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東京農業アカデミー第5期生インタビュー|「人が集まり、人が喜ぶ農園をつくりたい」丹治 翔太さん


東京農業の担い手を育てるために、東京都が設立した「東京農業アカデミー」第5期生にインタビュー。子どものころから農家にあこがれていたという丹治翔太さん。紆余曲折あったものの「やっと夢に向かって歩き始めました」と顔を輝かせています。

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小林 由弥

フリーの編集・ライター。 カントリースタイルの暮らしを楽しむ、という主旨のムックで主にガーデニングやDIYの記事を担当していました。 現在は集合住宅住まいで土のない生活を送っているため、花や紅葉を追っての小旅行が楽しみです。…続きを読む

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丹治翔太さん

撮影:上溝恭香
東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第5期生として学ぶ丹治翔太さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。

観光農園で5年間働き就農の道へ

丹治翔太さん
撮影:上溝恭香
コンビニエンスストア勤務などを経て、5年以上観光農園で働いていた丹治翔太さん。小学生のころから庭で植物を育て、クラブ活動では鶏や魚を飼育。自然と触れ合うのが大好きで、農業へのあこがれを抱くようになっていました。
丹治翔太さん
丹治翔太さん
いろいろな人から「農家になるのは大変だ」という話を聞いていたので、夢は心の中にしまっておこうと思っていたんです。


親が子どもに苦労させたくないと思うのは普通のこと。丹治さんの両親もそれは同様でした。農業は収入が不安定だから、最初は丹治さんが就農することには反対だったといいます。それを説き伏せられたのは、丹治さんの熱意。そして、自然に触れ合うことが好きな姿でした。
丹治翔太さん
丹治翔太さん
観光農園で働くかたわら、趣味で養蜂をやっていたんです。
そこまで自然に携わることが好きなら、と両親も認めたようで、今は応援してくれています。

東京で農業をするために、満を持してアカデミーへ入講

丹治翔太さん
撮影:上溝恭香

東京から農地をなくしたくない

東京都内の農地は、2021年現在で6,410haで、東京都の総面積のわずか2.9%。開発などにより、どんどん農地が失われ、2011年からの10年間でも減少率が15.6%、面積にして1,190haも減っています。(参考:東京都産業労働局「農地と農業の担い手」東京の農地)
丹治翔太さん
丹治翔太さん
東京の農地が年々減っていくのを寂しく思っていました。これ以上減ってほしくない、というのも東京で農業を目指す理由のひとつです。

東京農業アカデミーは3年前から知っていた

観光農園で仕事をしていたため、東京農業アカデミーのことは3年前から知っていました。でも、その年の応募期間は既に終わっていました。そこからさらに2年かかったのは、準備に万全を期したいという理由からでした。
丹治翔太さん
丹治翔太さん
応募のための作文を1年以上かけてじっくり書いたんです。アカデミーを知ってから「3年目の本気」を見せました。

そのときの作文は、常にそばに置いています。インタビューの際も原稿用紙に印字された作文を手にしていました。
丹治翔太さん
丹治翔太さん
アカデミーを目指していたときの気持ちを忘れずにいたいんです。

学んだことはその日の夜に復習

東京農業アカデミー5期生
撮影:上溝恭香
アカデミーについては、ホームページに掲載されている先輩のインタビューなども事前によく読んで、ある程度は把握していたつもりでした。
実習が始まったら、思っていた以上にほ場に出ることが多いと思いました。ノートをとっての授業ではないので、家に帰ったらその日教わったことをまとめています。

農機具もいろいろ試せる

毎日身体を使う作業が続きますが、入講から1カ月ほど経ったころから本格的な農機具も触れさせてもらっている、と丹治さん。
使い方も何もわからなかった農機具に触れる機会が多く、貴重な体験です。
それに、単純にうれしいです。

季節ごとの作業を一つずつ覚える

春は種まきや苗づくり、夏は収穫と出荷調整作業。季節によって作業は変わっていきますが、それはそのまま就農後のシミュレーションになります。天気によって、予定していた作業ができないことも少なくありません。
天気予報が外れて急に雨が降ってきたときは、臨機応変に作業や研修内容が変わります。こんなふうに、予定通りに進まないことも就農後にあると思うので、引き出しをたくさん作っていけるのは貴重な体験です。

農地法についての講義が印象的

農地法については、まだ知らないことが多いのは当然ですが、驚いたのは法律がどんどん変わるということ。
まだあまり知られていないような変更内容もいち早く教わることができます。

指導員、同期、先輩にも恵まれた環境

入講前は「農業にもっと硬いイメージがあった」という丹治さん。けれども、指導員はフレンドリーで、何を聞いてもこたえてくれるといいます。
何よりもすごいと思うのは、場の雰囲気をつくってくれることです。時には冗談もまじえて、気さくに接してくれます。


同期は20代から40代と年齢もばらばらですが、考え方がそれぞれ違うからこそお互いの励みや勉強になっています。
料理が好きなので、お昼に作ってきたものをふるまっています。みんな「おいしい」と言ってくれるんですよね。僕よりも料理が得意な人もいるんですけれども。

先輩たちは、自分たちの体験でうまくいかなかったことも含めて共有してくれます。
先輩たちが育てた野菜を試食させてもらったり、被害にあった農作物を写真で見せてくれたりしています。
たった1年の差なのに、こんなに知識や覚悟が違うんだ、って感じています。

子どもたちに笑顔で食べてもらえるものを育てたい

丹治翔太さん
撮影:上溝恭香
観光農園に勤めていたとき、収穫に訪れる人たちの楽しそうな顔、農作物を持ち帰る人たちのうれしそうな顔が今でも心に残っています。丹治さんが目指したいのは、そんなふうに人が喜ぶ農園。
居住地の武蔵村山市で就農を考えています。
学校給食に、採れたてのおいしいトウモロコシを卸したいですね。
どこに出荷するにしても、その先にいる子どもたちに笑顔で食べてもらえるものを育てていきたいです。

いずれは、農業体験や観光農園を目指したいという丹治さんですが、まずは地道に足元を固めるところから。畑に集まった子どもたちと過ごす丹治さんの姿が目に浮かぶようです。

Sponsored by 公益財団法人 東京都農林水産振興財団 東京農業アカデミー

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