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今回は、たった数カ月でInstagramのフォロワー数が3,000人超え!3年前に就農し、3児を育てるシングルマザー、ゆきのさんこと小泉由貴乃(yukinomama1124)さんにお話を伺いました!
農園所在地 | 茨城県古河市、結城市 |
栽培面積 | 田:約6.4ヘクタール、畑:約6ヘクタール |
栽培品目 | 飼料米、ナス、キャベツ、サニーレタス、ダイコン、ホウレンソウ、コマツナなど |
販路 | JA、直売所 |
家族構成 | 祖母、叔父、母、長女、長男、次女(叔父とともに農業に従事) |
従業員数 | なし |
就農時の年齢 | 28歳 |
就農前|いろいろな仕事を経験。3度の出産、そして離婚
小泉さんは中学卒業後、事務職、工場スタッフ、パチンコ店の店員などさまざまな仕事を経験しました。その間には、結婚と3度の出産もありました。3人目の子どもが生後4カ月のころ離婚。子どもたちを保育所に預けるためには働かなくてはならず、叔父の畑で働かせてもらうことにしました。実家で農業をすることを選択した小泉さんについて、家族は喜ぶ一方で心配もしました。
小泉由貴乃さん
実家は大きい農家ではなく、どちらかといえば小規模農家なので、私たち一家を支えられるかということも心配したと思います。また、農業は大変だよ、と私の体を気遣ってくれました。でも最終的には、やってみてダメなら別の選択をすればいいといって受け入れてくれました。
農業は寒いし、暑いし、重いし、つらい!
初めて取り組んだ農業。しかし、小泉さんにとって、その仕事は厳しいものでした。小泉由貴乃さん
寒いし、暑いし、重いし、つらい、という感じでした。それに叔父にいわれたことをただやるだけということや、1日畑にいて感じる孤独もつらかったです。
冬は寒く、夏は暑い。1日誰とも話さず畑で作業を続ける日もあり、農業と子育てに追われる中で小泉さんは孤独感を深めていました。
就農1年目|作物の病気や害虫に気づけない
就農1年目に特に苦労したのは作物の病気や害虫でした。なにしろ初めての農業。病気や害虫に気づくことが難しく、気がついたら畑の一面が枯れていたということも。作物によって病害虫が異なることも、小泉さんを困らせました。そんなときに頼りになったのが近所の農家さん。小泉さんの畑の前を通りかかったときに、病害虫の発生や対処法を教えてくれることがありました。
また、小泉さんの作った野菜を食べた祖母が、栽培方法をアドバイスをしてくれたこともありました。
就農3年目|自分だけの畑、直売所での販売
就農3年目になっても、小泉さんにとって農業はつらいものでした。もう農業を辞めようと思い、友人の会社経営者に相談すると、返ってきたのは「まだ農業を頑張ってないでしょう」という言葉。この言葉が小泉さんに火をつけます。小泉由貴乃さん
もう1回、本当に真面目に農業取り組んでみようと思って。叔父に頭を下げて、私ひとりで使える畑を割り当ててくださいと話をしました。
こうして自分だけの畑を持ち、自分一人で生産を開始。同時に直売所での販売も始めました。すると、目に見えて収入が上がるようになってきました。
Instagramで発信!人とつながることが励みになる
直売所での販売を行うにあたって、自分の存在を知ってもらうことも必要なのではと、並行して始めたのがInstagramでの発信でした。Instagramは小泉さんが感じていた孤独を払拭し、モチベーションを高めるという大きな効果をもたらしました。小泉由貴乃さん
私はもともと人とつながるのが好きなのですが、農業をしていると1日畑にいて、誰とも話さないということもあります。Instagramによって、いろいろな人とつながれるととても楽しいですし、見られているということが励みになります。
小泉さんのInstagramのフォロワーには、農家の人や家庭菜園を趣味にしている人もいます。Instagramを通してほかの農家から栽培技術を学ぶこともあれば、家庭菜園を趣味にしている人から栽培方法を聞かれることも。
小泉由貴乃さん
Instagramを見れば、その人がどんな人かわかるので、共通の話題が見つけやすいです。年齢や性別なども関係なく交流できます。
見て楽しいものにしたい、という小泉さんのInstagramは、迫力ある写真と巧みな言葉で見る人を惹きつける魅力があります。
種まきや収穫についてはもちろん、稲刈りをしていたらホースが壊れて驚いた、農業資材のサイズが合わなかった、芽キャベツの芽かきのタイミングを逃したなど、ハプニングや失敗についても赤裸々に発信。
ときには、子どもたちが登場したり、ファッションの話題があったりとプライベートの顔も見せ、応援せずにはいられなくなります。
小泉さんのInstagramはこちら
https://www.instagram.com/yukinomama1124/
新規就農者支援のクラウドファンディングに参加
Instagramのつながりが、新しい挑戦につながることもあります。小泉さんは、フォロワーの一人が運営する新規就農者を支援するためのクラウドファンディングに参加し、返礼品を提供しています。このクラウドファンディングは、農業を始めて5年未満の若手農家さんを中心に応援&販売ができる「新規就農者専門店」を作るというもの。畑で孤独を感じていた小泉さんが、今では、新たなプラットフォームづくりに参加して、新規就農者を支援する取り組みを行っているのです。小泉由貴乃さん
新規就農者の人たちが、農業を楽しいお仕事だと感じてもらえるように支援をしていただけたらありがたいです。
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農業は自由、自分の力で結果が出せる
自分の畑で、自分の力で野菜を作り、Instagramで多くの人とつながることができた小泉さん。つらかった農業が楽しくなってきたといいます。小泉由貴乃さん
農業はどんな人でもできるし、やればやっただけ結果がついてくるのが面白いです。会社員の場合は、たとえ頑張ってもその結果が出世ということになると思うのですが、農業の場合には、自由もあるし、頑張れば直接的にお金持ちになれる。無限大に夢が広げられると思っています。
三人の子どもを育てる母として、農業には自由な時間に働けるメリットもあります。新型コロナウイルスの感染拡大により小学校が休校になったときも、ほかの家族が家にいるときに仕事をするなど、時間を調整することが可能でした。また、働く場所が自宅から近いこともあり、子どもたちも安心して明るく仕事に送り出してくれます。
今後のビジョン|販路拡大とハウス導入を目指す
小泉さんは今後、直売所、インターネット販売、レストランなどの販路を拡大していきたいと考えています。それは、JAへの出荷ではJA側が価格を決定し手数料も必要となるので、ときには出荷すればするほど赤字になることがあるため。頑張って生産した結果をマイナス経営としないためにも、独自の販売ルートを確保する必要性を実感しています。また、より利益を上げるためにハウスの導入も検討中です。Instagramの投稿を見ると、小泉さんの表情はとてもいきいきとしていて、どんな内容も明るく発信しています。それだけに、農業を辞めたいと思っていたとはとても信じられません。今では、自分の力のすべてを出して本気で農業に取り組み、Instagramで多くの人とつながることで大きな充実感を得ています。将来のビジョンを語る姿には、すでに経営者の風格が感じられました。今後の活躍が楽しみな若手農業者の一人であることに間違いありません。