となっていますが、前年に比べ減少しています。
参考:「農業経営調査平成29年営農類型別経営統計」


主な野菜の作付面積、10a当たり収量、収穫量をチェック!

キャベツ畑
出典:PIXTA
露地野菜栽培で生産されている野菜は、どのくらいの反収(一反=約10aあたりの収穫高)があるのでしょう。主な野菜をチェックしてみましょう。

品目

作付面積(ha) 10a当たり収量(kg) 収穫量(t)
キャベツ 34,800 4,100 1,428,000
ダイコン 32,000 4,140 1,325,000
タマネギ 25,600 4,800 1,228,000
ハクサイ 17,200 5,120

880,900

参考:作物統計調査「平成29年産野菜の作付面積、10a当たり収量、収穫量及び出荷量(全国)」

露地野菜の栽培スケジュール|キャベツの場合

キャベツの収穫
出典:写真AC
日本では南北に長い地形を活かして、さまざまな場所でキャベツの栽培が行われています。キャベツ栽培は、春まき、夏まき、秋まきなど収穫時期に合わせた苗づくりをします。収穫までは2.5~4.5カ月ほどかかります。ここでは夏まき栽培の場合のスケジュールを紹介します。
時期 仕事 内容
6月 種まき トレイに種をまいて苗を育てます。
7月 植え付け 本場が数枚出たら、畑に植え付けをします。根が定着するまではたっぷりと水やりをします。
雑草の多い畑では、植え付け前後に除草剤を散布することもあります。
7~8月 追肥・農薬散布 追肥は植え付けから3週間経ったころと、6週間経ったころの2回行います。
アオムシ・コナガなどの害虫、黒腐病・菌核病などの病気を防ぐため薬剤を散布します。
10月以降 収穫 球が固くしまってきたら収穫します。収穫が遅れると裂球することがあるので注意します。

露地野菜の輪作

ダイコン
出典:写真AC
露地野菜では、輪作という栽培方法を行っている場合もあります。例えば、神奈川県の三浦半島では、1つの野菜が生長している間に、他の種をまいたり苗を植えたりすることで、多数の野菜を収穫しています。輪作により、畑が小さくても収穫量を増やすことができます。この輪作体制を維持するために「間作」が行われていることもあります。間作とは、前作の作物の畝間を通常より広めに設定し、前作の収穫の前に畝と畝の間で、次の作物を育てることです。

輪作の例

冬…ダイコンが生育中。キャベツの苗を植える
春…ダイコンの収穫が終わる。キャベツを収穫する。スイカの苗を植える
夏…スイカが生育
秋…ダイコンの種を植える

露地野菜栽培のメリット|初期投資は少なく、工夫の先にいろいろな可能性が

野菜を持つ手
出典:PIXTA
露地野菜栽培は、他の業種に比べて必要な初期投資が少なく、始めやすいことが特徴です。収穫までのスパンが短いため、収穫の喜びを多く味わえるほか、必要な知識を得たり身に付けた技術を実践する機会が多くなります。また、さまざまな品目があるので、どのような野菜を育てるのか考えて畑を運営していくことや、例えば地元小売店やレストランに販路を開拓していくことなど、創意工夫のできる幅が広い業種ともいえます。

露地野菜栽培の課題|天候の影響を受けやすく、価格の変動が大きい

ハクサイの入った籠
出典:写真AC
露地野菜は天候の影響を受けやすく保存性も乏しいので、供給量の変動に伴い価格が変動しやすいという特性があります。品目を変換することが比較的容易であるため、野菜価格が大幅に下がると農家の作付意欲が低下して作付品目の転換が行われ、供給の少なくなったその品目の価格が上がることもあるなど、価格を予測することが難しいのです。もう一つの課題として、機械化が遅れていることがあげられます。そのため、収穫や調製・出荷のための労働時間が長くなる傾向があります。

減っている野菜の消費量

サラダバー
出典:写真AC
野菜の消費量は、平成7年をピークに減少傾向で推移してきました。1日当たりの野菜の摂取目標量は1人350gですが、すべての年代において野菜摂取量が目標量に到達していません。中でも、20歳代~30歳代で不足が目立っています。また、一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会が行ったアンケートによると、80%以上の人が目標量より少ない摂取量を適量だと誤解していることが分かりました。若年層に向けて食育活動を行ったり、産地から情報発信をするなど、消費を促す取り組みが求められています。

四季を感じながら、健康に良い野菜をつくる

農地の風景
出典:PIXTA
野菜は健康を維持するための必需品。自然の中で育ったみずみずしい野菜を作る仕事は、消費者の健やかな毎日を支えているといえるのではないでしょうか。そして、日の光や風、雨の恵みを感じながら、体を動かして野菜を育てる仕事はとても健康的。自分の可能性を信じて、チャレンジしてみませんか?

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