目次
露地野菜とは
露地野菜とは、ハウス・温室や温床などの特別な設備を使わず、屋根などの覆いのない場所で栽培された野菜のことを意味します。代表的なものに、ダイコン、キャベツ、ハクサイなどがあげられます。ハウスなどを使った施設栽培についてはこちら。
露地野菜栽培の歴史
野菜は自然の中に生えていた中から、人が食べられるものを選んで畑で栽培するようになったものです。もともと日本の野生にあった野菜(日本原産野菜)にはフキ、ウド、ミツバなどがあげられます。縄文時代の遺跡からゴボウ、カブ、シソなどの種子が出土しており、これらの野菜は海外から入ってきて栽培されていたことがわかります。古墳時代になると、ナス、キュウリ、ネギなどが、室町時代以降にホウレンソウ、日本カボチャなどが伝来しました。明治時代に入ると、タマネギやトマト、キャベツなどの西洋野菜が多く流入し、日本の野菜の種類は豊富になっていきました。
露地野菜の農家数や気になる所得は?
露地野菜の栽培経営体数は約33万戸(平成27年)で、減少傾向にあります。また従事者の高齢化が進行しています。一方、新規就農者のうち、主として野菜に取り組む戸数は66%(うち露地野菜が37%、施設野菜が29%、平成28年度)と高くなっており、新たに農業に参入する人が取り組みやすい業種であるといえます。参考:農林業センサス「販売目的の野菜類の作付面積規模別経営体数」
全国新規就農相談センター「新規就農者(新規参入者)の就農実態に関する調査結果(平成28年度)」
露地野菜作経営(全国平均)の1経営体当たりの農業粗収益は602万円(平成29年)となっています。他の業種と比べると、稲作の277万円よりは高く、畑作の954万円よりは低い状況です。露地野菜作経営のうち、作作付延べ面積規模5.0ha以上階層をみると、農業粗収益は4,038万円となっていますが、前年に比べ減少しています。
参考:「農業経営調査平成29年営農類型別経営統計」
主な野菜の作付面積、10a当たり収量、収穫量をチェック!
露地野菜栽培で生産されている野菜は、どのくらいの反収(一反=約10aあたりの収穫高)があるのでしょう。主な野菜をチェックしてみましょう。品目 | 作付面積(ha) | 10a当たり収量(kg) | 収穫量(t) |
キャベツ | 34,800 | 4,100 | 1,428,000 |
ダイコン | 32,000 | 4,140 | 1,325,000 |
タマネギ | 25,600 | 4,800 | 1,228,000 |
ハクサイ | 17,200 | 5,120 | 880,900 |
露地野菜の栽培スケジュール|キャベツの場合
日本では南北に長い地形を活かして、さまざまな場所でキャベツの栽培が行われています。キャベツ栽培は、春まき、夏まき、秋まきなど収穫時期に合わせた苗づくりをします。収穫までは2.5~4.5カ月ほどかかります。ここでは夏まき栽培の場合のスケジュールを紹介します。時期 | 仕事 | 内容 |
6月 | 種まき | トレイに種をまいて苗を育てます。 |
7月 | 植え付け | 本場が数枚出たら、畑に植え付けをします。根が定着するまではたっぷりと水やりをします。 雑草の多い畑では、植え付け前後に除草剤を散布することもあります。 |
7~8月 | 追肥・農薬散布 | 追肥は植え付けから3週間経ったころと、6週間経ったころの2回行います。 アオムシ・コナガなどの害虫、黒腐病・菌核病などの病気を防ぐため薬剤を散布します。 |
10月以降 | 収穫 | 球が固くしまってきたら収穫します。収穫が遅れると裂球することがあるので注意します。 |
露地野菜の輪作
露地野菜では、輪作という栽培方法を行っている場合もあります。例えば、神奈川県の三浦半島では、1つの野菜が生長している間に、他の種をまいたり苗を植えたりすることで、多数の野菜を収穫しています。輪作により、畑が小さくても収穫量を増やすことができます。この輪作体制を維持するために「間作」が行われていることもあります。間作とは、前作の作物の畝間を通常より広めに設定し、前作の収穫の前に畝と畝の間で、次の作物を育てることです。輪作の例
冬…ダイコンが生育中。キャベツの苗を植える春…ダイコンの収穫が終わる。キャベツを収穫する。スイカの苗を植える
夏…スイカが生育
秋…ダイコンの種を植える