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プレクトランサスについて教えてくれたのは?
園芸研究家・山城智洋さん
園芸研究家として大阪府豊中市でサボテンと多肉植物の専門園「山城愛仙園」を経営。自社ネット通販サイト「aisenen e-shop」や楽天市場店「とげ家」、展示即売場にて苗の販売を手がける。豊富な知識を生かし、NHK出版「趣味の園芸」にてサボテン・多肉植物に関する本の執筆・監修も担当。直近の著書はサボテンの最新品種や栽培のコツをまとめた「多肉植物 サボテン」(2021年2月発売)。公式サイト:https://www.aisenen.com/shop.html
『多肉植物 サボテン』(NHK出版)
プレクトランサスとは
プレクトランサスは熱帯から亜熱帯地域に分布する多年草ですが、南国原産のため日本では一年草として扱われることが多い植物です。原産地では約200~350種類が自生しているといい、種類や品種がたくさんあります。中でも葉色や模様が個性的なものは「葉もの」、美しい花を咲かせる種類は「花もの」と呼ばれています。株の伸び方によって主に2種類に分かれ、上に伸びる「立ち性」と、這うように生長する「つる性」とがあります。
暑さや乾燥に強いため比較的育てやすい植物ですが、寒さにはそれほど強くありません。屋外で育てる場合、霜に当たらないよう冬は室内に取り込んで育てます。九州や四国なら防寒すれば屋外での冬越しも可能です。
プレクトランサスの花
プレクトランサスは筒状の小さな花をたくさん咲かせます。色は紫やピンク、白のほか、複数色が混じったものなどさまざまです。開花時期は5~11月と長く、中でも10~11月が最盛期です。花が美しいものは鉢植えや寄せ植えとして楽しまれています。プレクトランサスの花言葉
「許し合う恋」「沈静」「広がる希望」沈静という花言葉は、紫の花の落ち着いた雰囲気に由来するそうです。
プレクトランサスの中には多肉植物に近い品種も
葉がぷっくりと肉厚な種類もあり、多肉植物のコーナーで販売されていることがあります。寄せ植えに使われることもあり、インテリアとして人気です。育て方は通常の多肉植物と同様、水を控えめにして育てます。
アロマティカスなど香りのよいものはハーブティーや料理に使われることもあります。
プレクトランサスは観葉植物としても人気
プレクトランサスは観葉植物としても人気です。プレクトランサスの葉は、白の斑入りや赤、紫、ピンク、黄色など非常にカラフルです。形は卵形で縁がギザギザしていることが多く、個性的な葉姿を鑑賞します。そのバリエーションの豊富さ、多彩さからガーデニングの植物としても重宝されています。プレクトランサスの基本情報
基本情報
学名 | Plectranthus |
科名 | シソ科 |
属名 | ケサヤバナ属(プレクトランサス属) |
園芸分類 | 草花 |
形態 | 多年草、一年草、低木 |
原産地 | アフリカ東部・南部、アジア、オセアニア |
特徴
草丈
5~150cm花の色
紫、白、ピンク開花時期
5~11月耐寒性
弱い~やや弱い耐暑性
普通栽培難易度
初心者でも育てやすいプレクトランサスの種類と品種
ここからはおすすめのディッキアの品種を紹介していきます。それぞれの栽培難易度は、星の数(☆~☆☆☆☆☆)で表示していますので、育てる際の参考にしてください。星の数が少ないほど育てやすい品種になります。※栽培難易度の表記が無いものは難易度が不明のものです。
モナラベンダー
モナラベンダーは立ち性のプレクトランサス で、花ものの代表ともいえる品種です。葉の表面は光沢のある黒みの強い濃い緑、裏側は紫色。花も紫色をしており、その姿はサルビアにも似た落ち着いた雰囲気を感じさせます。草丈は30~50cmと比較的大型で、単独で鉢植えにしても存在感があります。ピンククリッカー
ピンククリッカーは立ち性の品種で、草丈は20~30cmに成長します。小さなピンクの花を咲かせ、開花時期は5~10月と長めです。葉は細かい産毛に覆われており、ベルベットのような柔らかい手触りが特徴です。葉の個性が強いものは寄せ植えに使われます。シルバーシールド(アルゲンタツス)
シルバーシールドはオーストラリア原産で、アルゲンタツスとも呼ばれています。草丈は30~60cmほど。名前の通り銀白色の葉が美しく、7~8月ごろになると茎の先端に穂状の白い花を付けます。アロマティカス(アンボイニクス)
栽培難易度 | ☆☆☆ |
草丈は10~30cm。淡い緑色の葉っぱは柔らかい毛に覆われており肉厚で、室内でも屋外でも育てられます。多肉質な質感から最近はインテリアとしても人気が高まっており、多肉植物の売り場で手に入ることもあるようです。直射日光の当たらない明るい場所に置き、水を控えめにして乾燥気味に育てます。
エルンスティー
栽培難易度 | ☆☆☆ |
ヌンムラリウス
栽培難易度 | ☆☆☆ |
ミントリーフ
栽培難易度 | ☆☆☆ |
プレクトランサスの育て方
栽培カレンダー
日当たり
プレクトランサスは強い日差しを嫌うため、直射日光を当てると葉焼けの原因になります。葉の色をきれいに保ち、花つきをよくするためには、柔らかい日差しの当たる場所がベストです。春と秋は半日陰、夏は明るい日陰、冬は5℃以上の温度が保てる日当たりの良い場所で育てましょう。水やり
プレクトランサスはもともと乾燥に強く、過湿を嫌うので水のやり過ぎには注意が必要です。葉や花に水がかかると株が蒸れやすくなるので、水やりは株元にあげるよう意識しましょう。生育期には土の表面が乾いて白っぽくなったら、鉢底から水が流れるまでたっぷりと水をあげます。生長が鈍る11月~3月下旬ごろまでは、土が乾いて数日たってから水やりをしてください。冬場も生育期と同じ感覚で水やりをしていると、過湿で根腐れを起こす可能性があります。ただし室内に取り込んで15℃くらいの温度を保てるのであれば、生育期と同じくらいの頻度でもOK。地植えにする場合、水やりは不要です。
土
プレクトランサスの栽培には、水はけのよい肥沃な土が適しています。ホームセンターで売られている鉢花用の培養度で十分です。自分で配合する場合、赤玉土(小粒)7:腐葉土3、さらに元肥として緩効性の化成肥料を混ぜておくとよいでしょう。地植えの場合は掘り上げた土に腐葉土を2~3割混ぜておきます。また、多肉質の葉をもつアロマティカスなどには多肉植物用の土を使いましょう。
肥料
植え付け時、元肥として緩効性の化成肥料を土に混ぜておきます。追肥は4~6月、9~10月ごろの生育期に定期的に与えましょう。固形の暖効性肥料を月1ペースで置き肥するか、液体肥料を10~15日に1回のペースで与える方法でもかまいません。株が弱っているときは肥料を避けます。温度
生育適温は20~30℃。南国原産のプレクトランサスは乾燥に強い一方で寒さに弱いため、戸外で育てる場合は霜に当たらないよう注意が必要です。冬は最低でも5℃以上の温度を保つようにします。室内に取り込めるよう鉢植えでの栽培がおすすめです。プレクトランサスの開花時期は11月くらいまでですが、室温が高いと比較的遅くまで花を咲かせます。また、低温で葉が枯れてしまっても、根が生きていれば春になると新芽が伸びてくるでしょう。
プレクトランサスの夏越しと冬越し
プレクトランサスは暑さに強いため、直射日光を当てないように気を付けていれば夏越しはそこまで心配いりません。ただし、多湿を避けるために風通しはしっかりと確保しましょう。問題は冬越しです。プレクトランサスは寒さに弱く、気温が5℃を下回ると枯れてしまいます。鉢植えであれば秋になったら室内に取り込み、地植えの場合も9~10月の秋ごろに鉢に植え替えて室内で育てましょう。どうしても屋外で越冬させる場合は霜に当てないよう囲いなどで防寒対策を。また、冬は休眠状態に入るので水のやり過ぎにも注意しましょう。
プレクトランサスの寄せ植え
大型の種類は単独で鉢植えにしても見栄えがしますが、草丈が小さいものでも寄せ植えにすると華やかに演出できます。花が美しいものを中央に配置し、葉が個性的なものはカラーリーフとしてサイドに添えるのがおすすめです。プレクトランサスの切り戻し・剪定
枝が伸び過ぎていれば、生長が始まる3月下旬ごろに適度な高さに切り戻しましょう。枝の選定は株姿が暴れるのを防ぎ、きれいな株姿を保つためにも重要な作業です。また、開花シーズンを終えたら花が咲き終わった花茎を根本から切り落とすようにしましょう。プレクトランサスの植え替え
根詰まりを防ぐために1~2年に1回は植え替えを行いましょう。鉢底から根がはみ出していたら植え替えのサインです。植え替えに適しているのは、気温が高くなり始める3月下旬~4月中旬ごろ。5月には花が咲き始めるのであまり遅くならないタイミングで行います。5月に入ってから植え替える場合も、梅雨入り前に済ませましょう。根が鉢内に回りきっていれば切り戻してからひと回り大きな鉢に植えるか、あまり大きく育てたくない場合は根鉢を1/3ほど崩して同じサイズの鉢に植え替えます。用土は植え付けと同じく市販の観葉植物用の土を使いましょう。
プレクトランサスの殖やし方|株分け
一番簡単なのは株分けですが、生育がよいものは挿し木でも増やせます。時期は5~6月の春か9~10月の秋です。手順は以下を参考にしてください。- 茎を切り取り、3~4節くらいの挿し穂をつくる。下の方の葉は切り落とす
- 赤玉土など水はけのよい土に挿して半日陰で管理する
- 土が乾かないよう水やりをする
- ある程度株が生長したら芽先を摘む。そこから脇芽が出てバランスの良い株姿になる
- 2~3週間すると根が出る。十分に根が生長したら鉢や地面に定植する
プレクトランサスの病気・害虫
プレクトランサスは比較的病気や害虫に強い方です。とはいえ、風通しの悪い環境においていると年間を通じてカイガラムシやハダニが発生します。カイガラムシ
カイガラムシは葉や茎にくっついて養分を吸い取り株の生長を阻害する害虫です。幼虫には殺虫剤が効くので見付け次第すぐに駆除し、成虫は硬い殻で体が覆われていて殺虫剤が効きにくいため成虫は歯ブラシなどで擦り落としましょう。ハダニ
ハダニは葉の裏側に寄生して吸汁します。ハダニの被害に遭った場所にはかすり傷や白い斑点がつき、その部分の葉緑素が抜けてしまうため光合成ができなくなり株が弱ってしまいます。発生時期は春から夏の気温が高い時期です。水に弱いので定期的に葉水をすると予防できます。見付けたら早めに殺虫剤で駆除しましょう。プレクトランサスQ&A
Q. 葉が落ちる原因は?
山城さん
葉が落ちる落ちるようであれば、日照不足や風通しの悪さ、多湿(蒸れ)、水切れなどが原因として考えられます。水やりの頻度を見直し、置き場所を工夫してみましょう。
Q. 葉が枯れる原因は?
山城さん
温度の低い冬は休眠状態に入るため葉が枯れてしまいます。
Q. 花が咲かない・花つきが悪いときには?
山城さん
花が咲かない、花の付きが悪い場合にも日照不足が疑われるため、日当たりの良い場所に移して管理しましょう。