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東京農業アカデミー第2期生インタビュー「地域の人や子どもたちとつながる農家に」吉岡信一さん

東京農業の担い手を育てるために、東京都が設立した「東京農業アカデミー」。個性豊かな第2期生にインタビューしてきました。 今回は畜産の世界から農家への転身を目指して、東京農業アカデミーに入学した吉岡信一さん。吉岡さんが農業を志した理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。


吉岡信一さん

撮影:上溝恭香
東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第2期生として学ぶ吉岡信一さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。

入学前|畜産を学び、食品会社で食肉の仕入れと販売に従事

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香

人生の後半を考えたときに見えたビジョン

吉岡さんは東京都八王子市の出身。大学では畜産学を学び、食品会社で食肉の仕入れと販売をしていました。大学時代と仕事を通して20年以上畜産に関わってきましたが、会社員としての期間が折り返し地点を過ぎ、人生の後半について考えるようになったとき、今までとは全く違う路線で行きたいという感情が湧いてきたと言います。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
思い浮かんだのが野菜の栽培でした。大学で畜産学を学んだので、農業は身近な存在でしたし、もともと体を動かすのが好きなのと、食べ物を作る、売るということに興味がありました。特に農業の「自分で作る」という点に魅力を感じました。

貸し農園で家庭菜園に挑戦

試しに貸し農園で家庭菜園に挑戦してみたところ、野菜の栽培は自分に合っているのではないかと感じたという吉岡さん。農業の道に進みたいという気持ちは次第に高まっていきました。

都会で子育てをした経験から感じたこと

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香

都市の住民は土から遠いところに暮らしている

会社員時代に吉岡さんが住んでいたのは、東京と大阪。都市で子育てをしながら、子どもやその家族が土から遠いところで暮らしていると感じていました。そのような中で気づいた世の中の動向も、東京での農業への期待感を高めました。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
最近、畑や農産物の直売所、キャンプ場、登山など、土を感じられるようなところがとても盛り上がっていると感じます。東京の農業にも需要があるのではないかと思うようになりました。

「本当に知っている人」が作った野菜

「子どもに安全、安心なものを食べさせたいという気持ちは誰もが持つものではないか。東京は地方に比べて身近にある畑や直売所は少ないけれど、東京で暮らす人たちも、近所で採れた安全で安心な野菜を求めているのではないか」と吉岡さんは考えています。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
スーパーで見かける顔の見える野菜はありますが、写真にとどまらず、東京で暮らす人たちの食卓に、近所の畑で本当に知っている人が作った野菜がのぼったら、食べる人も安心感があると思うのです。

東京農業アカデミーに入学「これ以上の条件はない」

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香

研修終了後に農業で生活できるようになるには

農業を始めようと考え、インターネットで就農フェアを検索していたところ、目に留まったのが東京農業アカデミー。WEBサイトには、農業経験の有無にかかわらず独立就農できるカリキュラムを組んでいると書かれていました。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
農家をやるなら、研修後の3年目から食べていけるようにならなくてはならないですし、素人からのスタートなので、みっちり教えてもらえる研修先を希望していました。東京農業アカデミーは平日の朝から夕方までフルタイムで授業があり、就農準備に専念したいと考えている私にぴったりでした。

充実した施設、行政のバックアップ、そのほかの魅力も

東京農業アカデミーの農場の広さ、充実した設備、行政のバックアップ体制も魅力的でした。そして、地元の八王子市にあるということ。手続きや面接などの各段階で、職員の方たちにも真剣かつ丁寧に対応してもらいました。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
東京農業アカデミー以上の条件はない。ここなら、あとは自分の意思次第だと思いました。

自然の中で、よい野菜をつくるということ

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香

良い野菜とはどんな野菜か

東京農業アカデミーに入学後、農機具やハウス、設備や農場の充実ぶりを再確認した吉岡さん。中でも、驚いたのが農薬を使わないで栽培を行う「エコ農場」の存在でした。東京農業アカデミーでは、主に農薬を使う慣行農法で栽培実習を行います。しかし、「エコ農場」という生産環境があることで、慣行農法と農薬不使用栽培を比較できます。そのような環境の中で、吉岡さんは認識を新たにしたことがありました。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
今まで、農薬を使っていないとか、有機栽培とか、甘いとか、そういう野菜が良い野菜といわれていると思っていました。でも、野菜をしっかり見て適量の化学肥料や農薬を適切なタイミングで与え、きちんと栽培管理をして育てた野菜は品質の良い野菜なんだと思うようになりました。

吉岡さんは、指導員から「野菜の声を聞け」と言われるそうです。野菜は声を出しませんが、状況を日々見ていればちょっとした変化にも気づけます。そうすれば早めに対策を講じられるので農薬も最小限に抑えられ、隣の株にも影響を広げずにストレスなく育てられるのです。吉岡さんはこのようなことも消費者に伝えていきたいと考えています。


カラスによる被害に驚く

研修中には、カラスによる被害にも驚かされました。土を掘って落花生を植え、カバーをかぶせておいたところ、翌朝には豆のあるところだけに穴があいていて食べられていました。また、トウモロコシの実も上から下まで全部食べられていました。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
自然を相手にするのはこういうことだなと実感しました。駆除するのか、共存するのか、いずれにしても知恵比べが必要だ、ということがわかりました。

指導員の丁寧な説明、同期の仲間の声かけ

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香

初心者にもわかる指導員の説明

東京農業アカデミーの受講生には、吉岡さんのような栽培の初心者も含まれています。そのため、指導員の説明はとても丁寧です。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
私みたいな完全な素人の質問にも、とても丁寧に対応してくれます。わからない人の立場に立って、「こういう風に伝えればわかるかな」などと例を出してかみ砕いて説明してくれることもありました。また、実習で栽培したい品種のリクエストも受け入れてくれて、楽しく受講できています。

声を掛け合う仲間がいる

同期の研修生は5名。年齢もバックグラウンドも異なりますが、栽培ができるようになりたい、売れるような野菜を作りたいという目標は一致しています。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
男性と女性がいますし、同じ作業をするときに得意不得意はあります。そういう場面でも遅れが出ないように声を掛け合う意識がある仲間なので、とても素晴らしいです。

東京で自分からつながりに行く農家に

吉岡信一さん
撮影:上溝恭香
吉岡さんは地元である八王子市での就農を目標にしています。目指しているのは「自分からつながりに行く農家」です。
吉岡信一さん
吉岡信一さん
待っているだけではなく、直売所で販促物を使ったりSNSを利用したりして、自分から消費者とつながりに行こうと思っています。消費者も農家からのアプローチを待っているのではないかという気がしています。顔の見える関係ができれば、消費者に安心してもらえるのではないかと思いますし、例えばお客さんから「この間の野菜はいまいちだったよ」と言われたとしても、そのフィードバックが自分のためにもなります。


多くの人が暮らす東京。これだけの消費者がいれば、東京の農業はもっと強くなれるのではないかと吉岡さんは考え続けています。

生産している土地から、野菜を収穫して食べるまでの流れを地域の人や子どもたちに見てもらい、近いところで消費者とつながれたら、お互いに売りたくなる、買いたくなる関係ができるのではないか。そういう農家が増えれば、東京の農業がより豊かになるのではないか…。

都市に暮らす人たちにとって、どこにどのような生産者がいるのかを知るのは難しく、また、存在を知っていてもどのように付き合ったらいいのか、わからないかもしれません。そのような都市住民に農家からつながりに行くことで、きっと新しい結びつきが生まれるでしょう。就農後、「つながりに行く農家」となった吉岡さんが新鮮な野菜とともに地域にもたらす新しい風が楽しみです。

東京農業アカデミー八王子研修農場
東京農業アカデミー八王子研修農場
概要:就農希望者を都市農業の担い手として育成することを目的として東京都が開設した研修農場
対象:18歳以上で都内で就農を目指す人(毎年5名程度を受入れ)
研修農場 : 八王子市大谷町(約20,000㎡)
研修期間 : 2年間(年間約220日)
問い合わせ:東京農業アカデミー八王子研修農場 042-649-3444、東京都産業労働局農林水産部農業振興課 03-5320-4814(直通)

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【日程】
令和3年9月25日(土)13:00~15:00
※Zoomにて実施
======== 現地説明会========
【日程】
第2回 令和3年10月9日(土)10:00集合~12:00解散予定
第3回 令和3年10月14日(木)14:00集合~16:00解散予定
第4回 令和3年10月24日(日)10:00集合~12:00解散予定

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神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報などを執筆しています。

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