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橋本將詞社会保険労務士事務所
橋本 將詞2001年に橋本將詞社会保険労務士事務所を開業。農業労務管理、就業条件の作成、労働時間管理、事業継承など農業経営を人事面からサポート。2010年には、特定農作業従事者団体 京都農業有志の会を設立。 https://www.sr-hasimoto.com/…続きを読む
ここでは、社会保険労務士の橋本將詞先生に社会保険の制度や手続きの仕方についてわかりやすく解説していただきました。
社会保険制度は大きく「社会保険」と「労働保険」に分かれている
社会保険は医療、年金保険、労働保険は経営者が加入する雇用、労災保険
社会保険制度は大きく分類すると「社会保険」と「労働保険」に分かれています。社会保険は、医療保険制度と年金制度などから成り、病気やけが、加齢などの際に、経済的な補償がされる制度です。
労働保険は、雇用保険と労働者災害保険(労災保険)の総称で、労働者を雇用している経営者が加入する制度です。
労働保険についてはこちら
会社を辞めたら「健康保険」から「国民健康保険」へ。前職の健康保険の任意継続の選択肢も
「国民健康保険」加入の手続きは14日以内に市町村の窓口へ
ここで社会保険のうち、けがや病気のときのための医療保険の仕組みをみていきましょう。病院を受診するときに必要な被保険者証は生活に一番身近な社会保険です。会社員が加入する医療保険は「健康保険」で、全国健康保険協会(協会けんぽ)が運営しています。事業所の規模が大きい場合は、独自の健康保険組合が運営しているケースもあります。「健康保険」は事業所と本人が折半して保険料を負担します。14日以内に手続きをしないとどうなりますか?
保険料について知っておきたいこと
国民健康保険に切り替えると保険料は全額負担になるのですか?
前年の所得に応じた国民健康保険料を全額負担だと、金額が大きくなるのでは?
任意継続と国民健康保険への加入とどちらがよいのでしょうか?
市町村の窓口に確認しに行くのはいつごろがいいでしょうか?
ほかに注意することはありますか?
会社を辞めたら「厚生年金」から「国民年金」へ。払えない場合には免除申請を忘れずに
「国民年金」加入の手続きは14日以内に市町村か年金事務所の窓口へ
次に年金制度を見ていきましょう。会社員や農業法人などに就職している人は「厚生年金」に加入しますが、独立して新規就農すると「国民年金」に加入することになります。国民年金の加入の手続きは、退職後14日以内に市町村もしくは年金事務所の窓口で行います。年金についても、会社員などが加入する「厚生年金」は保険料の半額を会社が負担しますが、「国民年金」は全額を本人が負担します。保険料を支払えないときには必ず免除・納付猶予の手続きを
国民年金保険料の未納期間があるとどうなりますか?
障害基礎年金受給のための要件
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日の前日において、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
日本年金機構「障害年金」
あとから保険料を納付しても受給できないのでしょうか?
保険料の支払いが困難なときはどうしたらよいですか?
国民年金保険料免除制度
前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
国民年金保険料納付猶予制度
20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予されます。
配偶者の扶養に入るという選択肢
会社勤めをしている配偶者がいる人で、農業の収入が年間130万円未満になりそうなら、配偶者の扶養に入るという選択肢もあります。社会保険はセーフティネット
民間の保険と社会保険の違い
橋本先生は社会保険の意義について、次のように説明してくれました。年金の給付はずっと続く
独立して農業を始める際に、気をつけなくてはならない社会保険の手続き。橋本先生は、適切なタイミングで役所の窓口に確認しに行くことが重要と話してくれました。しっかりと手続きをして、けがや病気、老後の生活などのリスクに備えておけば、きっと就農後の生活を安心してスタートすることができるでしょう。