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東京で新規就農!失敗しない脱サラ農業成功のポイント

サラリーマン生活を経て40代で脱サラし、首都圏で農業を始めた新規就農者ライターが、自身の経験も踏まえながら、皆さんが失敗せず、脱サラ農業を成功させるために必要なことや、事前に準備しておくと良いことなどをお伝えします。


東日本大震災やコロナ禍を経て自身の価値観や人生観が揺らぎ、生き方や働き方を変えたくなった人は多いはず。あなたも一度は「独立起業して自分のペースで生きていきたい」「ストレスフリーな自然のなかで働きたい」「農業が気になるけど、未経験でもできるんだろうか」などと考えたことがあるのではないでしょうか。この記事では、脱サラして東京で新規就農し、成功するためのポイントを紹介します。

新規就農者

出典:PIXTA

40代で農業の道へ。脱サラ就農経験者が伝えます!

実はこの記事を執筆している筆者も、20年以上のサラリーマン生活を経て脱サラし、首都圏で農業を始めたいわゆる新規就農者です。実家は農家ではなく、家庭菜園の経験こそあったものの、本格的な農業経験や農地がない状態からスタートしました。今回は、そんな私自身の経験も踏まえながら、皆さんが失敗せず就農するために必要なことをお伝えしたいと思います。

筆者プロフィール
ライター江守

 江守敦史 1972年、兵庫県西宮市生まれ。宝塚市育ち。埼玉県所沢市在住。阪神淡路大震災後の96年に上京し、大手出版社のリクルート、アスキー、メディアファクトリーを経て株式会社KADOKAWAで編集長を務める。 2020年3月11日にいまここランド合同会社を設立。生産者のブランディング・情報発信のサポート事業を展開しながら、農業を実践。福祉事業所での農福連携、有休農地の再生、トラスト地「トトロの森」での里山保全、山の猟師など、その活動は多岐に渡る。 【いまここランドHP】https://www.imakokoland.com/

基礎知識|未経験で農業を始めるのに必要な準備は?

ポイント
出典:写真AC
最初に、東京で農業を始めるために必要な準備として、押さえておきたい5つのポイントを確認しましょう。就農後に後悔しないためにも、事前に農業の実情を理解し、就農のための条件を十分整えて おくことが大切です。

1.自己資金

脱サラして農業を始める場合、まず考えなくてはならないのは資金についてです。必要なのは、トラクターや施設等の導入にかかる「初期投資費用」+種苗や肥料など毎年かかる経費である「営農資金」+「生活費」の合計額。新規就農者が1年目に実際に必要となった金額は、生活費以外で平均569万円ですが(全国新規就農相談センター調べ)、初期投資によって、より良い機械や設備の導入や、そして生活の安定を考えると、自己資金は多ければ多いほど安心できるでしょう。

独立就農は、ベンチャー企業を興すのと同じです。資金調達や販路拡大についても綿密な計画を立てておく必要があります。自己資金で全てをまかなうのは困難であるため、最大5年間、毎年150万円の給付金が受け取れる「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」など国や自治体の助成・補助制度を積極的に活用しましょう。

※農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)HPはこちら

2.農地

新規就農の場合、農地は購入ではなく、農家さんから借りて始めるケースがほとんどです。農地は見つけてお金を出せば誰でも借りられるわけではありません。就農したい地域の農家さんのところで研修を受けるなどして信頼関係を構築し、東京都農業会議や各区市町村などに推薦してもらうことで、ようやく農地の使用権を取得できるのです。

3.農業機械・施設

トラクターや草刈機などの農業機械やビニールハウスなどの施設をすべて新品でそろえようとすると、多額の資金が必要になります。周囲の農家さんから借りたり、中古品やレンタルも利用するなどして費用を抑えましょう。また、施設野菜(ビニールハウス栽培)は露地野菜に比べて2倍以上の初期費用がかかります。初期段階は露地野菜でスタートし、利益が出だしたらそれを元手に施設野菜に移行していく、という方法も有効です。

4.知識と技術

東京都には都市地域だけでなく山間地域や島しょ地域(東京の島々)があり、それぞれの気候風土が異なることで、さまざまな農作物がつくられています。また農作物の8割が共同直売所や農家の庭先で販売されることからも、地域に応じた多様な作物を育てる知識や技術が求められます。それらを就農前に、実践的に学んでおくことが重要です。

5.資格

農業者の資格として、普通自動車運転免許は必須です。農場や出荷で活躍する軽トラはマニュアル車が多いため、マニュアル免許の取得がおすすめ。また、都市部で使用するトラクターの多くは普通自動車免許に付帯している「小型特殊自動車免許」で公道を運転できます(全長4.7m以下、幅1.7m以下、高さ2m以下。時速15km以下で走行する場合)。それ以上の大きさのトラクターを運転するには「大型特殊自動車免許」(農耕車限定もある)が必要になるため、将来を見据えて、サラリーマンのうちに取得しておくのもよいでしょう。

 

ほかにも農業に役立つ資格は、こちら!


失敗しない!脱サラ農業成功のステップ

ステップ
出典:写真AC
いっときの盛り上がりや勢いだけで会社を辞め、「いきなり就農」を目指す人もいますが、資金もノウハウもないまま起業するのはあまりにリスクが高いといえます。独立して自由になりたい、農家になりたい、といった自分の夢を実現するためには、「いきなり就農」ではなく、事前にリサーチや下準備をしながら段階を経て進めていく「スライド就農」がおすすめです。

STEP1「農業体験」や「ボランティア」で農業を知ろう!

農業体験
出典:写真AC
農業を始めるといっても、そもそも知識や経験が一切なく、何から手をつければよいかわからない方も多いと思います。最初のステップとしては、農作業が自分に向いているかどうか、そして生計を立てる「業」としてイメージできるかを確認するとよいでしょう。

この時点では、農作業の上手い下手ではなく、好きかどうかを確認することがポイントです。これは「シェア畑」のような貸し農園で週末農業を実践してみればわかるはずです。あるいは、農家さんのもとでアルバイトやボランティアとして働いてみることで、趣味ではなく、仕事として継続できそうかどうかも自分に問いかけてみましょう。ただし、農家さんの思想や経営方針、労働環境は千差万別なので、一人の農家さんだけを見て「農業とはこういうもの」と決めつけず、複数の農家さんのもとで働いてみるのがよいですね。

このステップを通じて、自分が農業をしてみたい地域や気になる農家さんのリサーチをしたり、人脈を広げることまで目指してみましょう。

STEP2 「半農半X」で一定の収入は確保

農業をする人
出典:写真AC
農業体験を経て、脱サラや就農への決意は固まったものの、「まだ農業一本でやっていくのは不安だ……」という方には、「半農半X」のステップを踏む方法があります。半農半Xとは、塩見直紀氏が提唱した半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方のことです。

これまで社会人として培ってきた能力や人脈をうまく活かしながら、たとえばITやデザイン、コンサルティングなどの仕事を受注し、一定の収入は確保したうえで「小さい農業」を始めてみる。土作りから販売まで農業のすべてを実践しながら、その利益によって農業機械や施設を整え、次第に農業の比率を高めていく方法です。

以前は、特定の業種であったりスキルをもっていないと実現しづらかったのですが、テレワークが全盛の昨今、より多くの人がこの半農半Xを実践できる時代になったといえます。元編集者である私も、農家さんのブランディングや情報発信のお手伝いをしながら、農業を実践し、そこで出た利益を農業機械や資材の購入に投資しています。

STEP3「農業塾」で実践的に学ぶ

東京農業アカデミー
提供:東京農業アカデミー
農業体験、あるいは半農半Xを実践した上で、やはり確かな栽培技術を習得したい、農業に必要な知識を網羅的に学びたいという方も多いと思います。

現在、東京で農業を実践的に学べる学校として「東京農業アカデミー」があります。また、東京都で農業を始めるにあたっては栽培技術の習得だけでなく、「少ない農地をいかにして借りるか」という大きな問題があります。農家さんのもとで何年も修行し、知識や技術を学んだとしても、農地が借りられなければ独立就農はできません。また、農業法人で勤務をし続けても、経営ノウハウや法律に関してまで学ぶことは難しいでしょう。

東京農業アカデミーの研修期間は2年間です。学びに対して2年間という時間を割けるかどうかは、自身のキャリアプランやタイミングによるとは思います。しかし、一定期間に集中して学び、農地確保や広い人脈を得られるメリットを考えると、結果的に近道になるのではないでしょうか。

東京農業アカデミーについてはこちらをチェック


東京で農業をする際に活用したい窓口や研修の流れ

東京で農業を始めたいと思った場合、幸いなことに相談窓口から研修受講、農地取得までが明確に整理されています。ここでは下図をもとに、おおまかな流れを説明していきます。   東京での新規就農フロー図

1.窓口での相談

都内区市町村に関しては、相談対応可能な窓口が2つあります。東京都農業会議の窓口では、主に農業法人・農家への就職や研修について案内しています。東京都農林水産振興財団の窓口では、相談内容に応じて農業体験研修、あるいは東京農業アカデミーでの研修の案内をしています。

2.農業体験研修

東京での新規就農に興味はあるけれど、まだ農作業経験が無い人に向けた研修です。受け入れ先での5日以内の農作業体験を通じて、東京の農業を知ることができるようになっています。

3.東京農業アカデミーでの研修

東京農業アカデミーは、東京農業の新たな担い手を育成するため、都内で就農を目指す方を対象とした研修施設です。2年間のカリキュラムの中で、農業全般に関わる座学研修から、就農に結び付く実践的な研修を行います。

東京農業アカデミーとは?


4.新規就農希望者経営計画支援会議から助言を受ける

都や農協、東京都農業会議などで構成される、新規就農希望者経営計画支援会議。「東京都内全域の農地の効率的な活用をよりいっそう進め、地域に活力を与える新たな担い手として確保するため、新規就農希望者が経営計画を作成するにあたり、助言および支援することを目的に設置された」機関です。ここで就農から5年後に農業所得300万円を達成するための計画について、確認と助言を受けます

5.農地の借り受け

助言を受けた新規就農希望者は、農地の借り受けに際して、東京都農業会議や現地の区市町村などの支援を受けられます。現在は都市農地貸借円滑法の施行により、市街化区域においても農地(生産緑地)を借りられる法制度が整うなど、新規就農を推進する環境が整っています。農地を借りる手続きを済ませたら、新規就農者として営農がスタートします。

東京で活躍する生産者団体などをチェック!

農家として独立起業するにあたっては、すでに東京で新規就農している先輩の背中から学ぶことも多いはず。日ごろからアンテナを張り、生産者や農業を取り巻く情報をキャッチできるようにしておきましょう。

東京NEO-FARMERS !

出典:東京NEO-FARMERS!
東京都農業会議を通じて、東京都内で新規就農した者や新規就農を目指す者、またその活動を応援する者が集まった団体。定期的にマルシェに出店しているので、ぜひHPをチェックしてみてください。
東京NEO-FARMERS! HPはこちら

東京野菜ネットワーク

東京野菜ネットワーク
出典:東京野菜ネットワーク
東京都内全域の生産者で組織する生産者団体。地域割りに縛られない、オープンな生産者コミュニティを目指しています。オンラインショップでの野菜セット販売や、自販機での野菜販売などの取り組みも実施中。
東京野菜ネットワーク HPはこちら

TOKYO GROWN

TOKYOKYOGROUN
出典:東京野菜ネットワーク
東京の農林水産総合サイト。生産者情報はもちろん、イベントや直売所情報をチェックして出かけてみるのも◎
TOKYO GROWN HPはこちら

脱サラ就農で、地域や社会に求められる存在に

農家
出典:写真AC
今回は脱サラ就農に関するポイントやステップをお伝えしてきましたが、筆者自身改めて、独立して農業に携わるということは、その農業と自分自身を持続可能なものにしていくこと、すなわち地域や社会に求められる存在になっていくことなのだと気付かされました。この記事を読んだ多くの人が、いまここで脱サラという勇気あるチャレンジをし、自分の居場所(地域)を見つけ、そこで自分らしい生き方ができることを願っています!

 

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atsuhisa.emori

生産者の情報発信やブランディングのお手伝いをする「いまここランド合同会社」代表社員。大手出版社での20年にわたる編集経験と、全国各地の農家漁師とのネットワーク、自ら実践する農業の知識を活かし、難解な用語が並ぶ専門家取材から農家さんインタビューまでわかりやすく伝えます。

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