- ライター
- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
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花や実をつけさせるための「リン酸」、植物の体を育てる「窒素」、抵抗力を高める「カリ」は、植物に欠かせない栄養です。この三要素がしっかりと配合された液体肥料を成長期の植物に与えれば、より元気に、より多く花や実を楽しむことができますよ。中には実をおいしくする栄養が詰まった液体肥料も!家庭用におすすめな液体肥料をご紹介します。
初心者にもおすすめ!液体肥料(液肥)とは
液体肥料(液肥)とは、液体に栄養素を溶かした肥料のことです。植物にとって食事ともいうべき窒素、リン酸、カリの三要素がギュッと閉じ込められており、植物の種類によってさまざまな製品が販売されています。使うと固形肥料よりも早く効果が出るので、植物を植え付けてからの追肥におすすめですよ。株元にまくだけなので、初心者さんでも簡単に扱えます。広い面積を管理するプロは、スプレイヤー(散布機・噴霧器)や土壌散布機で散布を行っていますが、家庭ではジョウロ・霧吹きで充分です。
液体肥料のメリット
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効果が出やすい
液体肥料はすぐ植物に取り込まれる、即効性の高さが魅力です。だんだん栄養が溶け出し、ジワジワと効いていく固形肥料は最初に与える「元肥」、すぐに効く液体肥料は花や実ができる季節の「追肥」として使い分けると効果的です。
成分量がわかりやすい
固形肥料、特に有機肥料は実際どれだけの肥料成分が入っているかわかりにくいものが多いです。対する液体肥料は数字で成分表示されているので、植物の栄養管理がしっかりできます。
有機肥料タイプも
液体肥料の中には有機肥料タイプも存在します。「食用の作物はより安全な肥料を使いたい!」という人におすすめなタイプです。有機の液肥は通常の固形肥料と同じく、生物分解するためにじっくり効果を発揮します。
味を上げる効果も
液体肥料は単に結実をよくしたり、葉を茂らせたりするだけではありません。作物の味をアップさせる栄養素が含まれているという製品もあります!より高い効果を実感するためには、実るタイミングに合わせて追肥をしましょう。
液体肥料のデメリット
スプレイヤー(散布機・噴霧器)が必要になる
広範囲にまきたいなら、むらができにくいスプレイヤーを使用する必要があります。このスプレイヤーはメンテナンスの必要もあるので、管理が大変です。ただし先述した通り、家庭菜園や庭先のガーデニングならここまで本格的な道具を用意する必要はありません。
濃度の調整など作り方が難しい
液体肥料は与える前に水で薄めます。濃度の目安はパッケージに書いてありますが、失敗すると肥料やけするので注意しましょう。水耕栽培の場合、液肥の与えすぎはバクテリアやコケの発生につながります。
野菜・水耕栽培・芝生などに|液体肥料の種類と選び方
「どの液体肥料を買おう?」と迷ったら、自分の育てている作物を思い出してください!作物の種類によって使える液体肥料も変わってきます。また、水で薄める必要がないタイプや、土に挿すタイプなど、手軽さ重視の液体肥料も便利ですよ。
野菜用
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野菜用とひとくくりに言っても、土壌散布に適したものと、葉面散布するものとで、選び方が違います。
土壌散布
リン・窒素・カリウム(肥料三要素)のほかに、たんぱく質、アミノ酸などを含むものが有効です。土である程度拡散されるので、濃度が濃いものでもOK。必要に応じて水で薄めましょう。
葉面散布
葉面に散布する液体肥料は、肥料三要素を中心に構成されています。特に窒素は葉面から吸収されやすいため、重要な成分です。汎用品を流用する場合は、濃度が濃かったり、葉に残るような成分があったりすると、発育に悪影響が出るので注意しましょう。
水耕栽培用
室内でも手軽に行える水耕栽培。土で栽培するなら、最初から土壌にある程度栄養素が含まれていますが、水耕栽培で使う水にはまったくそれがありません。肥料三要素のほかに、中量要素、微量要素が充分含まれている液体肥料を使いましょう。初心者さんには液肥ではなく、水耕栽培専用の培養液がおすすめです。
芝生用
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芝生用には、肥料三要素がバランスよく含まれている液体肥料を。濃度は薄めが基本です。あとは芝の種類や土壌に合わせて調整します。また、芝は土壌の鉄分を消費するため、鉄を含むものがおすすめです。芝専用の液体肥料も販売されています。
観葉植物用(アンプル剤)
観葉植物の株元に、スポイトのような小さい容器が挿さっているのを見たことがありませんか?これは「活力剤」といって、寒さや暑さ、植え替えなどで元気のない植物に与えるものです。法律で液体肥料とは区別されています。液体肥料ほど劇的な効果は期待できませんが、手軽さが魅力です。
液体肥料の使い方、薄め方など
畑(野菜)に使用する場合
あらかじめ簡単に土壌チェックしておくと良いでしょう。土に散布する場合はジョウロか散布機を使います。葉面に散布する場合は、霧吹きか噴霧器でまきましょう。
おすすめのジョウロと霧吹きはこちらでチェック!
水耕栽培で使用する場合
培養液を作る場合、ECメーターを使用します。培養液に継ぎ足しする場合は、ECメーターで濃度を測定し、全体の濃度を計算してから継ぎ足しましょう。ペットボトルや花瓶での水耕栽培なら、水の交換と一緒に液体肥料も入れ直します。
ECメーターについてはこちらをチェック!
観葉植物のプランターに使用する場合
種類によりますが、野菜ほど頻繁に散布する必要はありません。あまり液体肥料を与えているとすぐに大きくなってしまい、植え替えが必要となってしまいます。観葉植物の肥料三要素が枯渇することは少ないので、中量要素、微量要素をアンプル剤を常用することで栄養補給していきましょう。特に冬は観葉植物の成長がゆっくりです。与えるなら冬以外の温暖な時期がおすすめ!
ハイポネックスなど濃縮液肥の薄め方
植物の種類によって、液体肥料をどの程度に薄めて使うかは異なります。サボテンや盆栽など、かなり薄めるものは2000倍、花木・庭木などは250倍程度です。液体肥料の大定番商品「ハイポネックス」のサイトも参考にしてみてください。
ハイポネックス公式サイト農家が選ぶ!液体肥料おすすめ商品トップ10
1位:使いやすく高コスパ|ハイポニカ液体肥料 水耕栽培用
ハイポニカ液体肥料
水耕栽培の液体肥料として超有名なのが「ハイポニカ」。2液を混ぜて使うので、用途に合った栄養調整ができます。プロの農家さんに愛用されている本格商品です!もちろんご家庭の水耕栽培でも使用できますよ。配合次第で土壌散布にも使えます。
・容量:各500ml
2位:普段の添加から回復まで|ハイポネックス原液
ハイポネックス原液
液体肥料といえば、やっぱりハイポネックスシリーズ!花にも野菜にも使えます。野菜に使うなら、状況に応じて薄めることのできる希釈タイプがおすすめですよ。
・容量:約800ml
3位:使いやすさNo.1|そのまま使える花工場 植物全般用
住友化学園芸 そのまま使える花工場 植物全般用
水で薄める必要なし!花や野菜にそのまま使える液体肥料です。手軽さを重視するガーデニングや家庭菜園におすすめ。幅広い植物に対応しているので、使いやすいですよ。
・容量:700ml
4位:巨大化注意!最強の液体肥料|万田酵素 万田アミノアルファ
万田酵素 万田アミノアルファ
たっぷり1L入り!液体肥料と植物発酵生産物を混ぜた、自然由来の肥料です。酵素とアミノ酸の作用で作物が大きく育ち、味も良くなります。チッ素、リン酸、カリが均等に入った液体肥料です。
・容量:1L
5位:観葉植物専用!|ハイポネックス ハイグレード観葉植物
ハイポネックス ハイグレード
「ハイグレード」というシリーズの観葉植物専用の液体肥料です。葉を茂らせるチッ素が多めに配合されており、いきいきとした葉が重要な観葉植物にぴったり!効果が高いので、弱った植物にもおすすめです。
・容量:450ml
6位:夏野菜の強い味方|レインボー薬品 住友液肥2号 実もの・根もの用
レインボー薬品 住友液肥2号 実もの・根もの用
野菜用の液体肥料です。追肥に最適!トマトやナス、キュウリ、カボチャ、とうもろこしなど、栽培の難しい夏野菜におすすめです。ジャガイモやにんじんなどの根菜にも適しています。
・容量:800ml
7位:マルチに使える葉面散布用液肥|OATアグリオ ホスプラス
OATアグリオ ホスプラス
葉面散布専用の液体肥料です。葉面から吸収しやすい亜リン酸を配合しているので、効果がよく出ますよ。カリウムも補給でき、植物の成長時期に最適です。
・容量:1L
8位:野菜から観葉植物まで水耕栽培ならこれ!|ベジタブルライフA
OGGアグリオ ベジタブルライフA ACH-005
水耕栽培用液体肥料の定番商品です。どんな野菜もこれ1本でOK!2Lの水にキャップ1杯を入れるのが基本の使い方です。農業用肥料メーカーが開発したので、信頼性が高いですよ。
・容量:1L
9位:高コスパでやさしい配合|メネデール 芝肥料
メネデール 芝肥料 原液
芝生の液体肥料です。1Lタイプで10坪ならワンシーズン使えるので、コスパが高くお買い得!肥料やけを起こしにくい配合です。芝に不足しがちな鉄分も含まれています。
・容量:1L
10位:味上げ効果で果物をおいしく|カラアップ
カラアップ
果樹におすすめの液体肥料です。アミノ酸やビタミン、糖類を配合しているため、味上げ効果が高いですよ。また、フィチン酸配合で葉面からの吸収率もアップしています。リン酸が多めでチッ素は控えめの配合です。葉より実を大きくしたいときに!
・容量:1kg
おすすめ散布器具
扱いやすさNo1の小型電動噴霧器|工進 ガーデンマスター乾電池式噴霧器
工進 ガーデンマスター 乾電池式噴霧器 GT-3S 3L 肩掛けベルト付き
乾電池で動く噴霧器です。小型でよりまわしがよく、性能も十分。お値段も控えめでお手ごろです。園芸用ならこれがベスト!
・容量:3L
かんたん液肥希釈キット(SK)
タカギ かんたん液肥希釈キット GHZ101N41
液体肥料の人気メーカー「ハイポネックス」と共同開発!ハイポネックス原液のボトルがそのまま取り付けできます。希釈濃度も調整される優れものです。あらかじめ濃度を調整すれば、ハイポネックス以外の液体肥料も使えますよ。
挿すタイプや100均などの液体肥料を使用する場合の注意点
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添加しすぎに注意
どの植物も、肥料が多すぎると肥料やけを起こします。特に葉面散布する肥料を頻繁に与える場合は注意が必要です。葉に膜が張り、植物の呼吸を阻害してしまいます。
挿すタイプ(アンプル)は観葉植物専用
前途の通り、アンプルタイプ(スポイト状の地面に挿すタイプ)は液体肥料と異なるものです。肥料成分が少ないので、これだけで野菜を育てようとしても、栄養が足りずに育成不良や病気を誘発します。栄養があまり必要ない観葉植物に使うのが基本です。野菜用であっても、通常の液体肥料と併用するようにしましょう。
100均などの格安品は含有栄養素を要チェック
100均でも売られている、植物の肥料。「ちゃんと効果があるの?」と不安になりますよね。肥料は「肥料取締法」で品質検査等が必要と定められています。格安品の中には、肥料ではなく栄養分の表示を簡略化できる活力剤として販売されているものもあるので要確認です。しっかり栄養管理したい人には不向きでしょう。
迷ったら定番商品がおすすめ
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バラや野菜、芝には専用の液体肥料があります。「どれを買おう?」と迷ったら作物の種類に応じた液体肥料、特にそういったものが無ければ定番のハイポネックスやハイポニカがおすすめです。肥料は必須ではないものの、与えると植物の元気が違いますよ!肥料やけに注意しながら、ぜひ栽培に取り入れてくださいね。