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最も育てやすい花の一つ「パンジー・ビオラ」
冬の園芸店で、最も広い面積を占め並んでいるのがパンジー・ビオラの花苗。まるで絵の具のパレットを広げたような色とりどりの花は、眺めているだけでハッピーな気分にしてくれます。花姿も花径10cmもの大輪から1.5cmほどの極小輪、花弁が幾重にも重なる八重咲きや花びらの縁がドレスの裾のように翻るものなど、豊かなバリエーションが魅力です。初心者でも育てやすく、晩秋から春まで長期間咲いてくれるため、庭植えや花壇、寄せ植えにも大人気の一年草です。
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パンジー・ビオラを長く楽しむためのコツ
花を長く楽しむコツは「花がら摘み」と「肥料」。「花がら摘み」とは、咲き終わった「花がら」を摘むお手入れのこと。放置しておくと種ができて、株の寿命が早まってしまうので、花がらを見つけたら速やかに摘み取ります。
また、長期間に渡り次々と花を咲かせるパンジー・ビオラは、株の体力維持のために栄養が必要。最初に苗を植えるときに、長くゆっくり効くタイプの「緩効性肥料」を施します。この肥料は培養土に含まれていることもあるので、用土の袋をよく読み、含まれていない場合のみ追加して与えます。この緩効性肥料の効き目は1カ月〜1カ月半で切れるので、気候が暖かくなって開花が盛んになってきたら、液肥などを追肥してあげましょう。
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パンジー・ビオラの世界を爆発的に広げた個人育種の世界
初心者でも育てやすく人気のパンジー・ビオラですが、近年、注目を浴びているのが「個人育種ビオラ」。大手種苗会社によって広く一般に流通している花とは少し異なり、花の個性を最大限に追求したものが多く、非常にバリエーションが豊富です。これまでのブルー、イエロー、レッドというクリアな単色の花ではなく、水彩画のにじみのような色合いを持つものやストライプ状の柄が入るもの、花びらの縁が白く抜けるもの、斑入り葉のもの、花びらの縁にギザギザの切れ込みが入るものなど、繊細で複雑な花姿をしたものが多くあるのが特徴です。Garden Storyのこちらの記事もチェック!
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魅力的な個人育種ビオラ
新しい花を生み出すことは誰でもできる
そもそも「育種」とは、花の場合で言えば既存の花を交配し、これまでにない花を生み出すこと。難しそうに思えるかもしれませんが、やり方は意外とシンプルで、同じ花の中から2つの親株を選び出し、その2つを人工的に受粉させ、次世代に咲いた花が新品種となります。ビオラは交配しやすく、受粉が成功すれば一年後には新品種が生まれます。ですから、新しい花を生み出すこと自体は、誰にでも可能なのです。Garden Storyのこちらの記事もチェック!
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プロの育種家や大手種苗会社などは、安定した生産性など商業的に成立することが育種の絶対条件です。いくらユニークな花が生まれたとしても、同じものがたくさん作れないなど、商業的な目的が達成されなければ、その花は選ばれることなく淘汰されてしまいます。しかし、個人育種は必ずしも商業的な条件をクリアする必要がないため、ユニークさを追求することができ、面白い花がたくさん生まれるのです。
この世にない新しい花を自分の手で作り出すなんて、想像するだけでワクワクしませんか? この魅力にとりつかれたのが、個人育種家といわれる人々。趣味の育種家や個人の生産農家による育種から生まれた花が今、大注目を浴びています。ただし、生産量が少ないため販売されている場所も少なく、人気の花はあっと言う間にsold outしてしまう“レアもの”が多いのも事実。
パンジー・ビオラの交配の仕方
Step.1 親株選び
親株の2つを選び出します。どういう花を作り出したいか、目標を決めてみるといいでしょう。例えば上のイラストのように、異なる特徴を持つものを交配させ、それぞれの個性を合わせ持った新しい花を狙ってみます。ここで注意したいのは「F1」品種という花は親株に不向きであるということ。「F1」は自身の性質を次の世代に受け継がないので、交配しても狙った花が咲かないことの方が多いでしょう。Step.2 受粉
一方の雌しべに、もう一方の雄しべを受粉します。爪楊枝などを使って、雄しべの花粉を集めます。パンジー・ビオラの雌しべには中央に小さな穴があるので、その中に雌しべの花粉をいれます。Step.3 採種
種を採種します。Step.2が成功していれば種ができます。ビオラのサヤは種が熟すとだんだん持ち上がってきて、完全に熟すと直立し、種が勝手に弾け飛んでしまいます。そのため、完全に直立する前の段階で、茎の付け根からとって紙封筒などに入れ種を採種します。Step.4 播種
種をまきます。Step.5 開花!
花が咲いたら交配成功!とはいえ、狙った特徴が出るとは限りません。また、1株だけ交配させてもうまくいかない可能性があるので、同じ品種で3株くらい交配させておくといいでしょう。交配した種の1世代目の花は、いい結果を得られないことも多いもの。品種の性質は次の次の世代になってから現れてくることもあるので、一度で諦めず種を採り、まき続けてみてください。続けていれば、世にも美しいあなただけの花に出会えるかもしれませんよ!
「Garden Story」には、日々を彩る花や植物の育て方、初心者から通まで楽しめるガーデニング情報がたくさん掲載されています。ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。