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- MitsuyaNao
埼玉県の山奥で、約1反のブルーベリー畑を管理しています。ハイブッシュとラビットアイを約20品種栽培中。野菜、花、ハーブなども育てています。AGRI PICKでは、家庭菜園や園芸の初心者に向けた記事を中心に担当。他メディアでも多数執筆中。…続きを読む
趣味の養蜂が静かなブーム
自家製ハチミツが作れる、趣味の養蜂。じわじわと人気を集めています!蜜は蜂が集めてくれるので、手間がかからず、週末の時間だけで楽しめるんですよ。さらに、果樹や作物の栽培といっしょに行えば、蜂が作物の受粉を行ってくれて実付きが良くなる効果も!養蜂の始め方をご紹介します!養蜂場は必要なし!自宅でできる養蜂について知ろう
庭やベランダ、畑でも
養蜂に必要なのは、「養蜂箱」と呼ばれる木箱を置くスペースだけ。だいたい炊飯器くらいの大きさです。この中に蜂が入って、蜜をたっぷり貯めてくれます。裏庭や畑に養蜂箱を置けば、それだけで立派な養蜂のスタートです!ベランダでも可能ですが、ご近所トラブルには注意してくださいね。よくある誤解
広い土地が必要?お金がかかる?
「養蜂って、広い場所が必要なんじゃないの?」「お金のかかる設備が必要?」なんて思われるかもしれませんが、まったくそんなことはありません!1平方メートルほどのスペースがあれば充分です。最初に必要なのは巣箱だけなので、用意するお金も、数千円~1万円くらいで大丈夫なんですよ。近くに花畑が必要?
半径2kmが蜂の行動範囲です。その範囲内に花畑は必要ありません。自然豊かな野山がある、周りを遮るものが少ない、周囲に家が少ない、直射日光が当たらない、といった環境が理想です。蜂に刺されない?
ミツバチはあまり人を刺しませんが、防護服を着るか、燻煙器で蜂をおとなしくさせてから作業すると安全です。世話は大変?
普段の世話はかなり楽です。週末に点検するだけでOKですよ。採蜜の時期、砂糖水をあげる冬の時期は作業が必要ですが、それも週末に時間が取れれば問題ありません。まずは知っておこう!西洋ミツバチと日本ミツバチの違い
養蜂を行うなら、西洋ミツバチか日本ミツバチを巣箱に迎えることになります。市販されているハチミツのほとんどは、西洋ミツバチのものです。西洋ミツバチを育てるには、養蜂家からハチを買う必要があります。数万円かかるのでコストは高めです。対する日本ミツバチは、野生の群れを自分の巣箱に誘いこんで育てます。巣箱さえあればほとんどコストがかかりません。しかも、日本ミツバチのハチミツはほとんど市販されておらず、希少です。
養蜂のやり方を解説!1年間に必要な基本の世話
1. 巣箱の用意
まずは巣箱を用意します。蜂の巣箱は木製で、重箱式と巣枠式と呼ばれる2タイプが主流です。育てたい蜂の種類によって使い分けましょう(詳しくは次の項目で解説)。木材を用意すれば、自分で作ることもできます。売られているものは数千円ほどです。2. 蜜蜂を巣箱に迎える
西洋ミツバチの養蜂では、販売されている蜂を買ってきます。日本ミツバチの養蜂なら、野生の蜂が巣箱にやってくるのを待ちましょう。春~夏に生まれる日本ミツバチの女王蜂は、働きバチを連れて自分の生まれた巣から旅立ち、新しい巣を作れるところを探します。このタイミングで、巣箱を新しい巣にしてくれたら捕獲成功です。3. 内部検査
ハチを捕獲できたかどうか確認します。成功率を上げるには、「蜜蝋」を巣に塗るのが効果的です。蜂は1度巣ができた場所を好みます。蜜蝋を塗っておけば、そこに以前巣があったのだと思ってくれるのです。また、「キンリョウヘン(シンビジウム)」と呼ばれるランの一種は、日本ミツバチが好きな香りを発します。巣穴の隣に植えておくと良いでしょう。4. 採蜜
ハチミツが溜まったら採蜜できます。巣が小さいうちに採蜜しようとすると、巣が落下してしまう事故が起こります。これを「巣落ち」と言い、よくある失敗のひとつです。巣落ちすると、せっかく入居してくれた蜂が逃げてしまうので注意!5. 暑さ対策・寒さ対策
ミツバチは暑さが苦手。夏の間は巣箱を日陰に移動させ、直射日光が当たらないようにしましょう。また、冬が来るまでには充分に蜜をストックさせ、巣箱の門を狭くし、保温シートをかけてあげます。6. スズメバチ対策
お盆過ぎには、ミツバチの敵であるスズメバチが現れます。スズメバチは、ミツバチを攻撃するだけでなく、成虫・幼虫を自分の巣に持ち帰ってしまう怖ろしい存在です。スズメバチを捕殺する駆蜂器(くぼうき)を取り付けて対策しましょう。7. 冬の餌やり
冬場までに蜜がたっぷり貯めきれておらず、餌が不足した際には、砂糖水を与えましょう。巣箱について知ろう!主なタイプは2つ
重箱式
重箱式の巣箱は簡単に作ることができます。日本ミツバチでよく使われるタイプです。目立たない見た目なので、養蜂を知らない人からすると、蜂の巣箱だと分かりにくいです。巣枠式
西洋ミツバチでよく使われるのが、巣枠式の巣箱です。テレビで、巣箱から板を引き出すとそこに蜂とハチミツがびっしり……なんてシーンがありますよね。養蜂家さんはほぼ皆西洋ミツバチを育てているため、蜂を育てる巣箱の一般的なイメージもこちらの巣枠式になっています。巣箱を作ってみよう
週末養蜂におすすめなのは、日本ミツバチ向けの重箱式巣箱です。作り方をご紹介します!材料
・コンクリートブロック・木材
・トタン屋根
・屋根をおさえる石
・金網
作成手順
Step1. 木材のカット
木材を好きな寸法で切り分けます。必要なのは、重箱、巣門枠、底板、天井板とスノコ板の分です。スノコ板は自作してもかまいませんし、100均で買ったものをカットして使ってもOKです。Step2. 組み立て
切り分けた木材を木ネジか釘で組み立てます。巣箱には巣の落下防止のため、十字の針金を取り付けておくと良いでしょう。天井板には金網を取り付けます。Step3. 完成!
これで完成です。重箱の下にはブロックを置き、一番上にはトタン板、トタン板の屋根をおさえる石を置きます。2~3段程度に留め、4段、5段と重ねすぎないのが成功のコツです。たくさん設置したいなら、段数の少ないものを複数置いてください。意外と少ない!養蜂に必要な道具
養蜂を始めるために揃える道具は、意外と少なくてOKなんです。日本ミツバチの飼育だけなら、最初は巣箱と防護服だけで充分ですよ。必須の道具
防護服・面布
防護服
かぶるだけでハチ対策ができる防護服です。ネット下にファスナーがあるので、服を着たまま飲食ができます。面布をかぶり、ゴム手袋をするだけでも対策は可能です。
サイズ | フリー |
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巣箱・つぎばこ
ミツバチ巣箱(巣箱台なし)AK-2
設置するだけで、日本ミツバチの養蜂が簡単に行える巣箱。日本ミツバチの巣作りに適した構造になっています。
サイズ | 奥行360×幅460×高さ620mm |
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場合によって必要な道具
燻煙器
ブラシ
養蜂用ブラシ
養蜂用のブラシです。やわらかな毛で作られているので、ミツバチを極力傷つけずに作業できます。蜜の採取前に用意しておきたいアイテムです。
サイズ | 40cm |
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蜜刀
これから始めるなら入門キットがおすすめ
「まだ何も道具がない」「どの道具を揃えればいいか分らない」という方には、スターターキットがおすすめです!なんと、蜂そのものが付いてくるキットもあるんですよ。日本ミツバチスターターキット(蜂なし)
Yahooショッピングで購入できる、日本ミツバチの養蜂スターターキットです。週末養蜂に必要なものがすべて揃っていますよ。商品詳細は以下のリンクからチェック!→待ち箱ルアーで始める!週末養蜂スタートキット
https://store.shopping.yahoo.co.jp/syumatsu-yoho/set1.html
西洋ミツバチスタートキット(蜂付き)
ミツバチ飼育3枚群入門キット
西洋ミツバチ約9000匹と、女王蜂1匹が付いてくる数量限定の養蜂キットです。ちょっとお高めですが、巣箱、ブラシ、さらにはミツバチ飼育入門書「養蜂のスタート」までセットになっています。これから始める方向けのスターターキットです。
ミツバチの種類 | 西洋ミツバチ(イタリアン系交雑種) |
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ツールセット
養蜂ツールキット 7点セット
蜜を採取するのに必要なブラシや、女王蜂をつかまえるのに使うクイーンキャッチツールがセットになっています。養蜂のための7つ道具です。すべてが必須の道具というわけではありませんが、持っておくと心強いですよ。
セット内容 | ビーブラシ、キャッピングスクラッチャー、フレームグリップ、HiveTool、クイーンマーキングチューブ、スパーエンベッダー、クイーンキャッチツール |
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まずは養蜂体験!見学、蜜しぼりができる全国の施設
養蜂に興味をお持ちなら、まずは一度養蜂体験に行ってみませんか?各地でできる養蜂の見学や、お試し体験をご紹介します。千葉 蜂蜜工房
はちみつができるまでの見学、自家製はちみつドリンクの試飲、各種はちみつの試食ができます。千葉県君津市の工房です。→千葉 蜂蜜工房:http://ootake-beehouse.com/hpgen/HPB/categories/13711.html
福島 松本養蜂総本場
昭和16年創業の養蜂所です。巣箱の観察や試食、ミツロウキャンドルづくりの体験ができます。店内ではさまざまなハチミツ、加工品の販売を行っていますよ。→福島 松本養蜂総本場:https://www.aizukanko.com/spot/67/
愛知 養蜂研究所
「養蜂博物館」があります。養蜂に関するものの展示があるだけでなく、養蜂の道具を購入することも可能です。蜜しぼり体験、ミツバチ見学も行っています。→愛知 養蜂研究所http://www.8keninoue.com/all1183/yohohakubutukan.html
養蜂するのに許可は必要?届け出は?
採取した蜜の販売をするなら、届け出を出さなくてはいけません。「養蜂振興法」という法律で、「業としてミツバチの飼育を行うものは、各都道府県に届け出る義務がある」と定められているんです。では、趣味の養蜂はどうなのでしょうか。答えは、「都道府県によって異なる」です。届け出が必要な県もあるので、自分の都道府県の決まりを確認しましょう。