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- printemps117
家庭菜園を始めて5年ほど。夏になるとカラフルなパプリカを木のように実らせたいと思い、試行錯誤中。 今年は、ころたんメロン、星・ハート形きゅうりなど、子どもも大人もわくわくするような野菜の栽培にも取り組んでいます。…続きを読む
今回は草木染めの概要や方法、材料や道具などについてもご紹介します。
草木染めとは?
草木染めとは、主に草木や植物の根・皮・葉・実などから採った天然色素を用いて衣服や雑貨などに用いる布を染めることです。草木染めでは、絹、綿、ウールなど、さまざまな素材をきれいに染め上げることができる技術です。草木染めの歴史は、世界的に見ると非常に古く、エジプトのピラミッドで4000年以上も前に染められた藍染めの麻布が発見されています。日本でも弥生中期の吉野ヶ里遺跡から出土した絹織物から染料が検出されるなど、この時代からすでに草木染めの技術が用いられていたと考えられています。
草木染めと化学染料染めの違い
化学染料を使う化学染め
石炭や石油などを原料として、合成された染料のことを化学染料といいます。素材に合わせて染まりやすい染料を選びます。木綿や麻、レーヨンなどのセルロース繊維用、絹やウールなど蛋白繊維を染める染料、ポリエステルやアクリルなどの化繊専用染料のほか、竹、木、枯葉などを染める特殊染料などがあります。化学染料は草木染めに使われる天然染料に比べて安価であり、長期保存性や、染色の安定性(毎回同じ色に染まる色の安定性)のほか、染まる色が強いなどさまざまなメリットがあります。天然染料を使う草木染め
一方、草木染めに使われる天然染料は、石油などの化学物質を使っていないため、肌や環境に優しいなどのメリットがあります。また、天然染料の中にさまざまな色素が混ざっているため、奥行きのある色合いが表現しやすいなど、中間色や微妙なニュアンスの色が発色しやすいのです。草木染めの簡単なやり方(手順)
基本的な下準備
媒染液(色止め剤)を作る
草木染めでは、時間が経つごとに色落ちしてしまうのですが、染色時に媒染液(色止め剤)を使うことで発色がきれいになり、色を長持ちさせることができます。作り方は簡単。・ミョウバン液:スーパーで100円くらいで売っている焼きミョウバンを水に溶かすだけ。
・銅媒染液:お酢に銅をつけて数日置いておきます。漬けておくのは10円玉でもOK。
・鉄媒染液:お酢に錆びた鉄をつけて数日置いておきます。錆びた釘やクズ鉄などが無ければ、釘を塩水につけて錆びさせてから使ってもよいでしょう。
布の下準備
天然染料はたんぱく質と反応して染まります。絹は蚕が出す糸を使っているのでたんぱく質ですが、たんぱく質成分のない綿や麻を染める際は、前もって布地に牛乳や豆乳などのたんぱく質をしみこませておく作業が必要です。→草木染めの「布の種類、布の下処理(たんぱく質処理、やり方、精錬)」
pH調整液
草木染めでは、色素を定着させるための媒染液とは別に、発色を変えるため、植物を煮る時に灰汁(灰を水に入れてできる上澄みの汁)やお酢などのpH調整液(剤)を加えることがあります。灰汁は染汁をアルカリ性に、お酢は染汁を酸性にします。例えば、紫キャベツで染めた場合、酸性に近付くほど赤みが強い色合いになり、中性に近づくと青や緑色に、またアルカリ性に近付くと黄色や茶褐色を帯びるようになります。同じ植物の汁でも、染まる色を変えることができるのでおもしろいですが、確実に染めたい色に調整できるわけではないので、初心者はまずは基本の方法でチャレンジしてみてくださいね。
加熱する草木染めの方法
材料
・染色する草木や花・実・煮出し用の水
・媒染液
道具
・ホーローかステンレスの鍋・ざる
・菜箸
・ボールかバケツ
・はかり(植物の重さをはかる)
・計量カップ
・温度計
・厚めのゴム手袋
部分染めをする場合
・輪ゴム・ビー玉
・おはじき
・針と糸
・万力(絞り染めの板絞り染めをするときなど)
上記の道具で、布を縛ったり、縫ったりするとその部分が模様になります。
手順
1. 鍋に水と草木を入れて20分煮ます。2. 煮出したら、材料をザルで濾します。
3. 染める布を軽くぬるま湯に浸しておき、よく絞ります。
4. ザルで濾した染液を70℃以上にし、ゆっくり、ふんわりと布を入れて20分くらいで布を染めます。
5. 染まった布をかるく洗います。
6. もう少し濃く染めたい場合は1~5の手順を繰り返します。色合いに変化を付けたい場合は、媒染液に浸して、ゆっくり混ぜながら布にまんべんなく媒染液をつけます。漬けっぱなしは厳禁!
7. 色が出なくなるまでよく洗います。
8. 脱水して干します。
色が薄い場合は手順8のあと、手順5→6→7→8の工程を繰り返し行います。
加熱しない草木染めの方法
材料
・染色する草木や花・実・水
・クエン酸
・媒染液
・塩
手順
1. 布を水洗いして干します。2. 染める材料を細かく切って、ガラス瓶などに水と草木、クエン酸を入れて2時間以上置いておきます。
3. 網などで材料を取り除き、その水をガラス瓶などに移し替えます。
4. 染める直前に、布をぬるま湯に15分程度漬けておきます。
5. 染色液の入ったガラス瓶に布を入れ、2時間以上漬けます。
6. 媒染液に塩を混ぜて2時間以上漬けたあと、水洗いします。
ピンクや緑に!草木染めにおすすめな野菜や植物はどれ?
草木染めに使える染料と色見本
草木染めのいいところは、意外に身近な食材や草花も染料として用いることができるという点です。草木染めにおすすめの野菜や果物として、紫キャベツや玉ねぎの皮、いよかん、落花生、ぶどうを煮出した液、みかんの皮、紅茶の茶葉、コーヒーかす、ローズヒップ、カモミールの茶葉、バジルの葉などがあります。草木染めの色見本は下記のサイトを参考にしてみてください。
→身近にあるいろんな草や木の種類と 媒染による色一覧
野菜・果物|玉ねぎなど
身近に手に入る野菜では、玉ねぎ、にんじん、ホウレン草などがあります。ほかにもお酢を含んだ媒染液に浸け込むと、鮮やかな赤色になる紫キャベツなども染まりやすく、美しい色合いで仕上がります。植物|よもぎなど
道端などでよく見かけられる、比較的手に入りやすい植物としては、ハーブや、若草色に近い緑に染まるよもぎなどがあります。桜は花でなく木を使うとピンクに。雑草では、初夏に咲くつゆ草なども上品な青や紫がかった色が表現できます。また、山道などを歩いていると見つかる「ようしゅうやまごぼう」や「やまもも」なども色が濃く出やすく染まりやすいので有名です。センスある草木染めの色見本や材料は、本から学ぼう!
染料植物から染色技法まですべてがわかる
草木染め大全
染めたい色が選べる3500余種の草木の染色見本付きです。色見本や媒染方法、身近な植物の染色など、初心者でもわかりやすい解説が載っています。どのような草木をどのような媒染で染めればどのような色にできあがるか、カラー写真付きで解説されていて便利です。
・著者:箕輪 直子
・出版社: 誠文堂新光社(2010年)
・著者:箕輪 直子
・出版社: 誠文堂新光社(2010年)
ボリュームに圧倒されます(笑)。2センチもの厚みのある本って、なかなかないですから。
染料植物、庭の草花、キッチンにあるもの(=野菜やお茶とか)、樹木、ハーブ、花や実、思いつく限りのあらゆる素材を網羅してある感じです。しかも染色サンプルが素材別にフルカラーで掲載されているのが、うれしい。
草木染めの方法についても、糸を染める場合、布を染める場合、ウールの場合、シルクの場合、などなどなど、こちらもまた、かゆい所に手が届く感じで、非常に丁寧に分かりやすく写真とともに説明されています。
経験者でも、あーこんな方法もあったのか!と、けっこう発見が多いのでは。
この内容で、このクオリティで、この価格は絶対にお安いです。
専門書っぽく難しくないところがまた、とてもいい。
草木染めにどっぷりはまりたい人、必携です。 出典:Amazon
初心者にもわかりやすい
誰でもできる草木染めレッスン
ほとんどのページがカラー。手順一つ一つが写真付きで解説されており、基本的なやり方がわかりやすい本です。
・著者:箕輪 直子
・出版社: 誠文堂新光社(2011年)
・著者:箕輪 直子
・出版社: 誠文堂新光社(2011年)
草木染めが気になって購入してみました。
9割カラーページで作り方も一つ一つ写真つきで説明されているのでとても分かりやすいです。
内容としてはハーブ、草、樹木、花びら、落ち葉、カレー粉、紅茶、土、藍染め等一通りのっていて簡単な布の種類の説明から薬剤の説明まで簡単にされています。
ただ、模様の作り方などの応用があるものは二ページでまとめられていました。
また昆色をやってみたかったのですが載っていなかったので残念です。
基本的なやり方はほとんどわかりやすくのってます 出典:Amazon
手芸分野でも役立つ
草木染ハンドブック ウール染めの植物図鑑
伝統的な染色法「草木染」について書かれており、野山の草木から台所の野菜まで身近な素材100種の草木染を解説のほか、素材採集に役立つ情報も収録されています。よく使われる絹に加え、近年注目されている羊毛の染色見本を全種掲載した初の本です。染色に興味のある方や植物・園芸愛好家の方、織物やフェルトなどの手芸分野の方にも役立ちます。
・著者:山崎 和樹
・出版社: 文一総合出版(2015年)
・著者:山崎 和樹
・出版社: 文一総合出版(2015年)
いろいろな植物が掲載されていて楽しいです。
掲載順が植物和名のアイウエオ順なので、タイムリーな季節順とか、色彩別とかそういった順番での掲載のほうが実際には使いやすい。と私は思う。 出典:Amazon
色見本付きで染め上がりが一目でわかる
改訂版 はじめての草木染め
これから草木染めをはじめる人におすすめの入門書。玉ねぎの皮やお茶の葉など、身近な天然の材料で気楽に染め方を学べます。綿・麻・絹・ウールなど生地別の色見本で染め上がりが一目で分かるようになっています。
・著者:母袋 信恵
・出版社:ブティック社(2012年)
・著者:母袋 信恵
・出版社:ブティック社(2012年)
いろいろ材料を揃えたくないひと、お金をかけないでスタートするためにはこれが一番よいです。植物ごとにどんな色がでるのか色見本もあって、とくに絹のカラーバリエーションはとても綺麗でやる気が掻き立てられます。美しい仕上がりになるかどうかという点では、どうかとおもいますが、こんなことで染まるんだ!という敷居を下げるためにはもってこいの本で、これを押さえた上であとどれくらいこだわっていくか、みたいな使い方をするとよいと思います。この値段で、この内容はかなりお得だと思うし、何度も読み返したり、確認したりと、ずっと使っています。染まるためのコツもそれとなく書かれているのがよいです。 出典:Amazon