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東京農業アカデミー第2期生インタビュー|「農業は決定権がある究極のものづくり」鈴木翔さん

東京農業の担い手を育てるために、東京都が設立した「東京農業アカデミー」。個性豊かな第2期生にインタビューしてきました。 今回は大手電機メーカーのエンジニアだった鈴木翔さん。ものづくりが好きな鈴木さんが、なぜ農業を志したのか、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。


鈴木翔さん

撮影:上溝恭香
東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第2期生として学ぶ鈴木翔さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。

入学前は大手電機メーカーのエンジニア

鈴木翔さん
撮影:上溝恭香

ものづくりが好きで理系の道へ

鈴木さんは東京農業アカデミーに入学する前、大手電機メーカーに勤務していました。ものづくりが好きで選んだエンジニアの仕事。主に電気製品の電気回路の設計を担当していました。完成した電気製品は海外にも輸出されるスケールの大きな仕事で、デザイン、ソフトウェア、販売に至るまで、非常に多くの担当者が関わる仕事でした。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
私が担当していたのは、電気回路の中の一部分でした。製品が完成したときには、世界中で売られるという喜びもありましたが、どうしてもその実感が掴みづらくもっとお客様と近い身近なモノづくりをしたいと思うようになりました。

決定権があり、お客様と向き合える農業に関心を持つ

電気製品は多くの部品の供給があって成り立っています。近年、自然災害、政治情勢、新型コロナウイルスなどの影響により、部品の供給が難しくなることがありました。また、鈴木さんは、自身が担当していた電気回路の仕事は、将来AIが担うようになるのではないか、と危機感を覚えるようになりました。テレビで脱サラをして農業をしている人などを見るとうらやましく感じていたこともあり、農業に携わることを真剣に考えるようになったそうです。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
電気製品を作ることと野菜を作ることは、「ものづくり」という共通点がありますが、農業なら何を作るかというところから自分で決められます。売り先についても、直売でも、スーパーでも、無人販売でもいい。責任は重いですが、決定権が自分一人にあるというところに魅力を感じました。そして、お客様に「おいしかったよ」と言ってもらえたら、喜びにつながるのではないかと思いました。

東京で農家になる方法を探して

鈴木さん
撮影:上溝恭香

検索でたどりついた東京農業アカデミー

農業を勉強する方法として農業大学校に行くことを考えた鈴木さん。しかし、出身地の東京都には、農業大学校はありません。調べていくうちにインターネットで東京農業アカデミーの存在を知り、説明会に足を運びました。初心者が入学できること、農場がしっかりしていたこと、カリキュラムの中に大学の先生や機械の専門家、農業コンサルタントを招いた実践的な授業があることに魅力を感じました。

農地確保への心強いサポート

説明会で聞いた話の一つに「農地確保の難しさ」がありました。東京農業アカデミーが研修生の農地探しをサポートすることも、鈴木さんが入学を決意する決め手になりました。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
農業を全然やったことない人間が農地を貸してくださいと言っても、なかなか貸してもらえないと思いますが、東京都の財団が運営する東京農業アカデミーからサポートが受けられるのはとても心強いと思いました。

入学から2カ月で栽培から販売までを体験

鈴木翔さん
撮影:上溝恭香

初めて扱う農機具に戸惑う

研修が始まって、鈴木さんが戸惑ったのは農機具の使い方でした。耕運機やマルチ(マルチング:畑のうねをビニールシートなどで覆い、地温調節や雑草対策を行うこと)を敷く機械など、触ったことのないものばかり。そして、意外だったのは、農機具を制御するのに力が必要だということでした。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
機械でやるのだから力はいらないだろうと思っていたのですが、畑が少し傾斜になってることもあって、機械を制御するのに力が必要でした。ガソリンで動かす農機具はエンジンをかけるときに引っ張る動作があるのですが、そういうものを使ったことがなかったので新鮮でした。

事務所の前で行う野菜販売は貴重な経験

東京農業アカデミーは収穫した野菜を事務所の前で販売しています。販売するのは研修生自身。週2回1時間半程度の時間ですが、販売するときにのぼりを立てると近所の人たちが新鮮な野菜を求めて訪れます。鈴木さんは、この授業が消費者の生の声を聞ける貴重な機会だと考えています。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
自分たちでパッケージをして売っているのですが、同じものを並べているのに、詰め方、見せ方によって、売上が変わってくるのです。例えば、キュウリなら同じ長さや太さのものをそろえて袋に入れた方が売れますし、シールを貼ったり、レシピをつけたりすると売り上げが伸びる。こういう体験はとても実践的だと思います。まだ入学から2カ月しか経っていないのに、栽培から始めて販売までしています。とても濃密な時間だったと思います。

安心して受講できる研修、目標が同じ仲間の存在が励みに

鈴木翔さん
撮影:上溝恭香

質問には必ず答えてくれる指導員がいる

東京農業アカデミーの研修について、指導員の先生がとてもていねいに教えてくれると鈴木さん。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
質問したら必ず答えてくれますし、その場でわからないことも後で調べて教えてくれるので、安心しています。

目標が同じ仲間とともに成長できる

東京農業アカデミーで研修を受けることの大きなメリットの一つに、同期の仲間の存在があります。5人の同期は毎日のように顔を合わせて、ともにさまざまな研修を乗り越えていきます。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
5人のうち4人は30代後半から40代前半と年齢が近く、一人は20代で若いのですが、不都合は生じないですね。目指すものが同じということが大きくて、いろいろなことについて意見交換ができることがとてもいいですね。

就農後のビジョンは?

鈴木翔さん
撮影:上溝恭香

まずは日野市で堅実な「負けない農業」を

鈴木さんは、出身地の東京都日野市での就農を目指しています。将来的には日野市の特産品であるトマトやイチゴの栽培をしたいと考えていますが、どちらもハウスが必要な品目というところにハードルがあります。
鈴木翔さん
鈴木翔さん
トマトとイチゴが好きですし、収入もいいと思うので将来的にはその2品目を栽培したいと思っていますが、施設栽培には初期投資や土地を貸してくれる人の許可が必要です。そのため、まずは一人で充分暮らしていけるような堅実な農業をしたいと考えています。指導員の先生のお話に「負けない農業」というのがあったのですが、最初は赤字を出さずにきちんと収益を上げて継続できる「負けない農業」を目指したいです。


「負けない農業」を実践するためには何を栽培したらいいのか、鈴木さんは検討を重ねています。栽培のしやすさ、値段、手間、保存期間、畑を占有する期間など、多様な要素を考えるとそれぞれの野菜に一長一短があり、難しい判断になりそうです。東京農業アカデミーのカリキュラムでは、今後、農家での研修があるので、研修先の農家が実際に何を、そしてなぜ栽培しているのかを聞いて参考にしたいと考えています。

鈴木さんが東京で始める農業は、自分1人で始める新しいものづくりのスタート。栽培品目について検討を重ねている姿を見ると、既に新しいストーリーが動き出しているように感じられました。何をつくって、どこで、誰に売るのか、そのすべてが鈴木さんの意志から始まろうとしています。

東京農業アカデミー八王子研修農場
東京農業アカデミー八王子研修農場
概要:就農希望者を都市農業の担い手として育成することを目的として東京都が開設した研修農場
対象:18歳以上で都内で就農を目指す人(毎年5名程度を受入れ)
研修農場 : 八王子市大谷町(約20,000㎡)
研修期間 : 2年間(年間約220日)
問い合わせ:東京農業アカデミー八王子研修農場 042-649-3444、東京都産業労働局農林水産部農業振興課 03-5320-4814(直通)

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【日程】
令和3年9月25日(土)13:00~15:00
※Zoomにて実施
======== 現地説明会========
【日程】
第2回 令和3年10月9日(土)10:00集合~12:00解散予定
第3回 令和3年10月14日(木)14:00集合~16:00解散予定
第4回 令和3年10月24日(日)10:00集合~12:00解散予定

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神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報などを執筆しています。

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