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- YasuhiroOgawa
植物園に勤務していた経験を活かして、正確でわかりやすい記事を書いていきたいです。好きな花はハイビスカス。現在は、トロピカルフルーツの新しい栽培に取り組んでます!…続きを読む
クレマチスとは?どんな植物?
クレマチスは主につる性の多年草で、北半球の温帯を中心に約300種ほどの原種が広く分布しています。種類によって形態は様々で、落葉性と常緑性のものがあり、つるにならない木立性の種類もあります。様々な原種や園芸品種が栽培され、古くから広く親しまれています。日本にも約20種ほどが自生し、古来からテッセンや日本原産のカザグルマが栽培されてきました。クレマチスはテッセンの名でも知られていますが、テッセンは中国原産の原種で、本来はクレマチス全体をさすものではありません。
基本情報
学名:Clematis科名:キンポウゲ科
属名:センニンソウ属(クレマチス属)
形態:つる性多年草
原産地: 北半球、ニュージーランド、オーストラリア
生育適温:15~25℃
花言葉:精神の美、旅人の喜び
春から秋まで長期間開花する中~大輪咲きの種類が、一般には人気です。一季咲きの種類も多く、開花時期は種類によってさまざまですが、クレマチスだけで一年中花を楽しめるほどバラエティに富みます。花色も他の種類の花にあるような色は、ほぼすべてあります。
多くの種類が鉢植えでも庭植えしても育てることができ、様々な形でクレマチスの花を楽しむことができます。系統が多くあり、育て方も違ってくるので注意が必要です。今大人気のバラのパートナープランツとして知られ、クレマチスがテーマの観光施設も存在します。日本にもクレマチス協会があり、愛好者が多い人気の高い植物といえるでしょう。
クレマチスの育て方
置き場所
日当たりの良い場所を好みます。半日陰の場所でも開花しますが、花付きが悪くなったり、株姿が間延びしがちになったりします。ただし夏の強い直射日光を嫌う種類も多くあります。夏は午前中だけ日光が当たるような場所や弱遮光下の、風通しの良く涼しい場所が適します。また鉢植えはコンクリートの上などに直接置かず、台の上などに置いて照り返しを防いでください。庭植えする場合は?
日当たりが良く、水はけの良い場所が適します。ただし夏の直射日光を嫌う種類は、半日陰や明るい日陰に植えてください。植え付ける際は、元にあった土と腐葉土などの有機物をよく混ぜ合わせてから、2節分くらい深植えしてください。植えるのは1年生の小さな苗より、2年生以上の苗を植えた方が良いでしょう。水やり
春と秋は鉢土の表面が乾いてから水を与えます。蕾や花を付けている時期と夏は、乾かさないよう毎日水やりしてください。冬は乾かし気味に管理します。庭植えでは、活着してしまえば水やりをする必要はありません。ただし雨が長期間降らず葉がしおれ気味になってきたら、たっぷりと水を与えてください。
肥料
クレマチスは多くの肥料を必要とします。生育の弱る夏は肥料を控えますが、春と秋の生育期に十分与えるようにしてください。緩効性肥料を規定量与えるほか、鉢植えは液体肥料も1カ月に2~3回、併用して与えると良いでしょう。手入れ
花後は、そのままにしておくと種ができて栄養が取られるので、早めに花首から切ります。生育期間中はつるの誘引を怠ると、あちこちに絡まって対処できなくなってしまいます。つるを斜め横方向に、こまめに誘引するようにしてください。
病害虫
アブラムシやハダニ、葉を食害するアオムシやナメクジなどが発生します。また梅雨期などにはうどんこ病やさび病の発生が多くなります。早めの防除が大切です。腐葉土や堆肥などの有機物の多い土は、コガネムシの幼虫がよく発生します。発生すると根が食害され、まともに育たず枯れてしまいます。
クレマチスの植え替え・植え付け
鉢底から根が見えるようになったら、植え替えしてください。落葉して休眠中の12月から2月までが植替えの適期です。クレマチスは深植えするのが基本です。1~2節分、土の中に埋めるよう植え付けてください。用土はクレマチス用の培養土を使うと安心です。自分で配合する場合は、赤玉土+鹿沼土+腐葉土を4、3,3の割合で混ぜる用土などがあります。
また春に開花鉢を購入したら、すでに根詰まり気味の場合が多いです。花後の剪定と同時に植え替えすると良いでしょう。
庭植ではクレマチスは移植を嫌うので、植え替えの必要はありません。
クレマチスの増やし方
成長期の4~7月に、挿し木で増やすことができます。当年に伸びたつるの硬い部分を2節切り、下葉をとって挿し穂とします。バーミキュライトなどの清潔な用土に挿し、明るい日陰で乾かさないように管理してください。1~2カ月で発根し、鉢上げすることができます。また同じ時期につるを地中に埋めて発根させる、つる伏せでも増やすことができます。
クレマチスの剪定方法
剪定は主に品種の系統別に違うので、系統の項目で剪定について解説しています。系統などの難しいことを避けて、とにかく簡単に剪定をすませたい場合は、花後に半分までバッサリと剪定してください。また2月下旬から3月下旬に、丸く膨らんだ芽を残すようにつるの先を剪定します。ただし春咲きの種類など、強剪定を嫌う種類もあるので、注意してください。
クレマチスの系統(種類・品種)
多くの系統があり、開花期や性質もさまざまです。系統によって楽しみ方や育て方が異なるので、栽培する植物がどの系統に属するか確認しましょう。四季咲き性
花後に全体の半分から3分の1程度残して剪定すると、春から秋に2~4回ほど花が咲きます。早咲き大輪系(パテンス系)
新旧両枝咲きで、日本原産のカザグルマを元に品種改良された系統です。4月から開花が始まり、花色や花形が豊富です。種類:カザグルマ(パテンス)、ドクターラッペル
遅咲き大輪系(ジャックマニー系)
新旧両枝咲きで、カザグルマとヨーロッパ原産のビチセラの交配種・ジャックマニーから改良された系統です。5~6月から開花し、花色が豊富です。生育旺盛で育てやすく、花付きが良いです。順調に生育して大株になってくると、株全体を覆うように開花します。種類:ジャックマニーアルバ、ビオラ
フロリダ系
新旧両枝咲きで、上向きに咲く大輪の花が人気です。白や紫など落ち着いた色合いで、バラと組み合わせて栽培するにも最適です。丈夫で育てやすいですが、夏に休眠する傾向があります。種類:テッセン、フロリダ
フロリダ系(八重咲・大輪)苗
クレマチスの最新品種で、大輪で八重咲の花が人目を引きます。花径は10~13cmほどで、花色や花形も咲き進むにつれて変わるのも魅力です。丈夫で育てやすく、今注目の品種です。
・内容:3.5号ロングポット植え
・内容:3.5号ロングポット植え
インテグリフォリア系
新枝咲きで、ベル形の花が下や横向きに咲きます。半つる性、または木立性でコンパクトに育ちます。木立性のものは、花壇に植えて宿根草と同じように楽しむことができます。種類:ブルーボーイ、アラベラ
テキセンシス系
新枝咲きで、テキサス原産のテキセンシスを改良した系統です。暑さ、寒さに強く、強健で育てやすいです。冬は地上部は枯れますが、生育旺盛なので庭植えに向きます。種類:ミニ ベル、ぺヴェール プロフュージョン
春咲き
旧枝咲きで、剪定は枝をバッサリと切り戻すような、中~強めの剪定は避けてください。寒さには強いですが、蕾が雪や冷たい風で傷むことがあります。寒冷紗などを掛けて保護すると安心です。モンタナ系
中国の高地原産の原種と、その園芸品種の系統です。花は小輪多花性で、花色は白色かピンクです。株全体を覆うほど開花する様子は見事で、芳香のある品種もあります。高温多湿と乾燥を嫌い、肥料は少なめで管理するのがポイントです。暑さに弱いので、半日陰の風通しの良い場所が適します。比較的短命といわれ、大株になって花をたくさん咲かせた後に枯れてしまうことがあります。開花後に伸びてくる新芽を切ると、来年花が咲かなくなります。基本的に剪定は控え、花首を切るだけにしてください。
種類:エリザベス、スプーネリー、モンタナ プリムローズ スター
ルーベンス(モンタナ系)苗
購入しやすいポット苗です。地上部は細いですが、春になると株元からも新芽が出ます 。
ピンクのグラデーションが美しい花が魅力で、バニラのような芳香があります。モンタナ系でも丈夫で育てやすく、初心者にお勧めです。
・内容:9cmポット苗
ピンクのグラデーションが美しい花が魅力で、バニラのような芳香があります。モンタナ系でも丈夫で育てやすく、初心者にお勧めです。
・内容:9cmポット苗
アーマンディー系
中国原産の原種から改良された常緑性の系統です。丈夫で育てやすく、白やピンクの花が株全体を覆うほど開花します。夏は半日陰の涼しい場所が適します。バッサリと切り戻すような剪定は避け、花後に枝先を切る程度にとどめます。種類:アーマンディー、アーマンディー スノードリフト
フォーステリー系
ニュージーランド、オーストラリア原産の原種とその改良種の系統です。主に常緑性で、他の春咲き系統より早い時期に星形の花が開花します。寒さには強くなく、寒冷地での地植え栽培はできません。また多湿を嫌うので、鉢植えに向きます。剪定は弱めにしてください。種類:ペトリエイ、カートマニー ジョー、ピクシー、ムーン ビーム
夏、秋咲き
今年伸びたつるに開花する新枝咲きで、生育旺盛な種類が多いです。タングチカ系
主に黄色の半鐘形の小輪花が多く付きます。強健で育てやすく、庭植に適します。剪定は、冬に半分程度切り戻し剪定してください。種類:アニタ、オレンジ ピール
フラミュラ系
芳香のある小輪の十字形の花が、株全体を覆うようにたくさん開花します。冬に3分の1くらい残して強めに剪定します。センニンソウ(仙人草)、ヘキサペタラ(=アンガスティフォリア)、アロマティカ
ヘラクレイフォリア系
小輪の花はヒアシンスのようです。木立性で宿根草のように楽しめます。剪定は、冬に枯枝や古枝を切る程度で良いでしょう。種類:ドワーフピンク、プラエコックス、
冬咲き
常緑性と落葉性の種類があります。夏は休眠して枯れたようになります。旧枝咲きで、大きくしたくない場合は、花後にバッサリと切り戻します。厳しい寒さには耐えられないので、北海道などの寒冷地では冬は室内に取り込んでください。シルホサ系
夏に落葉して休眠します。小輪のベル形の花が、晩秋から冬まで長期間開花します。挿し木は1~2月に行い、室内の窓際で管理します。剪定は2~3月に半分から3分の1くらい残して切り戻します。種類:ナパウレンシス、シルホーサ バレアリカ
コンナータ系
日本原産のハンショウヅルも含まれ、開花時期は種類によって様々です。ここではアンスンエンシスなど、冬咲きの種類に限定して解説します。常緑性で、白い小さな花が下向きに咲きます。旧枝咲きで、剪定は花後は花首を切る程度にとどめます。ただし生育旺盛でつるがよく伸びるので、大きくしたくない場合は、花後から6月までに、バッサリと半分程度まで切り戻します。
種類:グレウィーフローラ、ウロヒラ ウィンター ベル
クレマチスの入手は?
開花鉢は母の日のギフト用として人気があり、5月ごろが最も多く流通します。花が終わったら庭植すれば、水やりの手間が掛かりません。植え付け用の苗は、適期の3月に多く出回ります。花が付いていないので、あらかじめ本やネットなどの情報源で、欲しい種類を見つけておきましょう。クレマチス専門のネットショップもあり、希少な品種も購入できます。