目次
出典:http://www.shin-norin.co.jp/
農産物の中には、人間が枝つるを支柱や網につないで伸びる方向を誘導することで、そのまま育てるよりも多くの実をつける種類が数多くあります。この作業を誘引といい、ぶどう・茄子・メロンなどツル状に育つものは、ほぼこのテクニックが用いられています。収穫量を上げるためには必要な作業なのですが、栽培規模が大きくなればなるほど手作業では大変に……。手に負えなくなる前に、誘引結束機を使いましょう!
すごいぞ誘引結束機!
誘引には収穫量を上げるほか、太陽を均等にあてる、泥はねから遠ざける、強風から守るなど、植物の健康面から見てもやらない理由はありません。しかしこれを手作業でやるとかなり手間がかかりますし、誤って植物を傷つけてしまったり、外そうとしても外れず邪魔になるといったトラブルが絶えません。特にぶどうの場合は上を向いての作業になるため、肩を痛めてしまうことも。そんな数々の負担を軽減してくれるのが誘引結束機。今まで一つ一つ針金や紐類で結んでいた作業がテープでとめるだけに、しかもテープを出したり切ったりも、全て握る動作だけで完結します。誘引結束機が登場してからの誘引作業は3~5割も早く行えるようになったんですよ!
誘引結束機の使い方
どのメーカーも基本の流れは一緒です。テープや針を機械にセット、一度握ってテープを引き出します。引き出されたテープで支柱と植物を押さえつけ、テープが輪になっていることを確認し、もう一度握りこみます。するとテープが固定・切断され、対象が支柱方向に伸びるようになるというわけです。
これを手作業でやると植物を束ね、紐を結び、ハサミで切る、とかなりの手間。一度使うと離れられなくなっちゃいます。
⇨次ページ:人気No.1 MAXのテープナーの新型『HT-R』をチェック!
人気No.1はMAXのテープナー『HT-R』
誘引結束機? テープナー?
テープナーはMAXという会社が出している誘引結束機の商品名です。厚みの違うテープや、必要がなくなったら強度がなくなる光分解テープ、見つけやすい鏡面テープなど、豊富なテープラインナップが特徴的。普及率が高いため、普段使っている人は誘引結束機全体をテープナーと呼んでいたりします。元から大きなシェアを持っていたテープナーですが、2017年2月に新型『HT-R』が発売され、話題となっています。テープを閉じるのに必要な力が約半分に、重さも2割減。さらに従来品で不満の上がっていた耐久性やテープの装填しやすさが改善。価格は若干アップしているものの、既存のものとは全く違う使い心地だと、早くもユーザーの乗り換えが進んでいます。

▼質量:420g
▼結束範囲:最大直径45mm
▼元値:9800円
旧タイプ テープナー各種
Amazonなどで『テープナー』を検索するとMAX以外の商品もたくさん出てきますが、本家は5種類。先のHT-Rと旧型HT-Aの(NA)と(NS)、HT-Bのの(NA)と(NS)4種類があります。まず結束できる大きさで分けられ、結束径45mmのHT-B型と結束径24.5mmのHT-A型に分かれます。さらに旧型の中でも新旧があり、商品名が(NS)となっている、通称『赤のテープナー』が新型、(NA)となっているのが旧型です。HT-Rは軽量小型のHT-Aの新型と同じ重さで、さらにHT-B型と同じ45mmの結束径までカバーできます。旧型を買う価値がないかといえばそうとは言い切れませんが、握力が必要だったり耐久性の問題が指摘されているため、価格以外で積極的におすすめはできません。

▼質量:420g
▼結束範囲:最大24mm
▼元値:7000円
テープの種類もたくさん! イチオシは光分解テープ
テープナーの魅力は、なんといってもテープの種類の多さにあります。厚さによる強度違い、見つけやすい鏡面テープもありますが、テープナーが選ばれる一番の理由は『光分解テープ』でしょう。最初は光に当てると強度を増し、一定期間が過ぎると劣化していくというすぐれもの。収穫時期になるとボロボロになっていて、畑に落ちても風化していくため、回収の手間がかかりません。逆に通常のテープは全く劣化しないため、長期間の保持が可能です。どちらのテープも同じ機械で使えるので、用途によって使い分けましょう。

▼元値1200円
テープナー一強時代に風穴を開けた ニチバン『とめたつ』
テープどうしがくっつくから針がいらない!
誘引結束機全体がテープナーと呼ばれていることからも分かるように、長らく業界はテープナー一強時代が続いていました。そこに2016年、果敢に切り込んできたのが、こちらもセロハンテープの代名詞『セロテープ』を販売するニチバンです。ライバルであるテープナーを研究し尽くし、ユーザーが求める軽さと高耐久を実現。もちろんそれだけでは終わらず自分たちの独擅場、テープに注目し、テープどうしがくっつくテープを開発。針の『空打ち』現象が解消されただけでなく、金属のゴミがなくなりました。テープ自体はこちらのほうが高いのですが、針が必要なく、本体の故障例も少ないため、実際はそこまで差が出ません。

▼重量:約350g
▼結束範囲:最大45mm
とめたつ頑張れ。ここが改善ポイントだ!
──とはいえ、とめたつはまだ発売されて間もなく、商品バリエーションがありません。軽いけどヘッドが大きく取り回ししにくい、テープが外れてしまう、光分解テープがない、などの弱点が指摘されています。しかし決まって「それでもとめたつを使いたい」という声が添えられてもいます。それほど魅力的なとめたつ。さらなる進化に期待です!⇨次ページ:他にもいろいろ誘引結束機 家庭菜園には激安タイプもおすすめ
誘引結束機いろいろ。他にはどんな機種がある?
安さが魅力 Chenci『ハンドタイイングマシン』
国産ではないものの、従来品より大幅に安く手に入れられます。かといってちゃちすぎず、家庭菜園規模ならこれで十分すぎるという声も。テープや針が付属していて、すぐ使えるところも嬉しい(というかお得!)です。
誘引以外の用途にも 仁礼工業『ふしぎテープ』
一時期収納や引っ越しライフハックの方面で話題だった、ふしぎテープも誘引に使うことができます。正式な使い方として紹介されているわけではないのでそこまで期待できないと思いきや、撥水性がかなり高いため、これを愛用している人もいるんだとか。とめたつのお手軽版といえるかもしれません。
▼テープ長さ:35m
針金、輪ゴム、紐など
これはアイテムではなく旧来の方法。一つずつ手作業で取りつけていきます。時間はかかりますが、コスパはこちらのほうが高い──ですが、大規模農園では時間でペイできてしまうので、プランターなど小規模の場合のみ、やや優勢でしょうか。主流は片付けが楽な麻紐かビニール紐です。やっぱりないと不便。誘引結束機は便利だった!
テープナー・とめたつ、その他にも改善してほしいところはあれど、一度腱鞘炎などで離れても、使わないという選択肢はほとんど聞きません。それほどまでに便利な誘引結束機。とめたつが出てきたことでテープナーも上位機種を出してきたように、お互いこれからも切磋琢磨しあってほしいところ。どちらを使っても遜色ないと言われるほどになってほしいですね!